お墓・葬送

永代供養とは?タイプ別の費用の相場と契約前に知りたいルール

「永代供養(えいたいくよう)」という言葉を聞いて、どんなイメージが浮かびますか?お墓のあり方が多様化するなか、永代供養は「お墓」をもたない供養方法として、近年需要を伸ばしています。

永代供養を選んだ人は、どのような理由からその決断をしたのでしょうか。永代供養の意味や特徴、そのメリット・デメリットをまとめてご紹介します。「墓じまい」を検討する方や、お墓の後継者がいなくて心配している方は、ぜひご一読くださいね。

永代供養ってなに?普通のお墓との違いは「だれ」がお墓を管理するか

永代供養ってのは、これからずーっと供養をしてもらえるってことなんですかのう?
いえ、永代供養といっても、「永遠」を意味するわけではありません。一般的には供養期限が決められているんですよ。

永代供養(えいたいくよう)とは、寺院墓地や霊園がご遺族・ご子孫の代わりに供養・管理するお墓のことです。

「永代」という言葉から未来永劫のイメージをされる方もいますが、実際には無期限ではなく有限の管理期間が定められていることがほとんど。

一般的には33回忌までを供養期間とすることが多いです。

33回忌とは

故人の命日に供養をおこなう年忌のうち、満32年目におこなう法要のことです。

寺院や霊園によって設ける期間や条件は異なりますが、多くの永代供養では供養期限が決められています。この永代供養は、お墓の継承を前提にしない供養方法です。

同じような言葉の一つに「永代使用料(えいたいしようりょう)」があります。

永代使用料とは、お墓として使用する土地に対して支払う代金のことです。

永代といっても無期限という意味ではなく、永い世代に渡ってその土地を使用する許可を得るために支払うお金です。永代使用料を支払ったうえで、年間管理費等を納めるとお墓を継承する権利が得られます。

永代使用料はいくらくらい必要なのか、いつ支払うものなのかは次の記事で詳しく解説しています。

これに対し、永代供養料とは、寺院や霊園が永代にわたり供養をすることに対して支払うお金を意味します。永代供養は、所定の期間祀られたあと合祀をされ、寺院や霊園が存続する限り供養してもらうことができます。

永代供養料と永代使用料は、同じことを意味するわけではないので、意味の取り違いに注意してくださいね。

永代供養であればお墓のカタチは問わずとも、長きにわたり供養をしてもらうことができます。

通常の墓石を建てるタイプのお墓の場合、永代使用料を支払っていても、そのあと後継者がおらずお墓の管理をする人がいなければ、「無縁墓」として撤去されてしまうケースもあります。

どんな人が選ぶの?永代供養は「墓じまい」をしたい人の大切な選択肢

なるほど、お墓の管理をお寺や霊園に任せられるのじゃな。しかし、永代供養を選ぶ人にはどんな人がいるんですか?
それぞれに違った背景や目的を持った人に、永代供養は選ばれています。後継者がいなくなったお墓の「墓じまい」をする際にも、永代供養をする人が多くいるんですよ。

(1)お墓の後継者がいない人、親族にお墓を残したくない人

永代供養は、お墓の継承を必要としない供養方法です。少子化や核家族化が進む現代において、お墓離れは年々深刻になっています。

子どもたちにお墓の管理で面倒をかけたくない人や、後継者のいない単身者などにとって、あとの心配をせずに済む永代供養は時代のニーズにあった供養方法になっています。

(2)墓石を建てる費用を節約したい人

新しく墓石を建てると、非常に高いコストがかかります。永代供養であれば、単独で墓石を設ける個別型タイプでない限り、墓石分の費用を削減することができます。お墓にお金をかけたくない人にとって、永代供養は選びやすいお墓です。

(3)遠くに住んでいてお墓まいりに行けない人

せっかくお墓を建てても、遠くに住んでいてなかなか供養に行けなければ、お墓を管理していくことが難しくなります。永代供養なら、お墓の管理を寺院や霊園が代わりにおこなってくれるため、遠方に住む方にも安心できます。

(4)墓じまいをしたい人

墓じまいとは、お墓の管理者がいなくなり、お墓を撤去し、片付けることをいいます。

墓じまいをする際に、撤去した遺骨の行き先として永代供養は多く用いられます。

墓じまいをして永代供養をするときは、遺骨を元あるお墓から他のお墓へ移すため、「改葬」の手続きが必要です。

改葬とは

一度埋葬した遺骨を取り出し、他のお墓へ移すことです。改葬をするためには、お墓のある市区町村の所定の手続きを踏む必要があります。

改葬は基本的に次のような流れとなります。

  1. 元あるお墓の「埋葬証明書」を発行する
  2. 新しく移すお墓の「受入証明書」を発行する
  3. 管轄の自治体にて「改葬許可申請書」を提出し、「改葬許可」の交付を受ける

改葬に関するルールは、自治体によって異なるため必ず事前に必要な手続きを確認しておくようにしましょう。

永代供養にはどんなタイプがある?費用相場とお墓の特徴を4つご紹介

なんだか永代供養が気になってきたぞ。先生、永代供養にも何か種類があるんですか?
はい、永代供養とひとえに言っても、そのタイプはさまざまです。種類と費用相場についてご紹介しますね!

