
固定資産税が払えないと起こる5つの事態!対処法も詳しく紹介
不動産を所有していると必ず発生するのが、固定資産税という地方税です。
固定資産税は一度納税義務が発生すれば、分納や猶予してもらえることはあっても、基本的に免除されるということがありません。
リストラや病気で働けなくなって収入が途絶えたりといった場合でも、支払わなくてはいけないのです。
この記事では収入が途絶えたり、固定資産税が払えない場合にどんなことが起きるのか?そしてどのように対処していけばいいのか?についてお伝えしていきます。
固定資産税を払わないと起こる5つの事態!最悪は不動産を失う
税金である固定資産税は、条件によって一時的に猶予されることはあっても、免除されることがありません。
それは理由のいかんを問わず、例え自己破産をしたとしても、非免責債権となっているためにそのようなルールになっているのです。
もし、固定資産税を払わずに滞納し始めると次のような事態に陥り、最悪の場合は不動産を失うことになります。
- 遅延金が発生する
- 督促状が送付される
- 財産調査・身辺調査される
- 財産が差押えされる
- 財産が公売(競売)にかけられ、売却される
詳しくみておきましょう。
1.固定資産税の滞納開始から延滞金発生
固定資産税の滞納が始まると、その時点から延滞金が発生することになります。
延滞金は最初の延滞してから最初の1カ月を超えると、多くの市区町村で年率15%前後とかなり高めになってしまいます。
たとえば、東京都目黒区では次のような延滞金の支払いが必要です。
尚、この年率については毎年1月1日から適用される割合で計算され、1,000円未満の延滞金は請求されません。
2.督促状が送付されてくる
納期限が過ぎても納税が無い場合には延滞金が発生しますが、督促状が送られてくるのは「納期限から20日経過後」です。
市区町村の中には納期限から30日経過後というところもありますが、一般的には20日経過後からが多いと考えていいでしょう。
督促状の発送は、地方税法上のルールとして市区町村がおこなうべき義務となっています。
3.財産調査や身辺調査される
督促状を送付しても納税がない人にはその後、財産調査と身辺調査が始まります。
財産調査では、延滞している税金に対して換金性が高くてすぐに原資となるような給与や、預貯金から不動産や自動車などまでを調べていきます。次のようなものが対象です。
- 給与や所得
- 銀行の預金口座
- 不動産
- 自動車
- 貴金属や絵画、骨とう品など
- 生命保険商品
- 取引先に対する売掛金、等(自営業者などの場合)
また身辺調査で対象となるのは、住民票や戸籍、家族構成に始まり、勤務先や取引先にまで及びます。
職場にも書面や電話による連絡がありますので、職場の人に延滞が知られてしまう可能性があります。
4.財産が差押えされる
財産調査を経て、差押えの対象となる財産に対する催告書や差押予告書が届きます。
差押えはある日突然に差し押さえられるわけではなく、事前に延滞している本人宛てに書面で知らせてから執行されます。
現金や預貯金、給与、株など換金性(流動性)の高いものから差押えられ、それでも不足する場合には自動車や不動産へと移ります。
ただし、日々の生活に欠かせない衣服や家具などの日用品や社会保険料、生活資金として最低限必要な金銭などは差押えの対象外です。
5.財産が公売(競売)にかけられ、売却される
差し押さえられた財産は、公売にかけられます。
競り落とされて現金化されると、滞納された税金に充当されることになります。
不動産の固定資産税を払えない場合の対処法
固定資産税が払えない場合、次の3つの対処法があります。
- 分納による支払いの分割
- 納税猶予
- 換価猶予
詳しくみていきましょう。
分納による支払いの分割
延滞している固定資産税と延滞金について、支払いしやすくなるように分割による分納が認められる場合があります。
他に資産隠しなどがないことがわかれば、認められることが多いようです。
納税猶予
納税猶予は次のような「致し方ないような事情」があるような場合に、1年以内の納税猶予など時間的な猶予が与えられる措置です。
- 病気や大ケガをした場合
- 災害や盗難にあった場合
- 事業を廃止・休業したり、大きな損失を受けた場合
- 上記に類する事実があった場合
自分が対象でないか、役所で尋ねてみましょう。
換価猶予
換価猶予は、差し押さえられた財産を公売などで売却することが猶予される措置です。
たとえば、差し押さえられた財産が売却されると事業に支障をきたし、収入が途絶える可能性がある場合や生活していくのが困難になると考えられるような場合に認められます。
固定資産税を払えないときは、不動産の売却を検討しよう
もし、ご紹介したような対処法でも解決できず、また両親や親族からの援助なども期待できないようなら、納税資金を作るために不動産の売却を検討することになります。
愛着のあるマイホームを売却することは非常に心苦しいものですが、もし躊躇していると競売になってしまう可能性も。そうなれば安く買い叩かれて、非常に低い売却価格での処分を与儀なくされてしまいます。
また不動産の売却には予想以上に時間がかかる場合があり、そうすると延滞期間が延びる一方です。
少しでも早く売却をスタートさせ時間を稼ぐことができれば、安く売り急ぐことなく少しでも高く売却できる可能性につながってきます。
不動産の売却は、まずどれくらいの価格で売れるのかについて知ることから始まります。
ネットなどから売却する家の周辺の似たような条件の売却物件情報をチェックして、相場を把握すると同時に複数の不動産会社に査定を依頼しましょう。
その際、不動産一括査定サイトの利用がおすすめです。詳しくは次の記事「おすすめな不動産一括査定サイトを厳選してご紹介!」にまとめていますので、ぜひチェックしてみてください。
固定資産税の支払いは先延ばしせず、売却などをはやめに検討しよう!
税金は基本的にリストラで収入が途絶えたり、相続などで急に取得したので納税資金が用意できないといった理由は一切通用しません。
滞納すればするほど延滞金などの余分な税金が発生し、雪だるま式に納税金額は増えていってしまいます。
そうなる前にまずは役所の窓口に相談にいき、納税についての積極性を見せましょう。
それでもどうにもならない場合には、はやめに売却処分を検討するなどの行動を取ることも大切です。
複数の不動産会社から信頼できるところを選び、はやく売却が進められるようにしましょう。
固定資産税が払えなくなるケースでは、住宅ローンの返済も困難になっている場合が多いでしょう。ローン返済が6ヶ月以上の延滞は売却せざるを得なくなります。
一時的な理由で税金の支払いができない場合は、支払方法について市町村と早目に相談するべきですが、住宅ローンの返済もある場合はまず不動産会社に相談です。

中古住宅・中古アパートの媒介業務・調査業務に従事し、現在は札幌市内の宅建業者にて専任の取引士を務めている。
2006年より、住宅に関する無料の相談サイトを開設し、住宅リフォームや中古住宅購入の相談に応じている。