債券ETFとは?ETFを通して債券に投資するメリット・デメリット
ETFは株式投資と同じく、リアルタイムに売買ができるというメリットがある金融商品です。他にも、少額から投資ができるため、資金が少なくてもすぐに始められるという利点があります。
普段は仕事が忙しくて、なかなか投資や経済について勉強できないという方でも、ETFならばすぐに始めることができるでしょう。
ただし、ETFといっても種類があります。同じETFでも種類が異なると、運用の結果も異なります。ETFへの投資で安定した利回りを望むなら、それぞれの特徴を把握しておく必要があります。
債券ETFは、ETFの種類の一つで、債券に投資しているETFのことです。
今回は債券ETFの特徴とそのメリット、デメリットなどを解説します。
債券ETFとは?
債券ETFとは、投資対象が債券で構成されているETF(上場投資信託)のことで、その主な投資対象というと短期国債や長期国債、短期社債、長期社債、モーゲージ債などがあります。
住宅ローンを担保にしている債券のことです。
投資対象が債券で構成されているため、投資家は債券ETFを購入することで、簡単に債券へ投資をすることができます。
本来、債券を購入するとなると、公募を行っている期間中に購入する必要があります。そのため、期限が終了すると、購入ができません。しかし、ETFであれば、証券会社を通じていつでも自由に売買ができますので、公募の期間を逃した債券であっても、取引ができます。
他にも、ETFであれば満期の設定がなく、いつでも自分の好きなタイミングで売却ができるなどの特徴があります。
いつでも自由に売買ができるなど、債券ETFには債券投資にはない魅力や特徴があります。
債券に投資できるETF、債券ETFの特徴
ETFとは、上場投資信託のことで、投資信託でありながら株のように自由に売買ができるという特徴があります。それは債券ETFとて例外ではありません。
債券ETFは、投資対象が債券で構成されているというだけであり、その実態はETFです。投資家の立場で考えるなら、債券に投資できるETFといったところです。
債券への投資と違い、ETFへの投資となるため、信用売りをすれば売りから注文をすることも可能です。債券ETFの中には、価格が大きく変動するETFもあります。場合によっては、大きく価値が下落することもあるでしょう。
このように元本割れのリスクが低い債券投資ですが、その反面、リターンも少ないというデメリットがあります。これが債券ETFの場合、事情が異なります。
債券ETFはいつでも買い戻せる
債券と違って債券ETFならば、途中で売却しても、その後にいつでも買い戻すことができます。
自由に、リアルタイムな価格で売買が可能なので、途中解約のリスクを恐れる必要はありません。一旦売却した債券ETFでも、再び購入して長期保有すれば、また分配金を得ることができるでしょう。
例えば安値で債券ETFを購入し、高値が付いた段階で売るということが債券ETFならば簡単にできます。
債券投資の場合、長期にわたって保有しても、それほど大きなリターンは狙えません。しかし、債券ETFならば、値上がりが期待できるETFを自由に売買することで、大きなリターンを狙うことも可能です。
信用売りを仕掛けることで、値下がり分の利益を狙える
同様に、価格が落ちる可能性が高い債券ETFに対しては、信用売りを仕掛けることで、値下がり分の利益を狙うことも可能です。
債券投資が長期投資向きであるのに対し、債券ETFは長期のみならず、短期売買にも向いているという特徴があります。
このように債券ETFは短期売買がしやすいという特徴に加え、さらに分散投資もしやすいという特徴があります。
債券投資の場合、特定の債券を購入することになります。仮にこの債券をAとします。他方で、債券ETFの場合、一つの銘柄に絞ることはありません。Aだけでなく、債券Bや債券C、債券Dなど、複数の債券に同時に投資をすることになります。
つまり、債券ETFを購入するという行為は、同時に複数の債券に投資をすることを意味するのです。
複数の銘柄に投資をしているため、債券ETFならリスクを分散することができます。しかし、債券投資の場合、特定の債券しか購入できないので、その債券が破綻すると、分散ができないので、大損するリスクがあります。
債券ETFは、自由に売買ができるので短期投資がしやすく、尚且つ分散投資ができるのでリスクヘッジがしやすいなどの特徴があります。
債券ETFの種類は?
