親が亡くなったら

世帯主の変更手続きとは?世帯主が死亡したときにすべきこと・対応

世帯主は、世帯ごとに定められた代表者を指します。国民の住所は「世帯」ごとに登録されて管理されているため、一世帯に複数のご家族がいる場合は、「世帯主」を定める必要があります。

一般的には、世帯の生計を維持している方が世帯主となることが多いため、父親や夫が世帯主となるケースが多いですが、法律上、収入が最も多い方でなければならないという決まりはありません。

もし、世帯主である親が亡くなった場合はどのような手続きが必要となるのでしょうか?ここでは、公的な手続きの一つである「世帯主変更」の手続きについてご説明します。

世帯主は自由に決められる!変更手続きと注意点を紹介

もし、世帯主である父親が亡くなったら、次の世帯主は誰になりますか?
世帯主は自由に決めることができますよ。

ただし、15歳未満の方は原則として世帯主になることはできません。

新しく世帯主になる人とは別の人を世帯主にする時の手続き方法は?

例えば、世帯構成が、「世帯主、妻、子、子の妻、子の子」であった場合、世帯主が亡くなると、一般的には妻が世帯主になると考えられますが、妻が高齢であるなどの理由から子を世帯主としたい場合、どのような手続きが必要となるのでしょうか?

原則として、前述した通り、世帯主は自由に決めることができますので、「世帯主変更届」によって手続きをすることができます。

手続きの詳細は後述しますが、次の例のように、世帯主である親が死亡した後、次の世帯主が明確である場合は、世帯主変更手続きをしなくてもよいことになります。

  • 世帯主死亡後、妻一人の場合
  • 世帯主死亡後、妻と15歳未満の子の場合(15歳未満は世帯主となれないため)
  • 死亡した親が世帯主でない場合

世帯主変更手続きは自治体の役所でできる

世帯主である親が亡くなった場合の変更手続きはどこで行えばよいのですか?
ご住所のある自治体の役所の区民(市民)課で手続きをすることができます。

支所や出張所などでは手続きができない場合もあるため、事前に役所に問い合わせておくとよいでしょう。

一般的には死亡届と一緒に世帯主変更届(住民異動届)を窓口に提出することになります。

世帯主変更届の提出期限は14日以内!

「世帯主変更届」の提出期限はありますか?
世帯主が死亡した場合、「住民基本台帳法」によると原則として14日以内に「世帯主変更届」を提出する必要があります。
(世帯変更届)
第二十五条 第二十二条第一項及び第二十三条の場合を除くほか、その属する世帯又はその世帯主に変更があつた者(政令で定める者を除く。)は、その変更があつた日から十四日以内に、その氏名、変更があつた事項及び変更があつた年月日を市町村長に届け出なければならない。

世帯主変更手続きは委任状があれば世帯員以外でもOK!

世帯主変更の手続きは誰でもできるのですか?
世帯主変更の手続きができる方は、原則として世帯主本人もしくは世帯員(世帯を構成する人)です。

ただし、世帯員が手続きをする時間がないなどの場合は、世帯員の委任状(代理人選任届)によって親族などに手続きを依頼することも可能です。

世帯主変更手続きに必要な書類とは?

世帯主変更手続きに必要な書類は、各自治体の窓口またはホームページよりダウンロードできる「世帯主変更届」と、次のものが必要となります。各自治体によって異なる場合がありますので、あらかじめ問い合わせておくとよいでしょう。

  • 窓口で手続きする人の本人確認書類(運転免許証、パスポート、マイナンバーカードなど顔写真付きのもの、健康保険証など)
  • 窓口で手続きする人の印鑑(認印可)
  • 国民健康保険に加入している全員の国民健康保険証(社会保険の場合は不要)
  • 代理人に手続きを依頼する場合、委任状(代理人選任届)

世帯主には誰がなるべき?考え方を解説

世帯主は世帯の代表ですが、法律上では、続柄や年齢、所得などで世帯主が決まることはありませんので、自由に決めることができます。

世帯主は誰がなるのが適切であるかは個々の世帯によって異なります。この記事を読んで、世帯主を誰にすればよいのか判断するヒントをお伝えします。

世帯主とは必ず定めなければならないもの!

