介護生活の悩み
遠距離介護のすすめ!必要な準備や使えるサービスをご紹介

遠距離介護のすすめ!必要な準備や使えるサービスをご紹介

親と同居して介護をするのが、最高の親孝行だと考える人は多くいます。しかし同居介護が、本当に親と子の双方にとって1番の幸せなのでしょうか?実は、お互い距離をとって過ごしたほうがうまくいく事もあるのです。

このページでは、遠距離での介護について解説しています。遠距離介護を始める前にすべきことや、遠距離介護のメリットやデメリットについて説明していきます。

遠距離介護をする前にやっておくべき事

遠距離介護という選択を取る場合、しっかりとした準備をしておくことが重要です。介護を始める前に、以下のような点を調べて、家族でよく話し合わなければいけません。

  1. 自宅での介護と施設での介護のどちらを選ぶのか?
  2. 介護にはどの程度の費用がかかるのか?
  3. 親が持っている財産や入っている保険はどんなものなのか?
  4. 親はどういう交友関係を築いているのか?

1.自宅と施設どっちが幸せ?

まず、親を介護施設に入れるのは親不孝、という先入観は捨てましょう。

親が近くに住んでいるならともかく、遠距離介護では頻繁に親の様子を見に戻るのは困難です。高齢の親に一人暮らしをさせるより、施設に入って貰ったほうが安全に暮らせるのは間違いありません。

もちろん、遠距離介護では親を施設に入れるべき、ということではありません。親が絶対に自宅から離れたくない、と言う場合もあるでしょう。ただ施設介護という選択肢もあるということは知っておいたほうが役に立ちます。

自宅介護と施設介護では、必要な費用も変わってきます。親がどうしたいのか、自宅介護で本当に不自由なく暮らせるのか、など家族で良く話し合って決めましょう。

老人ホームに入るには、お金がたくさん必要じゃろう。そんな余裕は無いし、子供に迷惑をかけないためにも、自宅で過ごしたほうが良いのかのう。
そうとも限りませんよ。高齢者が自宅で暮らしていると、怪我をしてしまったり、病気の発見が遅れてしまったりで、入院しなければいけない事態になることがよくあります。
入院したら、お金もかかるし、見舞いに来させられる子どもたちにも迷惑がかかるじゃろうなあ。
福祉施設には、費用の安い特別養護老人ホームなどもありますし、一概に施設の方が費用が高くなるとも限りません。とりあえず施設介護も検討してみるのは悪くないでしょう。

2.介護費用の把握

介護において、お金の問題は大事です。親の家への行き帰りにも費用がかかりますし、入院費など思わぬ出費が出てくることもあります。

在宅介護なら、どんな介護サービスが必要でいくらかかるのか、施設介護なら入居時費用や月額費用はいくらかかるのか、事前に調べておくと良いでしょう。

3.親の預金や保険はどうなっている?

介護に必要なお金を子供が賄おうとすると、負担が大きくなりすぎたり、兄弟間でトラブルが起こってしまったりします。

介護費用は、親のお金でまかなうのが基本です。そのため、親の預貯金や年金の額、それから入っている保険などを調べておきましょう。

親に貯金額などを聞くのは気まずいかもしれませんが、こうした確認は大切なことです。高齢者は詐欺被害などにも合いやすいため、そうした面からも親の資産把握は重要です。

4.親の日常生活はどうなっている?

