
【ここに注意!】住宅ローンの借り換えで気をつける点を解説します
住宅ローンでは借り換えをするとお得になる!という話を聞いたことはありませんか?
「繰り上げ返済は聞いたことがあるけれど、借り換えはよくわからない・・・」という方は前回の記事を参照していただくとして、今回は住宅ローンの借り換えによる注意点について取り上げます。
損をしないために住宅ローンの借り換えを行うのに、注意点を知らず、結果的に損をするようなことになってしまっては借り換えをするメリットがなくなってしまうことも。
そこで、今回は
- 時間がかかる
- 費用がかかる
- 金利変動のリスクがある
この3つの面から、住宅ローンの借り換えで気をつける点について具体的にご説明していきましょう。
意外と面倒な住宅ローンの借り換え。手間がかかることに注意!
住宅ローンの借り換えを検討するポイントは以下の3つです。
- 金利差が1%以上
- 残高が1,000万円以上
- 残りの返済期間が10年以上
以上の3点に当てはまるようなら、住宅ローンの借り換えをするとお得になるケースがあります。しかし、住宅ローンの借り換えには注意点も。まずは住宅ローンの借り換えは意外と面倒である点についてご紹介します。
借り換え先は自分で探し、実際にシミュレーションしてみる必要がある
近年では借り換えのマッチングサービスを行っている業者が登場しています。自分にとってベストな借り換え先を見つけるお手伝いや、面倒な作業の代行をお願いすることもできます。
しかしその数はあまり多くないうえ、やはり手数料が必要になりますから、単純に費用をかけたくないという場合は自分ひとりで探さなければいけません。借り換え先候補となる金融機関ごとの金利を比較し事前にシミュレーションするところから、実際に審査に出すまで実に時間と手間がかかります。
思い出してみてください。住宅ローンを新規で借りたときにはどうだったでしょうか?ハウスメーカーや不動産業者にいろいろと相談に乗ってもらえたはず。
例えば借り入れ先の金融機関をあっせんしてもらえたり、金融機関先に提出するための必要な書類を揃えたりしてくれるなど、住宅ローンの融資が実行されるまではサポートしてもらえる環境だったのではないでしょうか?
しかしすでに物件の購入が済んでしまっている今、自己責任で住宅ローンの借り換え先を見つけなければなりません。
この手間が大変で、住宅ローンの借り換えに踏み切れない人もいます。しかし、数百万、数千万円と額が大きい住宅ローンですから、この手間を惜しんででも住宅ローンの借り換えを検討してみる余地はあると言えるでしょう。
借り換え前には、実際に今借りている金融機関との金利引き下げ交渉をしてみる必要も
住宅ローンの借り換えを検討する前に試してみた方がいいことが1つあります。それは現在住宅ローンの借り入れ先となっている金融機関と金利の引き下げ交渉を行うことです。
今借りている住宅ローンの金利を引き下げてもらえたとしたら、そもそも住宅ローンの借り換えをしなくてもよくなりますよね?そのためには、借り換えをする前に金融機関と事前に交渉してみる余地がありそうです。
実際住宅ローンの借り換えシミュレーション結果を持参するなど、交渉をするときには交渉材料となる資料も持参してくださいね。借入時よりも年収が増えているとか、定期預金を契約するとかの銀行に対するメリットの提示も効果的な場合があります。
ただし、必ずしも交渉に応じてくれるわけではない点には注意しましょう。
金利の交渉をしたい方はコチラの記事を参考に。
金利以外にも注目!住宅ローンの借り換えで損をしないために
住宅ローンの借り換え先を検討する際には、当然金利に注目することになるでしょう。しかし、金利以外にも気をつけなければならない点があります。それは諸費用や団信の内容です。ここでは、金利以外に気をつけるポイントをご紹介します。
借り換え時には諸費用がかかる
住宅ローンの借り換えには、新規で住宅ローンを借り入れたときと同じように諸費用がかかります。住宅ローンを借りるときにかかる手数料は以下のようなものが挙げられます。
事務手数料 | 定額のところもあれば、融資額の何%というところもあります。 |
---|---|
保証料 | 一括で払う場合や、金利に上乗せして払う場合もあります。 |
印紙税 | 契約書類に貼る収入印紙代です。 |
登記費用 | 登記費用の他に司法書士への報酬も必要となります。 |
団体信用生命保険料 | ほとんどが金利に含まれていますが、保障内容が充実した団信へ加入すると保険料が金利に上乗せされることも。 |
繰り上げ返済手数料 | 繰り上げ返済をする際に必要な手数料(必要となる金融機関のみ) |
