住宅ローンの借り換えには手数料が必要。諸費用も借りるのはアリ?
住宅ローンの借り換えでは、諸費用がかかるのをご存知でしょうか?そう、物件購入時に組んだ住宅ローンのときにも必要でしたが、もちろん住宅ローンを借り換える場合でも諸費用は必要となるもの。
住宅ローンの借り換え先を検討する際には金利に注目しますよね?しかし、金融機関によっては保証料や融資事務手数料といった諸費用にも意外に差が出てきます。
住宅ローンの借り換えで差が出るのは、こういった諸費用なのです。
今回はそんな住宅ローンの借り換えで必要となる諸費用について詳しい内訳を解説するとともに、
- 節約できるポイント
- 諸費用ローンを組むべきか?
についてもあわせてご紹介します。
諸費用の内訳を解説!住宅ローンの借り換えで必要な手数料の目安額
住宅ローンの借り換えでは、どの金融機関から借りても必ず諸費用がかかります。そこで、住宅ローンの借り換えで必要となる諸費用とその目安額についてご紹介します。
住宅ローンの借り換えでも必要となる「諸費用」とは?
現在借りている住宅ローンの融資を受けたときのことを思い出してみてください。保証料や事務手数料に登記費用などさまざまな諸費用がかかったはず。諸費用がかかるという点では、住宅ローンの借り換えも例外ではありません。
なぜなら住宅ローンの借り換えというのは、別の金融機関から新たにローンを借りることになるからです。
住宅ローンとは、自宅を担保に融資を受ける仕組みのこと。つまり、住宅ローンを借り換えるということは新たにローンを組むということになります。
ローンを新たに組むということは、金融機関の指定する保証会社に保証料を支払わないとなりませんね?その場合は保証料がかかります。また、事務手数料や抵当権の抹消登記・設定登記に司法書士への報酬など融資実行までに必要となる手数料もあります。
したがって、住宅ローンを借り換える際には諸費用もあわせて計算するようにしましょう。
住宅ローンの借り換えを検討する前に、現在の借り入れ先との金利交渉をしてみるのがおすすめ。金利交渉というのは、その名の通り現在借りている金利から引き下げてもらえないか交渉することです。
この交渉に成功すれば、住宅ローンを借り換えなくても金利引き下げの恩恵を受けられる上、諸費用もそこまでかかりません。(ただし金利変更手数料が必要となる金融機関もあります。)
住宅ローンの借り換えで必要となる諸費用と目安額とは?
それでは、実際に住宅ローンの借り換えで必要となる諸費用の各項目とその目安となる金額についてご紹介しましょう。
保証料 | 保証会社に支払う保証料。借入額の数%が相場で、金利上乗せ(内枠方式)の場合は+0.2%となる場合も。 |
---|---|
事務手数料 | 金融機関に支払う事務手数料。借入額の2%ほどの定率型と、3万円〜6万円ほどの定額型がある。 |
違約金 | 住宅ローンを解約するときにかかる違約金。全額繰り上げ返済手数料のこと。0円〜約5万円程度。 |
登記関連費用 | 登記を依頼する司法書士への報酬。相場は3万円~8万円程度 |
抵当権の登記費用 | 抵当権設定登記として借入額×0.4%。抵当権抹消登記は1不動産につき1,000円。 |
印紙税 | 金銭消費貸借契約にかかる印紙代。1万円〜6万円程度。 |
なお、抵当権設定登記費用には軽減税率が適用される場合があります。
諸費用を節約する2つのポイントとは?借り換え手数料を抑えよう
住宅ローンの返済額を下げたいと思って借り換えをしようとしている方も多いはず。そこで、住宅ローンの諸費用を節約する2つのポイントをご紹介します。
節約ポイント1:保証料は節約可能か?
保証料を支払う方法は2パターンあります。
外枠方式 | 一括前払いで支払う。 |
---|---|
内枠方式 | 金利に上乗せして支払う。金利が+0.2%となる場合がある。 |
金融機関によっては選べない場合もありますし、保証料を0円とする金融機関も存在します。そして、たいてい保証料が低ければ事務手数料が高い傾向があるのです。
つまり、保証料が低くても諸費用の節約に必ずしもならないということ。
したがって、必要となる諸費用の総額は必ず計算するようにしましょう。
節約ポイント2:事務手数料は節約可能か?
