ETF投資入門

金ETFとは?特徴やメリット・デメリットを踏まえて銘柄を選ぼう

世界情勢が不安定な今の時代、日本のような先進国に住んでいるからといって、必ずしも将来が安泰とは限りません。もしも戦争のような地政学リスクが発生した時、たとえ日本円であっても価値が下がる恐れがあります。

もしも金融危機のような有事が発生し、株が大暴落すると、今まで購入し続けてきた株などの金融資産がすべて台無しになってしまいます。ただし、金は例外です。

金などの安全資産の場合、有事が発生しても、価値を保つことができます。そればかりか、安全資産に対する需要が増すことで、価値が増大するかもしれません。

危機に強い金は、万が一の事態が発生した時に身を守ってくれる、保険的な要素が強い金融商品となります。

今回は、金ETFの特徴とそのメリット、そしてデメリットを解説します。

金ETFとは?金価格に連動している上場投資信託

金ETFの金とは、ゴールド(Gold)のことで、金価格に連動している上場投資信託(ETF)のことです。

ETFは、株式投資と同じでいつでも自由に売買ができます。さらに、少額から取引できる、信用売りができるなどの特徴があります。そのため、金ETFの取引をするとなると、少額からでも金に投資ができるばかりか、金価格が下落している場面では信用売りをすることで利益を稼ぐことができます。

金に投資をするというと、インゴッドや金貨などのゴールドを直接購入するという方法をイメージするかもしれません。しかし、いくら少量とはいえ、金の価格は高いです。なにより、金の現物を保管するとなると、何かと手間がかかります。

ちなみに金を購入するとなるといくらぐらいかかるのですか?
金の延べ棒だと、購入しようと思ったら数十万円から100万円はかかりますね。金貨でも10万円ほどはかかります。安く金に投資をしたいなら、月々数千円から始められる金ETFの方がおすすめですよ。

金ETFならば直接保管する必要がありません。なにより、取引手数料が安いため、どこまでも低コストな金投資ができます。

将来に備えて金へ投資をしたいという方にほど、金ETFはオススメの金融商品です。

金ETFの仕組みや特徴は?

金ETFは金価格に連動しているETFであり、その仕組みは株とほとんど同じです。株を購入する感覚で、金の売買ができるETFといったところです。

金ETFを取り扱っている証券会社を利用すれば、今後いつでも自由に金へ投資をすることができるでしょう。金の現物取引と違って、金ETFは信用売りができます。そのため、金価格が上昇している時だけでなく、下降相場であっても利益を獲得するチャンスがあります。

例えば、金ETFの価格が4000円の時に信用売りをし、3600円まで値下がりした後に金ETFを買い戻せば、下落した400円分の利益を得ることができます。

金価格は他の金融商品と比べ、ボラティリティが激しいです。そのため、将来に備えて長期保有するという投資家だけでなく、高いボラティリティを利用して稼ぎたいという短期投資家からも人気があります。

さらに、金価格は株などの価格と反対方向に動きやすいという特徴があるため、それを利用して分散投資をする投資家も多くいます。

金は「有事の金」と呼ばれるほど、危機に強い安全資産です。実際、2008年のリーマンショック以降、全世界の株が全面安になる中、金ETFの価格は上昇したほどです。

株が売られる時、金は買われる傾向があります。この相関関係を利用することで、リスクヘッジができます。

例えば、金融危機が原因で、株が大暴落するとします。その時、事前に金ETFを購入しておけば、株が暴落して資産が減る一方で、金融危機による需要増で金の価格が上がることで、株が暴落した事で発生した損失を金ETFの利益でカバーすることができます。

金ETFは株と同じように売買ができる一方で、株とは反対方向に価格が動くという特徴があるので、まさに分散投資向きの金融商品です。

貴金属ETFとは?

金ETFへ投資をする際には、他の貴金属ETFと混合しないように注意しましょう。

証券取引所に上場している銘柄は金ETFだけではありません。

金ETF以外の貴金属ETFの例
  • 銀ETF
  • プラチナETF
  • パラジウムETF
  • 貴金属バスケットETF

これらのETFは、それぞれの貴金属の現物を対象に運用を行っています。

金や銀、プラチナ、パラジウムなどの貴金属の価値を裏付けにしているETFのことを貴金属ETFと呼称します。貴金属といっても、それぞれ用途や需要に違いがあります。

例えばパラジウムならば、自動車用の触媒として使用されているため、自動車の生産台数が伸びると、パラジウムの需要が増し、価値が上がります。

プラチナも同様で、こちらはディーゼル自動車の触媒として使用されるため、やはり自動車の生産が上がると、需要増でプラチナの価値も上がりやすいです。

銀は他の貴金属と違い、利用用途の範囲が大きい貴金属です。スマートフォンや太陽電池など、工業品としてのニーズが高いです。

宝飾品としてのニーズがある金は、時代に関係なく、常に価値を有している安全資産です。他方でプラチナの場合、宝飾品としてよりも工業用に使用される機会が多く、景気動向の影響を受けやすいという特徴があります。

