ETF投資入門
強制売却させられる可能性もあるETFのデメリットとは

強制売却させられる可能性もあるETFのデメリットとは

ETFは上場投資信託であり、特定の指標に連動するという分かりやすさから初心者にもオススメの投資方法だと言われています。しかし、ETFにはメリットだけでなくデメリットもあるのです。

せっかくETFを購入しても強制売却させられてしまう恐れがある!?積立投資が難しい!?それはどういう意味なのか、今回はETFを選ぶ前に知っておくべきETFのメリット、そしてデメリットについて、詳しく解説していきましょう。

ETFのメリットとデメリットをチェック

まずは、ETFのメリットとデメリットをご紹介していきます。

メリット デメリット
・リアルタイムでの売買が可能
・信託報酬が低い
・リスク分散効果がある
・最低購入額が通常の投資信託より割高
・価格の変動が大きい・人気に左右される
・売買手数料がかかる

ETFが低コストと言われている理由には、やはり信託報酬の安さがあるでしょう。ETFの信託報酬はだいたい0.1%~1%程度と、通常の信託報酬より低い水準となっています。

また、多くの銘柄に分散投資するためリスク回避ができ、取引価格を見ながら注文、売却することができるのも魅力です。

ただ、ETFにはデメリットもあります。上記で挙げた3つのデメリットについて、それぞれ解説してきましょう。

最低購入額が通常の投資信託より割高

ETFは、金額ではなく口数での購入が基本です。各ファンドによって最低購入口数も決まっており、数千円から1万円程度からの購入になります。

一方、通常の投資信託の場合は100円から購入できるものもありますので、そちらと比較するとETFは割高になってしまうと言えるでしょう。

価格の変動が大きい・人気に左右される

ETFは、純資産価額ではなく需要によって決まります。買い手がいなければ価格が低くなり、買い手が多ければ価格が上がるという仕組みなので、人気に左右されるものとなっています。

また、元々ETFは値動きのある有価証券などに投資することで、価格変動のリスクがあります。この点もデメリットだと言えますね。

売買手数料がかかる

ETFは信託報酬の低さが魅力ではありますが、1回の売買ごとに売買手数料が発生してしまうことが多いです。

売買手数料は証券会社によって異なります。ですから、売買手数料の低い証券会社を選んで取引をすることで、コストダウンは可能です。

手数料がかると、なんか損した気分になるなぁ。売買手数料が無料のETFがあればいいのに。
売買手数料が無料のフリーETFも登場していますよ。信託報酬は発生しますが、売買手数料が無料となれば大きくコストダウンできるのでオススメです。

強制売却しなければダメ!?上場廃止になったらどうなる?

上場していることが前提であるETFですが、その銘柄が上場廃止になる可能性もゼロではありません。では、上場廃止になった場合はどうなってしまうのでしょうか。

まずは、上場廃止になった場合の流れを見ていきましょう。

上場廃止から信託終了までの流れ
  1. 上場廃止申請
  2. 整理銘柄指定期間
  3. 上場廃止
  4. 受益権の買取請求期間
  5. 信託終了
上場廃止をしたら、すぐに信託契約が終了するのかと思ってた。
まずは上場廃止までのあいだに、1カ月間の整理銘柄指定期間が設けられます。この期間が、ETFを売買できるチャンスになるので覚えておきましょう。

整理銘柄指定期間のタイミングで売却をするということは、自分の想定した価格での売却ができない可能性が考えられます。

整理銘柄指定期間終了後、ETFは正式に上場廃止となります。

整理銘柄指定期間で売却しなかったETFはどうなる?

もし整理銘柄指定期間でETFを売却しなかった場合は、買い取り請求期間内での換金が可能となります。このとき、運用会社から指定された証券会社へ買い取り請求を行うという手間が発生します。

指定された証券会社の口座を持っていない場合、新たに取引口座を開設する、そして上場廃止となったETFを預けている証券会社の口座から振替を行わなければいけません。

買取価格の基準価額は、買い取り請求を受け付けた翌営業日の金額で計算されることが多いようですが、こちらもファンドによって異なりますので確認が必要です。

買い取り請求期間については、信託終了日の数日前までなど指定されていますのでこちらもしっかりと確認しておきましょう。

いずれにしても、自分の想定外の金額での売却となる可能性が高くなるのは確かでしょう。

売却せずにETFを持ち続けることは可能?

