住宅ローンの借り換えは本当に得する?メリットとデメリットを解説
数年前に住宅ローンを組んで購入したマイホーム。頑張って繰り上げ返済をしている方や、毎月のローンの返済が家計を圧迫して苦しい・・・なんて方もいるかもしれませんね。
さて、住宅ローンを返済中の方にとって一度は聞いたことがあるはずなのが住宅ローンの借り換えです。特に今は歴史上まれに見る低金利の時代。住宅ローンの借り換えによって数十万円から数百万円お得になった!というケースもあるのです。
今回は、そんな住宅ローンの借り換えについて本当にお得なのか?メリットやデメリットについてご紹介していきたいと思います。
住宅ローンを借り換えるとこんなにお得!2つのメリットを紹介
住宅ローンを借り入れるとき、複数の金融機関のプランを比較していかに低い金利で借りられるか考えませんでしたか?
しかし住宅ローンを借り換えた方がお得そうだと分かっていても、実行に移すにはなかなか難しいと感じる人も多いようです。ここでは、住宅ローンの借り換えが本当にお得なのか検証していきましょう。
住宅ローンの借り換えとは?
住宅ローンの借り換えとは、今借りている住宅ローンの残債を、今までより良い条件の新しいローンを借りて一括返済する=借り換えることをいいます。
住宅ローンの借り換えでは新しく住宅ローンを組みなおすことになるので、住宅ローンを借り入れる際の諸費用がかかることに注意しましょう。
住宅ローンの借り換えは諸費用を払ったとしても、新旧住宅ローンの金利差によっては借り換え前より総返済額を下げられるというメリットがあります。
大切なのは、借り換えで新たに発生する諸費用と、借り換え後の総返済額の合計が、今借りているローンを返済し続けていくよりも安くなるかどうかです。
住宅ローンの借り換えをする前に、するべきことが1つあります。それは銀行との金利引き下げ交渉です。
もし交渉に応じてもらえたら、借り換えという手間を省ける上に返済額を減らすこともできるのでとってもお得ですね。
金利が下がれば下がるほど、銀行も顧客から金利引き下げ交渉を受けることになります。
そのため、金利引き下げ交渉は確実に成功するというものではありません(実際に交渉を行った方のうち、約25%ほどが引き下げ交渉に成功しています。)
次に紹介する3つのコツを覚えておきましょう。
- 契約時より収入が上がっている
- 給与振込口座や公共料金の支払い口座に指定する
- 定期預金を契約する
必ずしも金利引き下げに応じてくれるとは限りませんが、まずは交渉するところから始めてみましょう。
住宅ローンを借り換える目的はこの2つ
住宅ローンの借り換えを行う目的は2つあります。
- 金利差によって、総返済額を減らす
- 金利タイプを変更することで、金利上昇リスクを抑える
例えば借り換えによって現在借りている住宅ローンの金利から下がる場合。金利が下がるということは支払う利息が減るということなので、返済額を減らすことができます。
総返済額が減るということは「月々の返済額」か「返済期間」、あるいは両方を減少・短縮させることが可能になるということ。
つまり「月々の返済額が減る→生活の安定に繋がる」「返済期間が短くなる→早期完済による老後のリスクを軽くする」ということに繋がるのです。
たとえ住宅ローンの借り換え時に諸費用といったコストがかかったとしても、返済圧縮額の方が大きくなるようでしたら住宅ローンの借り換えには成功です。
また、返済額を減らせなくても借り換えをするメリットもあります。それは金利タイプを変更することです。例えば、以下のようなケースを紹介しましょう。
①金利下降局面 | 固定金利で借りていた場合、変動金利に借り換えると返済額を減らせる。 |
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②金利上昇局面 | 変動金利で借りていた場合、固定金利に借り換えると金利上昇リスクを押さえることができる。 |
特に②の金利上昇局面では、今後変動金利の金利が上がっていくと返済額が増えるというリスクがあります。金利が上がりすぎてローンを払えなくなるという心配も・・・。
そこで金利上昇局面では固定金利に変更しておくことによって、金利上昇の心配がなくなるというメリットがあるのです。
住宅ローンの借り換えにはデメリットも。3つの注意点を解説
さて、ここまで住宅ローンの借り換えは非常に有効であることを説明しましたが、注意するべきポイントもあります。ここでは3つの注意点についてご紹介しましょう。
1.住宅ローンの借り換えには諸費用がかかる
住宅ローンの借り換えとは新たに住宅ローンを組むことなので、当然借り入れ時に諸費用がかかります。諸費用には主に以下のようなものが挙げられます。
- 事務手数料
- 保証料
- 印紙税
- 登記費用
- 団体信用生命保険料
