退職金を賢く運用するコツを解説!5つのおすすめプランを要チェック
定年退職した際に受け取る退職金。あなたはどのように使うかもう決めていますか?
「低金利の今、銀行に預けても仕方ないのでは・・・」「運用したいけど、もし失敗したらどうしよう」と、退職金運用でお悩みの方も多いのではないでしょうか。
定年を迎えた後は、何もしなければ収入よりも支出が上回るため、これまでの資産で生活していくことが必要となります。
年金だけの生活では心許なく、貯金を切り崩していかなければならないという不安。少しでも「お金」の心配を減らし、せっかくの老後ゆとりある時間を楽しみたいですよね。
定年退職を迎えた方も、これから迎える方も、改めて「定年退職」にまつわる正しい知識を習得し、失敗しない退職金運用方法について理解を深めていきましょう。
この記事では「知っておきたい退職金運用のコツ」をわかりやすく解説していきます。
定年退職後の税金や保険料の支払いは?退職金を分類する重要性
退職金が入金されたものの老後にはどれほどのお金を用意すべきなのか、目の前の退職金の扱いに困っている人も多いでしょう。
まずはお金の使い道を具体的に分け、定年退職後に使える資金のイメージをすることが大切です。
- 当面の生活資金
- 税金や保険料にかかる資金
- すぐではないが今後発生する予定資金(急な医療費や冠婚葬祭にかかる祝い金など)
- 当面使う予定のない資金
ここで注目していただきたいのが、2番目の「税金や保険料にかかる資金」です。
会社で働いているうちは、会社が各種支払いの代行をしてくれていました。それでは定年退職後には、自分で税金や保険料は支払わなければいけないのでしょうか?
答えは「イエス、でありノー」です。
税金や保険料は、その種類や対象者によって支払い条件が変わります。まずはご自身が各条件に該当するかどうか確認してみましょう。
住民税
住民税は「前年の所得」に対して課される税金です。つまり定年退職した翌年には、前年の所得に応じて住民税を収める必要があります。
一括徴収、もしくは普通徴収(年4回に分けて納付)と納付パターンがあり、退職月によって納付方法は変わります。
退職前の給与明細を確認しておけば、住民税の支払いにかかる必要資金を焦らず用意することができますよ。
固定資産税
家や土地などを所有している場合、収入の有無に限らず固定資産税の支払い義務が発生します。
固定資産税は土地の公的価格や家屋の時価で課税されるため、退職後に税額が高くなることも低くなることも考えられます。毎年かかる固定資産税は余裕をもって準備しておきましょう。
健康保険料
定年退職をした後も健康保険料は支払い続けなければいけません。次の3つのいずれかより、健康保険の加入方法を選択する必要があります。
- 加入していた健康保険を任意継続する
- 国民健康保険に加入する
- 家族の被扶養者になる
定年退職日の翌日から20日以内であれば、勤務していた会社の健康保険に任意加入することが可能です。
もしくは地方自治体が運営する国民健康保険に切り替えることもできます。国民健康保険は、前年の所得を基準に保険料が算出されるうえ、地方自治体によって計算方法や税率が異なります。
国民年金に切り替えた方がよいのか、元の勤務先の健康保険を任意継続した方がよいのか、定年退職後は限られた期間で判断をしなくてはなりません。
事前に保険料の差額を見比べ、ご自身の収入の場合はどちらがお得か判断しておきたいですね。また一定の条件を満たしていれば、家族の被扶養者になることもできます。
- 本人が60歳以上の場合、年収が180万円未満であること
- 被保険者の年収の2分の1であること
- 退職日の翌日から20日以内に手続きをすること
そのほか被保険者とご自身との関係により、続柄や同居要件などの条件が設けられる場合もあります。これらの要件を満たせれば家族の扶養に入ることができ、保険料の負担を減らすことができるのです。
しかし国民年金や厚生年金を受給している人は、これら条件を満たすことがなかなか厳しいのが事実。被扶養者の条件に該当するか否か、家族に相談しておくと良いでしょう。
退職金はどこまで運用にまわせる?運用資金の考え方
定年退職後にかかるお金のイメージを少しはお持ちいただけたでしょうか?
