市民葬・区民葬とは?費用の相場とメリットとデメリットを解説
葬儀の形式には一般的なものをはじめ、家族葬や自由葬など様々な種類があります。
その中のひとつである市民葬とは、各自治体が提携している葬儀社が行っている葬儀のことです。区が行う場合は区民葬、町が行う場合は町民葬と呼ばれます。
この記事では市民葬の特徴とほかの一般的な葬儀との違いなど、次の点を解説していきます。
- 市民葬をあげることができる人
- 費用の相場
- 一般の葬儀社と比較
- 申し込み方法
市民葬になどについてご紹介します。市民葬・区民葬で葬儀を行うメリットやデメリットなどを把握した上で葬儀形式の選択肢の一つとして考えてみてくださいね。
市民葬や区民葬の特徴は?利用条件や相場を解説
各自治体によって葬儀会社と提携する基準は異なりますが、ここではおおまかな基準の目安をお伝えします。
- 葬儀費用の見積もりを素早く明瞭に説明し書面で提示することができる
- 質問に明確に回答することができる
- 葬儀に必要な情報を提供することができる
詳細な内容や費用は、各自治体の定めた基準をクリアした各葬儀社との契約に基づいたものとなっています。そのため正確な内容を知るにはご自身のお住まいの自治体に問い合わせましょう。
市民葬を利用するには故人または喪主がその自治体の住民であることが条件
故人と喪主の住所地が異なる自治体である場合は、それぞれの自治体で市民葬・区民葬について確認しておきましょう。
市民葬・区民葬の費用の相場について
市民葬・区民葬は、葬儀費用を比較的少なくすることで遺族の負担軽減をはかる制度ですが、実際にどのくらいの費用がかかるのか、その相場を一般の葬儀社と比較していきましょう。
この記事では東京都足立区を例にみていきます。
料金(税抜) | |
---|---|
祭壇料金(棺含む) | 91,000円〜295,800円 |
霊柩車運送料金(距離や車に応じる) | 14,160円〜41,250円 |
火葬料金(大人料金) | 53,100円(非課税) |
遺骨収納容器代(大人料金) | 9,800円〜10,900円 |
合計 | 168,060円~401,050円 |
足立区の場合、祭壇・火葬・遺骨収納容器代・霊柩運送料金のみ料金が定められています。
そのため、葬儀の規模や内容に応じては追加費用が必要となります。
規格葬儀の種類・料金(大人料金・税抜) | |
---|---|
百合プラン | 323,800円 |
桔梗プラン | 185,700円 |
プランによって祭壇飾付などの内容が異なります。さらに規格の葬儀には、読経料や式場使用料、遺体冷却のためのドライアイス代、火葬料など、含まれていない経費もあるため注意しておきましょう。
市民葬と一般の葬儀社との費用の違いは70万円前後
日本消費者協会「第11回『葬儀についてのアンケート調査』報告書」(2017年)によると、葬儀費用の全国平均は約195万円。
この中には通夜からの飲食接待費や寺院への費用が含まれていますので、葬儀一式費用の全国平均をみると約121万円です。
一方、市民葬・区民葬であれば50万円までの自治体が多くみられますので、費用としては安く葬儀をあげることができます。
ただし市民葬は葬儀にかかる一部の費用しか定められておらず、市民葬で一般的な葬儀を行うには追加費用がかかりますので注意しておきましょう。
市民葬のメリットとデメリットを知っておこう
市民葬に決める前にメリットとデメリットを確認してみましょう。
市民葬の3つのメリット
1.葬儀社へ直接依頼するよりも葬儀費用が割安
日本消費者協会によると葬儀一式費用の全国平均は1,214,000円(2017年)ですが、市民葬・区民葬の場合は50万円までで行える自治体が多くみられます。葬儀内容にもよりますが、葬儀費用を安価に抑えることができます。
2.市民・区民であれば誰でも利用できる
市民葬・区民葬は、故人または喪主が市民または区民であれば、所得制限などなく誰でも利用することができます。
3.自治体と提携した葬儀社だから安心
市民葬・区民葬は各自治体が提携した葬儀社が行いますが、葬儀社は各自治体の基準を満たしていることが必要です。そのため、どこに依頼すれば良いのか分からない場合や、葬儀のサービス内容や費用に不安がある場合は、各自治体が提携している葬儀社であればとても安心です。
3つのデメリット
1.追加費用が発生するケースが多い
市民葬・区民葬が指定する葬儀費用は、一部の物品やサービス費用しか定められていません。そのため、一般的な葬儀を希望する場合は、追加費用が必要となるケースが少なくありません。
実際には各自治体が提示している費用に追加費用がかかることを念頭におきましょう。
飲食費、斎場使用料、葬儀社の人件費、寺院への謝礼、ドライアイス、テント、搬送車、出棺車両、遺影写真、献品、返礼品、会葬礼状、返礼品、供花、供物など
2.必要最低限の葬儀になる
市民葬・区民葬は比較的安価に行うことができることもあり、祭壇や仏具、棺などは必要最低限の質素なものである傾向にあります。
参列者が多いと予想される場合や、豪華な葬儀をお考えの場合は、市民葬・区民葬の内容では要望を満たすことができません。
3.葬儀社を選ぶことができない
市民葬・区民葬は、各自治体が提携している葬儀社が行います。各自治体が提携している葬儀社は複数社ありますが、提携していない葬儀社を選ぶことはできません。また、自治体によっては斎場が指定される場合もあります。
これらの点を踏まえて、市民葬を利用するかどうかを考えてみてくださいね。
市民葬に決めたら?市役所・区役所に申し込む手順と流れ
市民葬は多くの場合、市役所や区役所で受け付けています。人が死亡した場合は7日以内に役所に死亡届を提出する必要があるため、その際に市民葬を利用したい旨を伝えて申し込みを行います。
自治体が提携している葬儀社は複数ありますので、1社を選択して依頼することになります。この時の葬儀社への連絡は自治体が行う場合と、直接本人が行う場合があるため、自治体の指示に従いましょう。
市民葬・区民葬が安いとは限らない!事前に費用の金額をチェックしておこう
しかしながら、すべての自治体で市民葬・区民葬を利用できるわけではありませんので、まずはご自身の自治体に市民葬・区民葬が利用できるか確認しておきましょう。
また、市民葬・区民葬は必要最低限のサービス内容であることが多いため、一般的な葬儀を行うには追加料金がかかることを忘れてはいけません。
最近では、家族葬や1日葬など独自に低価格プランを打ち出している葬儀社も充実しているため、結果的に市民葬・区民葬よりも葬儀費用を安価に抑えることができるかもしれません。
後悔のない葬儀を行うためにも、あらかじめ葬儀内容や費用を確認して比べておくことが大切です。