審査の条件に気をつけよう!住宅ローンの借り換えができない場合とは
日銀のマイナス金利政策によって、住宅ローンの金利は低金利が続いている日本。特にマイナス金利が適用される前に住宅ローンを借りた人ならば、今住宅ローンを借り換えるとお得になるケースもあります。
しかし、住宅ローンの借り換えと言っても審査は新規借り入れの場合と同じ。例えば転職などにより、勤続年数が少なかったり年収がダウンしたりしている方もいるでしょう。そのような場合、住宅ローンの借り換えの審査は厳しいことも考えられるのです。
そこで今回は、住宅ローンの借り換え時の審査で気をつけるべきポイントを解説します。
新規借り入れの時と何が違う?住宅ローンの借り換え審査で落ちる場合
- 新規で借り入れる時
- 住宅ローンを借り換える時
どちらも同じように「住宅ローンを借りる」ことには違いありません。
しかし新規でローンを組んだときは問題なかったのに、住宅ローンの借り換え審査では落ちてしまうこともあります。
一体何が違うのでしょうか?「新規」と「借り換え」この2つの状況を比較してみましょう。
物件の担保評価より住宅ローンの残高が上回る?条件がピンチに!
まず考えられるのが新規で借りる場合と比べて、借り換えのときには住宅の資産価値が下がっていることです。
新築住宅でも買ったその日から中古物件になります。つまり、中古物件になる=市場価格が下がるということですね。
金融機関が住宅ローンを貸し出すとき、契約者が万が一ローンを返せなくなった場合に備えておかなければなりません。もし契約者が返済不能になれば、担保の住宅を競売にかけ資金を回収することになります。そういった理由から住宅ローンを借りるときには住宅を担保に入れるのです。
しかし経過年数や物件の資産価値によっては、この物件の担保評価より住宅ローンの返済残高の方が上回ってしまう可能性も。
このような理由から住宅ローンの借り換え時には条件的にも厳しいものとなるのです。
契約者の条件は厳しく審査されることも
物件の条件の他にも、契約者自身の条件が変わることもあります。
例えば、以下のような項目に当てはまる方は要チェックです!
- ここ数年で転職した・年収が下がった
- 健康状態が悪化し、既往歴※がある
- 車や教育ローンなど他にも借り入れがある
このような条件に当てはまった場合、次のようなケースも有りえます。
- 借り換え審査時に借り入れ枠の上限額が下がる
- 団体信用生命保険に加入できない
- そもそも借り入れを断られる
住宅ローンを借り換える際の審査基準は?条件は新規の場合とほぼ同じ
住宅ローンの借り換えの審査基準は、新規で借り入れるときとほぼ同じです。特に借り換えだからといって基準が変わるということはありませんが、注意する点はあります。1つずつ見ていきましょう。
住宅ローンを借り換える際の審査基準は契約者の条件を重視
住宅ローンを新規で借りる場合も借り換える場合も審査基準はほぼ同じ。
しかし借り換えの場合の方が、契約者の属性などの条件が厳しくチェックされることになります。
というのも先ほども解説したとおり、借り換え時には物件の担保評価が下がっていることが多いもの。銀行側の貸し倒れを防ぐためにもその分契約者の審査基準を厳しくするのです。
審査時の金利は適用金利ではなく審査用の金利である点に注意
住宅ローンの審査時の金利は、適用金利や基準金利、優遇金利でもありません。
金融機関独自に審査用の金利が設定されており、その審査用の金利によって審査されます。
ちなみに、審査時の返済負担率は35~40%以下であることが求められますが、これはかなり高めの金額で融資を受ける際ににも審査を通過することになります。
返済負担率とは、年収に占めるローン返済額の割合のこと。
年間返済額÷年収×100=返済負担率(%)で表します。
意外と盲点?健康状態が悪化していると団信に加入できないワナ
団体信用生命、略して団信と呼んでいますが、加入者に万が一のことがあった場合に、残りの住宅ローン全額が弁済される保険のこと。
民間の金融機関に住宅ローンを借りようとすると団信への加入が必須となります。
物件を購入したときには健康状態に問題はなかったものの、年齢が上がると健康リスクも上がりますよね。住宅ローンを借り換えようとなったとき、すでに既往歴があったりすると、住宅ローンの借り換え先で団信への加入が断られる場合があります。