プラチナは本来、金よりも希少な貴金属です。しかし、経済動向の影響を受けやすいということもあってか、2011年頃は金よりも価値が低くなっています。

この時期というと、サブプライムローンやリーマンショックなどの経済危機が重なることで、世界全体の経済が不安定になった頃合いです。

2011年頃までは、経済が安定していたということもあってか、プラチナは金よりも価値が高い貴金属でしたが、それ以降は逆転し、金よりも価値が下がっています。同じ貴金属でも、金とプラチナでは反対方向に価格が動きやすいです。

そのため、貴金属ETFに投資をする際には、金ETFとプラチナETFの両方を購入すると、リスクヘッジがしやすくなるでしょう。

金ETFに投資をするメリットとデメリットとは?

金ETFは、金の現物投資とは違います。確かに金価格に連動しているETFのため、金に投資をするのと同じ恩恵を受け取ることが出来るのですが、ETFであることに違いはありません。

金ETFには、金の現物投資にはない魅力があります。他方で、金ETFならではのデメリットもあります。

ここでは金ETFのメリットとデメリットをそれぞれ解説します。

ETFをするメリットってそもそも何なのかしら?
ETFは証券取引所に上場していますので、いつでも取引ができますよ。これが金の現物取引の場合、金を購入するためには店舗まで行かないといけないので面倒かもしれませんね。ネット証券のETFなら、自宅にいながらでも取引できますよ。

金ETFのメリット

金ETFのメリットは非常に多いです。

金ETFの主なメリット
  • 証券会社で取引できる
  • リアルタイムで売買可能
  • 指値注文でタイミングよく売買できる
  • 信用売りができる
  • 少額から投資ができる
  • コストが安い
  • ETFによっては金の現物と交換できる

多様な利点が金ETFにはあります。

証券会社でリアルタイムで取引できる

まず証券会社を利用できるという点は、投資家にとって大きいメリットになります。

証券会社で売買ができるのであれば、いちいち店舗まで出向く必要がなく、すぐに売買ができます。ネット証券ならば、オンライン上で取引ができるので、リアルタイムで迅速な取引ができます。

希少価値がある上に、世界中よりニーズのある金は、ボラティリティが高い金融商品でもあります。せっかく金価格が高騰し、含み益が出たとしても、そのタイミングで売却できないと利益を確定させることができません。

利確をするためには、含み益が出た時に、すぐに売却する必要があります。その点、証券会社で取引ができる金ETFならば、まさにこちらの思惑通りのタイミングで売買ができます。

指値・信用売り注文が可能

指値注文をすれば、より確実なトレードができるでしょう。

指値注文とは、価格を指定した注文方法のことです。仮に2000円の時にETFを購入し、3000円まで上がった時に売るという指値注文を事前に出しておけば、常にチャートをチェックせずとも、価格が変動した時に自動的に売却し、利益を確定させることができます。

ETFで稼げるタイミングは、上場相場だけではありません。信用売りができるので、下降相場でも金ETFならば利益を稼ぐことができます。

少額から投資ができ、コストが安い

金は確かに安全資産で、普遍的な価値のある金融商品です。しかし、時には価値が下落することもあります。そのような時に信用売りをすれば、価値が下がった分だけ、利益を得る事ができます。

テクニカル分析やファンダメンタルズ分析が得意な投資家からすると、金ETFは長期投資だけでなく、短期投資にも向いている魅力的な金融商品です。

なにより金ETFはコストが安いです。現物取引と違って、金を直接保管する必要がないので、保管料がかかりません。取引コストに関しても、金ETFなら信託報酬と売買手数料ぐらいしかコストがかからないため、現物取引よりもよほど安いでしょう。

金ETFは少額から投資ができる

これらの利点に加え、金ETFは少額から取引ができるというメリットがあります。1万円以下から金へ投資ができますので、毎月少額ずつ金に投資をし、積み立てることも可能です。

いきなり高額のインゴットを購入するよりも、お手軽に、そして低コストで投資ができる金ETFの方が、投資には向いています。

他にも、一部の金ETFの中には、貴金属地金の現物と交換することができるなどの利点があります。

金ETFのデメリット

金ETFは確かにメリットの多い金融商品ですが、デメリットもあります。

金ETFの主なデメリット
  • 配当や分配金のような利息がない
  • 金融機関が破綻すると資産が消失する可能性がある

まず金ETFは、株などと違って配当金がありません。金ETFをどれほど長期にわたって保有したところで、利回りは期待できません。

金ETFとは、インカムゲインではなく、キャピタルゲインで稼ぐ金融商品なのです。配当や分配はありませんので、インカムゲイン狙いの長期投資には不向きです。

もちろん、安全資産という強みがあるため、将来どこかの時点で金融危機が発生した時、普遍的な価値を持つ金ETFは、資産を防衛する上で真価を発揮してくれるでしょう。

しかし、それは言い換えると、今後何十年にもわたって平和が続くと、金ETFの真価を発揮させる場面がないことを意味します。

金は有事に強く、平和には弱いです。

そして、これは金ETFならではのデメリットなのですが、いざ金融危機が発生し、金融機関が破綻するほどの事態に直面すると、金ETFへ投資したお金を回収できない恐れが生じます。

