
住宅ローンの借り換えと繰り上げ返済を徹底比較!どちらを選ぶべき?
今の住宅ローンの返済額が高いなぁ・・・と思ったことはありませんか?住宅ローンの返済額を節約する方法として、
- 住宅ローンの借り換え
- 住宅ローンの繰り上げ返済
この2種類があります。繰り上げ返済を行うと利息分を節約できるのはなんとなくイメージしやすいですよね。
では借り換えはどうでしょうか?正直、手間もかかるし手数料もかかります。繰り上げ返済と比べて心理的なハードルが高いかもしれません。
ですが、実は繰り上げ返済より借り換えを行った方が総返済額を減らせる場合もあるのです!そこで今回は、住宅ローンの借り換えと繰り上げ返済、どちらがおすすめかを解説していきたいと思います。
住宅ローンの「借り換え」と「繰り上げ返済」とは?違いを解説
住宅ローンをお得に返済する節約術として住宅ローンの借り換えと繰り上げ返済があります。ここでは、借り換えと繰り上げ返済について簡単におさらいしておきましょう。
住宅ローンの借り換えとは?
住宅ローンの借り換えとは、現在借りている住宅ローンから別の住宅ローンへ切り替えることにより、総返済額を抑える方法です。
基本的に借り換えでは、今の金利よりさらに低い金利で借りられる住宅ローンへ切り替えると節約につながると言われています。
- 金利差1%以上
- 残りの返済期間10年以上
- 残りの返済額1,000万円以上
詳しくはこちらの記事をご覧ください。
住宅ローンの繰り上げ返済とは?
住宅ローンの繰り上げ返済は、現在借りている住宅ローンの一部をまとめて返済する方法です。
ひとことで繰り上げ返済と言っても、実は2種類の方法があるのをご存知でしたか?
- 期間短縮型
- 返済額軽減型
①の期間短縮型の方が利息軽減効果は高いものの、ご家庭によっては②の返済額軽減型の方が良い場合もあります。
こちらの記事でも解説していますので、よかったらご覧ください。
住宅ローンの借り換えと繰り上げ返済の効果とは?実際に計算してみた
住宅ローンの借り換えや繰り上げ返済は(程度の差はあれ)手続きに手間を取られるのは確かです。
ですが、数十万円以上の返済額圧縮効果があったらどうですか?やってみたくなりますよね!
そこで住宅ローンの借り換えや繰り上げ返済をした場合はどうなるのか?実際にシミュレーションしてみました。
住宅ローンを借り換えた場合のシミュレーション結果
以下のような条件で、住宅ローンの借り換えした場合をシミュレーションしてみました。
試算条件は、残りの返済期間25年、返済残高2,500万円、全期間固定金利2.5%。
また借り換え先の住宅ローンは、全期間固定金利1.5%、諸費用60万円※とします。
(※)諸費用とは「繰り上げ返済手数料」や「登記関連費用」「司法書士への報酬」など様々な手続きや必要書類の準備にかかる費用です。
この場合、総返済額は以下のとおりとなりました。
借り換えなし | 金利1.5%へ借り換え | 差額 |
---|---|---|
33,646,064円 | 30,595,049円 | 3,051,015円の差額-諸費用600,000円=2,451,015円 |
なんと金利差1%の住宅ローンに借り換えるだけで、諸費用はかかるものの約245万円も返済額がお得になることがわかりました。
住宅ローンを繰り上げ返済した場合のシミュレーション結果
以下のような条件で、住宅ローンを繰り上げ返済した場合をシミュレーションしてみました。
試算条件は、返済期間35年、借入額3,500万円、全期間固定金利2.5%、ボーナス支払いなし。
また借り入れ10年目に約200万円を繰り上げ返済するものとし、繰り上げ手数料は無料とします。
この場合の総返済額は以下のとおりです。
期間短縮型 | 返済額軽減型 | 繰り上げ返済なし |
---|---|---|
50,978,441円 | 51,860,060円 | 52,551,660円 |
※概算額のため、金融機関によって計算結果は異なります。
期間短縮型では35年→32年8ヶ月に短縮され、返済額軽減型では毎月の返済額が125,123円→116,151円にまで下がりました。
「借り換え+繰り上げ返済」の両方を実行した場合のシミュレーション結果
では、借り換えと繰り上げ返済の両方を同時に実行した場合はどうなるでしょうか?