整理銘柄指定期間のあいだにETFを売却しないと、どうなるんですか?希望金額になっていないと、売却・買取請求を躊躇してしまいそうです・・・。
実は、信託終了日から10年間は償還受益証券による買い取り請求の手続きが可能となっています。

ただし、償還受益証券による買い取り請求の基準価額は信託終了日のものとなるので、長期間保持したからと言って値上がりするものではありません。

どのような手段を用いても、上場廃止時に自分の希望する金額でETFを売却することは困難であり、指定されたタイミングでの売却を余儀なくされるということを認識しておきましょう。

上場廃止だけじゃない!?ETFで注意しておきたい繰上償還とは

ETFでは、上場廃止になった場合のみ強制売却が求められるわけではありません。実は繰上償還※になった際にも、強制売却せざるを得なくなってしまうのです。

繰上償還とは

運用を途中で止め、ファンドを終了すること。通常無期限となっている投資信託を強制的に終了させることになり、希望した金額や期間での運用ができなく恐れがある。

繰上償還になる理由としては、次の3つが挙げられます。

  • 受益権の口数が定数を下回った(口数はファンドによって異なる)
  • 信託契約終了・解約が受益者の有利になると運用会社が認めた
  • ファンドが連動している指標・指数が廃止された

まず、ETFは一定の口数がなければ運用継続ができません。この口数はファンドによって数十万口というファンドもあれば、数百万口という設定になっているファンドもあります。

口数が減少することは繰上償還に繋がる恐れが高まるので、まずは購入したETFの口数について同行をチェックすることが大切だと言えるでしょう。

繰上償還も上場廃止と同様に、長期運用を希望している場合はそれを中断せざるを得なくなり、その時点での売却を余儀なくされます。

ETFの商品は非常に多くあるため、人気商品とそうではない商品の差も大きなものとなっています。だからこそ、どのファンドを選ぶのかという見極めが重要なのです。

ETFでは積立が難しいと言われる理由とは

ETFは低コストで運用できるために積立てに向いていると言われている一方で、積立てには向いていない、積み立ては面倒だと言われることがあります。それは何故でしょうか。

ETF積立投資の2つのメリットとは

まず、ETFで積み立てをするメリットを見ていきましょう。

  • 低コスト
  • リアルタイムでの売買が可能

ETFは、信託報酬が通常の投資信託よりも低くなっているので、長期で積み立てをする際には低コストで済むというメリットがあります。

また、相場を見ながらリアルタイムでの売買が可能で、購入口数の調整も実際の相場を見ながら行うことができるという点も魅力だと言えるでしょう。

ETF積立投資の2つのデメリットとは

  • 定額積立が難しい
  • 分配金の再投資が自動で行えない

まず、ETFは金額ではなく口数での購入になります。

ですから、10口単位での購入が必要な場合、1口1,000円であれば1万円の投資となりますが、翌月は1口1,500円となれば10口で15,000円必要になるわけです。

毎月決まった金額で積み立てできたほうが、家計のやりくりが楽でいいわ。でもETFは積み立てる金額に変動があるんですね。
いえ、ETFのなかには、定額での積み立てが可能な「るいとう(株式累積投資)」を取り扱っているところもあります。
そうなんですか?それは助かるわ!
ただし証券会社がETFを「るいとう」の対象銘柄にしていない場合もあります。しっかり確認してくださいね。

また、通常の投資信託であれば分配金を都度受け取ることができるのはもちろん、再投資するという選択肢もあります。自動的に分配金が同じファンドの購入に再投資されるだけでなく、1円単位で端数を運用することができるというメリットがあります。

しかし、ETFの場合は自分自身で再度購入しなければいけないという手間がかかってしまうのです。

積立したい方はつみたてNISAを検討してもいいでしょう。特集記事はコチラ
つみたてNISA(積立NISA)の始め方を徹底解説!

ETFはメリットだけでなくリスクもしっかり把握してから始めよう

ETFは低コストで分かりやすいというメリットがある一方で、売買のたびに株式売買手数料がかかる、最低購入額が割高になる、上場廃止や繰上償還のリスクがある、といった点も把握しておく必要があります。

投資は、必ず利益を上げられるというものではありません。そのことを認識した上で、ETFのメリット・デメリットをチェックし、選択肢の1つとして検討するようにしたいですね。