【ハローワークの給付金一覧】失業保険以外にもある退職で貰えるお金
「会社を辞めて、収入がなくなった・・・。どうしよう」
「突然、会社が倒産してしまった・・・。転職先が見つかってない」
失業・退職すると困るのが収入がなくなること。そんな状況を支援してくれるのが「雇用保険」と「国の公的制度」です。
雇用保険とは「失業等給付と雇用保険の2つを主な事業としている政府管轄の保険制度」のことで、求職中の生活を金銭的な面などで支援してくれる制度です。
この記事では失業手当などの雇用保険における給付金や、求職中に国民年金保険料の支払いを免除納付猶予してもらえるなど、求職中に役立つ制度について説明していきます。
仕事を辞めたときの強い味方!失業保険(雇用保険の基本手当)とは?
失業保険とは、失業した人が求職活動している間にもらえる失業給付金のこと。
正式名称は「雇用保険の基本手当」ですが、「失業保険」や「失業手当」と言った通称のほうが有名ですね。
雇用保険の被保険者(加入者)で現在離職中の人。
- 働く意思があり求職活動を行っていること
- 離職する前の2年間で雇用保険被保険者だった期間が1年以上あること
※2:退職理由(自己都合・会社退職)や離職者の条件などによって異なる
会社都合退職はさらに「特定受給資格者」と「特定理由離職者」に分けられます。
特定受給資格者 | 会社の突然の倒産や解雇により再就職のための準備をする時間がなかった人のこと。 |
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特定理由離職者 | 雇用契約期間が完了し自身は契約を続ける意思があったものの契約が更新されなかったなど、やむを得ない理由で離職した人のこと。 |
失業保険はこのような退職理由によって支給される手当の金額が変わります。退職理由は離職票に記載されているので、辞めた会社から送付されたときに必ず確認しておきましょう。
ちなみに失業保険には「受給期間」というものが存在します。
失業手当をもらうことができる期間のこと。基本的には離職日の翌日から1年以内が失業手当をもらうことができる期間です。
もし受給期間の間に妊娠・出産などをし、働くことができない期間が30日以上あった場合は、受給期間を最大4年間まで延長させることが可能です。
無料で講座や訓練が受けられる!ハロートレーニングを活用しよう
「ハロートレーニング」とは、求職中の人が無料で講座や訓練を受けることができる制度のこと。
ハロートレーニングには2つの種類があります。
- 公共職業訓練(離職者訓練)
- 求職者支援訓練
1.失業保険をもらいながら無料で受けられる公共職業訓練
「公共職業訓練(離職者訓練)」とは、雇用保険を受給している求職者が受けることができる訓練のこと。失業保険をもらいながら無料で講座や訓練を受けることができます。
失業保険は「自己都合退職の場合すぐにもらうことができない」などの制限がついていますが、公共職業訓練を受ける場合は失業保険をすぐにもらうことが可能です。
さらに公共職業訓練の受講者かつ、規定の条件にあてはまれば次の手当をもらうことも可能です。
内容 | 金額 | |
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受講手当 | 公共職業訓練を受けた日にもらえる | 1日500円 |
通所手当 | 通所する際にかかる交通費がもらえる | 上限は月額42,500円 |
寄宿手当 | 公共職業訓練を受ける場所が遠く、家族と別居しなければならない場合にもらえる | 上限は月額10,700円 |
2.失業保険がもらえない人でも受講できる!求職者支援訓練
「求職者支援訓練」とは雇用保険に加入しておらず失業保険をもらうことができない人が、スキルアップのために訓練を受けることができる制度のこと。
ハローワークで求職の手続きをしている人が対象です。
求職者支援訓練を受ける人の中でも、世帯収入などの特定の条件を満たしている場合は、「職業訓練受講給付金」が受給できます。
求職者支援制度の手当。月額10万円の「職業訓練受講手当」と通所手当、寄宿手当の3つの手当を合わせた給付金のことです。
訓練講座の費用負担を軽くしてくれる教育訓練給付金制度
「教育訓練給付金制度」とは、離職中の人や在職中の人のキャリアアップを費用面で助けてくれる制度のこと。
教育訓練給付金制度には次の2種類の制度があります。
- 一般教育訓練給付制度
- 専門実践教育訓練給付制度
どちらも、同じ事業主のもとで3年以上雇用保険被保険者であれば、給付制度を受けることができます。
さまざまな資格取得を助けてくれる一般教育訓練給付制度
