ETF投資入門
日銀がETFを買い入れる理由とは?影響や効果を投資に活かす方法

日銀がETFを買い入れる理由とは?影響や効果を投資に活かす方法

ETFを購入する投資家は個人だけではありません。資金力のある大口の機関投資家もETFを購入しています。そのような大口の機関投資家の中には「日銀」も含まれます。

資金力のある大口の機関投資家がETFを購入するとその結果として価格が高騰しやすく、日銀ほどの資金力のある機関ならばその効果は絶大。

ここ数年、日銀がETFを大量に購入しています。その結果、買い入れ対象になっているETFや、それに関連している日本株の価格が急激に値上がりしているのです。

今回は日銀がETFを購入する理由とその効果、そして投資の活かし方などを紹介します。

日本の中央銀行「日銀」とは?

日銀とは
日本銀行のことで、日本の中央銀行です。政府から独立している機関で、その役割は物価と金融システムを安定化させることにあります。

日本の全金融組織の中心的な存在であり、日本銀行法に基づいて設立されました。

物価や国民経済を安定化させるために、日銀は政策金利や公開市場、支払準備率などを操作するための金融政策を実施します。

さらには、銀行間同士の取引の決済をするという機能も持っており、日銀とはいわば銀行のための銀行なのです。

そして2013年、日銀は量的質的金融緩和を名目に本格的にETFの買い入れを始めました。

その影響もあってか、2013年より多くのETFの銘柄の価格が上昇しています。日銀がETFを買い入れている限り、今後も価格が上昇する可能性はとても高く、そのような背景もあってかETFは今、多くの投資家から注目されている金融商品なんです。

日銀がETFを買ってくれるおかげで価格が上昇するなら、こっちも安心してETFを買えますね。
ただしETFといってもすべての銘柄が値上がりしているわけではありません。日銀の買い入れの影響を受ける銘柄、そうでない銘柄があります。

日銀がETFを購入する理由は2%の物価上昇を達成するため

日銀がETFを購入する理由は、2%の物価上昇という目的を達成するためです。

物価の安定と経済の健全な発展を理念に掲げている日銀は、長年にわたって続いているデフレを解決するためにも、2013年より量的質的金融緩和のための施策をスタートさせました。

あくまで物価の上昇を目的にしているため、ETFだけでなく、国債の買い入れもこの時期に拡大しました。

その成果もあってか、2018年には日銀は上場投資信託の保有残高が24兆円にまで達し、主要な上場企業の大株主になれたほどです。

目的はともかく、ETFを大量に買い入れてくれるのは嬉しいですね。日銀がETFや株価を買い支えている限り、安心してETFを買えそう。
ただ将来も買い支えてくれるとは限りません。日銀が買い支えを止めた時、失望感から価格が落ちるリスクがあります。ETFを購入する際には、日銀の動向をよく見ておきましょう。

日銀による金融政策の一つ、金融緩和とは?

金融緩和をキッカケに日銀のETFの買い入れが始まったわけなのですが、そもそも金融緩和とは一体何なのでしょうか?

金融緩和とは
日銀による金融政策の一つで、その目的は景気の底上げです。

金融緩和の施策の中には、ETFの買い入れの他に、国債の買い上げや、政策金利の引き下げなどがあります。これらの施策を実施することで、景気の底上げを実現することになります。

日本の場合、金融緩和をするといっても、既に政策金利は0%も同然で、これ以上下げる余地がありません。そうなると、金利を下げることで通貨の供給量を増やすという施策が使えません。

そのような事情もあってか、2013年の金融緩和の導入の際には、政策金利を下げるという施策だけでなく、さらには金融資産を大量に買い入れるという異次元の金融緩和が行われました。

