第1話 「ゴミになった家」
副業を探していると 解体の経験があるんだって? はぁ...若い頃に少し... イイネー 今度新しいビジネスを始めるから手伝ってよー 声をかけられた コレはチャンスだよ?
がんばりマス
「「人の苦しみは金になる」『空き家問題』が世間で話題になると「よっしゃこれを商売にしたろ」と考える起業家(笑)が出始めた 私もその一員だった
空き家に一 網ですか? 近所の人が親切に かけてくれたんたと なんのために? 老朽化て崩れそう だから危ないってさ
空き家? 通学路も近いらしい 空き家は事故や犯罪の原因にもなる 廃屋じゃないですか
相続したまま放置した実家 住めない 貸せない 売れない そういう状態
ご近所さんがかけた網は表向きは親切だけど 内心は違う ボロ空き家を早く潰せ!危ないし迷惑なんだよ! そういう圧力なんだ
しかし空き家の家主は遠く県外に住んでいる 親切の圧力も届かない... ハズだったが...
地元に住む親戚にはブスブス刺さりまくった 閉鎖的な田舎ではご近所づき合いが欠かせないのだ
親戚から催促が来るか... 空き家潰そみんな困ってる いう崩れるかわからない 火事になるかも 犯罪に使われるかも 通学路も近いの
話はわかったけと...その空き家を潰すお金はどこから出せばいいの? 何とかしなさい 知らない 知らないわ 頑張りなさい 知らないよ
ロは出すが 金は出さない
ここで間に入るのが私たち仲介業者だ ご希望の解体業者を紹介致しますってね もちろん商売だ 「ハイエナ」などと呼ばれることもある
とにかく安い 解体業者を 探して下さい お金が無いんです 安くかぁ... お任せください
「安い業者を探す」とはどういう事なのか? たくさんの業者に見積もりの依頼を出して 過酷な価格競争をさせるということだ
耐えて耐えて 競争を勝ち抜いて 理不尽な要求を飲み込んだ業者が契約にたどり着く
また終わりではない 契約が成立したら仲介業者に数%の手数料を払ってもらう
仲介業者が嫌われる理由がわかっていただけたと思う 楽して金を稼ぐハイエナ そう見える かもね 現場で血と汗を流すのは誰だ
第2話 金さえあれば
ウチの若いボスが 私にこう言うんだ 最初の見積もりはA社に依頼してね 意味わかるよね? ええ、もちろん わかりますよ 嫌な商売だ
A社の「見積もり金額」はきっと高いハズだ 契約に至る事は99%ありえないのに見積もりに向かわせるのか... ○○と申しますがお見積もりをお願いしたくご連絡をさせて頂きました
A社が高いと何故わかるのか? まず社名を見れば解体専門じゃないことが予想できるコーポレーション キレイで見やすいホームページもある くらしを守る!プロ! やはり「解体も」やってるよくある建築会社だ
電話に出る受付さんがいる 折り返し致します 営業担当もいる
家主(の親戚)立ち会いの元A社が現地調査を開始 土地の広さや建物の構造残っている物の量を見る 数日後に提出される美しく整った見積書 さすがA社だ しかし…高い
見積書を見ながらA社担当の解説を聞く 信頼出来る良い会社だ しかし空き家の家主依頼主はこう言うだろう やっぱりこの位の値段するんですね…
予定通り私たちはこう言うだろう これが相場ですが頑張って安い業者を探します そして数日後に出すB社の見積書 あら 安い
B社は解体の専門会社 ホームページも無い 受付もいない 営業マンもいない 現地調査も顧客対応も見積もり作成もすべて社長さんが一人で行う 現場作業も行う 凄まじい労カ そりゃ安いさ A社が価格競争で勝てる道理が無い
しかし… A社もB社も契約に至ることは無い うん 理由は色々ある いろいろね ただ一番の理由は 「金が無い」ってことかなぁ
第三話 だれが空き家をつぶすのか?
見積書を出したが依頼主の反応が悪い 少し考えます ふーむ 何か隠しているなぁ ジャブを打つ
実はもっと安い業者にアテがあります しかし他社と依頼ががぶるとトラブルになることもあります もし弊社とは別に依頼した会社があれば 教えて頂けませんか?
実は...
仲介業者が3社? らしいです この一軒の空き家に対し一体何社の解体屋が価格競争をしてるのか?ドロドロの泥仕合だ 家主も必死なんだろう空き家を潰す金が無いのだ
他社の見積もりがすべて出た段階で「解体業社Z」を出そう 「日本一安い」と噂の 一解体業社のことだ。 最後まで競争するつもりか
解体屋のZの安さは異常プロにZの見積もりの話をするとこう言う... そんな会社あるわけが無い 安すぎるからだ 半分正しい あるわけがない? ある だけど 存在して良いのかはわからないよ
空き家を解体する 解体 解体 解体 解体 問題はコレ 産業廃棄物
例えば 廃棄物を山に捨てる悪徳業者もいる 適正な廃棄処理をすると たくさんの金がかかるからね 悪いことをしてるから 安く出来るんだよ!
・・とまぁこれが価格の高い業者が高さを肯定する為に客前で匂わせる話だ 安い業者は悪いことをしてるから安いんダー うちは高いけと真っ当だから高いんですよ そうかもね
解体業社Zは日本一安い怪しい ウチが価格競争で負けることは無い クソほと怪しい ではなぜ安いのか? どうやって生まれるのか?