金融機関から融資を受ける際に必要となる手数料、それが事務手数料です。この事務手数料も金融機関によって金額の差が出てくるところ。
つまり、事務手数料の低い金融機関を選べば節約につながります。
ちなみに事務手数料には、以下のような2パターンがあります。
定率型 | 借入額に定率を掛けて算出。相場は2.16%が多いが、2019年10月1日から2.20%の銀行が多くなる。 |
---|---|
定額型 | 相場は3〜6万円であるが、定率型よりも金利が0.1〜0.3%ほど高く設定されていることが多い。 |
借り換え際の金融機関によって、どちらを採用しているか異なるので計算をする際には注意してください。
また保証料のところでもお伝えしたように、事務手数料「だけ」が安くて保証料など他の手数料は高い、という場合もありえるので事前の計算は必要です。
特にネット銀行によくある傾向として、金利が低いけれど事務手数料が高いということがあります。ついつい金利の低さに魅かれてネット銀行を選んでしまいますが、必ず諸費用も含めた金額でお得になるかどうかを計算するようにしてください。
諸費用を節約できるか?ポイント【まとめ】
住宅ローンの借り換え先を決めるポイントは金利だけではありません。保証料や事務手数料がなるべく低い金融機関を選ぶことが諸費用の節約につながります。
借り換え諸費用は現金派orローン派?どちらがお得か計算してみました
住宅ローンの借り換えで必要となる諸費用。上手く節約できれば、総額を抑えることは可能であることがわかりました。
さて、諸費用を用意する方法として以下の3つがあります。
- 諸費用は現金で支払うべきなのか?
- ローンに上乗せできるのか?
- 諸費用ローンを組むとどうなるのか?
どの払い方が一番お得になるか計算してみました。
方法1:諸費用は現金で支払う
住宅ローンの借り換えで必要となる諸費用は現金で支払う方法。
この方法が無駄な利息を払うことなく一番お得になります。
試しに「方法2:諸費用をローンに上乗せする方法」と総返済額を比較してみました。
条件:2,000万円の返済残高・金利は1.0%・返済期間25年・諸費用は100万円とする。
現金で支払い | ローンに上乗せ | 差額 |
---|---|---|
23,612,189円(22,612,189円+諸費用1,000,000円) | 23,742,806円 | 130,617円 |
ということで、諸費用は現金で支払う方が約13万円お得になることがわかりました。
方法2:諸費用はローンに上乗せして支払う
現金で支払う方がお得といっても、諸費用を現金で用意できない場合が住宅ローンの借り換えはあきらめないといけないのでしょうか?
実は諸費用も住宅ローンとまとめて借りるという方法もあるのです。諸費用も上乗せして借り換える場合、以下のチェック項目に該当するか調べてみましょう。
- 返済残高が少ない
- 借り換え先の金融機関が諸費用を上乗せOKである
返済残高が少ない状態だと、諸費用分を上乗せして借りてもそこまで返済額は増えることはないので安心です。反対にまだ返済額が残っている状態で諸費用を上乗せすると、その分利息が増えて返済額も多くなってしまいます。
また、金融機関側が諸費用上乗せOKか?もポイント。例えばイオン銀行やじぶん銀行では、住宅ローンの借り換える場合に諸費用を上乗せして借りることできると明記されています。このように、諸費用も一緒に借りてしまいたい人は諸費用も上乗せして借りることが可能な金融機関を探すようにしましょう。
方法3:借り換えする住宅ローンとは別に諸費用ローンを組む
最後にご紹介する方法は、諸費用ローンを利用するやり方です。
諸費用も一緒にローンを組む場合。方法2のように住宅ローンの返済残高とまとめて借り入れることができれば良いのですが、この方法が不可能な場合もあります。そういった場合は諸費用ローンを利用するという手もあるのです。
しかし、諸費用ローンの金利は約4%のものが多く、住宅ローンの金利よりも割高となります。
諸費用ローンを利用する場合は金利に注意するようにしましょう。
お得に借り換えるには諸費用にあり!手数料を抑えて賢く借り換えよう
住宅ローンの借り換えによって返済額を節約したいと考えているなら、諸費用にもこだわって借り換え先を選ぶようにしたいですね。金融機関を選ぶ際には、目先の金利だけにとらわれず諸費用も含めた総額で計算するようにしましょう。
借り換えの際にネックになる諸費用ですが、新しい借入先をじっくり比較検討することで、上手に出費を抑えることは可能です。
借り換えよりも金利交渉の方が金銭的・時間的負担は少ないということもまた事実ですし、じっくり考えて自分にとってベストな方法を選びましょう。
4年ほど専任の宅建士として不動産業者に勤務し、現在はマンション管理士・消防設備士として独立。
宅建士としての知識や立場を活かし、不動産売買時の疑問点などの相談を受けている。