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シルバーハウジングは費用も機能も高齢者向け住宅として優秀

シルバーハウジングは費用も機能も高齢者向け住宅として優秀

最近ではサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)が、高齢者向け住宅として人気を集めています。しかしもっと昔から高齢者向けの住宅は作られていました。それが「シルバーハウジング」です。

シルバーハウジングは、建物がバリアフリーになっており、高齢者に適した住宅となっています。高齢者向け住宅を探すときには、サ高住だけではなく、シルバーハウジングも視野にいれるべきでしょう。

このページではシルバーハウジングについて、詳しく説明していきます。

シルバーハウジングって何?

シルバーハウジングは、高齢者向けの住宅です。1987年に建設省と厚生省が協力しておこなった「シルバーハウジング・プロジェクト」により作られ始めました。

シルバーハウジングは高齢者向け住宅ですので、建物には手すりが多く設置され、段差も極力おさえたバリアフリーとなっています。

提供しているのは、「地方公共団体」「都市再生機構」「住宅供給公社」であり、シルバーハウジングは公共性の高い高齢者向け賃貸住宅となっています。

シルバーハウジングには、自治体が運営する「公営住宅」のほかに、「シニア住宅」「シニアハウス」「シニアマンション」などがありますが、基本的な機能は同じようなものです。

なんでシルバーハウジング・プロジェクトってのが始まったんですかね?
単純に高齢者の数が増えているというのが、プロジェクトが起こされた原因でしょう。ただ、高齢者の在宅生活率の高さというのも、大きな要因になっていると思います。
在宅生活率の高さ?高齢者が自宅で暮らして、なにか悪いことでもあるんですか?
日本の多くの家は、高齢者に配慮した作りになっていませんよね?じっさいに、段差で躓いて怪我をしたり死亡する高齢者が毎年出ているんです。そうしたことをふまえて、高齢者に安全に暮らしてもらおうと始まったプロジェクトなんでしょうね。

シルバーハウジングのサービスは生活援助員

シルバーハウジングには、30戸に一人の割合で「ライフサポートアドバイザー」というのがついています。これがシルバーハウジングの基本サービスとなっています。

ライフサポートアドバイザーとは、いわゆる生活援助員のことです。入居者の安否確認をしてくれたり、相談に乗ってくれたりします。

ライフサポートアドバイザーの人件費は、国や自治体の支援があるため(国4割、県2割、市町村2割)、入居者の負担が抑えられています。

シルバーハウジングのサービスタイプ

1993年になって、シルバーハウジングに、「ライフサポートアドバイザー常駐型」と「福祉施設連携型」が追加されました。

ライフサポートアドバイザー常駐型では、シルバーハウジングの敷地内にライフサポートアドバイザー用の住居もあり、24時間ライフサポートアドバイザーが常駐してくれるようになっています。

福祉施設連携型では、デイケアセンターなどとの連携をとり、介護体制をより強固なものとしています。

シルバーハウジングの入居条件

シルバーハウジングの入居対象者は、以下のどれか一つを満たす人となっています。

  • 独身の高齢者(60歳以上)である。
  • 高齢者夫婦世帯(夫婦のどちらかが60歳以上)である。
  • 高齢者のみからなる世帯である。
  • 障害者であるか、障害者とその配偶者からなる世帯である。

また上記の条件以外に、収入による規定もあります。

自治体による公営住宅タイプのシルバーハウジングでは、収入が「一定以下」でないと入居できません。しかし逆に、都市再生機構のシニアマンションなどでは、「一定以上」の収入や貯蓄がなければ入居できません。

シルバーハウジングの費用

シルバーハウジングに入居する場合、最初に「敷金」が必要になります。敷金は家賃の2ヶ月~3ヶ月分ほどであるのが普通です。

月額費用としては、「家賃」と「管理費共益費」がかかります。

公営住宅タイプのシルバーハウジング場合、民間の同クラスの物件の半額程度の家賃であるのが普通です。さらに入居者の収入によって、家賃の減額もありえます。

都市再生機構のシルバーハウジングでは、民間の同クラスの物件と似たような家賃設定になっています。

入居するまでの流れ

シルバーハウジングに入居するまでの流れは、以下のようなものになります。

  1. インターネット等で情報収集。
  2. 入居申し込み。
  3. 抽選。
  4. 契約して入居。

1.情報収集

公営住宅を希望する場合は、住みたい地域の自治体のホームページを調べるのがよいでしょう。「市町村名+シルバーハウジング」で検索すると、手間が省けます。

都市再生機構のシルバーハウジングが良いなら、都市再生機構のホームページで調べられます。

2.入居申し込み

空き室が合った場合、入居申し込みをすることになります。

公営住宅タイプの場合、市町村の窓口に行き、必要書類を提出して申込みをおこないます。ただし市町村によって、入居条件が異なっている(単身者の年齢制限が65以上など)ことがありますので、確認が必要です。

都市再生機構のシルバーハウジングの場合は、都市再生機構のホームページから問い合わせが可能です。

3.抽選

入居条件をクリアしていて、入居申し込みをしても、必ずシルバーハウジングに入居できるとは限りません。

公営住宅タイプの場合、応募者が多ければ「抽選」で入居者が選ばれます。

都市再生機構のシルバーハウジングの場合は、早いものがちになりますので、空き室を見つけたらすぐに応募した方がよいでしょう。

抽選で当たりを引かないと入居できないのね。
そうですね。シルバーハウジングは人気が高いので、抽選倍率が数十倍以上になるのが普通で、100倍を超えることも珍しくありません。
数十倍……。そんなの当たる気がしないわ……!
そういう場合は公営住宅タイプは諦めて、都市再生機構のシルバーハウジングを選ぶしかないですね。ただ、こちらのシルバーハウジングも空き室が少ないので、希望する地域に住むのは難しいのですが……。

シルバーハウジングとサービス付き高齢者向け住宅の違い

シルバーハウジングとサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)は、よく似た住宅です。双方ともバリアフリーなどの安全に配慮していますし、相談サービスなどもあります。

両者の大きな違いは、運営母体です。サ高住はおもに民間企業が運営していますが、シルバーハウジングは地方自治体か、公共団体が運営しています。

また施設設備に関しては、少し違いがあります。サ高住は居室が狭い場合があります。また、サ高住では居室にキッチンや風呂がついていない物件もあります。

風呂もキッチンも無いなんてふざけてるな!民間企業は金儲け主義でいけねえや。やっぱりサ高住なんかより、シルバーハウジングって事ですね?
いえいえ、一概にはそうとは言えませんよ。高齢者が怪我をしたり死亡事故を起こす危険性が高いのが、お風呂場とキッチンなんです。安全性を重視した場合、こういう選択もありえます。

シルバーハウジングとサ高住の比較表

シルバーハウジングとサ高住の違いを、表にまとめてみました。

シルバーハウジング サ高住
運営者 地方公共団体・都市再生機構 おもに民間企業
費用 家賃も初期費用も安め。家賃減額もありえる 100万円程度の初期費用が必要な場合も
入居しやすさ 空き室が少なく入居しにくい 新設が多く入居しやすい

※サ高住の特集記事はコチラ

シルバーハウジングは入居できたらラッキーぐらいの心持ちで

高齢者向けの賃貸住宅に、シルバーハウジングがあります。公営住宅タイプのシルバーハウジングは、非常に家賃が安く、低所得者にも利用しやすいものとなっています。

しかしシルバーハウジングは人気が高いため、希望通りに入居できる可能性はあまり高くありません。入居できたらラッキーという程度の気持ちで、他の施設も検討するべきでしょう。