介護生活の悩み
在宅介護のメリットとデメリット!施設介護を選ぶべき人とは?

在宅介護のメリットとデメリット!施設介護を選ぶべき人とは?

高齢者向けの介護施設は増えてきていますが、やはり在宅介護の方が良い、と考えている人は多いでしょう。

たしかに在宅介護には多くのメリットがあります。しかしデメリットも多いため、よく検討もせずに気持ちだけで在宅介護を始めてしまうと、後悔することになりかねません。

このページでは、在宅介護のメリットとデメリットについて詳しく説明しています。

在宅介護と施設介護の違いとは?

在宅介護と施設介護を比べたとき目につくのは、「費用」の問題でしょう。一般的には、施設介護よりも在宅介護の方が安くすみます。

ただし、在宅介護でも意外に費用がかかるという事も知っておいたほうが良いでしょう。

在宅介護でも、大きな費用がかかるんですか?
そうですね。たとえば普通の家は、高齢者の安全に配慮した作りにはなっていないでしょう?手すりをつけたり、段差を無くすリフォームをすると、かなりの出費になってしまいます。
ああ、お年寄りが家で転んで大怪我した、とかよく聞きますよね。
リフォームをしない場合でも、車椅子や介護用のベッドなど、介護に必要な物の購入費も考えなくてはいけません。

※介護保険によるリフォームの特集記事

在宅介護と施設介護の介護費用の目安

在宅介護に必要な費用は、要介護度によって変わり、要介護度が高くなるに連れて必要な費用も増えてく傾向があります。

要介護度 平均介護費用(月額)
要介護1 33000円
要介護2 44000円
要介護3 59000円
要介護4 59000円
要介護5 75000円

これは在宅介護における介護費の平均ですが、施設介護の場合でも介護費自体はそう変わりありません。それどころか、介護費だけに限って言えば施設介護の方が安くなる場合もありえます。

たとえば特別養護老人ホームなら、要介護1の介護サービス費は「16710円」で、要介護5でも「24870円」です。これに消耗品代やサービス加算などが追加されますが、それでも在宅介護の平均費用と同等か、それ以下に収まる場合が多いでしょう。

特別養護老人ホームの特集記事はコチラ

在宅介護と施設介護で介護費以外にかかる費用

介護費自体は、施設介護の方が安くなる場合が多いのですが、施設介護の場合は「家賃」「管理費」などが別途かかります。

これらの費用で月額5万円~20万円程度は必要になります。ですから合計金額では、施設介護の方が費用が高くなるのが普通です。

また、施設介護では入居時に「入居一時金」か「敷金」が必要な場合が多くなっています。敷金制の施設ならともかく、入居一時金制の施設の場合は、かなりの金額が要求されることも珍しくありません。

在宅介護のメリット

在宅介護には、以下のようなメリットがあります。

  1. 親は子供(家族)と暮らせて安心できる。
  2. 総合的な出費は施設介護より少ない。
  3. 自由度が高い。
  4. 親は生活環境が変わらないため、暮らしやすい。

家族といっしょは安心

やはり家族といっしょに暮らしたい、と思っている高齢者が多数派です。他人の世話を受けるよりは、家族に介護してもらったほうが満足できる場合が多いでしょう。

やっぱり家族と暮らしたほうが安心よね。
そうですね。じっさい、介護の仕事をしている人が、どんなに一生懸命に介護をしても、被介護者に「家族に世話されたい」と言われることもよくありますし。

施設介護よりも出費を抑えられる

通常は施設介護よりも、在宅介護の方が費用を抑えられます。

ただし要介護度が増えてくると、在宅介護でも介護費が高くなります。こうなると、施設介護と大差ない費用がかかる場合もありえます。

親の自由度が高い

施設に入居すると、集団行動が必要になって来る場合が増えてきます。しかし在宅介護なら、親は自分の意志で好きなように行動できます。

また、デイケアサービスなども、被介護者と介護者が話し合って、必要なものだけを自由に組み合わせて利用することが可能です。

環境が変わらず親の負担が少ない

親がもとの家で暮らし続けられる場合は、環境が変わらないため、親に負担をかけずにすみます。

ただし在宅介護でも、子供の家に親を呼び寄せるパターンでは、このメリットはありません。

在宅介護のデメリット

在宅介護には、以下のようなデメリットもあります。

  1. 介護者の負担が大きくなる。
  2. 介護者の人生に影響があらわれる。
  3. 緊急時の対応に不安が残る。

在宅介護は家族の負担が大きくなる

在宅介護では、子供(介護者)の負担が大きくなります。毎日の介護による肉体的な負担だけではなく、だんだんと積もっていく精神的なストレスも見逃せません。

じっさいに在宅介護によって、親より先に子供のほうが参ってしまうケースは珍しくありません。

子供の生活が崩れるのが在宅介護の問題点

単純に子供の負担が増えるというだけでなく、在宅介護は子供の人生に大きく影響を与えてしまう危険性があります。

その端的な例が「介護離職」です。介護には時間がかかりますので、働きながらおこなうのは困難です。そのため、仕事を辞めて介護に専念しようとする人も出てきます。

介護離職はやっぱりよくないですかね?収入が無くなると、親の介護費を用意するのも難しくなるしなあ。
それだけではありませんよ。親が亡くなったあとの事も考えなくてはいけません。職を失った子供自身の老後はどうなると思いますか?自分のために使えるお金が残っておらず、苦しい生活を強いられるかもしれません。

万が一のときが怖い

家族による介護は安心はできるでしょうが、あくまで素人介護となります。そのため、緊急時の対応などに不安がのこります。

在宅介護のメリットとして、親の行動の自由さを挙げましたが、これはデメリットにもなります。親が勝手に出歩いてしまい、行方不明になってしまったというような事例は少なくありません。

施設介護と違って在宅介護では、24時間体制で親を見守るというのは不可能です。

在宅介護の何が大変なのか?

在宅介護で問題になるのが、介護のための時間です。要介護度にもよりますが、介護には非常に長い時間がかかります。

肉体的な負担は非常に大きくなり、睡眠不足にも陥りやすくなるでしょう。

やっぱり在宅介護は、子供に大きな負担をかけてしまうのじゃなあ。
子供が介護にかまけきりになって、社会から孤立してしまうという問題もありますね。こうした状態では、精神的にも追い詰められてしまいます。

介護サービスをうまく使って負担を減らしたい

在宅介護を行う場合は、うまく在宅介護サービスを利用することが重要です。本当に家族だけで介護しようとすると、負担が大きすぎて破綻しやすくなってしまいます。

また介護者は、介護だけに目をやらずに、友達と遊びに行ったりすることも大事です。

在宅介護がおすすめなのはどんな人?

在宅介護を選んでも問題が少ないのは、親の要介護度が低く、ある程度は親自身が身の回りの世話をできるような家庭です。

逆に要介護度が高い場合は、介護者の負担が大きく、介護にかかる費用も高くなりがちですのでおすすめできません。

また、主介護者以外にも、介護に協力してくれる人が複数いる場合は、在宅介護も視野に入れて良いでしょう。自分ひとりしか介護をできない、というような環境での在宅介護はリスクが大きくなります。

在宅介護か施設介護かは良く考えて!

在宅介護には、親が安心できる、費用が安くなる、などのメリットがあります。

しかし在宅介護は、介護者の負担がかなり大きくなりますので、安易に在宅介護に決定することはおすすめできません。

介護に協力してくれる人はいるのか、などよく検討してみるべきでしょう。