これが現物取引の場合、現物が手元にあるため、いつでも売却可能です。しかしETFの場合、現物を保有していないため、金融機関が破綻すると、そのまま資産も一緒に消えてしまうかもしれません。

このように、金ETFはいざ有事が発生した時に使えなくなるかもしれないというデメリットがあります。インカムゲインがなく、有事の際に破綻のリスクがある金ETFは、長期投資には向かない金融商品かもしれません。

金ETFにはどのような銘柄があるのか?

金ETFへ投資をする場合、どのような銘柄を選べば良いのでしょうか?具体的にどのような銘柄が上場しているのでしょう?

金ETFの銘柄というと、まず銘柄コード「1540」の「純金上場信託(金の果実)」が有名です。

こちらは金地金1gの現在価値に連動している国内ETFで、その最大の特徴は金地金の現物と交換ができる点にあります。

金ETFというと、他にも「1326」の「SPDR ゴールドシェア」や「1672」の「ETFS 金上場投資信託」などがあります。

「SPDR ゴールドシェア」は現在1万2000円台を推移、「ETFS 金上場投資信託」は1万3000円台を推移、「純金上場信託(金の果実)」は4000円台を推移しています。(2018年8月8日時点)

どの銘柄を選んでも、金価格に連動している以上、価格に違いこそありますが、似たような値動きをします。

ただ、銘柄によっては手数料などに違いが生じるため、銘柄を選ぶ際にはコストを参考に比較すると良いでしょう。

金ETFってどれも金価格に連動しているのですよね?銘柄によって違いはあるのかしら?
そうですね。金価格といっても、ロンドンの金現物の価格と、国内の金価格では違いがあります。どの金価格に連動するかによって、違いが生じますね。ただ、それ以外についてはあまり違いはないです。金ETFの場合、銘柄選びよりも、証券会社選びの方が大切ですね。

金ETFを取り扱っている証券会社とは?

金ETFは、証券会社で取引できます。金ETFに投資をするなら、金ETFを取扱っている証券会社を選びましょう。

金ETFは人気のある金融商品ということもあってか、どの証券会社も取り扱っています。

金ETFを取り扱っている主な証券会社
  • カブドットコム証券
  • SBI証券
  • 楽天証券
  • マネックス証券
  • 松井証券

どの証券会社を選んでも、金ETFの取引が可能です。ただし、証券会社によって手数料に違いがあります。

小口の注文向きの証券会社がある一方で、大口の注文向きの証券会社もあります。

証券会社にはそれぞれに特徴があるため、自分の投資戦略と相性が良い証券会社を選びましょう。

証券会社は、手数料が一番安いところを選べば問題なさそうね。
確かにその通りなのですが、ただ約定代金によってそれぞれ手数料が違うので、一概にこの証券会社が一番安いとは言えません。証券会社を選ぶ際には、いくらから金ETFを購入するつもりなのか、投資戦略を考えてからの方が良いですよ。

どの証券会社を選んでも同じなのか?

どこの証券会社を選んだところで、銘柄が同じなのであれば、違いはありません。

銘柄が同じである以上、同じように価格が動くでしょうから、証券会社によって使い分ける意義はないです。

ただし、証券会社によって取引手数料に差異がありますので、必ず手数料だけは確認しておきましょう。

金ETFを少額で購入したいと考えているのであれば、ETFの手数料が10万円まで0円になる松井証券がオススメです。

ただし、松井証券は、約定代金が10万円を超えると、他社と比べて手数料が高くなります。10万円以上の取引をするなら、SBI証券や楽天証券などの方が安いのでオススメです。

約定代金によってオススメになる証券会社に違いがあるため、金ETFにいくら投資をするつもりなのかを事前に決めておきましょう。

金ETF投資を始める前にメリット・デメリットを理解しよう

金価格に連動する金ETFは、株などと同じような感覚で自由に売買できます。

少額からでも購入できる事に加え、信用売りができるなど、他にはないメリットが金ETFにはあります。なにより、安全資産の代表格である金は、株とは正反対の方向に価格が動きやすい金融商品のため、分散投資でリスクヘッジをするには最適な対象となるでしょう。

他方で、金ETFには配当金などのインカムゲインがないなどのデメリットがあります。金ETFに投資をする際には、デメリットに注意を払いましょう。

金ETFは金価格と連動しているETFのため、どこの証券会社を選んだところで大差はありません。ただし、証券会社によって手数料に違いがあるので、その点に配慮しましょう。

手数料が安い証券会社を利用することで、どこよりも低コストな取引環境で金ETFへの投資を始められます。