介護帰省割引がある交通機関とは?いくらぐらいお得になるの?
遠距離介護で大きく立ちはだかってくる問題の一つに、「交通費」があります。隣県ならともかく、新幹線や飛行機が必要な距離だと、かなりの負担になってしまいます。
しかし介護のために帰省する場合に、運賃を割引してくれる交通機関もあります。そうした交通機関を利用して、負担を軽減するのがよいでしょう。
このページでは、介護で帰省する場合に利用する各交通機関の割引制度などを説明しています。
航空会社の介護割引
大手の航空会社は、「介護割引」という制度を設けています。その名の通り、介護目的で帰省する場合、航空運賃を値引きして貰えるのです。
割引される金額は、航空会社や飛行機に乗る時期によって変わってきますが、「3割~4割」ほどの割引が期待できます。
残念ながら中小の航空会社では、こうした介護割引はない場合が普通です。しかしこうした航空会社は、元から運賃が安めですので、どちらが安いかは調べてみる必要があるでしょう。
日本航空(JAL)の介護帰省割引
日本航空には「介護帰省割引」があります。
1.利用条件
要介護か要支援認定をされた人の、「2親等以内の親族」または「配偶者の兄弟姉妹の配偶者」または「子供の配偶者の父母」である事が利用条件となります。
要介護者と介護者を結ぶ、最寄りの一路線限定で利用できます。
2.割引率
36%程度の割引がなされます。
3.利用方法
情報登録した「JALカード」か「JMBカード」を、事前に作成しておきます。航空券を買う時と、搭乗手続きをする時にJALカードを使います。
全日空(ANA)の介護帰省割引
全日空では、「介護割引」をやっています。
1.利用条件
要介護か要支援認定をされた人の、「2親等以内の親族」または「配偶者の兄弟姉妹の配偶者」または「子供の配偶者の父母」である事が利用条件となります。
要介護者と介護者を結ぶ、最寄りの一路線限定で利用できます。
2.割引率
33%程度の割引がなされます。
3.利用方法
情報登録した「ANAマイレージクラブカード」を、事前に作成しておきます。航空券を買う時と、搭乗手続きをする時にANAマイレージクラブカードを使います。
航空券の割引には株主優待もある
大手航空会社は、株主優待券を発行しています。こちらは割引率が50%となっていますので、介護割引よりもさらにお得です。
株を購入したことがない人にはハードルが高いかもしれませんが、頻繁に飛行機を利用するなら、一つの方法として航空会社の株式購入も考えてみるとよいでしょう。
株の長期保有が怖いという場合は、優待の権利を得られる短期間だけ株を所有して、すぐに売却してしまうというような方法もあります。
JRの割引制度
JRには介護割引はありません。しかし、その他の割引制度を利用して費用を抑えることは可能です。
大人の休日倶楽部
JR東日本とJR北海道には、「大人の休日倶楽部」という制度があります。大人の休日倶楽部に加入していると、JR東日本とJR北海道の切符代が割引されます。
大人の休日倶楽部には、「ミドル」と「ジパング」という2種類があり、利用条件と割引率が違ってきます。
1.大人の休日倶楽部ミドル
男性なら50歳~64歳、女性なら50歳~59歳というのが入会条件です。会員になっていると、切符代が5%割引されます。
2.大人の休日倶楽部ジパング
男性なら65歳以上、女性なら60歳以上というのが入会条件になります。会員になっていると、切符代が30%割引されます。
残念ながら、若い人は大人の休日倶楽部には入会できません。また女性の方が5年早くジパングに加入できるため、やや有利になっています。
エクスプレス予約
東海道新幹線と山陽新幹線には、「エクスプレス予約」があります。エクスプレス予約に入会すると、お得な会員価格で東海道新幹線と山陽新幹線を利用できます。
エクスプレス予約を利用するためには、「JR東海エクスプレス・カード」というクレジットカードを新規作成するか、既存のクレジットカードにエクスプレス予約サービスの追加をする必要があります。
割引率は「7%~15%」程度で、区間により変わってきます。
株主優待
JRにも、飛行機と同様に株主優待制度があります。
JR東日本なら、優待券1枚について乗車券の代金を2割引にでき、2枚同時に使うと4割引で乗車券を購入できます。
JR西日本なら、優待券1枚で乗車券が半額になります。
ただし、優待券が使えるのは、株を買ったJRが運営している区間についてのみです。
回数券の利用
JRには回数券という制度があります。運賃10回分の値段で、11回分の乗車券を手に入れられるため、何度も介護で帰省するなら、回数券を利用したほうが得になるかもしれません。
JRの回数券には、普通列車用のものもありますし、新幹線用のものもあります。
ただし、どちらの回数券も利用期限が「3ヶ月」しかないということに注意してください。複数人で帰省するならよいでしょうが、単独で帰省する場合は回数券を使い切れず、逆に損をしてしまう可能性もあります。
新幹線の回数券については、もう一つ注意点があります。この回数券はゴールデンウィーク、お盆、年末年始の期間は利用できなくなっています。
金券ショップの利用
自分で回数券を購入した場合、使い切れないという問題が発生することがあります。こうしたリスクを避けたいなら、「金券ショップ」を利用するという方法があります。
金券ショップに行けば、定価の5%割引程度で回数券が販売されています。自分で回数券を買うよりも割高になりますが、何もせずに乗車券を買うよりは安くなります。
また、期限切れ間近の回数券の場合、定価より相当割引される場合もありますので、ネットなどでチェックしたいところです。
ちなみに新幹線の回数券以外に、飛行機やJRの優待券も販売されています。これらの購入費用を計算に入れても、普通に乗車券や搭乗券を購入するより安くなりますので、こちらも調べてみましょう。
高速バスの割引制度
高速バスにも、介護帰省割引はありません。しかしバスは、運賃自体が安いため利用価値があります。
格安バスの利用
夜行バスの中には、格安運賃で運営しているところがあります。たとえば東京~大阪間で「2200円」というバスが出ています。
もちろんこれは平日の人気がない日の料金で、土日などではもっと高くなりますが、4000円程度の料金ならザラにあります。その他の交通機関を利用するより、だいぶ移動費用を抑えられるでしょう。
介護のための交通費は医療費控除に利用できる?
医療費控除の交通費は、患者が病院などに通うのに必要なものとされています。そのため、介護者の移動費用は医療費控除に含まれません。
介護で帰省する時は各種割引を使って出費を抑えよう!
飛行機にしろ電車にしろ、普通より安く利用する方法はありますので、試してみるのがよいでしょう。