妊娠・出産でもらえる7つの補助金と助成金!知って得する公的制度
可愛い赤ちゃんに会える妊娠・出産ですが、妊娠中に受ける妊婦検診で約10万円、出産で30~70万円と、実はかなりのお金が必要になるもの。
ですが安心してください。妊娠・出産時には「妊婦検診費の助成」「出産育児一時金」「出産手当金」「育児休業給付金」などの給付金があり、妊娠・出産時にかかる費用の手助けを行ってくれます。
他にも、傷病手当金や高額医療費控除など、知らなければ損をする制度もたくさん。妊娠・出産時に受け取れる補助金や助成金について学び、使える制度をしっかりと使うようにしましょう。
意外とかかる妊婦検診費!助成の対象や条件は?
「妊婦検診」とは、妊娠が判明すれば定期的に受診しなければならない検診のこと。健康保険適用外であり、1回につき5,000~15,000円程度かかる検診を約14回受ける必要があります。計10万円程度のお金が必要です。
金銭的に負担の大きい妊婦検診ですが、2009年に少子化対策として、妊婦検診の際にかかる費用の無料化という施策を国が打ち出しました。
そのため妊婦検診費を助成してもらえるようになり、特別な検査などの場合を除き多くの自治体で妊婦検診費を補助してもらえるんです。
この妊婦検診費の助成を受けるには、「母子手帳」に付いている「妊婦健康診断受診票(補助券)」が必要です。
医師によって妊娠が確認され、母子手帳をもらいに行くようにとの指示があれば、支給対象者である妊婦が自治体に申請することで受け取ることができます。
自治体によって助成の対象となる治療の内容は異なるもの。超音波検査や血液検査が助成の対象となる場合もあれば、ならない場合もあります。妊娠前の場合は自分の住んでいる自治体に問い合わせて、確認してみるとみましょう。
知っているとお得!妊娠出産で健康保険が使えるケースとは?
妊娠出産にかかる費用に対して、基本的に健康保険は適用されません。そうなると気になってしまうのが、負担額ですよね。
しかし妊婦特有の病気の治療など特定の治療や手術においては、健康保険が適用されます。健康保険が適用される主な治療や手術は次の通りです。
- 帝王切開
- 重症妊娠悪阻(つわり)
- 妊娠高血圧症候群
- 切迫流産
- 前期破水
- 陣痛促進剤
- 吸引分娩
- 流産
- 早産
ただし実際に健康保険の適用となるかは医師の判断にもよります。他にも国の制度として「高額療養費制度」というものがあります。
高額療養費制度とは1カ月の間に窓口で支払った医療費が自己負担限度額の上限を超えた場合に、超えた金額を払い戻される制度のこと。
年齢や所得によって上限金額は変わるものの、医療費が補助されるお得な制度です。ただし対象者が健康保険の被保険者や被扶養者である必要があります。
高額療養費制度については「知らないと損する高額療養費制度!医療費の自己負担を減らす方法」で詳しく説明しています。
妊娠出産でも対象!所得税が控除される医療費控除
「医療費控除」とは、1世帯が1年間(1月1日~12月31日)に支払った医療費の合計額が10万円を超えた場合、確定申告をすることで所得税が控除される制度のことです。
実は妊娠出産でかかる医療費の多くは、この医療費控除の対象となります。そのため確定申告までは、医療費の領収書は捨てずにしっかりと保管しておきましょう。
健康保険の被保険者本人ならもらえる傷病手当金
「傷病手当金」とは、健康保険の被保険者本人が連続4日以上仕事を休んだ場合に支給されるお金のこと。
対象には妊娠中の切迫早産や妊娠悪阻で仕事を休んだ場合も含まれています。
傷病手当金は12カ月分の標準報酬月額の平均額を30日で割り日額を出し、その金額の3分の2が4日目以降休んだ日数分支払われる仕組みです。入院ではなく自宅療養の場合でも受け取ることができますよ。
傷病手当金の受け取りには「傷病手当金支給申請書」を医師に書いてもらう必要があり、自宅療養の場合は診断書も必要です。それらの書類を勤務先の担当部署に提出しましょう。
支給金額42万円!金額も大きい出産育児一時金(出産一時金)
「出産育児一時金」とは、妊娠4ヵ月以降に出産した子ども1人につき42万円もらえる制度のこと。
健康保険の被保険者かその家族、または国民健康保険加入者であれば、支給してもらうことが可能です。健康保険の被保険者の家族である場合は「家族出産育児一時金」と呼ばれます。
