iDeCoの運用

転職したらiDeCo(イデコ)はどうなる?ケース別に手続きを解説

退職後の資産を若いうちに作っておくことができるなど、老後のための資産形成に役立つ確定拠出年金ですが、その仕組みについてよくわからないという方はきっと多くいることでしょう。

確定拠出年金には、たとえ勤め先を辞めて転職することになったとしても、今まで加入していた資産を他へ持ち運びができるという特徴があります。

しかし、このメリットを享受するためには、正式な手続きを踏む必要があります。そうとは知らず、転職時に確定拠出年金の移換の手続きをせずに放置をすると、本来であれば得られたはずの利益を逸失してしまう恐れがあります。

今回は、転職をする際にとるべきiDeCo(イデコ)の手続きについて、それぞれのケース別に解説します。

ケース別に転職時のiDeCo(イデコ)の対応方法を解説

iDeCo(個人型確定拠出年金)というと、つい最近スタートしたばかりの比較的新しい制度といったイメージがあるかもしれません。中には、自分は無関係だろうと考えている方も多くいることでしょう。しかし、それは本当なのでしょうか?

というのも、確かにiDeCoは最近登場したばかりの制度なのですが、確定拠出年金の制度に関して言えば、2001年より既に始まっているからです。企業型確定拠出年金の加入者だけならば600万人を越えており、その数は非常に多いです。

確定拠出年金は、たとえ転職したとしても、今まで蓄えてきた資産をそのまま持ち運ぶことができます。そのため、転職が多いという方であっても、確定拠出年金ならばしっかりと老後の資産を形成することができます。

ただし、転職のパターンというのは人それぞれ異なります。転職先次第では、企業型確定拠出年金から、個人型へと変わってしまう場合もあるでしょう。

今回は、それぞれの転職のパターン別にiDeCoの対応方法を解説します。

転職のパターン
  1. 転職先で企業型確定拠出年金に加入しない場合
  2. 転職先で企業型確定拠出年金に加入する場合
  3. 転職先に確定給付企業年金がある場合
  4. 自営業・フリーランス・公務員・専業主婦・無職(失業)等になる場合
  5. 企業型確定拠出年金に加入していたが、転職先に企業型確定拠出年金がない場合
そもそも企業型確定拠出年金って何ですか?
わかりやすく言うと、企業が掛け金を拠出してくれるiDeCoのことですね。拠出するのは企業ですが、運用は従業員が行います。この運用成績によって、将来受け取れる退職金や年金の額が変わってきますよ。

ケース1.転職先で企業型確定拠出年金に加入しない場合

企業型確定拠出年金を移換すると、たとえ転職することになったとしても今まで通り、企業型確定拠出年金を継続することができます。

ただし、できるからといって、必ずしも企業型確定拠出年金を継続する必要はありません。

加入を強制している企業のような一部の例外を除き、企業型確定拠出年金は希望制のため、加入を無理強いするものではありません。嫌ならば嫌で、拒否しても大丈夫です。

企業型確定拠出年金に加入すると、会社側が手数料を負担してくれるため、個人型確定拠出年金よりもお得ですし、なにより確定申告の手続きが省けるので、簡単に利用できます。

他方で、給与の水準が下がるため、将来受け取れるはずの厚生年金の受給額が減少するなどのデメリットがあります。

メリットとデメリットがあるため、必ずしも企業型確定拠出年金の方が有利というわけではありません。

転職後、企業型DCに加入しない場合は、断るだけとなりますので、これといった手続きを取る必要は特にありません。

ただし、前職で企業型確定拠出年金に加入していた方で、転職をキッカケにiDeCoに変更する場合、企業型から個人型へ移換するための手続きを踏む必要があります。

企業型から個人型へ移換するための手続き
  1. 移管申込書を用意
  2. 必要事項を書き込み、証券会社に送付
  3. 国民年金基金連合会の審査
  4. 手続き完了

この手続きを行う場合、まず移管申込書を用意します。この書類は、証券会社などに移換手続きを依頼することで、送付してもらえます。

次に、書類に必要事項を書き込み、証券会社に送付します。その後、国民年金基金連合会の審査が1ヶ月から2ヶ月ほどかかります。これらの手続きが完了後、企業型DCからiDeCoへ移換できます。

iDeCo(イデコ)のまま運用

既にiDeCoに加入しており、そのまま運用をするという場合、特別な手続きを行う必要はありません。そのまま継続することで、企業型確定拠出年金に加入することなく、従来通りiDeCoのまま運用できます。

平成29年の法改正により、企業型確定拠出年金を導入している企業の従業員でも、iDeCoへ加入することができるようになったため、会社員であってもiDeCoのままの運用は可能です。