債券を投資対象にしている債券ETFですが、銘柄によってそれぞれ種類があります。一体どのような種類があるのでしょうか?
- 国内の債券
- 国外の債券(外国債券)
ETFというと、海外の債券がかつては主流だったのですが、最近は国内の債券を取り扱っているETFも存在します。
外国債券のメリット
外国債券は、国内債券と比べ、高いリターンが期待できるというメリットがあります。日本の国債は金利が低く、リターンが小さいです。しかし、金利が高い外国債券に投資をすると、多くのリターンを期待できます。
他方で、外国債券には為替変動リスクがあります。もっとも、為替レートが投資家にとって有利に動けば、その分だけ利益を得ることができるので、為替変動リスクは必ずしもデメリットとは限りません。
外国債券のデメリット
信用度が低い債券ともなると、デフォルトのリスクがあるなどの欠点があります。債券といってもそれぞれで、信用度が高い債券もあれば、信用度が低い債券もあります。債券ETFを選ぶ際には、信用度が低い債券が混ざっていないか、よくチェックしておきましょう。
他にも種類がある債券ETF
債券はこのように国内債券か、それとも外国債券かに分類することができます。
さらに、国債や社債などにも分類できます。国債は政府が発行している債券で、社債は企業が発行している債券です。
他にも、円建ての債券である円債、外貨建て債券である外債などにも分類できます。
同じ種類の債券であっても、信用度によってジャンル分けすることができます。
例えば、信用格付けがBB以上の債券なら投資適格債、信用格付けがB以下の債券なら投資不適格債、もしくはジャンク債と呼びます。
どの種類であるにせよ、ジャンク債があるETFはリスクが高いです。債券ETFは、信用格付けが高い投資適格債を選ぶようにしましょう。
債券ETFに投資をするメリットとデメリット
債券ETFは、債券投資とは異なる特徴を持つ金融商品です。そのため、債券投資にはないメリットがありますし、デメリットもあります。
債券ETFに投資をする際にはメリットだけでなく、デメリットにも注目しましょう。
ここではメリットとデメリットをそれぞれ解説します。
債券ETFへ投資をするメリット
債券ETFに投資をするメリットとは一体何なのでしょうか?
ETFを介して債券に投資できるETF債券には、少額から購入できる、証券会社を通じていつでも売買ができる、複数の債券に分散して投資ができる、などのメリットがあります。
まず、債券ETFは、少額から購入可能です。これが本来の債券投資の場合、個人向け国債ならば1万円から購入できるでしょう。ただ、社債となると、10万円を超えるのは当たり前で、100万円以上の資金がないと、満足な投資ができません。
このように、債券投資は意外と資金が高額になりやすいという特徴があります。しかし、ETFなら少額からでも購入可能なので、積立が容易です。
さらに、ETFは証券会社を通じて、いつでも売買が可能です。ネット証券会社ならば、オンライン上で売買ができるので、まさに好きな時、好きなタイミングで売り買いができます。
これが債券投資の場合、いつでも購入できるとはいきません。債券の場合、購入期間の最中でないと購入できません。さらに、たとえ購入期間中でも、一定の金額に達すると購入できなくなります。
新発債券とちがって既発債券であれば、購入期間の定めがないので、いつでも購入できます。ただし、購入できる数量に上限があるため、いつでも自由に売買ができるわけではありません。
ETFなら債券投資ならではのルールに囚われない
その点、ETFならば、債券投資ならではのルールに囚われることなく、いつでも自由に売買ができます。
そして、債券ETFは債券投資と違って、複数の債券に同時に投資をするため、分散投資ができます。
分散投資をすると、リスクを分散することができるため、特定の債券の価値が落ちたとしても、ダメージを減らすことができます。
直接債券を購入するよりも、欲しい銘柄が投資対象に含まれているETFを購入した方が、より少ないリスクで債券に投資ができます。
これらのメリットに加え、債券ETFならば信用売りをすることで下降相場が発生した時であっても儲けることができるなどのメリットがあります。これはETFならではのメリットなので、債券ETFでなくても享受できる利点です。
ただ、債券投資のリターンといえば、利息収入ぐらいなものです。しかし、債券ETFならば分配金のみならず、価格差を利用したキャピタルゲインもしっかりと稼ぐことができるという利点があるのです。