現在借りている住宅ローンの繰り上げ返済手数料は無料ですか?それとも有料ですか?窓口で返済した場合は有料だけどwebから手続きした場合は無料という銀行もありますし、そもそも繰り上げ返済手数料自体は無料というところも存在します。
このような場合は借り換え前に一部繰り上げ返済してしまっても問題ありません。
それでは、借り換え+繰り上げ返済のシミュレーション結果を見てみましょう。
試算条件は、自己資金200万円、返済期間35年、借入額3,500万円、全期間固定金利2.5%、ボーナス支払いなし。また借り入れ10年目に繰り上げ返済と借り換えをするものとします。
なお、繰り上げ返済の条件は期間短縮型で繰り上げ返済手数料が無料。借り換え先の住宅ローンは全期間固定金利1.5%、返済期間は23年、諸費用60万円とします
自己資金が200万円あるので、ここから諸費用(60万円)を払い、残りの140万円を繰り上げ返済に充てて計算してみました。
この場合の総返済額は以下のとおりです。
そのまま借り続ける | 繰り上げ返済+借り換え | 差額 |
---|---|---|
52,551,535円 | 46,388,309円 | 6,163,226円 |
※概算額のため、金融機関によって計算結果は異なります。
10年目に約140万円を繰り上げ返済したことで約113万円の利息を軽減。また返済期間も25年→23年4ヶ月に短縮されました。
さらにここから固定金利1.5%の住宅ローンへ借り換えたとします。計算上、残りの返済期間は23年としていますが、トータルでは何もしない場合と比べて総支払額は約616万円もの差が出ました。
借り換えに関する費用をもっと詳しく知りたい!そんなアナタにおすすめの記事です。
借り換えと繰り上げ返済、結局どちらがお得?パターン別に解説
ここまでは、住宅ローンの借り換えや繰り上げ返済による効果を説明してきました。
では、結局どちらがお得なの?と思いませんか?そこで、具体的に判断する計算手順をご紹介します。
借り換え?繰り上げ返済?どちらがお得か計算してみた
住宅ローンの借り換えでは、繰り上げ返済とは異なり諸費用がかかります。もちろん繰り上げ返済でも手数料がかかる場合もありますが、あったとしても相場は数万円。借り換えでかかる手数料と比較するほどではありません。
そこで、借り換えと繰り上げ返済を比較する際には、諸費用を含めてもお得か?を計算するようにしましょう。
実際には以下のような手順で計算します。
- 自己資金-借り換えの諸費用=繰り上げ返済費用でシミュレーションする。
- ①の結果と近い金利を探す。
- ②の金利よりも低く借り入れできる借り換え先を探す。
では、実際に自己資金250万円を用意できたとして計算してみましょう。ここから諸費用が60万円かかったとして、残りの190万円で繰り上げ返済した場合を見てみます。
計算の条件は、返済期間25年、返済残高3,000万円、全期間固定2.5%で借り入れたとします。この場合、190万円で元金を減らすと返済残高は2,810万円。ちなみに返済額軽減型で計算します。
この場合の総返済額は37,818,221円です。ここからさらに住宅ローンを借り換えたとすると、いったいいくらの金利差なら検討した方が良いのでしょうか?
今回の試算では、金利2.0%で35,730,744円となります。金利1.8%だと34,915,630円です。金利差1%未満の住宅ローンへ借り換えても効果が出ることがわかりました。
住宅ローンの借り換えでは金利差1%以上で検討するのがよいとされていますが、この場合では1%未満でも検討する価値がありそうです。
比較する場合の注意点とは?
住宅ローンの借り換えの方がお得か?それとも繰り上げ返済の方がお得か?はシミュレーションしてみないとわかりません。
事前に必ずシミュレーションするようにしましょう。
また比較する際の注意点として、以下のチェック項目をご紹介します。
- 金利
- 契約者の信用力や健康状態
- 繰り上げ返済後に残る貯蓄額
例えば、比べるにしても同じ金利で比較しないと意味がありません。
また、比較する前にそもそも借り換えが可能か?も考えなくてはなりません。
住宅ローンの借り換えでは新なローンを組むことになります。もし借り換え前に転職などしていたとすると、勤続年数や年収という点で審査に通らない可能性があります。また健康状態が悪化していれば、団信への加入も厳しくなるでしょう。
さらに、比較する際に用いる自己資金は計算していますか?
繰り上げ返済や借り換えの諸費用として自己資金を使うことになると思いますが、もし今ある貯蓄を全額自己資金として使ってしまったらどうなるでしょうか?
万が一の生活費としても残しておかなれければなりませんので、自己資金と残る貯蓄額のバランスにも注意するようにしましょう。
金利差1%未満でも借り換えの方がお得な場合あり!必ず事前に計算を
住宅ローンの借り換えは基本的に金利差1%以上なら効果があると言われていますが、繰り上げ返済と比較する場合は金利差1%未満でも効果がある場合があります。
住宅ローンの借り換えと繰り上げ返済、どちらが効果的かは実際に計算してみないとわかりません。必ず計算することをおすすめします。
借り換えや繰り上げ返済にあたってシミュレーションを行うことは必須ですが、その計算は複雑なものになります。
インターネット上で各種試算を行うこともできますが、概算での金額となることや、条件の設定ミスなども考えられますので、専門家に相談してみることも大切です。

4年ほど専任の宅建士として不動産業者に勤務し、現在はマンション管理士・消防設備士として独立。
宅建士としての知識や立場を活かし、不動産売買時の疑問点などの相談を受けている。