遠距離に住んでいる親を、子供だけの力で介護しようとすると無理が出てきます。親の周囲の人の協力を仰ぎましょう。

こうした協力を得るためには、親の交友関係や、かかりつけ医を把握しておくことが大事です。

帰省したときなどは、親の友人やかかりつけ医、民生委員などにしっかりと挨拶をしておきましょう。

遠距離介護の役に立つサービスや施設

遠距離介護をする場合に、役に立つサービスや施設などを紹介します。

  • 交通機関の割引サービス。
  • 訪問介護サービス。
  • シルバーハウジング。

移動費はなるべく安く

遠距離介護では、想像以上に移動費がかさみます。過度の経済的負担は軋轢のもとにもなりやすいため、なるべく抑えるのが良策です。

こうしたときに便利なのが、交通機関の割引サービスです。飛行機や電車など、各種交通機関の割引サービスについて知っておくと役に立つでしょう。

訪問介護を利用する

訪問介護というのは、ホームヘルパーを自宅に呼んで食事や買い物代行などの生活支援を受けることです。こうした訪問介護を受けるのは、完全に体が不自由になってからだと思っていませんか?

しかし介護度は7段階に分けられており、寝たきりまでいかなくても、要支援などの認定を受けることは可能です。

要支援の認定を受けて、介護予防をするのは、体を健康に保つ助けにもなります。早めに訪問介護を利用して、親を無理させないというのも大事なことです。

シルバーハウジングへの入居

高齢者が安全に暮らせる住宅が、自治体などによって建てられています。こうした住宅を「シルバーハウジング」と言います。

シルバーハウジングでは、手すりが多く設置されていますので、体が弱った高齢者でも自力で移動しやすくなっています。もちろんバリアフリーで、転倒事故防止もしています。

シルバーハウジングは、建物の安全に力を入れていますが、その他のことは普通の賃貸物件とだいたい同じです。福祉施設には入りたくないと考えている人でも、賃貸マンションと同じ感覚で利用できるでしょう。

シルバーハウジングですか、よさそうですね。でもこういう自治体の住宅って、なかなか入居できないイメージがあるんですけど。
たしかに公営住宅は、抽選に落ちてしまうと入居できませんね。そういう場合は、シルバーハウジングとよく似たサービスで、民間企業が建てている「サ高住」を利用するのがよいでしょう。


遠距離介護のメリットとデメリット

遠距離介護にはメリットもありますが、デメリットもあります。メリットとデメリットを比べて、自分たちの状況にふさわしい介護方法を考える必要があるでしょう。

遠距離介護のメリット

遠距離介護には、以下のようなメリットがあります。

  1. 親は、住み慣れた街で暮らし続けられる。
  2. 親は、子供に必要以上の負担をかけずにすむ。
  3. 子供は、今の仕事を続けられる。
  4. 子供は、介護による負担をおさえられる。

まず同居介護を目指す場合は、子供が仕事を辞めるか、親が住み慣れた町を捨てるかのどちらかが必要になります。遠距離介護なら、こうした問題を起こさなくてすみますので、親と子の双方にメリットがあります。

もう一つ、同居介護や近距離介護の場合、介護している子供側が先に倒れてしまうことがよくあります。遠距離介護なら、子供へのストレスを減らして、介護による共倒れを防ぐことができます。

遠距離介護のデメリット

遠距離介護には、以下のようなデメリットもあります。

  1. 介護費用が高くなりがち。
  2. 緊急時のすばやい対応が難しい。

遠距離介護の場合、どうしてもホームヘルパーなどの力を借りなければいかないこともあるでしょう。また、子供の行き帰りにもお金がかかります。そのため、同居介護や近距離介護よりも、費用が高くなってしまうのが普通です。

また、親に何かがあった場合、発見や対応が遅れてしまう危険性もあります。

やっぱり離れて暮らすのは不安ね……。
たしかにそうですが、こうした問題は見回りサービスなどを利用することにより、軽減できます。安否確認をしているシルバーハウジングやサ高住を利用するのも良い方法でしょう。

同居介護が最善とは限らない

親と同じ家で介護をするのが、最善の方法とは限りません。

介護は負担が大きく、しかも長く続くものです。そのため、常にそばにいて介護をしていると、子供の方が先に参ってしまうことになりがちです。子供が倒れてしまえば、その方が親を悲しませることになります。

こうした問題を起こさないためにも、遠距離介護でうまくできないのか検討してみることが必要でしょう。