簿記や行政書士、介護福祉士などさまざまな資格取得にかかる費用の一部を負担してくれる制度です。訓練のための施設に支払った経費のうちの20%が戻ってきます。ただし上限は10万円です。
専門的な知識や技術取得を助けてくれる専門実践教育訓練給付制度
美容師や看護師など、実践的な訓練が必要な資格取得を手助けしてくれる制度のこと。専門学校や大学院で講座を受講する際に必要な費用の一部を負担してくれます。
教育を受けるために施設に支払った経費の50%が戻ってきます。ただし最長3年、年間にして40万円が上限です。そのため最大で120万円の給付を受けることができます。
はじめに給付を受けた50%分と合わせると、計70%となるもの。7割もの費用が戻ってくる、学びたい人にとってとてもお得な制度です。
期間限定の制度「教育訓練支援給付金」
専門実践教育訓練給付制度には、「教育訓練支援給付金」という2022年3月31日までの期間限定の制度があります。
45歳未満など一定の条件を満たしたうえで、昼間に通学する専門実践教育訓練を受けるために失業中の人ならば、失業保険の80%の金額をもらうことができる制度です。ただし失業保険を受けている最中であれば、もらうことはできません。
専門実践教育訓練制度の場合は40%、教育訓練支援給付金の場合も50%しか戻ってきません。このように制度の内容は変わっていく可能性があるので、ハローワークのサイトで最新情報をチェックするのがおすすめです。
再就職できたらもらえるお祝い金を紹介!再就職手当・就業手当ほか
「再就職手当」と「就業手当」は、失業保険の支給日数の残りが1/3以上あるときに再就職が決まった場合もらえる給付金のことです。
決まった就職が雇用保険に加入する働き方の場合は「再就職手当」、常用雇用ではなく雇用保険に加入しない働き方の場合には「就業手当」がもらえます。
「失業保険支給日数の残り日数」×「給付率」×「基本手当日額」。給付率は、日数がどの程度残っているかによって変わり、日数が2/3以上残っていた場合には70%。1/3以上残っていた場合には60%となります。
「就業日」×「30%」×「基本手当日額」とすることで手当の計算をすることが可能です。
前の会社と比べて給料が安くなった場合にもらえる「就業促進定着手当」
再就職した先の賃金が以前の賃金よりも低かった場合には、「就業促進定着手当」という手当をもらうことができます。もらえる金額は以前の「日額賃金と再就職先の日額賃金の差」×「6カ月間の勤務日数」。
再就職が困難な人が安定した仕事に就いたらもらえる「常用就職支度手当」
障害のある人などが再就職できるともらえる「常用就職支度手当」という手当金もあります。
失業保険の残り日数が90日以上の場合は30日分の基本手当、45日以上90日未満ならば残り日数の1/3の日数分の基本手当、45日未満の場合は15日分の基本手当をもらうことが可能です。
遠い場所での求職活動でも大丈夫!「広域求職活動費」と「移転費」
場合によってはハローワークから遠方での仕事を紹介されることもあります。そのような場合の就職活動費用を助けてくれるのが、「広域求職活動費」と「移転費」です。
広域求職活動費
遠い場所で就職活動を行う場合の交通費や宿泊費を支給してくれる制度のこと。
ハローワーク間の距離が鉄道で300km以上ある場合には交通費が、400km以上離れていた場合には宿泊費も支給されます。
広域求職活動費をもらうことができるのは、雇用保険受給者のうち離職日から7日以上経過しており訪問先から費用をもらっていない場合。離職日から6日以内の場合は受け取ることができません。
移転費
遠い場所で働くこととなり住所を変更しなければならなくなった場合の引っ越し費用などを支給してくれる制度のこと。
- 通勤時間が往復で4時間以上
- 交通機関の便が悪い
- 事業主の要求で移転しなければならない
いずれかの条件を満たしていれば、移転費を支給してもらうことができます。移転先への移動費や移転料、着後手当などが移転費にあたる費用です。
会社が倒産し賃金未払い!そんな方を助ける未払い賃金立替制度
「未払い賃金立替制度」とは、もらえていない賃金がある状態で勤務先の会社が倒産してしまった人に賃金の8割相当分を支払う制度のこと。
- 会社が1年以上事業をしていたこと
- 会社が法律上の倒産または事実上の倒産をしたこと
- 労働者が倒産した日の6ヶ月前から2年間の間に辞めたこと
未払い賃金の対象となる期間は、未払い賃金立替制度に請求を行った日から6カ月前まで。上限額は年齢によって異なります。
失業で収入がない期間の心強い味方!社会保険料の免除制度
失業すると、国民年金保険料の納付や国民健康保険への加入をしなければなりません。ですが失業しているため収入がなく納付するのが難しい場合もあります。
国民年金保険料が支払えない場合どうしたら良い?
