住宅ローン控除

住宅ローン控除(減税)とは?その仕組を理解して上手に利用しよう

住宅ローンを組むと「住宅ローン控除」の申請が可能になります。さまざまな控除制度の中でも、住宅ローン控除は控除額の大きな制度ですので、ぜひとも利用したいところです。

しかし住宅ローン控除の仕組みを理解していないと、損をしてしまう可能性があります。このページでは、住宅ローン控除を受けるための条件や、申請方法など、住宅ローン控除の基本について解説していきます。

そもそも住宅ローン控除って何?

「住宅ローン控除」は、住宅の購入などでローンを組んだ時に利用できる控除制度です。

ローン契約をした次の年に確定申告をおこなうことにより、所得税からの還付金を受け取ることができます。また、所得税で引ききれない控除額の一部は、住民税からも控除されます。

ただし、住宅ローン控除は「減税制度」ですので、払った税額以上の還付金を受けることはできません。

住宅ローン控除でもらえる還付金は、いくらくらいになるんですかのう?
その年のローン残高の1%が還付されます。ただ、どんなにローン残高が高額でも、40万円が控除の上限になります。
ローンの1%ということは、3000万円のローン残高なら、30万円もらえるわけじゃな。たしかに高額じゃが、ローンの額と比べるとちょっと寂しい気もしますな。……ほほ、贅沢ですかの。
いえ、住宅ローン控除は1回限りではないんです。10年間に渡って、還付金を受け取ることができます。ですから、総額はかなりのものになるはずですよ。

住宅ローン控除を受けるための条件とは?

住宅ローン控除は、ローンを組んだだけで自動的に減税してくれるわけではありません。自分で控除申請をする必要があります。

また、住宅ローン控除を受けるためには、以下の5つの条件を満たさなくてはいけません。

  • 所得が3000万円以下で、なおかつ還付されるだけの所得税・住民税を納めている。
  • 自宅として購入した物件であり、実際に居住している。
  • 10年以上の期間のローンを組んでいる。
  • 銀行などの金融機関でローンを組んでいる。
  • 50平方メートル以上の広さの家である。

住宅ローン控除に必要な条件については、コチラでさらに詳しく解説しています。

住宅ローン控除はどうやって申請するの?

住宅ローン控除は、確定申告と同時におこないます。申告方法には以下の3つがあります。

  • 税務署に行く。
  • 税務署に必要書類を郵送する。
  • e-Taxサービスで、ネットから申告する。

申告に必要なおもな書類は、以下の7つです。

  • 1.確定申告書
  • 2.借入金残高証明書
  • 3.(特定増改築等)住宅借入金等特別控除額の計算明細書
  • 4.建物・土地の登記事項証明書
  • 5.建物・土地の不動産売買契約書(請負契約書)
  • 6.住民票
  • 7.源泉徴収票

住宅ローン控除の申請方法の詳細は、住宅ローン控除申請マニュアル!申請に必要な書類もご紹介で説明してあります。

2年目以降の住宅ローン控除は年末調整で可能!

確定申告で住宅ローン控除の申請をするのは面倒ですが、条件さえ満たせば年末調整で申請をすることも可能です。必要な条件は以下の2つです。

  • 給与所得者であること。
  • 控除を受けるのが2回目以降であること。
つまり、年末調整でやれるのはサラリーマンだけで、オイラみたいな自営業は毎年確定申告で申請しなくちゃいけないわけですか。
残念ながら、その通りです。でも個人事業主も、2年目以降の申請はだいぶ楽になりますよ。必要書類がグッと減りますから。

年末調整で申請する場合、以下の2つの書類が必要となります。

  • 給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書。
  • 住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書。

「給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書」は、最初の控除申請をした年の10月ごろに、税務署から送られてきます。

「住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書」は、ローンを組んだ金融機関から、10月ごろに送られてきます。

2年目の住宅ローン控除についてはコチラで詳しく説明してあります。

住宅ローン控除の還付金の振込時期はいつ?

住宅ローン控除の還付金が銀行口座に振り込まれる時期は、どのような方法で控除申請をしたかによって変わります。

税務署に直接行くか、郵送するかの方法で申請した場合、振り込みに少し時間がかかります。申請してから「1ヶ月から1ヶ月半後」というのが、平均的な振込時期となります。

e-Taxによってネット上で申請した場合は、振り込みが早くなります。申請後、「2週間~3週間」で還付金が振り込まれるのが普通です。

どうして申請で、こんなに振込時期が違うのかしら?
ポイントは「書類」か「データ」かという点ですね。実際に書類があると、どうしてもその処理に手間がかかってしまうんです。

もっと詳しく住宅ローン控除の還付金の振込時期について知りたい方は、住宅ローン控除で還付金が戻るのはいつ頃になる?も参考にしてみてください。

リフォームの場合も住宅ローン控除は受けられる?