日銀のETF保有残高は時価で約24兆円と言われている

2013年よりスタートした異次元の金融緩和により、日銀は大量のETFを買い入れることになりました。

日銀のETF保有残高は、2018年3月末の情報によると、時価で約24兆円になるとのことです。

だいたい1年で6兆円ものETFを新たに買い入れるペースとなります。たとえ大口の機関投資家であっても、ここまで大規模な買い入れはできないでしょう。現在のETFや株価の価格は、日銀が買い支えているといっても過言ではない状況になっています。

当初の計画では、1年に1兆円買い入れる予定だったようですが、未だ目標の2%の物価上昇に届いていないということもあってか、時間の経過とともに段階的に購入額が増えているようです。

今後も段階的に購入額が増えていけば、日銀のETF保有残高もさらに増えていくことでしょう。

日銀がETFを買い入れるとETFの価格上昇し、下落が抑制される

日銀がETFを買い入れる効果は、ETFの価格上昇と下落抑制です。

日銀が大量にETFを購入することで、買い入れ対象の銘柄の価格は大きく高騰します。日銀が買い入れるという情報が市場に伝わることで、期待感が高まり、さらなる買い入れが呼び込まれるのです。

日銀が買い支えているという安心感がプラスに働くことで、ETFを購入する人は今後ますます増えていくことでしょう。

日銀が買い入れる主な銘柄はTOPIX型ETF

日銀の主な購入対象は、TOPIX型ETF。必ずしもTOPIX型ETFだけを購入するというわけではないのですが、政策決定会合で対象になりやすい銘柄です。

ほかに買い入れ対象になりやすい銘柄というと、日経平均型ETFやJPX400などがあります。

日銀のETFの買い入れは個人の投資にも影響を及ぼす

日銀がETFを買い入れる影響は個人投資家にも及びます。日銀がTOPIX型ETFを大量に購入すれば、その銘柄だけでなく、関連している株価も値上がりするからです。

そうなれば購入対象となっているETFを保有している投資家はもちろん、値上がりが見込める株を保有している投資家も、値上がりした分だけ利益を得ることができます。

それも日銀という豊富な資金を持つ大口の機関投資家が大量に購入するわけですから、通常よりも値上がり率の高い上昇相場に乗ることができるでしょう。

日銀のETFの買い入れは、個人投資家にとって、大儲けができるチャンスでもあるのです。

実際日銀がETFを買い入れることでどのくらい値上がりしたのですか?
そうですね。例えばTOPIX連動型上場投資信託の場合、2013年から2018年にかけて、1000円未満から1500円以上まで価格が上昇しました。

日銀の買い入れ時間は13時15分頃と言われている

上昇トレンドで勝つためのコツは押し目買いです。上昇している時に買うのではなく、一旦落ちて、価格が安くなった頃合いが買い時となります。

日銀の買い入れ時間を知っておけばETFの押し目買いがやりやすくなることでしょうが、そのタイミングを予測することはなかなか難しいです。

日銀がどのような条件をもってしてETFを買い入れているのかは定かではありません。ただ、数値が前日終値比でマイナスになっている時に購入されることが多いので、前日終値比に注目すると良いかもしれません。

この前提を踏まえた上で、日銀が買い入れる時間帯はだいたい13時15分頃に購入するとされています。

日銀がいつまでETFを買い入れ続けるのかはわからない

2018年8月の情報によると日銀は今後のETFの買い入れについて、方法を見直すとのことです。当初目標にしていた物価上昇について、今のところ思ったような成果が出ていないためか、日銀は今後もETFの購入を拡大させていくかもしれません。

残念ながらいつまで買い入れ続けるのかは現状では不明となります。

日銀の金融緩和政策とETFの買い入れに注目!

2013年頃よりスタートした日銀の異次元の金融緩和により、購入対象となったETFはもちろん、日本株の価格がここ数年で急激に上昇しています。

ただし買い入れがいつ行われるか、いつやめるかはわかりません。

日銀の金融緩和政策に注目しながら、日頃からチャートを確認し運用することをおすすめします。