ちなみに借り換え前の住宅ローンの保証料は、住宅ローンを借り換えると戻ってくることになるはず。
しかし、金融機関の独自の計算方法により全額戻ってくることはほとんどないようです。
借り換えによって返還される保証料をあてにして計算している人は、保証料はもどってこないものと考えた方がいいかもしれないですね。
費用に関しては、次の記事を参考にしてください。
借り換えによって団信の内容が変わる場合がある
住宅ローンの借り換えでは、諸費用の他に借り換え前と後の団信の内容についても押さえておきましょう。というのも、借り換え前の住宅ローンでは保障内容が充実した団信に加入していたのに、借り換え後では保障範囲が狭い団信となるケースもあります。これは、金利だけに注目しているとミスしてしまいがちなポイントですので気をつけましょう。
健康状態によっては新たに団信へ加入できない、というケースも考えられます。これは、新規で住宅ローンを借りたときと比べて年齢が上がっているので気をつけたいポイントです。加入条件が緩和されるワイド団信へ加入するようになってしまったら、金利が上乗せされて借り換え前より金利が高くなってしまったというケースも考えられます。
逆に、通常は団信の内容を変更することは難しいため、借り換えは団信の内容変更のチャンスとも言えます。
金利変動のリスクに注意!借り換えによっては残高が増えるケースも
借り換えによって金利が下がり返済額が下がった!と喜んでばかりではいられません。借り換え後の金利変動によっては返済残高が増えるケースも。そこで最後の注意点として、金利変動のリスクについてご紹介します。
金利変動のリスク①変動金利→固定金利に借り換えたとき
例えば今変動金利で借りている人が固定金利へ借り換えた場合。この先変動金利が上がりそうだと予測する人や返済額を一定に変更したくて借り換える人にあてはまるパターンです。
住宅ローンを固定金利に借り換えたものの、その後変動金利があまり上がらなく借り換え前の金利のままで借りておけばよかった・・・となることもあります。
実際に、以下のようなシミュレーションをしてみました。(諸費用などは考慮しないものとする)
- 残返済額2,000万円
- 返済期間残り25年間
- 全期間固定金利2.0%に借り換えた場合
- 借り換え前の変動金利1.2%、10年後に2.2%まで上昇
借り換えず変動金利のままの返済額 | 固定金利へ借り換えた場合の返済額 | 差額 |
---|---|---|
24,198,941円 | 25,431,142円 | 1,232,201円 |
金利プラン変更の特集記事もチェックしてみましょう。
金利変動のリスク②固定金利→変動金利に借り換えたとき
例えば今固定金利で借りている人が変動金利へ借り換えた場合。借り換え時の適用金利が低くなっているため返済額を抑えたい人にあてはまるパターンです。
住宅ローンを変動金利に借り換えたものの、その後予想以上に金利が上昇してしまい借り換え前の固定金利で借り続けておけばよかった・・・となることもあります。
この場合のシミュレーション結果は以下のとおりです。(諸費用などは考慮しないものとする)
- 残返済額2,000万円
- 返済期間残り25年間
- 変動金利0.8%に借り換えたが、5年後に2.8%へ上昇
- 借り換え前の固定金利は2.0%
変動金利へ借り換えた場合の返済額 | 固定金利のままの場合の返済額 | 差額 |
---|---|---|
25,738,237円 | 25,431,142円 | 307,095円 |
このように低いと思っていた変動金利が意外と上昇してしまった、というケースも十分考えられます。しかしこのような場合には、再度固定金利への借り換えを検討するか、もしくは繰り上げ返済を行い早めに完済してしまうのも手です。
住宅ローンの借り換えで損をしないために!注意点を理解しておこう
ただ「よくわからないから住宅ローンの借り換えはやめておこう・・・」というのは非常にもったいないです。借り換えを検討する3つのポイントに当てはまる方は、住宅ローンの借り換えに挑戦しみてはいかがでしょうか?その際には今回ご紹介した注意点には気をつけてくださいね。
ローンの借り換えにあたっては、確かに「返済額を減らすことができる」というメリットが先立ちます。
他にも、固定金利で返済金額を安定させることや、借入先によっては特典を得られることもあり、様々なメリットが期待できます。
諸費用や手間がかかる借り換えですが、積極的に取り組んでみる価値は十分にあります。

4年ほど専任の宅建士として不動産業者に勤務し、現在はマンション管理士・消防設備士として独立。
宅建士としての知識や立場を活かし、不動産売買時の疑問点などの相談を受けている。