定年退職・退職金

定年退職後の健康保険は4種類!保険料の比較と得する選び方

定年退職をすると、忘れてはいけないのが「健康保険選び」です。退職後は勤めていた企業で加入した健康保険を外れ、ご自身で健康保険の加入手続きをしなければなりません。

しかし、長年勤務していた会社が自身に代わって支払っていた「健康保険」について、詳しく知らないままお困りの方も多いのではないでしょうか?

定年退職後の健康保険選びで困らないために、健康保険の種類や加入条件、さらに国の制度について押さえておきたいポイントを解説します。

健康保険っていつまで支払うの?定年後にしなければいけないコトとは

先生、今まで給料から天引きされていた「健康保険」、退職したら自分で払わなければいかんのかのう?
そうなのです!会社を退職したら、ご自身で健康保険を選び手続きする必要があります。会社員の場合、健康保険は3つの選択肢から選ぶことができますよ。

サラリーマンが定年退職をすると、以下4つの方法のうちいずれかを選んで健康保険の手続きをしなければなりません。

  1. 加入していた健康保険を任意継続する
  2. 国民健康保険に加入する
  3. 家族の被扶養者になる
  4. 再就職先の健康保険に加入する

これらの健康保険は、基本的に74歳まで保険料を支払うことになります。なお、75歳からは新たに「後期高齢者医療制度」へ加入し、別途保険料を負担していきます。

どの方法を選ぶかは、加入条件や所得などに個人よって検討をする必要があります。具体的なポイントについて、項目ごとに解説していきます。

加入していた健康保険を任意継続する場合

会社の健康保険は個人単位ではなく会社単位で加入しているため、会社を退職をするとその個人は加入資格を喪失します。しかし、任意の申し出をすることで勤務中に加入していた健康保険に継続加入することが可能です。この継続加入者を「任意継続被保険者」と呼びます。

健康保険任意継続した場合の保険料

退職時の標準報酬月額に在住の都道府県の保険料率を乗じた額が保険料となります。保険料の上限として標準報酬月額28万円が設定されているため、最大で28万円の標準報酬月額によって算出された保険料が適用されます。

手続き先

在住する住所地を管轄する協会けんぽ支部

退職日からの手続き期限

退職日の翌日から20日以内

加入の流れ

「任意継続被保険者資格取得申出書」を記入のうえ、管轄の協会けんぽ支部へ提出をします。退職時に加入していた健康保険の資格喪失を確認後、すみやかに保険証が発行されます。

加入を考えるポイント

「任意継続被保険者」は、2年間の期限付きで加入することができ、退職前とほぼ同じ条件で保険給付を受けることが可能です。

在職中は会社と本人が半分ずつ保険料を支払っていましたが、退職後は本人が全額負担することになります。任意継続被保険者になるための要件は以下の通りです。

(1)資格喪失日の前日までに継続して2ヶ月以上の被保険者期間があること
(2)資格喪失日から20日以内に申請すること。

なお、この保険料は原則2年間変わりません。

国民健康保険に加入する場合

会社を定年退職後は国民健康保険に切り替えることができます。国民健康保険は、都道府県と市区町村が運営する公的医療保険制度です。自営業や退職者など他の公的保険に加入しない人を対象とする健康保険です。

国民健康保険の保険料の算出方法

市区町村の算出方法に基づく

手続き先

在住する住所地の市区町村役所の国民健康保険窓口

退職日からの手続き期限

退職の翌日から14日以内

加入の流れ

退職日以降に、住んでいる市区町村の役場窓口で手続きをします。手続き方法は各自治体によって定められており、健康保険の喪失が確認できる証明書や退職日が確認できる書類、自治体が定める届け出や印鑑などが必要となる場合があります。

加入を考えるポイント

国民健康保険の保険料は、住んでいる地域や前年度の年収などによって算出されます。保険料が全国一律ではないため、居住地が変われば支払う保険料も前後する可能性があります。

国民健康保険における保険料は、前年の所得が多い人ほど高くなり、少ない人ほど低くなる仕組みとなっています。

家族の被扶養者になる場合

家族のなかに、健康保険組合や協会けんぽに加入している配偶者や子どもがいれば、家族の加入する健康保険の被扶養者になることができます。この方法は、もっとも金銭的負担が少なくて済みますが、被扶養者になるためには一定の要件を満たす必要があります。

保険料の算出方法

保険料負担なし

手続き先

被保険者の勤務する事業所

退職日からの手続き期限

退職日の翌日から5日以内

加入の流れ

加入を希望する被保険者の勤務先に、健康保険被扶養者(異動)届や各種証明書を提出します。加入条件のために必要な収入を証明する書類の提出も必要です。

加入を考えるポイント

家族の扶養者になることで、健康保険料の負担をなくすことができます。被扶養者としての認定を受けるためには以下の要件を満たす必要があります。

  • 年収130万円未満、60歳以上は年収180万円未満であること
  • 収入が扶養される家族の収入2分の1未満であること(同居の場合)
  • 3親等内の親族であること

