ETF投資入門

ETFのおすすめ銘柄は?利回りや配当だけじゃない選び方のコツ

ETFの魅力といえば、特定の企業や業界について詳しくなくてもお手軽に投資ができる事や分散投資がしやすい事、コストが安い、株と同じようにいつでも売買できる、などのメリットがあります。

分配金利回りが高いETFともなると、5%を超えることもあるほどで、銘柄によっては株に投資をするよりもETFに投資をした方がリターンが大きいこともあります。

では、利回りが高いETFだけを選べば資産運用に成功するのかというと、そのようなことはありません。ETFの銘柄を選ぶ際には、利回りのランキングだけでなく、出来高や信託報酬などもチェックするべきです。

今回は、おすすめのETFの銘柄について、その選び方について解説します。

おすすめのETFは?ランキングをチェックしよう

ETFは確かに魅力の多い金融商品なのですが、すべての銘柄にリターンのチャンスがあるわけではありません。中にはリターンを得るどころか、元本割れのリスクが高い銘柄もあります。

ETFは株同様に、いつでもリアルタイムで売買できる金融商品です。そのため、値上がりしている時に即座に保有中のETFを売れば利益が見込めますが、値下がりしている時に売却しようものなら損失が発生します。

どうせ購入するのであれば、もっともリターンが期待できるETFを購入するべきなのですが、おすすめな銘柄は一体どうすれば見つけられるのでしょうか?

値上がり率や利回りが高く、多くのリターンを期待できるETFを探しているのであれば、まずはランキングをチェックしてみましょう。

値上がり率や利回りのランキングで、上位を陣取っているETFであれば、他のETF以上のリターンを期待することができます。

どのETFを選んだら良いのかわからず、悩んだ時は、ランキングで上位にいるETFを選んでみましょう。

利回りのランキングがもっとも高いETFを選びたいのですが、何か注意した方が良いことってありますか?
ランキングを参考にする際には、短期のデータだけでなく、長期のデータも見た方が良いですよ。ここ1ヶ月の値上がり率だけを参考にすると、たまたまこの1ヶ月の調子が良かっただけという場合がありますから。
なるほど。長期的に判断するということですね!
ええ。1ヶ月の利回りランキングで上位にいる銘柄が、ここ3年間における利回りランキングの上位にいる銘柄と同じETFなら、その銘柄は本当に実力のあるETFだと判断できるのでおすすめですね。

ETFの種類とは?

ETFとは上場投資信託のことで、証券取引所に上場しています。

その種類は豊富で、株だけでも日本株や米国株、新興国株などにジャンル分けすることができます。

株同様に、債券やリートについても、国内と海外でそれぞれ分類することができます。

ETFの種類
  • 株式(国内、米国、新興国)
  • 債券(国内、海外)
  • リート(国内、海外)
  • コモディティ(商品)
  • レバレッジ型
  • インバース型

ETFは他にも、金や銀、小麦、原油などの資源や穀物といった商品を取り扱っている銘柄も存在します。

本来、金や銀を現物保有するとなると、直接購入しなければならず、保管などが面倒です。しかし、ETFならば、実際に金や銀を保有する必要なしに投資ができるなどのメリットがあります。

これらの種類以外にも、レバレッジ型やインバース型と呼ばれるETFが存在します。

レバレッジ型は、通常の値動きの倍以上の動きをするという特徴があります。例えば、対象となる相場の価格が1%値動きした時、レバレッジ型のETFは2%以上の値動きを起こします。

上昇している時は、通常の倍以上の値上がりによる利益を享受できますが、他方で値下がりすると通常の倍以上の下落に直面することになります。

インバース型とは、対象となる相場とは逆方向の値動きを起こすETFのことです。

例えば、対象となる相場の価格が下がると、インバース型のETFは値上がりします。他方で、相場の価格が上がると、インバースのETFの価格が下がります。

複数の金融商品に分散投資をするETFも

ETFには様々な種類があるのですが、銘柄によっては複数の金融商品に分散投資をするETFもあります。例えば、バランス型のETFともなると、株や債券、リートなど、様々な分野に投資をします。

ETFがどの分野に投資をするかによって、今後のリターンやリスクが変わってきます。

ETFを購入する際には、それは一体どのような種類のETFなのかを事前に把握しておきましょう。

株のETFって、国内と海外ではどんな違いがあるのですか?
国内株と海外株の主な違いというと、市場規模ですね。日本のETF市場は確かに巨大ですが、世界全体の市場と比べると小さいです。外国のETFともなると、日本のETF以上の利回りが期待できる銘柄もあります。確かに海外ETFにはリスクもあるかもしれませんが、成功すれば国内ETFよりも多くの利益を得られるでしょうね。

ETFの良い選び方とは?

