親の運転が危険!高齢者の免許返納制度と親が納得する7つの理由
「高齢の親の運転に不安を感じている」「免許を返納して運転をやめてほしい」など、高齢になっても運転を続ける家族を心配する人は年々増えています。
高齢者の交通事故発生要因は、主に身体機能や認知機能の低下です。こちらも警視庁による情報ですが、2016年の免許更新時の認知機能検査においては75歳以上約166万人のうち、約5.1万人に認知機能が低下している恐れがあると判定されました。
「高齢の親に危険な目にあってほしくない」「加害者になってほしくない」そうなると、やはり車の免許証を返却して、運転をやめてもらうしかありません。
具体的にどう対応すればよいか、この記事では高齢の親に免許を返納してもらうための説得方法と手続きのポイントをご紹介します。
高齢者が免許を返納したがらない4つの理由
高齢者が免許を返納したくない理由は何でしょうか?それは免許を返納することによって何かしらのデメリットがあるからです。まずは高齢の親が免許の返納を拒む理由について考えてみましょう。
理由その1.公共交通機関が整備されていない地域に住んでいるため
公共交通機関が整備されていない地域に住む高齢者にとって、買い物や病院に行くために車は必要不可欠といえます。バスがあっても本数が少なかったりバス停や駅までの距離が遠かったり、地域によっては車がないと普段の生活に支障が生じることも十分考えられます。
理由その2.子供や孫に迷惑をかけたくないと考えているため
親と同居している場合や近所に住んでいる場合は、子供の立場からすると「親の外出時には送迎をすればよいだけ」と考えますよね。
しかし人によっては「子供の世話には極力なりたくない」「送迎にわざわざ時間を取らせて申し訳ない」などと思う人も多いのです。
「人に頼むことに気を使う」「何でも自分でやった方が気楽」といった考えもあります。
理由その3.まだまだ自分は若いと思っているため
高齢者の運転事故のニュースをみても「私は大丈夫」「まだまだ若い」などと、自分が高齢であることを認めたくない人も多くいます。
理由その4.運転を生きがいや楽しみと考えているため
運転を単なる移動手段として捉えているわけではなく、「生きがい」や「趣味」の一つとして楽しんでいる人もいます。そんな人は運転をやめるように言われると、楽しみを奪われるように感じるのです。
高齢の親に運転免許を自主返納してもらうための説得方法は?
運転免許を返納するデメリットを解決して、高齢の親に免許の返納を強制することなく納得して自主返納してもらうにはどうすればよいでしょうか?ここでは説得の方法についてみてみましょう。
1.高齢になると運転にどのような影響がでるかを説明する
高齢者は加齢によって、動体視力の低下や瞬時の判断能力の低下、複数情報の同時処理能力の低下などの身体機能の変化が訪れます。ハンドル操作やブレーキ操作に遅れが生じることが少なくありません。さらに認知機能の低下によっても運転時の判断能力に影響が出る恐れがあります。
これらのことからも高齢者の運転事故が多発しているものと考えられます。自分は大丈夫だと思っていても、加齢に伴う身体能力の低下はゆっくりと進んでいきます。
高齢ドライバーによる事故は毎日のように新聞やニュースで報道されていますが、自分はまだまだ大丈夫と考えている方も少なくありません。高齢ドライバーによる事故があった場合はその都度、事故について会話をしておくことも認識してもらうには重要です。
親だけだというわけではなく、年齢に対しての客観的な意見を伝えると良いでしょう。
2.車がなくても普段の生活に支障がないようにする
公共交通機関が整備されていない地域にお住まいの方にとって免許返納は死活問題です。買い物や病院などの外出時に送迎することができるなら、そのように伝えましょう。
いつでも好きな時に送り迎えをすると言う訳にはいかないと思いますが、できる限り対応できる体制をとってあげると親側も安心できます。
タブレットなどを用意してインターネットでの買い物の方法を教えてあげることも有効です。
3.タクシー券を渡す
「子供や孫に迷惑をかけたくない」と考える親世代は、送迎にわざわざ時間をとらせることはできないと思われているかもしれません。
その場合はタクシー券を渡してみてはいかがでしょうか?タクシー以外に利用できる訳ではありませんので、お金よりも気を使わせることなく計画的に利用してもらえるかもしれません。
4.自分も高齢ドライバーであることを認識してもらう
運転が危険だと感じるときは実際に親が運転している様子を後ろから撮影して、自分の運転状況を把握してもらっても良いかもしれません。
ビデオをみることで客観的に自分の運転スキルが判断してもらえます。
5.第三者から自主返納の説得をしてもらう
「正しいとは分かっていても子供の意見は聞きたくない」などと思われている親も少なくありません。絶対に家族が免許の返納を説得しなければならないものではありません。
難しいようであれば、主治医の先生や親の友人など親が尊敬している方、すでに免許証を自主返納した方にお願いすると案外スムーズにすすむかもしれません。
孫や親戚など、複数の意見があれば納得してくれるケースもあります。
6.身分証明書がほしいときは「運転経歴証明書」で代用を
運転免許証を返納してしまうと身分証明書がなくなってしまうのが気がかりという人には、「運転経歴証明書」のことを教えてあげましょう。
65歳以上の高齢者が運転免許証を自主返納するともらえる証明症です。この「運転経歴証明書」を提示することでバスやタクシー、様々なお店の割引を受けることができます。
7.認知機能検査や高齢者講習を利用して説得する
現在、免許証の更新期間満了日の年齢が75歳以上の方で免許更新を希望する場合、認知機能検査と高齢者講習が義務付けられています。
認知機能検査とは自分の判断力や記憶力の状態を知るための簡易検査です。検査結果には「第1分類 記憶力・判断力が低い」「第2分類 記憶力が少し低い」「第3分類 記憶力・判断力は心配なし」の3つに分かれます。
第1分類の場合は、専門医の適性検査または医師の診断書が必要となり、認知症であると診断されると免許証が取り消しになります。
第2分類・第3分類の場合は、高齢者講習を受けることによって免許更新が可能となります。
第3分類は問題ないと思われますが、第1分類や第2分類の結果となった場合は、免許取り消しにならずとも自主返納のチャンスであるといえます。
運転免許証を自主返納するときの手続き方法
本人自ら免許の返納を行う場合は、管轄の警察署や運転免許センターに運転免許証を持参すれば手続きを行うことができます。
原則として免許の返納は本人が行うものですが、傷病などによって本人が手続きをできない場合に限って現在、30都道府県において代理人による免許の返納を認めています。ただし代理人は申請者の親族や入所中の施設の管理者などに限られます。
免許の自主返納の近道は親の話をよく聞くこと
まずは直接、親御さんの話をよく聞いてあげることが第一です。
その上で免許証の返納の際に生じるデメリットを解決する方法を提示すると良いでしょう。
今までできていたことが年を重ねるごとにできなくなることは辛いこと。免許を返納すれば事故を起こす危険性はなくなりますが、生活はその後も続きます。
この辺りを配慮した上で「あなたのことが心配だ」という思いを伝えつつ、プライドを傷つけることなく丁寧に説得できると良いでしょう。ご自身だけでなく、家族やまわりの人の力を借りるのもおすすめですよ。