税金や保険料のしくみを知っておくことで、実際に「すぐ必要なお金」と「しばらく使わないお金」を仕分けできるようになります。
そこで退職金を運用するために使えるお金の再確認です。先ほどご紹介した分類をもう一度見てみましょう。
- 当面の生活資金
- 税金や保険料にかかる資金
- すぐではないが今後発生する予定資金(急な医療費や冠婚葬祭にかかる祝い金など)
- 当面使う予定のない資金
1~3の生活費や1年以内の税金納付、冠婚葬祭にかかる費用などは、すぐに現金化をする必要が生じるため、通常貯金や普通預金をしておくのがベターです。
「4の当面使う予定のない資金」とは、概ね1年以内に使う予定がない資金とお考えください。退職金を運用する場合はこの「当面使う予定のないお金」を運用資金として考えましょう。
賢く使い分けよう!退職金運用方法のメリット・デメリット
退職金の運用方法は種類さまざま、リスクや期間に合わせて賢く使い分けることが重要です。ここでは、次の項目についてメリット・デメリットを解説していきます。
- 銀行の定期預金(退職金プラン)
- 投資信託
- 株
- 個人国債
- 住宅ローンの繰上げ返済
1.銀行の定期預金(退職金プラン)
定期預金とは、銀行に一定期間(数カ月~年単位)の預け入れ期間を設定してお金を預けることで、金利が発生するしくみです。
基本的には「預け入れ期間」と「預け入れ金額」によって利率が変動します。
通常の定期預金は非常に金利が低い傾向がありますが、多くの金融機関では定期預金の「退職金運用プラン」サービスを展開しています。
高金利が特徴的な退職金プランですが、実際の要件をしっかりと確認しておく必要があります。
ほとんどの場合「預け入れ期間3カ月」のみ優遇金利が適応され、その後は通常の利率が適応されるプラン、また商品によっては「投資信託」とセットで申し込まなければならないプランも存在します。
これらのプランの場合、実際に年利換算や投資信託に必要となる購入手数料を鑑みると、通常の定期預金と同レベルの利率になる場合があります。
どんなに高金利を謳う退職金プランでも、その実情は決して高金利とは言いにくいでしょう。あくまで「通常の定期預金よりは優遇されている」感覚で、資産を「増やす」より「守る」タイプの資産運用と認識しておきたいですね。
また定期預金は満期を迎えるまで下ろすことができないため、急な出費にも対応できないことを念頭に入れておきましょう。
- 元本割れのリスクがない
- 通常の定期預金に比べて高金利
- ムダな浪費を防ぎ貯蓄につながる
- 高い利率は期待できない
- 解約が面倒なうえ、資金が拘束される
退職金プランで定期預金を契約する前に、メリット・デメリットをしっかり把握しておきましょう。
2.投資信託
投資信託とは、その名の通り「投資」を「信」じて「託」すことです。
株式や債券などを投資・運用する資金運用のプロにお金を託し、その運用結果によって資金を増やします。
投資信託は100円や1000円からスタートすることができるため、気軽な資金運用としてはじめやすい特徴があるんです。資金の運用は投資のプロがおこなうため、株や債券に関する詳しい知識は必要ありません。
しかし投資信託は元本が保証されていないため、もちろんプロが運用に失敗してしまえば預けたお金が減る可能性もあります。
いくら資産運用のプロが代行をするといえど、必ず利益が出せる保証はありません。元本割れのリスクを把握したうえで商品購入することが大切です。
さらに「運用管理費」や「販売手数料」といった諸費用も発生します。投資金以外にもお金がかかることを覚えておきましょう。
- 少額から投資できる
- 資産運用の知識がなくてもOK
- 運用が成功すれば高いリターンが期待できる
- 元本が割れるリスクがある
- 投資金以外のコストが発生する
投資信託の始め方については「投資信託の初心者必見!仕組みと特徴からわかる賢い投資信託の始め方」の記事で詳しく解説しています。
3.株式投資
株式投資とは、企業が発行した株を購入し、配当金の分配や株の売却益を得る資産運用のこと。そもそも株とは、企業が資金調達をする手段です。株式会社は株を発行することで、購入者から資金を集め企業経営をおこなっています。