ネットで検索をすれば、現在どのようなETFの銘柄があるのかを知ることができます。

この時ランキングについても調べれば、全ETFの中でもっとも順位の高い銘柄を見つけることができます。

ただし、順位が高いからといって、必ずしも良い銘柄とは限りません。というのも、ランキングのテーマによって、上位に選ばれる銘柄に差異が生じるからです。

ETFを選ぶときには利回りに注目していたんだけど、それ以外にも見た方が良いポイントってあるのかしら?
利回り以外ですと、信託報酬と出来高を見た方が良いですね。信託報酬が安いと、低コストな取引ができます。出来高が多いと、流動性が高いので、売買がしやすいですね。

良い銘柄を選ぶためには、利回りのランキングだけでなく、信託報酬などのコストや、出来高などについてもチェックし、多角的に評価する必要があります。

ETFを選ぶ時のポイント
  • 分配金
  • 利回り
  • 信託報酬
  • 出来高

たとえ高配当なETFだったとしても、信託報酬が高く、コストがかかるETFでは意味がありません。選ぶのであれば、高配当で、尚且つ低コストで、投資戦略に見合った銘柄を選びましょう。

ETFの売買といっても、投資戦略によって狙うべき利益に違いが生じます。値上がりによるキャピタルゲインを狙っているのか、それとも配当金などのインカムゲイン狙いなのかなど、投資目的が異なると相性の良い銘柄も違ってきます。

利回りや分配金、信託報酬、出来高など、様々なポイントから銘柄を評価し、最も相性の良いと思われるETFを選びましょう。

ETFでも分配金を受け取ることができる

株の配当金などと同じで、ETFでも分配金を受け取ることができます。

ETFの分配金利回りは、だいたい2%から3%ほどとなります。そのため、分配金を目当てに投資をする場合は、分配金利回りが3%以上ある銘柄を探すと良いでしょう。

リートなどの高配当な銘柄で構成されているETFともなると、分配利回りが3%を超えるのも珍しくはないです。

分配金を受け取るためには、権利付最終日までに、そのETFを保有しておく必要があります。

そのため、権利確定日が近づくと、買いが殺到することで、価格が上がりやすいです。この権利確定日ならではの価格の動きを利用してキャピタルゲインを狙う方法、いわゆるカレンダー投資法と呼ばれる手法が存在します。

権利確定日前に価格が上がった結果、分配金による利益以上のキャピタルゲインが得られたのであれば、その時点で売却して利益を確定させるというのも、一つの手ではあります。

分配金利回りとは「ETFの価格に対する分配金の割合」のこと

分配金利回りとは、ETFの価格に対する分配金の割合のことです。

いくら分配金が高いからといって、この分配金利回りが低いと、あまり意味がありません。より多くのリターンを求めるなら、分配金の金額よりも、分配利回りをチェックしましょう。

例えば、ここにAとBのETFがあるとします。

AのETFの価格が1万で、Bの価格は5000円とします。この時、Aの分配金が100円で、Bの分配金が80円とします。

ここだけ見ると、Aの方が分配金が高いです。しかし分配利回りで比較すると、Aの分配利回りは1%、Bの分配利回りは1.6%となります。つまり、Bの方が利回りが高くなるということです。

Aを1万円分購入するよりも、利回りの高いBのETFを1万円分購入した方が、結果的に多くの分配金を稼ぐことができます。

ETFを選ぶ際には、分配金の価格に対する割合はいくらになるのか、分配金利回りを必ず確認しましょう。

分配利回りが高いETFほど、将来的に多くのリターンを得られます。

購入前に信託報酬をチェックしよう

信託報酬とは
ETFの信託財産から徴収されるコストのことです。

一応は手数料に分類されるのですが、投資家が直接信託報酬を払うわけではありません。ただETFの基準価格は、あらかじめ信託報酬分のコストが引かれている数字のため、信託報酬が高いと、その分だけ基準価格が落ちます。

たとえ分配金利回りの高いETFに投資をしたところで、信託報酬が高いと、基準価格が落ちやすく、かえって損をする恐れがあります。

信託報酬は、低いに越したことはありません。ただ、信託報酬が低すぎる銘柄というのは、決まって分配利回りが低いケースが多いです。

信託報酬が低い銘柄ばかりを選んでいると、リターンを狙えなくなってしまいます。

選び方のコツとしては、まず分配利回りの高い銘柄を10から20ほど見つけ、その中からもっとも信託報酬が低い銘柄を選ぶと良いでしょう。

そうすることで、リターンが高く、コストが安い銘柄が見つかりやすいです。

分配金利回り 信託報酬
上場インデックスファンド
アジアリート
3.72% 0.1%
上場インデックスファンド
米国株式(S&P500)
0.93% 0.16%

例えば、2018年8月における「1495」の「上場インデックスファンドアジアリート」は分配金利回りが3.72%、信託報酬が0.1%です。

他方で、「1547」の「上場インデックスファンド米国株式(S&P500)」は分配金利回りが0.93%、信託報酬が0.16%です。

どちらも信託報酬が安いETFなのですが、分配金利回りが全く違います。コストパフォーマンスに優れているのは、「上場インデックスファンドアジアリート」であることがわかります。

このように、分配金利回りと信託報酬の両方を調べることで、よりコストパフォーマンスに優れた銘柄を見つけることができます。

出来高とは?

