住宅ローン控除
住宅ローン控除を忘れて確定申告してなかった場合はどうするの?

住宅ローン控除を忘れて確定申告してなかった場合はどうするの?

日本には数多くの生活支援制度がありますが、その多くは自動でやってくれるものではなく、自己申告が必要です。

住宅ローン控除も自己申告が必要な制度の一つです。そのため、つい申請を忘れてしまったという人もいるでしょう。あるいは住宅ローンの控除制度を知ったのが、家を買った数年後だったという人もいるかもしれません。

このページでは、住宅ローン控除の申請をしなかった場合にどうなるのか、申請忘れに気づいた時どのような手続きをおこなうべきなのか、について説明していきます。

住宅ローン控除の手続きをしなかった場合

たとえ住宅ローン控除の申請をしなくても、お金を取られたり、余計に税金がかかったりするわけではありません。しかし本来は貰えるはずだった還付金を貰えなくなるため、還付金の分だけ損をしてしまいます。

家を買って住宅ローンを組んだ時、役所から住宅ローン控除についての案内が来たりしないのかしら?
残念ながら、そういったフォローはありません。個別に控除制度のガイドをすると、かなりの費用と人手がかかってしまいますから難しいのでしょうね。一応、国税庁ホームページなどでは、控除制度の案内もされているのですが……。
ふつう、なにか困ったときしか、そういうの見に行かないわよねえ。
そうですね。実際に、住宅ローン控除に限らず、国の支援制度を知らずに損をしてしまっている人が多くいるのが、現状なんです。

住宅ローン控除の還付申告は後からでも可能

住宅ローン控除の申請を忘れてしまったからといって、諦める必要はありません。

住宅ローン控除の申請は、確定申告期間が過ぎてからでも可能です。

どのように申告をすればよいのかは、以下のどの条件あてはまるかによって異なります。

  • 一度も住宅ローン控除の申請をしていない。
  • 個人事業主である。
  • 給与所得者でなおかつ2度目以降の申請である。

一度も住宅ローン控除申請をしていなかった場合

一度も住宅ローン控除の申請をしていない場合は、必ず確定申告をしなければいけません。この申請は、確定申告の期間である3月15日を過ぎていてもおこなえます。

確定申告に必要な書類は、「確定申告所」「借入金残高証明書」「特別控除額の計算明細書」「登記事項証明書」「不動産売買契約書」「住民票」「源泉徴収票」などです。

住宅ローン控除申請についての詳しい情報は「住宅ローン控除申請マニュアル:申請に必要な書類は?」のページに載せてありますので、よろしければそちらを参考にしてみてください。

注意したいのが、ローン契約をしてから年数が経っている場合です。たとえば3年経ってから住宅ローン控除申請をする場合なら、3年分の書類を集めて、3年分一度に確定申告しなければいけません。

個人事業主の場合

個人事業主の場合は、確定申告の「更生請求」をする事になります。

「更正請求」とは、税金を払いすぎていた場合や、還付金を少なく申告してしまった場合におこなうものです。税を過小申告していた場合などにおこなう「修正申告」とは、まったく違う扱いになります。

更正請求をする場合、「所得税及び復興特別所得税の更正の請求書」という書類を税務署で受け取ります。その書類に必要事項を記入し、税務署に提出しましょう。書き込む内容は、確定申告書と大きな違いはありません。

給与所得者で2度目以降の申請の場合

給与所得者の場合、最初の年だけ確定申告をすれば、あとは年末調整で住宅ローン控除申請をすることが可能です。そのため、住宅ローン控除申請を忘れたとしても、会社に年末調整で申請をしてもらえる可能性があります。

1月のうちに書類を集められた場合、会社にあらためて年末調整をやってもらうことができます。ただし、必ず年末調整で住宅ローン控除申請をしなければいけない、というわけではありません。

気づいた時のが2月以降の場合、もしくは会社に迷惑をかけたくない場合は、自分で確定申告をする事になります。また、年末調整でやってもらえるのはその年の分の申請だけですので、何年か前の控除申請をしたい場合も、自分で還付申告をする事になります。

住宅ローン控除の還付申告は何年さかのぼれる?

