【災害時の補助金まとめ】被災で支えとなる11個の公的制度を紹介
「今年の漢字」に災害の「災」が選ばれるなど、甚大な被害をもたらした自然災害が多かった2018年。国民の経済に大きな影響を与える「激甚災害」と呼ばれる災害(西日本豪雨や北海道胆振東部地震など)も多く発生しました。
激甚災害に指定されると災害復興のための費用が国から地方自治体に支払われ、被害を受けた個人にも補助金などの支援が行われます。
補助金をもらえる災害見舞金や災害障害見舞金、被災者生活再建支援制度だけでなく、住宅再建などに役に立つ災害援護資金や災害復興住宅融資などについて説明していきます。
この記事で紹介する制度の一覧
災害時に役立つ制度は次の通り。
もらえるとき | |
---|---|
災害見舞金 | 地震や台風などの災害で住宅や身体に被害が出た |
災害弔慰金 | 災害で家族が亡くなった |
被害者生活再建支援制度 | 自然災害により住宅に大きな被害が生じた |
住宅の応急修理制度 | 災害で住宅が半壊または半焼し、修理代が必要 |
災害援護資金 | 地震や台風などの災害で住宅や身体に被害が出た |
失業手当 (雇用保険の基本手当) |
災害で勤務先が休業・倒産状態になった |
未払賃金立替払制度 | 災害によって企業が倒産状態となり、賃金がもらえない |
控除を受けられるとき | |
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雑損控除 | 災害などで被害を受け、損失がでた |
災害減免法 | 災害などで住宅や家財に被害があった |
低利子による貸付や融資が受けられるとき | |
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災害援護資金 | 地震や台風などの災害で住宅や身体に被害が出た |
災害復興住宅融資 | 災害によって住宅が全壊または大規模半壊し、り災証明書を受け取った |
免除・減免・猶予の対象となるとき | |
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公的年金や社会保険料 | 災害に遭い、保険料が納められない |
電気、水道、ガス、電話料金など | 災害で設備が利用できない。利用料が支払えない |
これらの制度をひとつひとつ詳しく紹介していきます。
災害の際にもらえる4つの補助金制度
災害時にはまとまったお金が必要になることも多いもの。お金が必要な復旧の際には国から補助金をもらうことができます。万が一のときに備えて、被災時の補助金制度について知っておきましょう。
災害に遭ったときに自治体からもらえる災害見舞金とは
「災害見舞金」とは、災害に遭ったときに地方自治体からもらえるお金のこと。
2018年の西日本豪雨で甚大な被害があった岡山県倉敷市の場合、住宅が全壊したケースでは30万円、大規模半壊の場合は15万円、半壊の場合は9万円が被害を受けた世帯に支払われます。
災害で家族が亡くなったときにもらえる災害弔慰金とは
「災害弔慰金」とは、災害で家族が亡くなったときに遺族に対してお金が支給される制度のこと。
2016年の熊本地震の場合、熊本市は地震によって亡くなった人の遺族に対して災害弔慰金を支給しています。支給金額は、亡くなった人が生計維持者の場合500万円、生計維持者ではない場合は250万円です。
また、熊本市は地震によって両目が失明したなどといった重度の障害を負った場合にも、災害障害見舞金としてお金を支給しています。生計維持者の場合250万円。生計維持者ではない場合は125万円支給されます。
住宅に被害があったときにもらえる被害者生活再建支援制度とは
「被害者生活再建支援制度」とは、地震や津波、台風などの自然災害によって住宅に被害があった人に対して、お金が支払われる制度のこと。
被害者生活再建支援制度では「10世帯以上の住宅が全壊した市町村」または「100世帯以上の住宅が全壊した都道府県」などというように、制度の対象となる地域は決まっています。
被害者生活再建支援制度の支給金は、住宅の被害状況によって支給される「基礎支援金」と住宅再建の方法によって支給される「加算支援金」の2つから成り立っているもの。それぞれの支給額は以下の通り。
住宅の状態 | 全壊 | 解体 | 長期避難 | 大規模半壊 |
---|---|---|---|---|
支給額 | 100万円 | 100万円 | 100万円 | 50万円 |
再建方法 | 建設・購入 | 補修 | 賃借 |
---|---|---|---|
支給額 | 200万円 | 100万円 | 50万円 |
地方自治体が最低限の修理をしてくれる住宅の応急修理制度とは
「住宅の応急修理制度」とは、災害で住宅が半壊または半焼した際に自治体が最低限の修理代を支給してくれる制度のこと。
住宅を修理し住むことが前提の制度であるため、全壊の住宅には適用されません。
