住宅ローン控除で減税されるために必要な5つの条件とは?
家を買う時には住宅ローンを組むのが一般的ですが、長期ローンは金利の支払いがかなりの負担になります。
しかし、金利支払いを支援してくれる「住宅ローン控除」という制度があります。このページでは、住宅ローン控除でいくらくらい減税されるのか、また控除を受けるためにはどんな条件をクリアしなければいけないのかなどを詳しく解説していきます。
住宅ローン控除とは?なんのために作られた制度なの?
住宅ローン控除は、正式名称を「住宅借入金等特別控除」といいます。またその働きから住宅ローン減税などと呼ばれることもあります。
マイホームを買う場合、普通は銀行で長期のローンを組むことになります。しかし長期ローンでは、支払う金利の額も大きくなってしまいます。
住宅ローンの金利負担をやわらげてマイホームを買いやすくしよう、というのが住宅ローン控除の趣旨となります。
ちなみに住宅ローン控除は国民側だけではなく、国側にもメリットがあります。減税によって家を買う人が増えれば、建設会社や不動産会社、銀行はもちろんとして、家具や家電を扱う会社など幅広い分野に利益がもたらされます。企業が潤えば、その分税収も増えるというわけです。
住宅ローン控除でいくらくらい減税してくれるの?
住宅ローン控除の減税額は、「年末ローン残高の1%」で、控除期間は「10年間」です。
ただし通常は、1年間の控除額は40万円が限度となっています。省エネルギー対策や地震対策、バリアフリーなどを実施している「認定長期優良住宅」の場合、最大控除額が50万円になります。また、消費税率が10%になった場合も上限が50万円になります。
ローン残高に比例して控除額が決まるので、ローンの繰り上げ返済をする場合は注意が必要です。ローン残高を一気に減らすと、結果として損をしてしまう可能性があります。
繰り上げ返済をする前に、繰り上げ返済で減る金利支払いと、繰り上げ返済をしなかった場合に受けられる控除額を比べて、どちらの金額が多いか確かめたほうが良いでしょう。
また、年間控除額は最大40万円ですが、実はコレを使い切れるほど納税している人はそう多くありません。
例えば年収400万円の会社員で所得税額は10万円弱、年収600万円で20万円ほど、年収800万円でようやく所得税額が40万円を超えます。しかもこの所得税額は独身の場合ですので、配偶者や扶養家族がいるとさらに減額されます。
しかし住宅ローン控除額が所得税額を超えてしまった場合でも、残った控除額は住民税の控除に使えます。
ただし住民税から控除できる上限は13万6500円となっています。これより多く控除額が残っていたとしても、それは無効になってしまいます。
住宅ローン控除を受けるための5つの条件
いくつかの条件を満たさなくては、住宅ローン控除を受けられません。その条件とは、「所得」「使用法」「借入期間」「借入先」「家の広さ」の5つです。
所得が少なすぎても多すぎてもダメ
まず収入が無い、もしくは収入が少なくて所得税がかからない人は、住宅ローン控除の対象になりません。
逆に所得が多すぎる人も、控除対象外となります。なぜなら住宅ローン控除は生活支援制度ですので、高額所得者には援助の必要が無いと考えられているためです。具体的には、所得3000万円以上の人は控除を受けられません。
ただし、所得の判定は毎年おこなえます。仮にローン契約時に所得が3000万円以上あったとしても、次の年に所得3000万円以下になっていれば、その年の控除は受けることが可能です。
自分が住んでいないとダメ
住宅ローン控除は、マイホームの購入を支援するという制度です。そのため、控除を受ける人がその家に住んでいる必要があります。
家を引き渡されてから6ヶ月以内に居住し、なおかつ12月31日まで住み続けていないと控除が受けられません。
買った家を賃貸する場合や、値上がり期待の投資目的で家を購入した場合などでは控除は受けられません。