企業は出資してくれた株主に対して、毎年「配当金」を分配したり、「株主優待」を付与したりすることで利益の一部を還元します。
もちろん企業の利益が出ない場合は、これら配当金や株主優待が得られない場合もありますよ。
株の売買は証券会社を介するため、証券会社の口座開設が必要です。さらに株の売買における手数料も発生するため、証券会社ごとの手数料の違いをあらかじめ確認しておきましょう。
株価は企業の業績や社会情勢、また株式の需給によって変動します。株の需要が高いタイミングで持ち株を売ることができれば、高い売却益を得ることができます。
- 株を高く売れば売却益が得られる
- 配当金、株主優待を受けられる
- 企業経営に参加できる
- 経済や社会情勢の知識が必要
- 大きな損をする可能性がある
4.個人国債
国債とは、税金だけではカバーできない資金を国が債権を発行して調達する方法です。債権を購入した人は、一定期間お金を国に貸すことで金利による利益を得ることができます。
もちろん、満期を迎える前に中途換金をする場合は、一定額差し引かれてしまいますので要注意を。国からの利息は保証されていますが、他の資産運用に比較すると低金利であることは否めません。
個人国債は確実に一定期間使う予定のない資金があり、安心度の高さを重視する場合の資金運用としておすすめです。
また国が発行する債権であるため、国が経済破綻を起こしたら無価値になりますが、そのときは「円」自体に価値がなくなるため、どこにお金を預けていても変わらない結果となります。
国債は募集期間や購入期間が限られているため、購入希望の際は財務省のホームページや専用ページを随時確認しておきましょう。
- 国が破綻しない限り元本が割れない
- 少額から購入できる
- 定期預金よりは金利がいい
- 満期までの期間、現金化できない
- 総じて金利は低い
個人向け国債に興味がある方は「個人向け国債の仕組みからメリット・デメリットを解説します」の記事もチェックしてみてくださいね。
5.住宅ローンの繰上げ返済
20年~35年と長く続く住宅ローンを、手元に入った退職金で一括返済する方法があります。
繰上げ返済をすれば、返済期間を短くできるうえ、支払利息も軽減することができます。毎月のローン返済がなくなれば、家計もとてもラクになりますよね。
さらに返済残期間によってはローン借入時に発生した保証料の一部が返金される場合も。早い時期の返済であれば数十万円の返金もあり得ますので、ご自身の借り入れ条件を確認してみるとよいでしょう。
しかし住宅ローンの一括返済で注意しなければならないのが、ご自身の退職金がローン残高より多く、さらに生活資金にも余裕がある場合にのみ有効な方法であるという点です。
言わずもがな、住宅ローン返済に充ててしまった現金は戻ってきません。他の資産運用のように「急にお金が必要になった!」というときに現金化できないことはよく理解する必要があります。
団信は契約者が死亡または高度障害になった場合、住宅ローン残高を保険会社が代わりに支払う保険制度です。
完済前であれば支払いが免除となる保険も適応されませんし、一括返済後にもしもの事があっても保険金が支払われることはありません。
住宅ローンの繰上げ返済をする際は、焦らず本当に懸命な策であるか慎重に考える必要があります。
- 月々のローン返済負担がなくなる
- 支払利息を軽減できる
- 保証料が返ってくる
- 手元の現金がなくなる
- 返済手数料がかかる可能性がある
それぞれのメリット・デメリットについて、詳しくは次の記事で解説しています。
しかし、一体どれを選べばいいのじゃ?あれもこれも興味があるのじゃが・・・。
退職金を上手に活用!失敗しない運用方法
退職金を分類したなかで、概ね1年以内に使う予定のない資金は上手に資金運用に回したいもの。
その中でも「守りたい資金」と「攻めたい資金」を明確にしておきましょう。
そして今回見てきた資金運用の「メリット・デメリット」に照らし合わせて投資先を分けし、運用資金の範囲内で投資先を選びましょう。個別商品ごとのプラン内容や手数料、諸条件を把握したうえで商品を選べると良いですね。
分散投資は中長期的に安定した利益を得やすい投資方法。焦らず慌てず、運用の知識をゆっくりと育みながら、退職後の資産形成を着実に進めていきましょう!