 

永代供養にも、さまざまな種類があります。それぞれの違いと相場をみてみましょう。

1.個別型

個別型の永代供養は、通常のお墓のように独立した墓石を設けます。墓石を建てるため、費用は100万円〜200万円ほどかかります。寺院や霊園で決められた期間が終了すると、墓石は撤去され、合祀として供養します。

2.集合型

集合型の永代供養は、納骨堂にある区分けした複数のスペースに遺骨を納めます。遺骨は個別の骨壷に入れられているため、あとから改葬することも可能です。予算は個別型よりとても低く、相場は20〜30万円ほどです。

3.合祀型

合祀型の永代供養は、ひとつのスペースに複数の遺骨をまとめて納めます。遺骨が区分けされていないため、あとから遺骨を取り出し、改葬をすることはできません。費用はもっとも低く10万円前後で用意することが可能です。

4.お墓+永代供養のセットプラン

最近では、通常のお墓に一定の期間を設け、期間が終了すると合祀として供養される永代供養セット型のお墓プランも登場しています。通常のお墓と同じく墓石の費用がかかるため、新しく墓石を建てる場合は、100〜200万円ほどの費用がかかります。しかし納骨堂であれば、30万円前後で利用可能です。

同じ「永代供養」といっても、その種類によって相場が違うんじゃな!
はい、遺骨を埋葬する形式によって、費用が異なることは覚えておくとよいでしょう。
先生。永代供養料とは別で、お布施も用意しなきゃダメですか?
別で用意しなければならない場合もあれば、永代供養料のなかにお布施が含まれているケースもあります。お寺や霊園の管理者に確認してみてくださいね。

永代供養のメリット・デメリットを解説。選ぶうえでの注意ポイント

永代供養にもそれぞれ種類があるんじゃな。どのタイプを選ぶか、何か気をつけることはありますか?
はい、それぞれの種類の違いを理解することも大切ですが、永代供養のメリット・デメリットを把握してから決断するようにしましょう。
永代供養のメリット
  • お墓の供養や管理を、寺院や霊園が代わりにおこなってくれる
  • 個別型で墓石を建てる場合以外なら、一般的なお墓より安い
  • 後継者がお墓を引き継ぐ心配がいらない
  • 墓じまいをする必要がない
  • 宗教や宗派に縛られにくい
永代供養のデメリット
  • 一度合祀をすると、あとから改葬ができない
  • 一定期間を経ると合祀されてしまう
  • 家族や親族からの理解が得にくい

永代供養は、お墓の管理や後継者への面倒を考えずに済む供養方法です。集合型や合祀型であれば費用を抑えることができ、墓石を建てる余裕のない方でも選びやすいお墓です。

しかし、永代供養といってもいつまでも個別に納骨されているわけではなく、17回忌や33回忌などあらかじめ定められた期間を経ると、合祀されることがほとんどです。

一度合祀をしてしまうと、あとから遺骨を取り出すことはできなくなるため、よく考えて決断をすることが大切です。

ちなみに手元に残った『位牌』は、どうしたらいいんじゃろうか?
お寺によりますが、一定期間や長期間『位牌』を預けたのち、お焚き上げされるのが一般的です。

「いずれ合祀され、お墓が残らない」という点から、お墓を残したいと思う親族にとってはなかなか理解が得られずトラブルになることがあるかもしれません。必ず親族間でよく話し合い、メリット・デメリットをきちんと共有しておくようにしてくださいね。

なお、永代供養では長期にわたり霊園やお寺が供養をおこうため、必ずしも遺族による法事は必要ありません。

もし遺族が望む場合は、通常のお墓と同様に法事を執りおこなっても問題ありません。永代供養をしながらでも、故人の供養を願い、遺族が集まる機会として法事をすることがあります。

永代供養なら、お墓の管理不要で後継者の心配なく故人を供養できる

永代供養は、お墓離れの進む現代でとてもニーズにあった供養のあり方であるといえます。

永代供養であれば管理する人がいなくなっても無縁墓地として処分されるのではなく、はじめから寺院や霊園に管理を任せることができます。

墓じまいもせずに済むため、永代供養は多方面でメリットを受けることができるでしょう。しかし、ほとんどの永代供養の場合、いずれは合祀をされお墓として、理解をしにくい人々も少なからずいます。

故人のお墓参りをしっかりとしたいと言う人もいるため、故人とご遺族双方の意思を尊重しながら、最適な選択をするようにしてくださいね。