仕送りで贈与税を取られるの?介護費の援助はどうなる?
親に貯蓄があり、悠々自適な老後を過ごせるのなら問題はありません。しかしそうした余裕がなく、子供の援助がないと生活が厳しいという場合も多いでしょう。
こうした場合に有用なのが「扶養控除」で、控除により子供の負担を少なくすることができます。しかし親に仕送りをすると、その援助金が贈与税にあたると考える人もいます。じっさいのところどうなのでしょうか?
このページでは、仕送りや介護費援助と扶養控除について説明しています。扶養控除の受け方や、贈与税での扱いなどを解説します。
扶養控除とは?
「扶養控除」は、親族を養っている場合に減税措置を受けられるシステムです。
扶養控除のおかげで、子供や高齢の親を養う人の負担が軽減されています。しかし扶養控除を受けるためには、いくつかの条件を満たす必要があります。
また、扶養控除は申告制ですので、しっかりと申込みをおこなう必要があります。
どうすれば扶養控除を受けられる?
扶養控除の受け方は、「会社員」であるか「個人事業主」であるかによって変わってきます。
サラリーマンの場合、年末調整のときに「給与所得者の扶養控除等申告書」を会社に提出します。あとは会社の担当者が手続きをおこなってくれます。
自営業の場合、確定申告で直接扶養控除の申請をします。
扶養控除するとどれくらい得するの?
親族を扶養している場合、「所得税」と「住民税」について扶養控除を受けられます。じっさいに控除される額については、以下の表をみてください。
区分 | 所得税控除額 | 住民税控除額 |
---|---|---|
一般扶養親族 | 38万円 | 33万円 |
老人扶養親族 | 48万円 | 38万円 |
同居老親等 | 58万円 | 45万円 |
扶養控除の条件と控除を受けれないケース
扶養控除を受けるためには、以下の条件をすべて満たす必要があります。
- 6親等以内の血族であるか、3親等以内の姻族である。
- 扶養対象の所得が38万円以内である。
- 生計を一にしている。
- 扶養対象が、他の誰かに扶養されていないこと。
控除可能な親族の範囲
「血族」なら6親等、「姻族」なら3親等までが控除対象になります。
親等 | 直系親族 | 傍系親族 |
---|---|---|
1親等 | 父母、子 | なし |
2親等 | 祖父母、孫 | 兄弟姉妹 |
3親等 | 曽祖父母、ひ孫 | おじおば、甥姪 |
4親等 | 高祖父母、玄孫 | いとこ、祖父母の兄弟姉妹など |
5親等 | 五世の祖、来孫 | 父母のいとこ、曽祖父母の兄弟姉妹など |
6親等 | 六世の祖、昆孫 | はとこ、祖父母のいとこなど |
扶養控除を受ける場合、何親等であるかが問題ですので、直系でも傍系でも関係ありません。
また、姻族の親等の数え方は、血族の場合と同じです。たとえば、妻の父である「義父」は、1親等の姻族となります。兄弟の配偶者は、2親等の姻族です。
基礎控除以外にも控除がある
扶養控除を受けるためには、扶養される親族の「所得」が、基礎控除の額である38万円以下でなければいけません。
しかし、基礎控除以外でも受けられる控除があります。給与所得者が受けられる「65万円」の控除や、年金受給者が受けられる「70万円(65歳以上なら120万円)」の控除などです。
こうした控除を引いたあとの所得が38万円以下なら、扶養控除の対象になります。
たとえば親が70歳で年金受給者なら、「38+120=158」で、親の年収が158万円までなら控除対象にできるというわけです。
親への仕送りでも税金の控除対象になる
扶養控除の条件に、「生計を一にする」というのがあります。
しかし生計を一にするは、同居をしているという意味ではありません。たとえ親と別居していても、仕送りをしていれば扶養控除を受けられます。
兄弟で仕送りをしているとアウト
扶養控除を受けられるのは、扶養される人ひとりに対して、ひとりだけです。
つまり、自分が親に仕送りをしているとしても、他の兄弟が親に仕送りをしていて、その兄弟がすでに扶養控除を受けている場合は、自分は扶養控除を受けられません。
ただし、この規定はあくまで、1人の被扶養者に対して1人の扶養者と定められているだけです。自分が、父と義父の2人に仕送りをしている場合などは、2人分の扶養控除を受けられます。
仕送りでは贈与税を取られない
相続税法によって、「夫婦や親子、兄弟姉妹など、扶養義務者から生活費や教育費に充てるために取得した財産で通常必要と認められるもの」は贈与税の対象にならないと決まっています。
つまり、仕送りの場合は贈与税はかかりません。
ただし仕送りとして許されるのは、生活に必要な額のみです。それ以上のお金を送っている場合は、贈与税がかかってきます。
必ず扶養控除をおこなって家計への負担を抑えよう!
同居していないと扶養控除を受けられないと勘違いしている人もいますが、仕送りさえしていれば控除を受けられます。必ず手続きをおこないましょう。
また、被扶養者への仕送りには、贈与税はかかりませんので心配はいりません。