企業型確定拠出年金は強制ではないので、会社より加入を強制されそうになったとしても、断る権利はあります。

ただし、転職先の企業が全員加入の規約を導入している場合、強制的に加入することになるでしょう。

企業型DCに加入せず、iDeCoのまま継続して運用したいなら、任意加入の企業に転職しましょう。

任意加入の企業ならば、加入するかどうかを選択できるため、iDeCoのまま運用できます。

ケース2.転職先で企業型確定拠出年金に加入する場合

転職後の会社にて、企業型確定拠出年金に加入する場合、会社に加入の意思を伝えてください。

前職で確定拠出年金に加入していた場合、退職時に運営管理機関より確定拠出年金に関する書類が届きますので、その書類は大切に保管しておいてください。この資料は、転職先の会社に提出することになります。

転職先の会社に、企業型確定拠出年金に加入する意思を伝えたら、会社の指示に従って手続きをしてください。この時、転職前の会社で企業型確定拠出年金に加入していた方の場合、新しい運営管理機関に資産移換依頼書を提出することになります。

資産移換の手続きを行うことで、確定拠出年金の口座にある資産を、転職先の会社でもそのまま引き継ぐことができます。

転職先の確定拠出年金に移換

転職前の企業型確定拠出年金の資産は、転職先の会社の企業型確定拠出年金に移換することができます。

そのため、転職をすることになったとしても、今まで積み立てておいた資産が無駄になるということはありません。

ただし、金融商品については、転職先の会社に合わせて選び直すことになります。

新しい会社に資産移換依頼書を提出し、いざ資産の移換が完了すると、資産が一旦現金化されます。そのまま放置しても、運用益は発生しません。まずは運用したい金融商品を選び、資産運用を再開しましょう。

そこまでして、はじめて転職先で確定拠出年金の運用をリスタートさせることができます。

iDeCo(イデコ)に加入したまま転職先の企業型確定拠出年金へ加入

現在、iDeCoに加入している方が、転職先の会社の企業型確定拠出年金に加入することは可能なのでしょうか?

すべての企業ができるわけではないのですが、一部の会社に限定して言えば、iDeCoと企業型確定拠出年金を同時に加入し、併用することは可能です。

iDeCoと企業型DC、両方に同時加入すると、より税制面において有利になるというメリットがあります。税金が安くなる分、老後の資産が貯まりやすいです。

ただし、iDeCoの場合、口座管理にかかるコストは自己負担となります。メリットとデメリットがあるので、注意しましょう。

一般的には、iDeCoから企業型DCに移換するのが主流です。

ケース3.転職先に確定給付企業年金がある場合

確定給付企業年金とは、企業型確定拠出年金と違って、給付額が約束されているという特徴があります。

この確定給付企業年金に加入すると、転職先の企業が掛け金の拠出から資産の管理、運用、そして給付まで行ってくれます。これが企業型確定拠出年金の場合、掛け金の拠出は会社が行うのですが、運用は従業員が行うことになります。

もしも転職先の会社に確定給付企業年金があった場合、以前まではiDeCoや企業型DCとの併用はできませんでした。しかし、2017年の法改正により、併用が可能になりました。

ただ、併用をするためには、転職先の会社に併用を認めてもらう必要があります。

企業型DCと確定給付企業年金を併用する場合、転職先の会社が企業型DCを導入していないと、併用ができません。

そのため、併用をしたい場合は、まず転職先が企業型DCを導入しているのか、先に確認しておきましょう。

確定給付企業年金しか導入していない企業に転職する場合、企業型DCに加入している方が確定拠出年金の運用を継続したいなら、企業型DCからiDeCoへ移換する手続きを行いましょう。

企業型DCからiDeCoへ移換する手続きの流れ

iDeCoへの移換の手続きは、証券会社などで行えます。証券会社に移換の申し込みをすると、移換申込請求書を送付してもらえます。

この申込書に必要事項を記入したら、返送します。だいたい1ヶ月から2ヶ月ほどで手続は完了します。

企業型DCを併用できる場合は、転職前の会社よりもらった資産移換依頼書を転職先の会社に提出し、加入の手続きを行ってください。

企業型DCを併用できるなら企業型DCに移換、併用できない場合はiDeCoに移換することで、転職後も確定拠出年金を継続できます。

ケース4.自営業、フリーランス、公務員、専業主婦、無職になる場合

転職といっても、会社員だけが選択肢ではありません。働き方が多様化している今の時代、独立して自営業者やフリーランスになるという方もいることでしょう。専業主婦になる女性もいれば、専業主夫になるという男性もいます。次の仕事が見つかるまでの間、資格勉強や学業に専念するため、一時的に無職になるという方もいるでしょう。

このように、会社員以外の選択肢を選んだ場合、確定拠出年金はどのような扱いを受けるのでしょうか?

