終活はいつから?親が元気なときから始めるべき理由と効率的な進め方
終活はひとりで行うものだと思っていませんか?実は親子が一緒に終活を行うと次のようなメリットがあるんです。
- 親の現状(健康、財産、希望や不安などの思い)を知ることができる。
- 体力や気力が必要な身辺整理などスムーズに行うことができる。
- 万一、介護や医療が必要になったり亡くなった場合、あらかじめ準備しておくことで手続きなどをスムーズに行うことができる。
この記事では「終活とは何か?」「いつからどのように取り組めばよいのか?」「親と一緒に終活を進める方法とは?」などについてご説明します。
親世代・子世代で一緒に終活を上手に進める参考にしてくださいね。
「終活」は「死ぬ準備」ではない!親世代に興味を持ってもらうコツとは?
親と子が終活を一緒に行うには、まず親に終活に関心をもってもらわなければ始まりません。
この結果からもわかるとおり、現在健康な親に対して終活について話をすることは難しいと考えている子世代が多くいます。
まずは「終活」について正しく理解しておくことが重要。「終活」=「死ぬ準備」ではないということを認識しておきましょう。
終活の際に確認しておきたいこと10個のこと
ここでは、子と親が一緒に終活する際、話し合っておきたいことや確認しておきたいことについて具体的にご紹介します。
- かかりつけ医の確認
- 介護についての希望
- 延命治療に対しての考え方
- 万一の時の親族や知人などの緊急連絡先リストの確認
- 実家の状態の整理や片付け
- 生前整理・老前整理
- 葬儀やお墓の形式の希望や費用の相談
- 財産や相続についての話し合い
- 貴重品や保険証など重要書類の保管場所
- エンディングノートの作成
それぞれ詳しく見ていきましょう。
1.かかりつけ医の確認
親が通院などをしている「かかりつけ医」を聞いておきましょう。
まずは親御さんが現時点でかかっている専門医の方や、かかりつけの病院について聞いておくことが大切です。親の健康状態を把握できることはもちろん、相談や万一の時には助けを求めることもできるようになります。
2.介護についての希望
今は元気な親も将来は寝たきりや認知症になる可能性があります。そのため親が元気なうちから、もし親に介護が必要になったらどうするかについて話し合っておくことが必要です。
主に次の3点について親の希望を確認しておきましょう。
家族が介護を行う場合であっても一部は介護サービスを利用することも可能です。介護にはどのような方法があるのかについても知識を深めておくと、不安感が和らぎますよ。
自宅で介護をしてもらいたいのか、施設で介護をしてもらいたいのか、親の希望だけでなくそれぞれのメリットやデメリットを把握しておくことが大切です。
例えば自宅には住み慣れた思い出があってもお風呂やトイレ、食事などに不便を感じるかもしれません。一方、施設であれば職員が介護してくれるため安心感がありますが、施設のルールに従う必要があります。
在宅で訪問介護などのサービスを利用する場合、施設に入居する場合、いずれにおいても介護費用がかかります。どれくらいの費用がかかるのか、経済的にも見合った最適な介護方法を見つけておくことが必要です。
延命治療に対しての考え方
万一、親が病気となって延命治療について医師より説明があった際、親が明確に意思表示ができる状態であるとは限りません。その時に家族が困ることのないように延命治療に対する考え方についてもエンディングノートなどで明確にしておくことが必要です。
仮に延命治療を望まないと書き残されていたとしても、家族の中の一人でも延命治療を希望した場合、延命治療を行われるケースも。
そのため近年では本人が尊厳死を望むことを保証する「尊厳死宣言公正証書」を作成する方も増えています。
意思表示の方法や注意点については次の記事で詳しく解説しています。
万一の時の親族や知人などの緊急連絡先リストの確認
危篤など、万一のことがあった時に知らせる必要のある親族や日頃関わりのある知人や友人などの緊急連絡先をリスト化しておきましょう。
この緊急連絡先が現在もつながるかどうかの確認を含め、こちら側の連絡先も伝えておくと安心です。
実家の状態の整理や片付け
親と同居している場合も重要ですが、別居している場合は特に実家の整理や片づけを積極的に行うのがおすすめ。
親が身体的に不自由な状態で家が整理整頓されていないと、移動が困難となったり、つまずいてケガをしたり、最悪の場合はごみ屋敷になってしまうことも。豊かな老後を送ってもらうためにも整理や片づけは積極的に行いましょう。
高齢の親とトラブルを起こさずに実家を片付ける方法は次の記事で解説しています。
貴重品や保険証など重要書類の保管場所
親が万一の時、様々な手続きが必要となります。しかしながら手続きに必要な重要書類や印鑑がどこに保管されているか分からなければ家族は困ってしまいます。
そこで、日頃から親の通帳や年金手帳、保険証、保険証券、土地の権利書などの重要書類や印鑑の保管場所についてはあらかじめ確認しておくことが必要です。
生前整理・老前整理