そもそも、なぜ世帯主を決める必要があるのですか?
住民基本台帳法によって国民の住所を世帯単位で登録し管理することが定められていて、住民票には世帯主であるか、世帯主でない場合は続柄を記載することが定められているためです。

例えば国民健康保険などは、世帯単位で加入するため、世帯主に納税通知書が送付されます。このように世帯主は管理上、必ず決めておく必要があるものです。

世帯主が変わっても保険料や税金は変わらない!

世帯主が変わると、保険料や税金が高くなったり安くなったりするのですか?
世帯主が変わっても、基本的には保険料や税金に変動はありません。

国民健康保険料は、1世帯あたりの加入者数と年齢、総所得額によって、住民税や所得税は支払者によって決定されるからです。

ただし、後期高齢者医療保険の場合は、世帯主の総所得金額によって軽減制度を受けることができるため、世帯主の所得が一定未満であれば保険料が軽減される可能性があります。

世帯主(父)が死亡した時、母と子のどちらが世帯主になるべき?

例えば、世帯主である父親が亡くなった場合、母親と子であればどちらが世帯主になった方がよいですか?
世帯主はどちらでもかまいません。

ただし、お勤めの会社によっては世帯主に対して住宅手当を支給するルールがある場合があるので確認しておくとよいと思います。

税金や保険料は原則、世帯主によって変わることはありませんが、後期高齢者医療保険の軽減制度には影響しますので、ご注意ください。

世帯主の変更に伴う手続きも知っておこう

世帯主である親が亡くなった場合、世帯主変更届を提出する以外に、必要となる手続きはあるのでしょうか?考えられる主な手続きを列挙してみましたのでご参考にしてください。

国民健康保険の資格喪失手続き

世帯主が国民健康保険に加入していた方の場合は、世帯主の死亡日の翌日から14日以内に各自治体の役所に資格喪失届を提出し、国民健康保険証を返却する必要があります。

世帯で国民健康保険に加入している場合は、「旧世帯主」の氏名が記載されている国民健康保険証を「新世帯主」のものに変更してもらう必要があります。また、納税通知書も新世帯主宛てに届くことになります。

後期高齢者医療保険の資格喪失手続き

世帯主が75歳以上の後期高齢者医療保険に加入していた方の場合は、世帯主の死亡日の翌日から14日以内に各自治体の役所に資格喪失届を提出し、被保険者証を返却する必要があります。

介護保険の資格喪失手続き

世帯主が65歳以上の介護保険に加入していた方の場合は、世帯主の死亡日の翌日から14日以内に各自治体の役所に資格喪失届を提出し、介護保険被保険者証を返却する必要があります。

子ども医療費の変更手続き

世帯主の変更に伴って保険証が変わったり、生計維持者が変わる場合は、各自治体の役所に子ども医療費受給者の変更届を提出する必要があります。

児童手当受給者の変更手続き

児童手当は、児童の生計を維持する方に対して支給されるものですが、世帯主や健康保険、税法上の扶養の状態によっても判断されます。

世帯主の変更に伴って保険証が変わったり、生計維持者が変わる場合は、各自治体の役所に現況届にて届け出ておく必要があります。

将来のために「世帯主変更」手続きについて覚えておこう

日本では国民の住所を世帯単位で登録して管理することが定められており、管理上、世帯の代表として世帯主が必要となります。また、世帯主は原則として15歳以上であれば、誰でもなることができます。

もし、世帯主が亡くなった場合は、死亡日の翌日から14日以内に「世帯主変更届」を自治体の役所に届け出る必要があります。

基本的に、世帯主をどなたに変更しても国民健康保険料や所得税、住民税が高くなったり安くなったりすることはありません。ただし、後期高齢者医療保険の軽減制度を利用する場合は注意が必要となります。

また、世帯主変更に伴って、国民健康保険や介護保険などについても手続きが必要となります。

「世帯主変更」は将来、必要となる手続きの一つですので覚えておくとよいでしょう。