また注意点が一つあります。自分が住んでいたとしても、使用目的が居住用じゃない場合は控除が受けられません。例えば自営業をしていて、買った家を店舗として利用していると控除を受けられないという事です。
ただし、床面積の半分以上を居住スペースにしている場合は、残りの空間を店舗や事務所として利用していてもかまいません。
ローンの借入期間が10年未満だとダメ
長期ローンの金利負担を和らげるという目的のため、借入期間が短いと控除が受けられません。控除対象になるのは、「10年以上のローン」の場合です。
借入先が親戚だとダメ
住宅ローン控除を受けられるのは、基本的に銀行などの金融機関でローンを組んだ場合となります。家族や友人から個人的に借り入れした場合は、控除対象となりません。
例外として、自分が勤めている会社からお金を借りたケースでは控除を受けられます。ただしこの場合も2つ条件があります。まず、その会社の役員になっていると控除対象になりません。また、会社が受け取る金利の利率が0.2%未満の場合も控除対象外となります。
家の広さが50平方メートル以上必要:マンションは要注意
住宅ローン控除を受けるには、住宅の延べ床面積が50平方メートル以上なくてはいけません。床面積とは、建物が立っている空間の面積を言いますので、庭などは含まれません。2階建ての場合は、1階と2階の面積を合計したものが50平方メートル以上なら大丈夫です。
この床面積は、登記簿上の床面積を参照します。不動産登記法では、戸建ての場合、壁芯面積で記載し、マンションの場合は、内法面積で記載することになっています。
つまり内法面積だと、壁芯面積よりも、壁の厚さの分だけ狭くなるというわけです。
マンション販売のパンフレットなどでは、部屋を広く見せるために壁芯面積の数値を載せている事があります。そのため、50平方メートル以上だから大丈夫と安心していても、実は内法面積では50平方メートルを切っているケースがあります。
マンションで住宅ローン控除を受ける場合は、事前に床面積のチェックする必要があるでしょう。
住宅ローン控除を申請したい方はコチラへ。手順や必要な書類を解説しております。
中古物件では住宅ローン控除を受けるのに築年数が追加条件になる
中古物件を購入した場合、通常の条件に加えて、追加の条件も満たす必要があります。
戸建ての場合、築年数が20年以内であることが条件になります。マンションの場合は築25年以内が条件になります。それ以上古い建物は控除対象外です。
ここで言うマンションとは、耐火能力がある建物のことを指しています。集合住宅であっても、軽量鉄骨造で作られているものや木造のものは、戸建てと同じ築20年以内が基準になります。
ただし、以下の条件のどれか一つを満たしている建物なら、築年数が20年(マンションなら25年)を超えていても控除対象になります。
- 取得の2年以内に耐震基準適合証明書を得ている。
- 取得の2年以内の建設住宅性能評価書の耐震等級が1級か2級か3級。
- 取得の2年以内に既存住宅売買瑕疵担保責任保険契約が締結してある。
- 取得日までに耐震改修の申請をし、居住日までに耐震改修を完了させる。
住宅ローン控除を利用すれば支出を抑えられる
購入した家を居住用に使う事、50平方メートル以上の広さの家を買うことなどが主な条件です。また、耐震基準さえクリアしていれば、中古住宅を購入した場合でも住宅ローン控除を使用することが可能です。
平成12年5月以前の住宅は築20年を超えるため住宅ローン控除を受けるには「耐震基準適合証明書」が必要です。
しかしかなりの確率で耐震補強工事が必要と判定されます。
築20年を超える中古住宅は、既存住宅売買瑕疵担保責任保険を付保した物件か、居住日までに耐震改修を完了させる方法が望ましいでしょう。
中古住宅・中古アパートの媒介業務・調査業務に従事し、現在は札幌市内の宅建業者にて専任の取引士を務めている。
2006年より、住宅に関する無料の相談サイトを開設し、住宅リフォームや中古住宅購入の相談に応じている。