住宅の応急修理制度を受けることができる条件は以下の3つ。
- 住宅が半壊または大規模半壊していること
- 修理した住宅で生活できること
- 世帯収入が500万円以下であること
ただし、世帯収入の条件は世帯主の年齢によって変わります。また、支給金額の上限は54万7千円です。
お金が足りない!そんなときに助かる被災者向けの貸付制度
災害に遭い住宅に被害が出るなどした場合には、生活や福祉のための資金が必要になるもの。そんなときに助かる被災者向けの貸付制度を紹介します。
被害を受けた場合に借りられる災害援護資金とは
「災害援護資金」とは、自然災害によって負傷した、住居や家財に被害が出たなどした場合に、お金を借りられる制度のこと。
どの自然災害でも災害援護資金を利用することができるわけではありません。都道府県に属する市区町村のうち、災害救助法が適用される市区町村が1つ以上あった場合の自然災害のみ、災害援護資金を利用することができます。
貸付の限度額は350万円。ただし、世帯主に1ヶ月以上の負傷がある、住宅が全壊しているなどの被害状況によって、借りられる限度額は変わります。
返済期間である「償還期間」は、据置期間を含む10年間です。ただし、自治体によっては据置期間と償還期間をより長く設定しているところもあります。
住宅を復旧したい人が借りられる災害復興住宅融資とは
「災害復興住宅融資」とは、災害によって住宅が全壊または大規模半壊などした人が住宅を復旧させるために利用できる融資制度のこと。
住宅が全壊、大規模半壊または半壊したという「り災証明書」をもらっている人が利用することができます。
貸付限度額は以下の通り。
- 土地を購入し住宅を建設した場合は3,570万円
- 新築住宅を購入した場合は3,130万円
- 住宅を補修する場合は1,170万円
貸付利子は、2018年12月時点で基本融資額または補修の場合年0.63%。特例加算額の場合は年1.53%です。ただし、東日本大震災の場合は他の災害とは利子が異なります。
また、元金据置期間は最長3年。償還期間は住宅の構造や新築か中古かでも異なるものの25~35年となります。
災害で勤務先が休業・倒産状態になった場合にもらえるお金
災害が起こると、会社も被災し働けなくなってしまう場合もあります。そのようなケースでもお金をもらうことができる制度を知っておきましょう。
災害で給与がもらえない場合に失業手当がもらえる制度とは
ただし、雇用保険に6ヶ月以上加入していた人が対象です。
もらえていない賃金をもらえる未払賃金立替払制度とは?
「未払賃金立替払制度」とは、災害によって企業が倒産・倒産状態になったことで賃金をもらえていない労働者に対して国が賃金を支払う制度のこと。
退職日の前日の6ヶ月前から請求日の前日までの間に、未払の賃金があった場合、代わりに国から賃金をもらうことが可能です。ただし年齢ごとに上限金額が決まっています。
申請を忘れずに!被災時に控除される料金まとめ
被災時には、所得税などの税金が控除される制度があります。ですが、そのような制度は知らなければ申請することができません。災害時にはお金が必要になるもの。知らずに損をすることがないよう学んでおきましょう。
災害などで損を受けた場合に助かる雑損控除とは?
「雑損控除」とは、災害などで被害を受けた際に所得税の控除が受けられる制度のこと。
確定申告の際に申告することで、雑損控除を受けることができます。
控除額は、以下の2つの金額のうちどちらか多い方です。
- 差引損失額ー総所得金額×10%
- 差引損失額のうち災害関連支出の金額ー5万円
住宅や家財に被害があった際に所得税が減免される災害減免法とは?
「災害減免法」とは、住宅や家財に被害があった際に所得税が減免される制度のこと。
所得税が減免されるための条件は以下の3つ。
- 住宅や家財の被害金額が時価の1/2以上であること
- 年間所得金額が1,000万円以下であること
- 雑損控除を受けていないこと
災害減免法と雑損控除は併用することができません。
年間所得金額 | 所得税が控除される割合 |
---|---|
500万円以下 | 全額免除 |
500万円超え750万円以下 | 1/2軽減 |
750万円超え1,000万円以下 | 1/4軽減 |
被災時に免除・減免・猶予される料金について知りたい!
被災時には、公的年金や保険料、公共料金などに対して、免除・減免・猶予を受けることができます。
- 厚生年金保険料
- 国民年金保険料
- 社会保険料
- 国民健康保険料
- 電気、水道、ガス、電話料金などの公共料金
お金が必要になる災害時のために学んでおこう
被害を受けた住宅を再建するためにお金が借りられる貸付制度や一時的な失業状態でも失業保険が受けられる特例もあるもの。また、所得税や公共料金が減免される制度もあります。
これらの制度は知っていなければ受けることができないもの。いざというときのために被災時に役立つお金の情報について覚えておきましょう。