退職金はいつもらえる?支払日までに知りたい退職金支給のルール
「退職をしたら退職金がもらえる!」といっても、「退職したらすぐもらえるの?」「退職金はどれくらいもらえるの?」と気になる点がたくさんありますよね。だけど会社の担当者に聞くタイミングを逃し、退職をした後も情報が少なく困っている方も多いのではないでしょうか。
退職金は金額も多く老後の大事な生活資金だからこそ、しっかりと理解しておくことが大切です!
しかし実際には、退職金については誰にも教わることができず、よくわからないまま泣き寝入りをしてしまう人も少なくありません。今回は「退職金」にまつわるさまざまな疑問を解消し、老後の不安を軽減する大切な情報をお届けします。
「退職金」の支給日(支払日)って決まっているの?企業や制度による違い
退職金の制度は企業に一任されている
『退職金』は、企業が従業員に対して長年の功労をねぎらう意味合いで支給される給付制度です。国の法律で定められているわけではなく、その条件や支給額は企業に一任されています。
つまり、退職金という制度が「ある・なし」も、退職金が支払われる「時期や金額」についても、すべて企業が設ける退職金制度によって事情が異なります。
厚生労働省のおこなった平成30年就労条件総合調査によると、調査対象の有効回答数のうち80.5%の企業が退職給付制度を設けています。退職金の受け取り方には、退職時に一括して受け取る「退職一時金制度」と、年金として分割で受け取る「退職年金制度」があります。
本調査によると、退職金を一括して受け取る「退職金一時金制度」を採用する企業は73.3%、分割して受け取る「退職年金制度」を採用する企業は8.6%、両制度を併用している企業は18.1%という結果となりました。
また、退職金を退職時に一括で受け取るか、年金制で分割して受け取るか以外に「退職金の前払い」を選択できる企業もあります。現在のところ、退職金制度を設ける企業のうち7割以上は一括支給の「退職一時金制度」を採用しています。
このように、退職金の受け取り方法も企業によってそれぞれに異なります。
退職金の支払いにかかる平均的な期間
退職一時金は、退職後おおよそ1〜2ヶ月に振り込まれることが一般的です。
しかし、支払時期に関しても企業に一任をされているため、正しい情報は会社の人事部や経理部に確認することが必要です。会社によっては退職日から半年後に振り込まれるというケースもあります。
もし、在職中に直接担当部署へ確認することが難しい場合は、会社の就業規則を確認したり、すでに退職した先輩社員に話を聞いたりすることで支払時期の目安を知ることができます。
退職金の平均相場(平成30年調査版)
また、退職金は実際に振り込まれるまで一体いくら支払われるのかが見えないものです。厚生労働省公表の「平成30年就労条件総合調査結果の概況」を参考に、退職金の平均額をみてみましょう。
退職事由 | 大学・院卒 | 高校卒 |
---|---|---|
定年退職 | 1,983万円 | 1,618万円 |
会社都合退職 | 2,156万円 | 1,969万円 |
自己都合退職 | 1,519万円 | 1,079万円 |
早期優遇制度 | 2,326万円 | 2,094万円 |
学歴別にみると、大学・院卒者の方が高校卒者に比較して多く退職金を支給される傾向にあります。また、退職事由によっても金額が大きく異なります。あくまで平均値となりますが、ご自身が支給される退職金のご参考にしてみてくださいね。
退職金は退職したらいつもらえるの?振り込み予定を確認する方法
退職金が振り込まれるまでには一定の期間がかかる
退職をして会社を離れてしまうと、退職金が振り込まれるまでの間は会社からの音沙汰もなく、実際に退職金がいつ受け取れるのか気になってしまいますよね。退職金が支払われるまでの流れを一例としてみてみましょう。
- 対象者が退職をする
- 会社が退職金の担当機構に支払を請求する
- 外部機構は請求を受けてから支払手続きをする
- 退職金が振り込まれる
ここで注意をしておきたいのが、退職をしたらすぐに退職金が支払われるのではなく、会社から外部機構に請求を上げて初めて支払手続きが開始されるという点です。
会社の請求タイミングによって退職金の支払い時期が変わるうえ、実際に銀行に入金されるまでは一定の期間を要します。
また、退職時期や退職者の人数によって繁忙期に重なると退職金の振り込みが遅れる場合があります。就業規則に退職金の支払時期に関する明確な規定がある場合は安心ですが、そうでない場合は支払時期に変動が生じることを認識しておくとよいでしょう。
一般的には1ヶ月から半年ほどで振り込まれることが多いですが、場合によっては1年近く時間がかかるケースもゼロではありません。振り込み時期が不安な場合は、会社の担当部署へあらかじめ確認しておくことが賢明です。
退職金の困ったを解決!こんな時はどう対処したら良い?
こんな時はどうしよう!①退職金の振り込みを早めたい
近年では一つの会社に長年勤め上げるのではなく、転職を繰り返してキャリアアップを図る働き方が定着してきています。より流動的な働き方にも対応できるよう、会社の退職金制度にも「前払い」が選択できる制度を導入する企業が増えてきました。
退職金の前払い制度を選択すると、従業員は月々の給与に上乗せして退職金を受け取ることができます。手取りの給与が増えるため、勉学や資格取得などの自己投資へ費用をかけることが可能です。
ただし一点注意をしたいのが、退職金の前払いによる所得は「退職金」ではなく「給与」として扱われ、税制優遇措置を受けられないことです。
一般的に退職金は、他の所得と異なり「退職所得控除」を受けることができ、税負担が軽くなるように配慮されています。しかし退職金を前払いで受け取れば、この退職金における優遇措置を受けることができなくなり、退職金におけるメリットを最大限享受することができなくなってしまいます。
退職金の前払いを検討するときは、目先のメリットだけに捉われず、しっかりとしたマネープランを立てて慎重に選ぶことが大切です。
こんな時はどうしよう!②退職金が振り込まれない
もし万が一、退職金がいつまで経っても振り込まれない場合、まず会社の人事や総務など担当部署へ問い合わせましょう。それでも退職金が振り込まれない、または言われた支払期日を過ぎている、という場合は労働基準監督署へ相談することができます。
定められた支払期日を過ぎている場合や、請求をしたにも関わらず支払がなされない場合は「違法行為」として労働基準監督署へ申告をします。労働基準監督署が就業規則や未払い賃金を調べ違法行為が認められると、企業側へ指導や処分が命じられます。それでも企業が退職金の支払に応じない場合は、裁判をするケースもあります。
退職金は金額も大きく、老後の生活をするうえでも大切な資金です。
万が一の事態に備え、退職金が支払われる旨が記載されている書類を用意しておくと安心です。
また、会社に勤めているうちに事前の情報収集もしておきたいですね。
退職金制度は会社の就業規則で確認!不安になる前に調べよう
具体的な支払期日や金額は、役所や労働基準監督署に問い合わせをしても答えてもらうことはできません。
正しい情報を知るためには、各企業の規定する内容を確認する必要があります。大きな金額の支給を受ける退職金だからこそ、損のないようできることをしっかりと行動していくことが大切です。
退職金制度は企業によって異なるため、退職後すぐ振り込まれない場合でも焦ることがないよう、正しい情報収集とゆとりある資金計画が必要です。事前の備えをすることで、不安な気持ちに振り回されることが減らせますよ。