訪問介護員(ヘルパー)の仕事内容って?介護福祉士との違いとは
訪問介護では、介護福祉士や介護職員初任者研修を終了した訪問介護員が、利用者宅を訪問してサービスを提供します。
じゃあ、介護福祉士と訪問介護員で、サービス内容やできることに違いはあるのでしょうか。
2つの資格の違いってなんなのでしょうか。
訪問介護員と介護福祉士の違いや、2019年度から新たに設けられる「生活援助従事者研修」について説明します。
在宅介護で身近な訪問介護員(ホームヘルパー)の資格と仕事とは
訪問介護員は訪問介護の実務を担います。「ホームヘルパー」とか「ヘルパーさん」と呼ばれ、介護保険を利用している人には身近な存在ですよね。
訪問介護員として働くには、資格が必要です。どんな資格が必要で、どんな仕事をしているのか紹介します。
訪問介護員として働くには少なくとも介護職員初任者研修の修了が必須
訪問介護員になるには、少なくとも、「介護職員初任者研修」を修了する必要があります。
介護職員初任者研修は、以前の「ホームヘルパー2級」に相当します。
研修では介護の基礎知識や実技について合計130時間勉強して、最後に試験を受けます。
また、旧「ホームヘルパー1級」に相当し、介護職員初任者研修の上位に位置付けられるのが介護福祉士実務者研修です。
実務者研修は450時間(初任者研修修了者は320時間)の受講が必要で、より実践的な知識と技術を習得します。
訪問介護利用開始前の段取り、利用者・ケアマネージャー・訪問介護員などとの調整を担います。訪問介護事業所には必ず配置され、介護福祉士か実務者研修修了の資格が必要。
「ホームヘルパー2級で、3年間の事務者経験を持つ人」もサービス提供責任者になれますが、この場合は介護報酬から10%減額されます(事業所の売上が減ってしまう)。
訪問介護員の仕事内容は?身体介護から生活援助まで幅広い
訪問介護員の仕事内容は、利用者宅での食事、トイレ、入浴などのサポートです。
実務者研修や「喀痰吸引等研修の基本研修」などを修了し、勤務先の事業所での実地研修を受けたヘルパーなら、医療行為であるたん吸引と経管栄養も行うことができます。
訪問介護でできることについてはコチラにて詳しく紹介しているので、合わせてご覧ください。
介護福祉士は国家資格!介護の専門知識が豊富なリーダー
介護福祉士は「ケアワーカー」とも呼ばれます。
介護福祉士も、訪問介護員同様に訪問介護の実務を担います。同時に、現場責任者として訪問介護員への指示・指導も行うことができます。
介護福祉士の資格は、訪問介護員の資格とはどう違うのでしょうか。
介護福祉士の資格とは?初任者研修よりも取得に時間がかかる
介護福祉士は国家資格です。以下の受験資格を満たすと、試験を受けることができます。
- 指定された養成施設を卒業
- 福祉系高校で決められた単位を取得し卒業
- 実務経験3年以上かつ実務者研修を修了
- EPAにより海外から来日し、実務経験3年以上
経済連携協定。日本での介護福祉士資格取得を目指して、インドネシア、フィリピン、ベトナムから「EPA介護福祉士候補者」が来日しています。
介護福祉士は、介護職員初任者研修よりも資格取得までに時間がかかり、より専門的な知識を身につけているといえます。
介護福祉士の上位資格としては、「認定介護福祉士」があります。多様な利用者に対応できる介護の知識や技術、介護職員への指導力などを研修で身につけます。
訪問介護での介護福祉士の仕事内容は訪問介護員とほぼ変わらない
介護福祉士の仕事は、訪問介護員と同じく、利用者の食事、トイレ、入浴などのサポートです。
必要な研修を受けた介護福祉士なら、たん吸引などの医療行為も可能です。
それ以外に、介護現場のリーダーとして、訪問介護員への指導も行います。
2018年度からの新しい資格!生活援助従事者研修とは
訪問介護は、お風呂やトイレなど利用者の体に直接触れて行う身体介護と、家事などをサポートする生活援助にわかれます。
訪問介護のサービス内容について詳しく知りたい方は、特集記事をご覧ください。
厚生労働省は、身体介護は介護福祉士などが行い、生活援助は、新たな研修の修了者が中心になって担っていく方針を決めました。
新たな研修では、生活援助中心型サービスに必要な知識を学びます。
生活援助従事者研修が導入された理由は介護業界の人手不足解消
2018年から始まった「生活援助従事者研修」は、介護現場での深刻な人手不足を解消するために導入されました。
生活援助中心型の訪問介護に携わる人を増やすため、介護職員初任者研修よりも勉強の時間が短くて済む研修としてスタートしたんです。
「介護の仕事に興味はあるけど、資格がない」という人でも挑戦しやすくなり、働きながら介護職員初任者研修、介護福祉士というようにキャリアアップしていくことが想定されています。
生活援助従事者研修ではどんなことを勉強するの?研修時間は59時間
生活援助従事者研修では、介護や介護保険制度、コミュニケーション技術、老化や認知症、家事などの生活支援の技術について勉強します。
研修は合計59時間なので、介護職員初任者研修の半分程度です。
訪問介護員でも介護福祉士でも、訪問介護でできることは変わらない
訪問介護では、介護職員初任者研修や実務者研修を修了した訪問介護員や、国家試験に合格した介護福祉士がスタッフとして働いています。
訪問介護を受ける側からすれば、お願いできることに大きな違いはありません。
違うことといえば、必要な研修を受けた人には、たん吸引や経管栄養を実施してもらえることくらいです。
ただ、介護福祉士のほうが資格取得までに時間がかかるため、より高い専門知識を持っているといえます。
そのため、介護福祉士の割合が高いかどうかで契約する事業所を選ぶ、という人もいますよ。