生前整理とは、元気なうちに自分自身で身の回りの整理を行うこと。親が元気なうちに身の回りの持ち物を整理してもらうことは、親の意思を尊重することにもつながります。
どうしても手間はかかりますが、その分、親自身の生活や残される家族の負担が減るのがメリット。手順や進め方は次の記事を参考にしてくださいね。
葬儀やお墓の形式の希望や費用の相談
葬儀やお墓の希望について話し合っておくことも必要です。生前葬や生前墓など生前に契約すると本人の希望も叶えることができる上に家族の負担も軽減することができます。
本人の希望を事前に確認し、どのような手続きや準備が必要で、どれくらいの費用がかかるのかを事前に考えておきましょう。
財産や相続についての話し合い
相続が「争続」に発展するケースは少なくありません。親も亡くなった後、家族の中が悪くなることは望んでいないはず。そこで事前に遺産相続について話し合っておくことが大切になります。
具体的に確認しておきたい点は次の2点。
現在、親がどのくらいの財産(預金、保険、家、土地、自動車、株式など)を保有しているのか、借金やローンがある場合はどのくらい残っているのかについて把握しておくことが必要です。
法定相続人とは、遺産を相続することができる権利のある人を指し、法定相続人となれる人が法律で決められています。特に法定相続人が多い場合はトラブルに発展するケースが少なくありません。
エンディングノートの作成
エンディングノートとは、自分が亡くなった時に、遺族に伝えておきたいことを書き残しておくためのノートです。遺言書とは異なり法的な拘束力はありませんので、自由に書くことができます。
ただし、エンディングノートの全文、日付、氏名を自署して押印があった場合は自筆証書遺言として遺言書となる可能性があります。
エンディングノートに記載する内容としては、次のようなものがあげられます。
- 健康について(病歴、日常薬、主治医・かかりつけ医、延命治療や告知の要望・理由)
- 葬儀について(訃報連絡先、お寺の連絡先、宗派、遺影写真)
- お墓について(お墓の管理料・規約)
- 財産・相続について(預貯金、保険、不動産など)
- 遺言書の有無
- 個人について (好きなもの、嫌いなもの、思い出など)
- 家族へのメッセージ
- 自分史
市販のエンディングノートであれば、上記のような項目が記載されていますので、ぜひ一度チェックしてみてください。一度書いた内容であっても、状況によって考え方が変わる可能性がありますので、定期的に見直しを行うことも必要です。
エンディングノートに興味がある方は次の記事も参考にしてみてください。
親とともに終活を進めるための4つの手順と切り出すタイミング
実際に親に終活を進めるおおまかな手順を見ていきましょう。
- 親に終活をしてもらいたい理由や内容を考える
- 親に終活の話を切り出す
- 今後について話しあう
- いっしょにエンディングノートを書き進める
タイミングや言葉選びを間違えると終活をスムーズに行うことが難しくなるので注意してくださいね。
まずは自分で終活をしてみる
親に終活を勧める前に、まずは自分で終活をやってみましょう。例えば、自分でエンディングノートを書いてみると親の気持ちも少しは分かるかもしれません。
高齢になると体力だけでなく、視力や記憶力も低下してしまいます。文字を読む、ペンを持つ、長文を書くのがしんどいという人も。親に任せきりにせず、一緒に書き進めたり、インタビュー形式で代筆してあげたりするのも良いでしょう。
テレビで有名芸能人が亡くなった報道やお墓、終末医療などの特集番組があった時
テレビ番組で終活特集などがあれよいですが、芸能人のお葬式や、終活に関係するお墓や終末医療などの番組であっても第三者的な目線で見ることができるので「お葬式は家族葬でいいよ」などと親の本音を聞くことのできる良いチャンスです。
ご近所さんが亡くなった時
不謹慎ですが、例えば近所の方に不幸があった時は、死を身近に感じるだけではなく、近所の方が亡くなった後の家族の対応(例えば葬儀やお墓、相続など)についても耳にする機会もあるため、自然に終活の話をしやすいタイミングです。
身内のお葬式や法事の時
親族が集まるお葬式や法事の際には、「先に決めておかないと、あとに遺された人が困るよね」などと、親族の集まる中で自然に話し合うことができるため、終活の話をスムーズにすすめるには良いきかっけとなります。
終活を成功に導くのは親子のコミュニケーション
まずは「終活は最期まで自分らしく生きるための活動である」という意識をもつことが重要です。
そして、親子で終活をすすめる最大のポイントは「家族とのコミュニケーション」。例え離れて暮らしていても定期的に顔を見せたり電話をしたりする中で終活について触れる機会が自然と増えますし、会話の中で親の希望などを聞き取ることもできます。
親にとって残された子に迷惑をかけたり、後悔させることはしたくないものです。そのため子にとって終活は「最後の親孝行」といえるのではないでしょうか?
親の万一の時に備えて親が元気なうちから終活に取り組んでおきましょうね。