自営業者やフリーランス、公務員、専業主婦、無職の方の場合、企業型確定拠出年金から個人型確定拠出年金、つまりiDeCoに移換することになります。

以前までは、公務員はiDeCoに加入することができませんでした。しかし、2017年の法改正で公務員の加入が可能になりました。同時に、専業主婦や主夫も可能になりました。無職の方も、iDeCoへ加入できます。

企業型確定拠出年金からiDeCoへ加入する場合、証券会社に申込をし、iDeCoへの移換の手続きを始めてください。

移換の手続きを申し込むと、移換申込書が届きます。この申込書に必要事項を記入し、返送をすると、だいたい1ヶ月から2ヶ月の期間を経て、iDeCoへと移換できます。

ケース5.転職先に企業型確定拠出年金がない場合

企業型確定拠出年金に加入していた方が、企業型DCのない企業に転職をする場合、確定拠出年金を継続するならiDeCoへ移換することになります。

この場合、証券会社などに企業型DCからiDeCoへの移換の手続きを申し込むことになります。申込をすると、証券会社から移管申込書が送られますので、必要事項を記入後、返送しましょう。だいたい1ヶ月から2ヶ月で移換できます。

転職後に移換の手続きをしない場合はどうなるのか?

たとえ転職することになったとしても、移換の手続きをすれば、確定拠出年金の運用を継続することができます。では、この移換の手続きを怠ると、どうなってしまうのでしょうか?

移換の手続きをしない場合、資格喪失から6ヶ月が経過すると、確定拠出年金の資産は特定運営管理機関に自動移換されます。

そのため、資産が無くなるということはありません。

自動移換されるなら、とりあえず放置してても問題なさそうですね!
問題ないといえばないのですが、自動移換されると手数料が発生しますよ。さらに運用されないので、利回りは期待できません。手数料分の損をするので、最低でも6ヶ月以内に移換の手続きをしましょうね。

自動移換とは?

自動移換とは、確定拠出年金の資格を喪失してから6ヶ月以内に移換が行われなかった場合に発生する制度のことです。

自動移換が行われると、企業型DCにて今まで積み立ててきた資産は、特定運営管理機関に移換されます。この時、移換手数料が発生します。手数料は年金資産から差し引きされるので、自動移換されると手数料分の損が発生します。

ちなみに、自動移換より4ヶ月が経過後も、移換手続きが完了されない場合、特定運営管理機関手数料として、月次で51円の手数料が発生し続けます。

自動移換された場合、運用が行われないので、リターンは期待できません。むしろ、月次で手数料が発生するため、放置すると資産が失われていきます。資産が減る前に、移換の手続きを行っておきましょう。

自動移換中の期間は、加入期間にカウントされないため、自動移換が行われると受給開始の時期が遅れるなどのデメリットがあります。

移換時の注意点

資格を喪失したにも関わらず、放置をすると自動移換され、必要以上のコストが発生することになります。そうなる前に必ず移換の手続きを行ってください。

ただし、移換時には注意点があるので、気を付けましょう。

移換時の注意点
  • 手数料がかかる
  • 住所が変わっている場合は住所変更の手続きが必要

これらの注意点に加え、移換の手続きはできるだけ早めに行っておきましょう。手続きを早めに完了させることで、転職時の忙しい時期であっても、慌てることなく無事に移換させることができるでしょう。

移換時にはどんな手数料がかかるのかしら?
移換時にかかる手数料というと、国民年金基金連合会への移換手数料と、転職前の会社の企業型確定拠出年金からの手数料の二つがありますよ。

転職時のiDeCo(イデコ)の対応は忘れずに!

現在、企業型確定拠出年金に加入している方が転職をする場合、まず転職先の会社に企業型DCがあるのか、確認しておきましょう。

企業型DCがあるなら、移換することで企業型DCを継続して運用することができます。ただし、企業型DCが無い場合は、iDeCoへ移管するための手続きが必要です。

法改正以降、自営業者だけでなく、専業主婦や公務員、無職であっても、iDeCoへ加入できるようになりました。そのため、会社員以外の立場へと転職することになったとしても、今まで積み立ててきた確定拠出年金が無駄になることはありません。

ただし、転職時に移換の手続きをしないと、自動移換され、余計な手数料がかかります。このようなデメリットを回避するためにも、移換の手続きは早めにやっておきましょう。