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【家族が亡くなったら】国や自治体からもらえるお金と公的制度の一覧

【家族が亡くなったら】国や自治体からもらえるお金と公的制度の一覧

家族が亡くなってしまったとき、国や自治体からもらえるお金があるのをご存知ですか?実は日本では遺族を支えるために、さまざまな制度があるんです。

「遺族年金」や「寡婦年金」「死亡一時金」などは、聞き覚えのある人も多いかもしれませんね。今回はこのような代表的な制度も含め、意外と知られていない「葬儀費用の補助制度」などもあわせて紹介していきます。

基本的に給付を受けるには手続きが必要であり、さらに児童手当など「受け取っていた人が亡くなった手当」がある場合は、受給者を変更しなければなりません。

大切な人が亡くなることを考えるのは辛いですが、お金は今後の遺族の生活を支える大切なものです。いざという時のためにどのような制度や手続きがあるのかを学んでおきましょう。

葬祭費用がもらえる制度「埋葬料・葬祭費」の支給

家族が亡くなったら行うお葬式。そんなお葬式のための費用をもらうことができる制度があることはご存知ですか?

この制度には2種類あり、社会保険に加入していた場合は埋葬料(家族埋葬料)、国民健康保険に加入していた場合は葬祭費(埋葬費)をもらうことができます。

社会保険に加入していた人やその家族がもらえる埋葬料とは?

「埋葬料(家族埋葬料)」とは、健康保険などの公的な社会保険に加入していた人または被扶養者が亡くなったときにもらうことができるお金のこと。

加入していた健康保険組合から埋葬料として5万円が支給される制度ですが、加入している健保によっては1~5万円上乗せされることもあります。

埋葬料をもらうことができる人は、実際に埋葬を行った人。

亡くなった人が健康保険に加入している人(被保険者)だった場合は埋葬料、被保険者に扶養されている人(被保険者)が亡くなったときには家族埋葬料と呼ばれるお金が支給されます。

埋葬料を受け取るには申請期限があり、亡くなった日または埋葬した日から2年以内に申請しなければなりません。

国民健康保険に加入していた人がもらえる葬祭費とは?

国民健康保険被保険者が亡くなったときにもらうことができるお金のことを「葬祭費(埋葬費)」と言います。

国民健康保険を運営している自治体によって異なりますが、1~7万円もらうことができます。

葬祭費をもらうことができる人は、被保険者によって生計を維持していた人。被保険者によって生計を維持していた人がいない場合は、埋葬費という名称になり実際に埋葬を行った人にお金が支払われます。

埋葬料と同じく、亡くなった日または埋葬した日から2年以内に申請しなければもらうことができません。

75歳になって国民健康保険から後期高齢者医療保険に変わったときは、葬祭費について何か変わることがあるのかね?
保険を運営する団体が変わるので、葬祭費の金額が変わる可能性があります。

大黒柱が亡くなった家族がもらえる3つの公的年金

家計を支えていた人が亡くなると、残された家族は生活をしていくのが大変になるもの。そんな家族を支えてくれる公的な年金制度が日本にはあります。

遺族に給付される3つの公的年金制度
  • 遺族年金(遺族基礎年金・遺族厚生年金)
  • 寡婦年金
  • 死亡一時金

それぞれの家族が置かれた状況により、どの年金制度を受給できるのかが変わります。

例として、配偶者と子が受給できる年金はどの年金なのか、大黒柱の2つパターン別にみてみましょう。

1.家計を支えていた人が自営業で国民年金に加入していた場合

この場合、亡くなった人は国民年金加入者であるため、遺族は次のような年金がもらえます。

もらうことができる人 もらえる公的年金の種類
18歳までの子がいる配偶者または子 遺族基礎年金
18歳までの子がいない配偶者 寡婦年金または死亡一時金

2.会社員や公務員などで厚生年金に加入していた場合

この場合、亡くなった人は厚生年金加入者であるため、遺族は次のような年金がもらえます。

 