子ども1人につき42万円もらうことができる制度と書きました。ですが出産する医療機関が産科医療補償制度未加入の場合、支給される金額は40.4万円となります。
出産育児一時金の支給方法は次の3種類です。
- 直接支払制度
- 受取代理制度
- 産後申請
それぞれの制度について詳しく説明していきましょう。
(1)退院時の支払額を抑えられる「直接支払制度」
「直接支払制度」とは、それぞれの健康保険の協会から医療機関に対して支給金額が直接支払われる支給方法のこと。
まずは医療機関に対して直接支払制度を利用することを申し出ましょう。すると、医療機関が協会に対して支給金額の請求を行い、支給金額が医療機関に直接支払われます。
出産費用が42万円を超える場合は、足りない金額を医療機関に支払うことになるもの。出産費用が42万円よりも少なかった場合は、健康保険協会から差額が被保険者やその家族に支払われます。
直接支払制度において被保険者や家族が行うことは、医療機関に対して直接支払制度の利用を申し出るだけ。産む側の負担が少ない方法といえます。
(2)医療機関が直接支払制度が対応してないときは「受取代理制度」に
「受取代理制度」とは、直接支払制度では医療施設側の負担が大きいと考えられる場合に使える申請方法。おもに直接支払制度に対応していない場合に代用されます。
被保険者や家族が健康保険協会に対し、受取代理申請書を提出します。直接支払制度と同様「被保険者やその家族の代わりに、直接医療施設が出産育児一時金を受け取る」という考えの制度です。
(3)「産後申請」の場合は出産費用の準備が必要
「産後申請」とは、産後に被保険者やその家族が直接健康保険協会に対し、出産育児一時金を申請する方法です。出産後の退院時に、出産費用全額を施設に支払う必要があります。まとまったお金が必要になるので注意しましょう。
健康保険被保険者必見!出産手当金(産休手当)を活用しよう
「出産手当金」とは産休手当とも呼ばれるもので、健康保険被保険者本人が出産する場合にお金を受け取ることができる制度のこと。
支給対象者は出産を実際に行う人であり、月給を日額に換算した金額の3分の2を受け取ることができます。
出産日以前の42日から出産後56日までの仕事を休んだ期間が対象。報酬があった場合にも金額が3分の2以下ならば、その差額を受け取ることができます。
加入している健康保険協会に「支給申請書」を提出することで、手続きは完了です。支給申請書は加入者本人だけでなく、医師または助産師、事業主にも記載してもらう箇所があります。
さらに産休手当をもらっている間は健康保険料や厚生年金保険料を支払いは免除されます。
本人が支払う必要がないのはもちろん、事業主側も支払う必要はありません。
産休中は厚生年金保険料も免除となり、年金額を計算する際には納めてある期間としてカウントされます。免除となる期間は、出産手当金の対象期間と同じです。
雇用保険加入者ならもらえる!育児休業給付金(育休手当)
「育児休業給付金」とは、会社から給与や報酬をもらうことができない育休中に金銭的なサポートをしてくれる制度のこと。
1年以上雇用保険に加入している人ならば、母親だけでなく父親でも受け取ることが可能です。
育児休業給付金は、原則子どもが1歳になるまで受け取ることができるもの。ですが保育所に入所できないなどの理由がある場合には、最長子どもが2歳になるまで受け取ることができます。
育休開始後180日目までは賃金の67%、181日目以降ならば賃金の50%の金額を受け取ることが可能です。ただし賃金の上限は42万6,900円と決まっています。そのため受け取ることができる金額の上限も42万6,900円の67%または50%となるので覚えておきましょう。
少子化対策に積極的な自治体ほど、さまざまな助成を多く取り入れているので一度住んでいる地域の制度を調べてみると良いですね。
お金のかかる妊娠・出産は、補助金や助成金を上手に利用しよう
妊娠中は、「妊婦検診費の助成」や健康保険の「傷病手当金」。出産時は「出産一時金」や「出産手当金(産休手当)」。産後は「育児休業給付金(育休)」などいろいろな種類の補助金や助成金がありましたね。
他にも「高額医療費控除」や「医療費控除」など、費用の負担を軽くしてくれる制度もあります。出産には費用がかかりますが、これから生まれてくる子どものためにも少しでも負担が減らせると嬉しいですね。
これらの制度をうまく利用し、妊娠出産時にかかるお金を少しでも減らしましょう。