ボラティリティの激しい外債ETFを対象に取引をすれば、1年2年と時間をかけずとも、デイトレードで利益を得ることもできるでしょう。
既にテクニカル分析やファンダメンタルズ分析の手法を習得したトレーダーからすると、債券ETFは長期投資だけでなく、短期投資にも使える金融商品なのです。
債券ETFのデメリット
債券投資よりも少額で、いつでも自由に売買ができる債券ETFは、メリットの多い金融商品です。ただ、デメリットもあります。取引をする際には、このデメリットに注意を払いましょう。
債券ETFのデメリットというと、ETFの取引コストが発生する、元本保証がない、などがあります。
まず債券ETFの場合、債券の直接取引ではなく、ETFを通じて取引をすることになります。そのため、ETFならではのコストが発生します。
- 信託報酬
- 売買手数料
売買手数料は、ETFの取引にかかる手数料です。売買手数料は、証券会社が定めた手数料となりますので、できるだけ低コストな取引をしたいなら、売買手数料が安い証券会社を利用すると良いでしょう。
売買手数料以外にも、リターンが発生すれば、税金が課税されます。税負担を減らしたい場合は、NISA口座を利用するなど、対策を講じておきましょう。
資金を運用しているファンドなどに対して支払う費用のことで、主に人件費などに使用されます。
信託報酬は、短期的に見ると、それほど高い費用というわけではありません。むしろ安い方です。しかし、長期にわたると、やがては高いコストとなります。
できるだけ低コストな運用を目指すなら、売買手数料だけでなく、信託報酬も安い債券ETFを選びましょう。
このようなETFならではのコストがかかるというデメリットに加え、債券ETFには元本保証がありません。そのため、元本割れを起こすリスクがあります。
債券が持っているリスクに注意
債券は確かにリターンの少ない金融商品です。しかし、元本割れを起こすリスクはとても低いです。
というのも、元本保証がある債券を満期日まで保有していると、全額が返還されるため、元本割れを起こさずに済むからです。
もちろん、破綻するような事態が発生すれば元本割れを起こす可能性もあるので、絶対に元本割れのリスクはないというわけではありません。ただ、国債のような安全性の高い債券であれば、そのリスクもまず無いでしょう。
このように、元本割れのリスクがないというメリットがある債券投資と違って、債券ETFでは元本保証はありません。そのため、価格の変動次第では、大損する恐れがあります。
投資家にとって都合の良い方向に価格が動けば、値動きがあった分だけ利益を得ることができます。しかし、思惑を外すと、その分だけ損失が発生します。
債券投資と違って、債券ETFに投資をする場合、いつ元本割れが起こるほどの価格変動があってもすぐに対応できるように、常にチャートをチェックしておく必要があるでしょう。
債券ETFの注意点は?
債券ETFは、債券に投資ができる金融商品ですが、債券投資ではありません。あくまでETFの銘柄であるため、債券投資とは事情が異なります。
債券投資をしているつもりで債券ETFへの投資を始めると、思ったような運用ができず、失敗する恐れがあります。
例えば、元本保証のある債券投資の場合、とりあえず債券を購入しておけば、少ないながらもリターンを狙えます。
しかし、債券ETFの場合、価格変動リスクが常について回るため、元本割れを起こす恐れがあります。たとえ分配金があったとしても、それ以上の損失が発生してしまっては意味がありません。
債券ETFを選ぶ際には、分配金だけでなく、将来的に値上がりが期待できる銘柄を選ぶ必要があります。なんとなく適当に銘柄を選ぶと、価格の急落に巻き込まれ、大損するかもしれません。
債券ETFへ投資をする時は、債券投資の強みである元本保証がないことをよく肝に銘じた上で、値上がりが期待できる銘柄を選びましょう。
債券ETFの注意点を忘れずに!価格の動向もチェックしよう
債券ETFを購入すれば、一度に複数の債券に投資ができるので、分散投資がしやすいです。他にも、債券ETFには少額から投資ができる、いつでも自由に売買ができるなどのメリットがあります。
ただし、債券ETFは債券投資と違って元本保証がありません。そのため、価格変動リスクに巻き込まれやすいです。
債券ETFには債券投資にはないデメリットがあります。債券ETFを購入する際には、分配利回りだけでなく、価格の動向も忘れずに目を配りましょう。