- 繰り上げ返済手数料(必要な金融機関のみ)
中には金利に含まれているものもありますが、基本的には現金で支払うものばかりです。
こういった諸費用を用意できなければ借り換えはできないので注意しましょう。
では具体的なケースを用いて、住宅ローンの借り換えに必要な諸費用を見ていきましょう。
事務手数料:約5万円前後(最近は無料の場合などもあります)
保証料:1万5,000円
印紙税:1万円
登記費用:10万円~20万円(司法書士報酬を含む)
団体信用生命保険料:金利に含んで計算されています
繰り上げ返済手数料:必要な金融機関のみ
費用に関する特集記事もありますので、もっと詳しく知りたい方はコチラの記事へ。
2.手続きには手間がかかる
今借りている住宅ローンの手続きをする際、手続きが面倒だなと感じたことはありませんでしたか?各金融機関のローン金利を比較するところから始まり、契約時には必要な書類を用意したり銀行に出向いたりと時間をとられるのも事実。
特に仕事で忙しい人は、そんな時間をとれない!という人もいるでしょう。しかし、支払っているローンの返済額に注目してください。この先何十年も高い利息を払い続けるよりは、借り換えによって少しでも利息を減らす方がいいと思いませんか?時間を見つけて実行するようにしたいですね。
3.金利変動のリスクがある
住宅ローン借り換え後の金利動向によっては、最終的な総返済額が必ずしもお得になるとは限りません。これが金利変動のリスクです。
将来的な金利の動向は誰にもわかりません。
大きく下がると予測されていても実際は横ばいのままとか、急激に金利が上がる場合などさまざまです。
しかたがって、今後の金利動向を見越して住宅ローンを借り換えたとしても最終的には返済額があまり変わらなかった、むしろ上がってしまったという場合もありえます。
しかし、こうした金利変動のリスクには対策があるのです。例えば先ほど出てきたような固定金利から変動金利へ変更した場合。
金利が低いうちに繰り上げ返済を行い金利が上昇する前に完済できるようにします。こうすることで、金利が大幅に上昇してしまい返済計画が狂ってしまう・・・という状況も回避できますね。
住宅ローンを借り換える際の注意点はこちらの記事で詳しく解説しています。
あなたは得する?住宅ローンの借り換えを判断する3つのケース
住宅ローンのメリット・デメリットを把握したところで、住宅ローンの借り換えをしてみてもいいかなと思ったのではないでしょうか?
住宅ローンの借り換えを行った方がお得かどうかを判断するポイントがあります。
そのポイントとは、金利差・残高・残りの返済期間の3つ。
住宅ローンの借り換えをした方がお得かどうかは、具体的には次の基準で判断します。
- 金利差が1%以上
- 残高が1,000万円以上
- 残りの返済期間が10年以上
この基準を満たしていれば、実際に計算してみることをおすすめします。
では、実際にシミュレーションしてみましょう。
現在のローン残高:2,000万円
残りの返済期間:20年
現在の借入金利:1.5%
借り換え後の借入金利:0.5%
借り換えなかった場合 | 借り換えた場合 | 差額 |
---|---|---|
23,162,400円 | 21,020,800円 | 2,141,520円 |
借り換えを行った場合と行わなった場合、約214万円もの差が出ることがわかりました。
この差額から借り換え時の諸費用を除いてもプラスになるようであれば、借り換えを行った方がお得だということがわかります。
ただ3つの基準を満たしており、借り換えた方がお得に返済できそうでも、以下のような借り換えに踏み切らない方がよいケースもあります。
- 銀行との金利引き下げ交渉の余地がある場合
- 大きな金利変動の要因となる社会情勢がある場合(リーマンショックなど)
ただシミュレーションするだけではなく、経済状況など多方面から考えて慎重に判断しましょう。
住宅ローンを借りっぱなしで終わるのはNG!借り換えも検討しよう
ただ借り換えにも諸費用や手間がかかるなどといったデメリットもあります。コストをかけても本当に借り換えるメリットはあるのか、金利差や現在の借り入れ条件を確認しながら実行前には必ずシミュレーションするようにしましょう。
住宅ローンの借り換えについて興味があるという方は多いことでしょう。
しかし、住宅ローンは数千万円のお金が動く話なので、「失敗して結局大損してしまうんじゃないか…」と身構えてしまうことも考えられます。
今回の記事を通して、借り換えに関する正しい知識を身に着け、積極的に取り組むお手伝いができれば幸いです。
4年ほど専任の宅建士として不動産業者に勤務し、現在はマンション管理士・消防設備士として独立。
宅建士としての知識や立場を活かし、不動産売買時の疑問点などの相談を受けている。