もらうことができる人 もらえる公的年金の種類
18歳までの子がいる配偶者または子 遺族基礎年金+遺族厚生年金
18歳までの子がいない40歳未満の妻 遺族厚生年金
18歳までの子がいない40歳~65歳までの妻 遺族厚生年金+中高齢加算額
遺族年金を受け取りながら「老齢基礎年金」や「老齢厚生年金」を受け取ることもできるのでしょうか?
日本の公的年金制度は1人1年金が鉄則です。そのため、遺族年金と老齢年金を併用して受け取ることはできません。どちらを選ぶのか決める必要があります。

遺族基礎年金は「子供の養育費」だと理解しよう

「遺族基礎年金」とは、18歳までの子供がいる公的保険加入者が亡くなった際、配偶者や子供に対してお金が支払われる制度のこと。

18歳までの子供がいる配偶者などに支払われるお金であり、子供の養育費のような意味合いの年金です。

そのため、遺族基礎年金をもらうことができる人は、18歳までの子供がいる配偶者または18歳までの子供のみ。ただし、遺族年金をもらうためには受給するための条件を満たしている必要があります。

受給するための条件は、以下の通り。

  1. 老齢基礎年金をもらうことができる人
  2. 受給資格期間が25年以上ある人
  3. 国民年金に加入している人
  4. 60~65歳で国民年金に加入していた人

ただし、1の条件の場合、受給資格期間が25年以上なければ遺族基礎年金をもらうことはできません。

また、3または4の条件を満たしている人でも遺族基礎年金をもらうには、「保険料納付要件」を満たす必要があります。

保険料納付要件
  • 国民年金に加入していた期間のうち2/3以上保険料を納付または免除していたこと
  • 亡くなる前の前々月から1年間の間に未納がないこと

どちらかの条件を満たしていれば、遺族基礎年金をもらうことができます。

ただし国民年金から支給される遺族基礎年金は、配偶者がもらうのか子がもらうのかによって金額が異なります。

配偶者がもらう金額(2018年)
子の数 金額
1人 779,300円+224,300円
2人 779,300円+224,300円×2
3人 779,300円+224,300円×2+74,800円

3人目以降は、子1人につき74,800円が加算されます。

子がもらう金額(2018年)
子の数 金額
1人 779,300円
2人 779,300円+224,300円
3人 779,300円+224,300円+74,800円

3人目以降は、配偶者のときと同じく子1人につき74,800円が加算されるもの。子が複数いる場合は、この金額を子の数で割ります。

遺族基礎年金は、配偶者であれば妻でなくても夫でももらえるものなんですか?主夫をしている人も周りにはいるもんで。
以前は、遺族基礎年金をもらうことができたのは妻だけでした。ですが、現在では夫ももらうことができるようになっていますよ。

厚生年金加入者が死亡した際もらえる遺族厚生年金とは?

「遺族厚生年金」とは、厚生年金加入者が亡くなった際に配偶者や子などにお金が支給される制度のこと。

厚生年金加入者や老齢厚生年金の資格期間を満たしている人が亡くなった際に、配偶者や子供が年金をもらうことができます。

年金をもらうことができる人は、以下の人達。

  1. 子のある妻または子のある夫(55歳以上)
  2. 子のない妻
  3. 子のない55歳以上の夫
  4. 55歳以上の父母
  5. 55歳以上の祖父母

遺族基礎年金とは異なり、子供の有無は関係ありません。1ヵ月でも厚生年金に加入していれば、残された人が年金を受け取ることができます。

ただし、遺族厚生年金をもらうことができる優先順位は決まっているもの。上記の順番の通り、子のある妻または子のある夫の優先順位が最も高く、55歳以上の祖父母の優先順位が最も低くなります。

遺族厚生年金はいくらくらいもらえるものなのでしょうか?
遺族厚生年金の場合、もらえる金額は一律で決まっているわけではありません。亡くなった人がもらう予定だった厚生年金の3/4の金額をもらうことができますよ。
厚生年金の金額って、加入していた年数も関係してくるものですよね?それならば、若くて加入していた期間が短い人は金額が少ないですよね・・・。
そう!ですが、加入年数が少ない人でも最低300月分(25年分)はもらうことができる「300月みなし」という制度が遺族厚生年金にはあるんですよ。若い人が亡くなった場合でも、金額が極端に少ないということはありません。

60~65歳の妻がもらえる寡婦年金とは?