出来高とは、売買が成立した数のことで、この出来高が多いほど、流動性が高く、取引が活発な銘柄であることがわかります。

出来高は、無いよりも多い方が良いです。出来高が少なすぎるETFを購入すると、売却したくても買い手がつかず、なかなか売れないなどの弊害に遭うかもしれないからです。

しかし、出来高が多く、流動性の高い銘柄であれば、いつでも売買が成立しやすく、取引がしやすいです。

ETFの銘柄を選ぶ際には、出来高が多く、売買が活発に行われている銘柄を探しましょう。

信託報酬や市場価格はどこで調べられる?

ETFの信託報酬や市場価格などの情報は、ネット上で検索することができます。

より詳しい情報を知りたい場合は、証券会社のデータベースを参照してみましょう。

証券会社を利用することで、ETFの各銘柄の信託報酬や市場価格だけでなく、分配金や利回り、過去の価格の動向などを確認することができます。

ネットが発達している今の時代、銘柄の情報は検索するだけで簡単に仕入れることができます。

海外ETFはおすすめか?メリット・デメリットを解説

海外ETFには国内ETFにはない魅力があります。

海外ETFを選ぶメリットって、例えば何があるのかしら?
海外ETFは市場規模が大きく、国内ETFよりも銘柄の数が豊富です。中には国内ETF以上に利回りの良いETFもあるでしょうね。ただ、海外ETFには為替リスクがあるので、取引する際にはそこを気を付けましょう。

そもそもETFの世界に、国内だから良い、海外だから悪いなんて理屈はありません。国内ETFだろうと、リスクが高い銘柄には投資しない方が良いですし、たとえ海外ETFでも低リスクで高利回りならばおすすめとなります。

海外ETFは、国内ETF以上に市場規模が大きいです。中には、国内ETF以上のリターンが見込めるETFもあるでしょう。

ただし、海外ETFにもリスクはあります。投資をするのであれば、一つの銘柄に偏らず、分散して投資をしましょう。

国内ETFだけでなく、海外ETFにも投資をすることで、分散投資がしやすくなります。

海外ETFのおすすめ銘柄は?

海外ETFといっても、すべての銘柄がおすすめというわけではありません。海外ETFの中にも、良し悪しはあります。

その中で、定番と呼ばれるほど人気のある海外ETFがあります。次の2つの銘柄は投資家からの人気が高い、おすすめの銘柄です。

おすすめの銘柄
  • iシェアーズ コア S&P500
  • iシェアーズ IBoxx米ドル建て投資適格社債(LQP)

おすすめされる理由

「iシェアーズ コア S&P500」とは、どのような銘柄なのでしょうか?

こちらはS&P500インデックスの価格や利回り実績と同水準の成果を目指しているETFで、米国市場における全主要業種を代表している大型株によって構成されています。

信託報酬が安いので、低コストな運用ができるというメリットがあります。

ただでさえ高配当で有名な米国の企業を対象にしているETFは人気が高く、おすすめされる銘柄が多いです。

ただし、リスクよりも安定性を重視するのであれば、国債や社債に投資をしている銘柄がおすすめです。

「iシェアーズ IBoxx米ドル建て投資適格社債(LQP)」は、高格付け社債に分散投資をしている、安定感のあるETFです。長期にわたって安定的に分配金を獲得したいという投資家向けの銘柄です。

同じ海外ETFでも、目的によっておすすめされる銘柄が異なります。リターンを目指すなら株がおすすめですし、安定感を求めるなら国債や社債などがおすすめとなります。

ETFを購入する時の注意点は?

ETFを購入する際には、必ず銘柄の詳細を確認しましょう。ETFだからといって、必ずしも良い銘柄とは限りません。選択を間違えると、得するどころか、損する可能性すらあります。

たとえ信託報酬が安くても、利用する証券会社の手数料が高いと意味がありません。

ETFの売買をする時は、手数料が安い証券会社を利用することをおすすめします。

手数料の安い証券会社を利用することで、より低コストな取引ができるようになります。

証券会社によってETFの売買手数料って違うのね。どこの証券会社がおすすめなのかしら?
SBI証券は手数料が安いことで有名です。余計なお金をかけずに取引できるでしょう。

ETFの選ぶときは複数の要素をチェックしよう

国内だけでなく、海外の銘柄なども含めると、世の中には非常に多くのETFが存在します。ただし、本当におすすめできるほど、優秀なETFの数はそれほど多くはありません。

分配金利回りのランキングを参考にすることで、利回りの高い銘柄を見つけることは簡単です。しかし、本当におすすめの銘柄とは、利回りが大きいだけの銘柄ではありません。

分配金利回りが高く、尚且つ信託報酬が安いなど、低コストな取引ができる銘柄こそが、本当におすすめできるETFとなります。

今後、ETFを選ぶ際には、利回りだけでなく、信託報酬などもチェックしましょう。条件の良い銘柄ならば、海外ETFであってもまったく問題ないです。国内だけでなく、海外の銘柄にも投資をすることで、より効率の良い資産運用ができるでしょう。