住宅ローン控除の還付申告は、遡っておこなうことが可能ですが、申告期限があります。その期限は「5年」ですが、給与所得者と個人事業主で微妙に違いがあります。

給与所得者の場合は、申請を忘れた年度の次の年から5年以内です。個人事業主は、法定申告期限から5年以内です。

たとえば会社員の場合、平成30年度分の控除申請を忘れたら、平成35年の12月31日が還付申告の期限となります。

自営業者の場合、平成30年度分の控除申請を忘れたら、平成36年の3月15日が更正請求の期限となります。

手続きの方法と必要な書類はコチラの記事で特集しております。

納税と還付の違い

確定申告は、「納税申告」と「還付申告」という2つの要素を含んでいます。

「納税申告」は、法人や個人が、払うべき税金の額を申告するものです。法人税、所得税、相続税などが一般的なものです。
「還付申告」は、税金を払い過ぎている場合に、その返還を求めるものです。ここで扱っている住宅ローン控除以外にも、多額の医療費を払った時に使える「医療費控除」や、災害などの被害にあった場合に使える「雑損控除」などがあります。

会社員は納税申告が不要なので(会社がやってくれる)、住宅ローン控除を利用する時には還付申告だけをおこなうことになります。自営業者の場合は、納税の確定申告をするついでに還付申告もおこなうことになります。

納税申告と還付申告の違いって、お金を払うか、貰うかということよね。
基本的にはそうですね。ただ、この2つは「誰が利益を得るのか」が違うために、制度にも違いがあるんです。
誰が利益を得るか?どういうことかしら。
納税申告では、国が所得税などの税金という形で利益を得ます。還付申告では、還付金という形で申請者個人が利益を得ます。そのため、納税申告の方が厳しい制度になっているんです。

納税申告とペナルティ

納税申告がされなかったり、実際よりも少なく申告されていると国が損をします。そのため、納税申告が遅れると厳しい罰則を課される事になります。

期限内に納税申告をしないと「無申告加算税」が課されます。これは50万円までの税金で15%、それを超える金額には20%という高い罰金が課される制度です。
税金の納付期限を過ぎると「延滞税」がかかります。この延滞税は、銀行の金利によって上下します。金利が高ければ、延滞税も増加します。最近では延滞2ヶ月までは3%弱、それ以降は9%程度の延滞税がかかっています。金利によっては、最大14.6%まで延滞税が増加します。

納税の場合、時効も長く設定されています。税金にも時効があり、通常で5年、脱税の意思がみられるような悪質な場合でも7年で時効が成立します。

しかし、期限内に戒告や差し押さえなどを税務署がおこなった場合、その時点で期限がリセットされます。そのため現実的には、税金を時効で逃げ切ることはまず無理だと考えて良いでしょう。

還付申告は金額の間違いに要注意

重いペナルティがある納税申告の違反に対して、還付申告にはそういったものはありません。還付申告をしなくても、申請をしなかった人が損をするだけですので、ペナルティを課す必要がないわけです。

申請期限を過ぎていても通常通りに還付金が支払われますので、何年前の住宅ローン控除でも遠慮せずに申告しましょう。ただし前述の通り、5年を超えてしまった分は時効によって還付請求権が消失してしまいます。

還付申告に関して、注意したい点があります。それは還付金の額を間違えてしまった場合です。

還付金が少なかった場合、5年以内に更正の請求をして正しい金額に訂正しなければいけません。期限を過ぎてしまうと時効が成立し、還付金の差額を受け取ることができなくなってしまいます。

もっと問題なのが、還付金を多く受け取ってしまった場合です。この場合は一刻も早く、修正申告で正しい金額に訂正しなければいけません。放置しておくと、貰いすぎた還付金に附帯税がかかり、大きな損をしてしまう可能性があります。

住宅ローン控除申請を忘れても5年以内なら大丈夫!

住宅ローン控除の申請をし忘れたとしても、後から還付金の請求ができます。申告をしていない年数分の書類を用意して、税務署で還付申告を行いましょう。

ただし遡って請求できるのは5年が限度で、それ以上経ってしまったら還付金の請求権利が消失してしまいます。手遅れにならないよう、申告忘れに気づいたら、なるべく早く還付申告をしておくのが良いでしょう。