国民年金保険料を支払うのが難しい場合は、保険料の免除・納付猶予をしてくれる制度があります。雇用保険被保険者だった場合は、離職票を持って市区町村役場に相談に行きましょう。そうすることで、国民年金保険料の免除や納付猶予という措置をしてもらえる可能性があります。
国民健康保険料の滞納はNG!市区町村に相談を
国民健康保険料についても、65歳未満であり雇用保険の特定受給者または特定理由離職者だった場合は、国民健康保険料が軽減されます。
給与を3割の額にして計算してくれるため、健康保険料が安くなるとても助かる制度です。こちらも市区町村役場に相談に行きましょう。
60歳以上の働きたい人を応援!高齢者向け再就職支援制度
60歳以上の人が再就職するのを助けてくれる雇用保険の制度には、次の2つがあります。
- 高年齢求職者給付金
- 高年齢雇用継続給付(高年齢再就職給付金・高年齢雇用継続基本給付金)
高年齢雇用継続給付は、さらに「高年齢再就職給付金」と「高年齢雇用継続基本給付金」の2つに分かれます。
高年齢求職者給付金
65歳以上の人が受け取る失業保険のこと。
一般の人とは異なり、失業認定は1回。被保険者期間が1年以上ならば50日分1年未満ならば30日分支給されます。
高年齢再就職給付金
60歳以上の人が失業保険をもらっていた状態で再就職をした場合にもらえる給付金です。失業保険をもらえる日数が何日残っていたかによって支給期間が異なります。
高年齢雇用継続基本給付金
60歳に到達した後も継続して勤務していたものの賃金が75%未満になった場合にもらえる給付金。65歳になる月までもらうことが可能です。
知ってる人はごくわずか?生活や住むところに困ったときに助かる制度
失業したときに費用面で助けてくれる制度は他にもあります。
住居確保給付金(住宅確保補助金)
失業し住居を失ったまたは失いそうな人に対し、家賃を補助してくれる制度。
65歳未満で離職後2年以内などの条件を満たす場合に受給可能です。家賃額を原則3ヶ月分受け取れます。
雇用保険の特例一時金
雇用契約の期間が1年以内の短期雇用特例被保険者対象の失業保険。
ハローワークに求職申し込みをし特例受給資格を得た人が対象です。支給額は基本手当日額の40日分。
日雇労働求職者給付金
派遣として働く人が派遣会社に登録していたにも関わらず働けなかった場合に給付金をもらえる制度です。
日雇手帳の交付を受けた人が対象となります。
知っておけば安心!離職時にもらえるお金について学んでおこう
失業保険は知っていても、遠方で再就職したいときに利用できる「広域求職活動費」や「移転費」は馴染みのない人も多かったのではないでしょうか?
当事者にならないと知らないことが多いですが、実は国は「仕事を失った人や再就職に向けてがんばっている人」に向けてさまざまな制度を用意しているんですね。
これまでもらえていた給与がなくなり、収入面で不安定になりやすい離職時。もしものときはこれらの制度を利用し、金銭面の負担を減らした状態で転職活動や再就職活動を進めていくと良いでしょう。