「寡婦年金」とは、国民年金に10年以上加入していた夫が亡くなった場合、妻がもらえる年金のこと。

10年以上結婚していた場合に、国民年金制度からお金をもらうことができます。もらうことができる金額は、夫がもらうはずだった年金の3/4の金額です。

ただし、寡婦年金をもらうことができるのは、妻のみ。夫の場合はもらうことができません。

もしもオイラが自営業をする前に会社員をしていて厚生年金に加入してた場合には、嫁さんは寡婦年金と遺族厚生年金どちらももらうことができるんですか?
そのケースで奥様が60~65歳の場合、どちらの受給条件も満たしていることとなります。ですが、年金は1人1年金が原則のため、寡婦年金と遺族厚生年金を併給することはできません。どちらか選ぶことになりますよ。

40~65歳で子供がいない妻がもらえる中高齢寡婦加算制度とは?

「中高齢寡婦加算」とは、18歳までの子供がいないこと、妻が40~65歳であることという条件のどちらも満たせば、もらうことができる制度のこと。

夫が厚生年金に加入していた場合にもらうことができます。遺族基礎年金をもらうことができない妻を支えるための制度であり、年間584,500円もらうことが可能です。

遺族基礎年金がもらえない人が対象となる死亡一時金

「死亡一時金」とは、国民年金を3年以上納めていた人が亡くなった場合に配偶者や子がもらえるお金のこと。

亡くなった人が年金を受け取っていないこと、配偶者が遺族基礎年金受給資格を持っていないことが受け取るための条件です。配偶者が寡婦年金の受給資格も持っている場合は、寡婦年金か死亡一時金かどちらかを選ぶことができます。

もらうことができる金額は保険料を納めた月数によって異なり、12~32万円を受け取ることができます。

死亡一時金は何のために作られた制度なんですか?妻が残された場合は、寡婦年金もあるんで、死亡一時金はそこまで必要ではないような気がします。
死亡一時金の目的は、国民年金に払い込んでいた保険料を無駄にしないため。保険料が多少でも戻ってくる制度がなければ、支払っていた金額が無駄になってしまいます。

このように大黒柱が亡くなったときにお金が支給される制度はさまざまです。次の記事では遺族年金の計算方法とともに詳しく解説しています。

労災保険からお金がもらえる遺族(補償)年金とは?

「遺族(補償)年金」とは、業務中または通勤中に労災保険加入者が亡くなった場合、遺族に支払われる年金のこと。

亡くなった人によって生計を維持していた配偶者、子、父母、孫、祖父母や兄弟姉妹にお金が支払われます。

遺族(補償)年金を受け取る遺族が何人いるのかによって、年金の金額が変わるもの。遺族が1人の場合は給付基礎日額の153日分、2人の場合は201日分、3人の場合は223日分、4人以上の場合は245日分支給されます。

他にも労災保険加入者が亡くなったときに労災保険から支払われるお金ってあるんですか?
葬祭料(葬祭給付)や遺族(補償)一時金というお金をもらうことができますよ。葬祭料は、葬儀を行った人に支払われるお金で、会社が葬儀を行った場合には会社に葬祭料が支払われます。
会社に支払われるお金もあるんですね!遺族(補償)一時金はどういったお金なんですか?
遺族(補償)一時金は、遺族(補償)年金を受け取る人がいない場合に支給されるお金です。給付基礎日額の1000日分の金額をもらうことができる制度ですよ。

子供がいる人必見!しておかなければならない手続き2つ

生計を維持していた人が亡くなった場合、子供の手続きでしておいた方がいいものは以下の2つ。

  • 児童手当の引き継ぎ
  • 児童扶養手当の申請

児童手当

0~15歳までの子供がいる場合にお金をもらうことができる制度「児童手当」。

児童手当の申請を行う際には支給対象者を申請する必要があります。原則として支給対象者は所得が高い方であるため、父母のうち所得が高かった支給対象者が亡くなった場合には、支給対象者の変更の手続きを行いましょう。

支給対象者変更の手続きを行わなかった場合はどうなるのでしょうか?配偶者が亡くなった場合、バタバタとしてしまい、忘れてしまいそうです。
配偶者が亡くなった場合は、申請どころではないかもしれません・・・。ですが、変更の手続きをしなかった場合、児童手当をもらえなくなる可能性があります。申請が遅れた場合でも、受け取れない月が出てくる場合がありますよ。