団信へ加入できないとなると、当然住宅ローンを借りることができません。
収入も上がっているから問題ないし、他のローンもないから借り換えはできると思っていても審査が通らないというワナがあるのです。
もし団信への加入を断られてしまった場合、次の2つの方法があります。
- ワイド団信へ加入する
- 団信へ加入しなくてもOKなフラット35を利用する
1のワイド団信とは、「引き受け条件緩和型団体信用生命保険」とも言い、その名の示す通り通常の団信よりも加入条件が緩和されています。たとえば、現段階で高血圧症・糖尿病・肝炎などを患っていても加入することができますが、通常の金利に0.3%ほど上乗せされる場合があります。
それでも借り換えた方がトータルでお得になるケースもありますので、ワイド団信への加入の検討は有効です。
2のフラット35を利用するというパターン。フラット35では団信なしで加入することも可能です。団信がないと住宅ローンの債務が遺族に引き継がれてしまうというデメリットもあるので気をつけてくださいね。
審査期間は平均2~3週間。借り換える前にやっておきたいこと
住宅ローンの借り換えにかかる審査期間や、借り換え前にやっておきたいことをまとめてみました。
借り換えの審査期間は平均で2~3週間
住宅ローンの借り換えに限らず、新規の場合も含めて住宅ローンの審査期間は平均で2~3週間。長くて1ヶ月ほどで、ネット銀行は審査期間が長くなる傾向にあります。審査期間が長いからといって審査に通らないというワケではなさそうです。
また審査が最短では1週間や10日で実行まで終わってしまうというところも。
ただ、住宅ローンの借り換えは新規で購入する場合と違って、いつまでにローンの実行を完了させなければならないという制限がありません。
ということは、住宅ローンの借り換えでは審査期間の長さというのはあまり気にしなくてもいいようです。それより審査期間が長い金融機関でも、金利が低かったり団信の内容が充実していたりするところを選んでも良いということですね。
借り換えの審査を出す前にやっておきたい2つのこと
住宅ローンの借り換え審査に落ちるとがっかりするもの。できれば審査に通りたいものですよね。借り換えの審査で落ちるケースや審査に出す前にやっておきたいことなどをご紹介します。
まず借り換えの審査で落ちるケースは金融機関の審査条件に引っ掛かるような場合です。ただし審査の内容は詳しくは公表されていないものの、金融機関によって異なることが分かっています。例えば同じ条件の人でもA銀行では審査に通ったのにB銀行では審査に落ちるというようなケースですね。
そこでおすすめしたいのが、借り換えの審査は複数の金融機関に出すこと。
また、借り換えの審査を出す前にやっておきたいことがあります。3つのチェック項目にまとめてみました。
- 今の住宅ローンの返済を延滞しない
- 車や教育ローンなど、他のローンを組まない
- クレジットカードの借り入れ枠を増やさない
返済が滞ったという履歴が残ってしまうと、それだけで金融機関からの信用が下がってしまいます。また他のローンや借り入れ枠を増やしてしまうと住宅ローンの借り入れ枠も下がってしまいます。
住宅ローンの借り換えを考えている方は、審査前のチェックで問題がなさそうか確認してみましょう。
住宅ローンの借り換えで審査に通らない場合も。今一度状況をチェック
住宅ローンの借り換え審査を通すコツは、なるべく他の借り入れ枠を増やさないこと。それと審査の内容は各金融機関によって変わるので複数の金融機関へ審査を出すことです。住宅ローンの借り換えをする前に、今一度ご自分の状況をチェックしてみましょう!
本文中にもあるように、借り換え時に意外とネックになるのが団信です。借り換えは、ローンの契約時よりも年齢を重ねているため、高血圧などが問題になるケースは珍しくありません。
とはいえ、生命保険や連帯保証人を利用してローンを申し込む手立てもありますので、悲観することなく専門家に相談してみましょう。
4年ほど専任の宅建士として不動産業者に勤務し、現在はマンション管理士・消防設備士として独立。
宅建士としての知識や立場を活かし、不動産売買時の疑問点などの相談を受けている。