第四話 空き家問題ドリーム
また契約不成立ッスか これ何度目? 申し訳ありません 見積もり作るのも楽じゃねえんだよ 二度と連絡してくんなよ
嫌な商売だ
A社もB社も今後ウチからの見積もり依頼は受けたくないそうです はぁ...? もう気づかれたのか 私たちは基本的にZ社以外に仕事は回さない 無意味な見積もりにただ向かわせるだけ
たくさんの解体業社を比較して見せないと お客様は納得しない「安い」と感じてくれない
解体業社が怒るのは当然の理屈である フザケンナバカヤロウ ところが そちらの事情は察しておりますご希望通りの金額で解体させて頂きます こんな業者も現れるんだ ただ...
条件は全て飲みますからウチに優先的に仕事回して下さい こういう適当な茶番が行われた後 解体業社Zが誕生する
どんなに過酷な価格競争にでも打ち勝てる絶対無敵の解体業社よ! バーン
従業員食わせなきゃならねぇんで… 一つよろしくお願いしゃす この判断は経営者として正しいのだろうか? もちろん 英断です みんなで儲けましょう。
ところが
もしもし!〇〇と申しますが見積もり依頼を... ああっ?知ってるよあんたら評判悪いな? 見積もり依頼だけする仲介業者だろ? 相見積もりのフリしてお抱えの業社に勝たせるそういう商売だろ? 力のある会社はお前らの下にはつかねーよ
社長このままじゃどこの会社もウチからの見積もり依頼を受けてくれなくなりますよ お前に商売のなにがわかるんだよ 解体業社なんて掃いて捨てるほどいるよ
仲介業者に頼めば 価格競争をさせてくれる だから空き家を安く解体できる みんなそう思うだろ? これから解体業は自分たちの力では仕事がとれなくなる 頭を下げてくる業者はどんどん増えるよ
空き家解体の仲介業は相続や土地活用という儲かるビジネスに繋げるために始めたものだ 本命はそっちさ これは空き家問題が生んだ ビッグビジネスなんだよ
こ・この人は 解体業社の事なんて まるで関心がないんだ
第五話 ヤバイ解体屋さん
現地調査をしない? ええ、大体の情報があれば見積書は作れますから え? ではもしも… 工事を始めてから予想していた以上に大量のゴミ等が出た場合どうしますか? その時は...
その時も... 見積もり通りの金額で工事します それほどの状況か
「安く工事する」 ということは 「たくさん現場をこなす」ということにもなる 同時に何件も何件も何件も… 見積もりに行く? 余裕が無いんだ
いや…見積もりに行く意味がないのかもしれない 全ての見積もりが 出揃いました! 最安価は◯◯万円です 安い コレよりも安くできますか?  厳しい… で…でき… できます!
解体業社Zに◯◯万円以下の見積もり出させて ええっ… 社長… わかりました やります えええっ
そして出てくる激安の見積書 うっ… いや怖いよ こわっ
スゴイねーヤスイヤスイ ナンデカナー 検討もつかないや
まぁその…なんて言えばいいのかな… 限界まで追い込まれ続けて 感覚がマヒしてるんだと思う 私も昔は一人の現場作業員だった こんな絞られた見積もり見せられたらさぁ…
オッ! いいね 安いねー この見積もりならウチが勝てるな 社長は現場の経験が無い 空き家問題に目を付け脱サラして起業した 夢見る若者 夢見る:
安いです! 一番です! そうですか それはなにより
「日本一安い見積もりを出す」というのが社長の口癖なんです 安いですよ どこよりも…
すごく安い…助かりました… 本当に… あれっー?
検討? なんで? ウチより安い業社があるってこと? 違うと思います …たぶん あの人は…
後日 知り合いの会社に解体を お願いすることになりました というメールが届きました うーむ に、なりました、か やはり
つまり最初から依頼する業社は決まっていて… 相場調査や価格交渉に使うために オレ達に見積もり依頼をしたってことか… 最低だな 我々がいつもやってることですよ
契約にならなければウチの儲けも0円 考えることは皆んな同じライバルは増える一方だった  なかなか 契約が取れない
最終章 やります
もしもし 一度お断りしてから 考えてみたのですが… あれだけお世話になってお断りするのは忍びないのでやはり知人の会社ではなくそちらで契約をしたいと思います なんとっ 嬉しいっ
ただ… 知人の会社はZ社さんより安い〇〇万円で工事できるそうです それより安く、 して下さいね
もしもし? はい わかりました難しいとは思いますが 上の者と相談して 折り返します
そうか じゃあ 値下げしよう
社長 これ以上値下げする必要ありますか? お客さんのハッタリですよ ウチが最安価のハズです そうかもねー でも安い方が評判が良くなる ライバル業者とぶつかってるなら尚更そうだよね
そうか…じゃあ聞くだけ オレたちはただ聞くだけ 「値下げできますか?」 で決めるのは 解体屋さんだ な?
聞く それだけだ 強制はしない 聞く だけ 決めるのは 解体屋さん なにが起きても オレたちのせいじゃない さぁ電話して ほら
えっ さらに…値下げ…ですか? …わかりました やります
やりますよ?