児童扶養手当

親が1人で18歳までの子供を育てているときにもらえるのが児童扶養手当です。配偶者が亡くなった場合だけでなく、離婚の場合や配偶者が重度の障害になった場合にも、児童扶養手当をもらうことができるようになります。

家族が亡くなったときにもらえる、そのほかのお金5つ

これまで紹介してきた以外にも、家族が亡くなったときにお金がもらえる・返ってくる制度があります。

  1. 寡婦控除(寡夫控除)
  2. 高額療養費制度
  3. 未支給失業等給付
  4. 未支給年金の請求
  5. 準確定申告

あてはまるものがある場合には手続きをしなければ損をする場合もあるため、注意しましょう。

配偶者と死別した人が受けられる寡夫控除(寡夫控除)

「寡婦控除」とは、夫と死別または離婚などした人が所得控除を受けられる制度のこと。「一般の寡婦」となるのか「特別の寡婦」になるのかによって、控除を受けられる金額が変わります。

また、妻を亡くした夫が受けられる「寡夫控除」という制度もあるもの。ですが、寡婦控除と比較しても寡夫控除の方が控除を受けるための要件は厳しくなっています。

高額な医療費があった場合のための高額療養費制度

「高額療養費制度」とは、病院や薬局で支払う医療費があらかじめ決まっている自己負担額を超えた場合に、超えた金額が支給される制度のこと。

自己負担限度額は、70歳以上なのか所得がいくらなのかによっても変わります。70歳以上で年収370万円までの場合、上限額は57,600円。70歳未満で年収370万円までの場合も、上限額は57,600円となります。

高額療養費制度の払い戻しをする際の申請期限は2年間。亡くなった人が加入していた公的医療保険に対して申請を行うことで、手続きをすることができます。

高額療養費制度については次の記事で詳しく解説しています。

受け取っていない失業保険を受け取れる未支給失業等給付

「未支給失業等給付」とは、失業保険を受け取っていた人が受け取れなかった失業保険を、残された家族が受け取れる制度のこと。

受け取ることができる家族は以下の6つのケースです。

  • 配偶者
  • 父母
  • 祖父母
  • 兄弟姉妹

未支給失業等給付請求書をハローワークに提出することで、死亡日の前日までの失業保険を受け取ることができます。

もらっていない年金を請求できる「未支給年金の請求」

「未支給年金の請求」とは、亡くなった人が受け取っていない年金を残された家族が請求できる制度のこと。

未支給年金を受け取ることができる家族は以下の7つのケースです。

  • 配偶者
  • 父母
  • 祖父母
  • 兄弟姉妹
  • 3親等以内の親族

ただし未支給年金には時効があり、5年と決まっています。

相続人が確定申告をしなければならない準確定申告とは?

「準確定申告」とは、確定申告をしなければならなかった人が年の途中で亡くなった場合、代わりに相続人が確定申告を行うこと。

給与収入が2,000万円以上などの条件にあてはまる場合には、準確定申告を必ずする必要があります。

ですが、年金などによる収入が400万円以下であり年金以外の所得が20万円以下の場合はする必要がありません。ただし、年金収入のみの場合は還付金が発生することが多いもの。手間でも準確定申告をしておいた方がいいでしょう。

なお準確定申告の期限は4カ月で、これを過ぎると延滞税が発生します。

住民税は還付されないという話を聞いたのじゃが、本当かね?
それは本当です。住民税は前年の所得に対して、次の年に支払うもの。亡くなった年の住民税はまだ払っていないため、還付することができないのです。

知らずに損をしない!家族死亡時のもらえるお金について知っておこう

家計を支えていた人が亡くなったときにもらえる遺族年金や業務中の事故で亡くなった場合にもらえる遺族(補償)年金など、亡くなった場合にもらえる年金にはいろいろな種類のものがあります。

亡くなった場合には、気も動転し手続きを忘れがちになってしまうもの。ですがしなければお金がもらえない手続きも多くあります。

例えば子供がいる場合には、もらっている手当などの引き継ぎなどをしておかなければ、手当を受け取ることができません。

もしものときの今後の生活を守るために、必要となる手続きを確認しておいてくださいね。