なお、被保険者と関係の近い父母や子、配偶者は別居をしていても構いません。また、60歳以上の場合には老齢年金も収入に含まれるため注意が必要です。

先生、会社の健康保険を継続して2年以上加入することはできんのかのう?
以前までは任意継続加入を75歳まで引き延ばす「特例退職被保険者制度」というものがありましたが、この制度は費用負担の問題から平成28年3月より廃止手続きを開始しています。

一体どれを選べばいいの?健康保険の選び方ポイント

今のワシは、3つの選択肢から健康保険を選べるんじゃな!一番よいのは保険料の負担がない家族の扶養に入ることじゃが…選ぶときは何に気をつけたらよいんじゃ?
健康保険の選び方は、個人の条件によって大きく異なります!選ぶ際のポイントをご説明しますね。

まずは家族の被扶養要件に当てはまるか確認しよう

家族の健康保険の被扶養者になることができれば、保険料を支払う必要がないほか、扶養に入れた家族側も扶養が増える事で健康保険料が上がらずに済みます。もっともよい選択肢は家族の被扶養者になることでしょう。

しかし、被扶養者の一定要件を満たすためには厳しい条件をクリアしなければなりません。

まず、年収要件として年間収入が60歳未満は130万円未満、60歳以上は180万円未満であること、さらに扶養される家族の年収の1/2であることが条件となります。この収入要件には公的年金や失業給付も含まれるため、退職をした年に扶養条件を満たすことは難しくなっています。

加入先によっては、被保険者との続柄や同居要件といった厳しい条件を設定している場合もあります。まずは家族の被扶養者要件を確認し、該当しなかった場合に他の選択肢を検討してみましょう。

任意継続と国民健康保険、どっちを選ぶべき?

在職中の健康保険を任意継続するか、国民健康保険に切り替えるかどちらを選ぶかは個人の所得によって判断することが大切です。

国民健康保険は、前年の所得が算出基準となるため退職前の収入が多いほど保険料の支払いも多くなるのに対し、任意継続被保険者は在職中の保険料とほぼ同額が適用されます。

なお、任意継続の保険料は、退職前は会社と本人で折半していたものを退職後は本人が100%保険料を支払います。

国民健康保険と任意継続による保険料のどちらが低いかは、あくまで個人によりケースバイケースです。しかし、一般的に退職後すぐは任意継続被保険者となり、加入期間の2年間のうちに年収が少なくなった段階で国民健康保険に切り替えるという方が多いようです。

また、家族がいる場合は、国民健康保険は家族の人数分保険料を負担しなければならないのに対し、任意継続被保険者であれば扶養家族を同じ保険でまかなうことができます。

扶養家族が多い場合は、『任意継続被保険者』を選択することがおすすめです。

こんな時はどうしよう?保険料が払えない場合の対処法

もし、家族の扶養にも入れず収入が減って保険料が払えなくなったら、ワシは一体どうなってしまうんじゃろうか。
「国民保険」であれば、減額や免除を受けることができるんですよ!

国民健康保険なら、減額・免除制度がある

国民健康保険では、経済的な理由によって保険料の支払いが困難な場合、保険料を減額または免除する制度が設けられています。減額・免除制度は3つの種類に分かれます。

  • 減額:7割、5割、2割の減額が所得に応じて自動的に適用されます(申請不要)
  • 免除:各市町村によって別途設けられている免除制度です(申請必要)
  • 全額免除:生活保護や障害年金を受けている特別な場合にのみ適用されます(申請必要)

国民健康保険においては、所得に応じて保険料が自動的に減額される仕組みが採用されています。

また、国の減額制度に加えてさらに保険料の負担を減らしたい場合は、申請をすることで各市町村の免除制度を受けることも可能です。免除要件には災害に遭った人や失業をした人、低所得によって納付が困難な人などさまざまな条件が市町村ごとに設定されています。

東京都新宿区における保険料減免の例<参考>
  • 災害、解雇、倒産、病気などで生活が著しく困難となった場合
  • 上記に該当し預貯金など利用できる資産等を活用したにもかかわらず、保険料を納められなくなった場合
  • 電話で事前相談のうえ、納付期限までに申請書等の提出が必要

ご自身が免除対象となるかどうかは、管轄市町村の国民健康保険窓口で確認をすることができます。なお、このような健康保険料の減額・免除制度は、任意継続被保険者制度には用意されていません。

「国民健康保険」であれば、いざというときに免除や減額の制度が受けられるんじゃな!
はい、選ぶ健康保険によってメリットはさまざまです!

限られた期間で適切な選択を!定年退職前にしっかり調べよう

定年退職をしたあとは、「任意継続被保険者になる」「国民健康保険へ切り替える」「家族の扶養になる」の3つから健康保険を選ぶことができます。

どれを選ぶことが最適かは、ご自身の年収や家族の状況によって大きく異なります。実際の保険料は、各市町村の健康保険窓口で試算してもらうことができるため、担当窓口へ身分証明書や源泉徴収票などの必要書類を持参し、事前に確認することがおすすめです!

また、どうしてもどの健康保険を選べばよいか判断がつかないという場合は「任意継続」を選択することをおすすめします。

任意継続は退職後20日以内に手続きをする必要があり、あとから途中加入することはできません。一度任意継続被保険者になったあとでも、国民健康保険には切り替えることができます。

定年退職後の健康保険選びに迷った際は、ぜひ参考にしてみてくださいね!