住宅ローン控除は、家を購入したときだけでなく、リフォームをしたときにも利用可能です。ただし、以下の7つの条件を満たしていなければいけません。

  • 自宅であること。
  • 大規模な改修であること。または省エネ改修などであること。
  • その年の所得が3000万円以下であること。
  • 増改築後の家の床面積が50平方メートル以上であること。
  • 工事費用が100万円以上であること。
  • 10年以上のローンを組んでいること。
  • 前後5年の間に軽減税率の特例などを受けていないこと。

しかしリフォームの場合は、住宅ローン控除以外に「ローン型減税」「投資型減税」といった減税制度も用意されています。

ローン型減税は、5年以上のローンで利用可能で、控除期間も5年間となっています。住宅ローン控除を受けられるほどの大規模なリフォームではないときに利用するのが良いでしょう。

投資型減税は、ローンが不要な減税措置です。控除されるのは1回だけですが、控除対象になる費用の10%が減税されます。

リフォームで10年以上のローンを組むのもアレだし、他の減税制度を利用したほうが良さそうですね。
小規模なリフォームなら、その方が適しているかもしれませんね。ただ、それらを利用するには「省エネ性能」や「耐震性能」などで、一定の基準をクリアしていないといけないんです。

リフォーム時に、住宅ローン控除、ローン型減税、投資型減税のどれを選ぶと得なのか、それぞれを組み合わせる事ができるのか、などの情報は特集記事に掲載されております。

住宅ローン控除の申請を忘れてしまったら?

すでにローン契約を終わらせてしまったという人でも、住宅ローン控除を受けられる可能性があります。

住宅ローン控除の申請は、「5年前」まで遡っておこなうことが可能です。このとき、控除申請を忘れた期間分の確定申告を一度におこなうことになります。

住宅ローン控除の申告を忘れてしまった場合の対処法は、住宅ローン控除を忘れて確定申告してなかった場合はどうするの?にまとめてあります。

夫婦で連帯債務やペアローンを組む場合の住宅ローン控除はどうなる?

共働きの夫婦でローンを組む場合、以下の4つのパターンが考えられます。

  • 夫が単独でローンを組む。
  • 夫が主債務者だが、妻が「連帯保証人」になり収入合算する。
  • 夫が主債務者だが、妻が「連帯債務者」になりローンを組む。
  • 夫と妻でペアローンを組む。

単独ローンと連帯保証型のローンの場合は、夫の税金が控除される通常の住宅ローン控除になります。

連帯債務型かペアローンにした場合は、夫だけではなく妻の税金からも控除を受けられます。

どの方法を選ぶのが得になるのかは、コチラで解説していますので、よろしければそちらも確認してみてください。

住宅ローン控除はふるさと納税と併用可能!

ふるさと納税は、自治体に寄付した金額に応じて、税金から控除を受けられる制度です。基本的に、住宅ローン控除とふるさと納税による控除は両立可能です。

住宅ローン控除は所得税からの減税がメインで、ふるさと納税は住民税からの減税がメインです。それぞれの控除対象が異なるため、無駄なく併用が可能になっているわけです。

ただし、住宅ローン控除を限界まで使い切っている場合や、住宅ローン控除の控除額よりも納めている税金が少ない場合は注意が必要です。ふるさと納税との併用により、控除額が減ってしまうケースがありえます。

ふるさと納税をすれば、それだけで勝手に減税してくれるのかしら?
いえ、住宅ローン控除の場合と同じく自己申告が必要になります。申請は、確定申告かワンストップ特例制度のどちらかでおこないます。

ふるさと納税と住宅ローン控除の関係を詳しく知りたい方は、ふるさと納税と住宅ローン控除は併用可能?も役に立つと思います。

住宅ローン控除を賢く使ってローン負担を抑えよう!

住宅ローン控除は自己申告が必要な制度ですので、住宅ローンを組んだ際には、確実に利用したいところです。住宅ローン控除の減税効果により、ローンの負担が大きく軽減されます。

住宅ローン控除を利用する時、ペアローンや、ふるさと納税などを使用することにより、よりメリットを増やせる可能性があります。こうしたものもうまく使って、自分に合った最良の方法を見つけましょう。

監修者メッセージ

住宅ローン控除は借入残高の1%相当額が税額から控除されるのですが、1%は住宅ローンの金利とあまり変わりません。

つまり10年間は無利息で借入している状態といえるのです。

変動金利で借りている場合は金利以上の控除額になるでしょう。低金利で所得控除も受けられる、住宅取得するにはすごく恵まれた環境が現代です。

プロフィール
不動産売却カテゴリー記事監修(弘中純一)
弘中 純一
宅地建物取引士、一級建築士の資格を保有。
中古住宅・中古アパートの媒介業務・調査業務に従事し、現在は札幌市内の宅建業者にて専任の取引士を務めている。
2006年より、住宅に関する無料の相談サイトを開設し、住宅リフォームや中古住宅購入の相談に応じている。

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