
定年後の仕事で悩むあなたへ!おすすめの探し方と利用できるサービス
60歳~65歳で定年退職を迎えたあと、仕事をやめて悠々自適な老後生活…。そんなイメージを持ちやすい定年後のライフスタイルが、時代とともに大きく変化しています。
「働けるうちはいつまでも働きたい」そんな思いのミドルシニアが増え、60歳を過ぎても働ける労働環境が広がっているのです。
しかし多くのシニアはどこで、どのように仕事を見つけ、どんな風に働いているのでしょうか?今回は、最新のミドルシニアワークの実態に迫るとともに、仕事の探し方や国から支給される手当など、定年後の働き方を考えるうえで欠かせない大切な情報をお届けします。
定年後はのんびりスローライフ?いえいえ「働く」シニアが増えてます
内閣府の平成29年版高齢社会白書によると、平成28年の労働力人口6,673万人のうち、65~69歳の方は450万人、70歳以上の方は336万人います。
労働力人口総数に占める65歳以上の割合が11.8%に達し、12年以上連続でシニア世代の労働人口は上昇し続けています。
さらに細かく就業割合を見てみると、男女ともに60歳を過ぎた多くの高齢者が就業していることが明らかとなりました。
55~59歳 | 60~64歳 | 65~69歳 | |
---|---|---|---|
男性 | 90.3% | 77.1% | 53.0% |
女性 | 69.0% | 50.8% | 33.3% |
これは、働くシニア世代が増えたという事実だけではなく、シニア世代が活躍できる「就業場所」が増えていることも表しています。同調査によると、従業員31人以上の企業約15万社のうち、99.5%(113,434社)が高齢者雇用確保措置を実施しています。
「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律」によって、65歳までの安定した雇用を確保するために定められました。企業は「定年制の廃止」「定年の引き上げ」「継続雇用制度の導入」のうちいずれかの措置を講ずる義務を負う必要があります。
少子高齢化による深刻な労働不足が懸念されるなか、元気で働く意思のあるシニア世代の活躍できる場が増え、定年後においても働くシニアライフの多様性がますます広がっています。
どんな働き方があるの?シニアワークの多彩な選択肢
正社員(正規雇用)
定年を迎えた後も、勤めていた企業に正社員として勤務を続ける働き方です。2013年4月に改正された「高年齢者雇用安定法」により、企業は希望者を65歳まで雇用する制度を導入することが義務付けられました。
仕事内容や賃金が変更となることもありますが、働き慣れた環境で勤務を続けられるのはうれしいメリットですね。
契約社員(非正規雇用)
勤めていた会社を定年で一旦退職し、新たな雇用形態を締結する働き方です。正社員ではなく、嘱託や契約社員として勤務することが一般的です。部署や仕事内容が変更となることが多く、それに伴い給与も下がるケースがほとんど。
一方で、正社員としてのプレッシャーから解放されたり、勤務時間に融通を利かせたりなど自由度の高い働きやすさもあります。
派遣社員
近年では、シニア世代専門の派遣会社が増えています。派遣会社に登録をし、さまざまな企業に派遣され、短期間や長期間など各条件のもと勤務をします。
希望の勤務条件やスキルに合わせて、職場を選ぶこともできることも特徴的です。ライフスタイルに合わせて、時間や場所も選びやすい働き方です。
起業・自営業
自らのスキルやアイデアを活かし、起業する働き方です。それまでの仕事の延長線上で独立する方もいれば、趣味や経験を活かし新たな事業をスタートさせる方もいます。
飲食店の経営や、農業、習い事教室や専門職など、起業の可能性は幅広く広がっています。スキルや実績が高い人や、資金に余裕がある人ほどチャレンジしやすい働き方です。
パート・アルバイト
シニア世代でもっとも多い働き方の一つです。勤務日数や時間、場所などの労働条件を選びやすく、「週3日4時間~、家の近くで働きたい」といった各個人の条件に合わせた仕事がしやすくなっています。比較的自由度が高いほか、採用のハードルが低く、未経験のシニアでもチャレンジしやすい働き方です。
そのほかのさまざまな働き方
近年では一般的な働き方に縛られず、インターネットの普及によってパソコンを利用した「在宅ワーク」や「フリーランス」など新たな働き方も増えています。
新たなスキルを習得するために、「職業訓練校」に通ってパソコンや接客サービス、ビル管理や電気設備などさまざまな技術や知識を学び、就業の準備をおこなう人もいるんですよ。
職業訓練校では高齢者向けコースが用意されていることもあり、シニアワークの選択肢を広げる道筋は数多く用意されています。
資格や経験がなくても大丈夫?自分に合ったシニア仕事の見つけ方
勤務していた会社や関連会社での継続雇用
定年退職を迎えた会社において、継続して勤務をする方法です。近年の法律改正により、企業は希望者を65歳まで雇用することが義務化されたため、多くの企業で継続勤務ができるようになりました。
従業員は定年退職年齢を延長する以外に、一度退職をして再雇用するパターンや、退職せず勤務延長をするパターンがあります。同じ勤務先であっても、残念ながら賃金やキャリアは下がるケースがほとんどです。
知人、友人からの紹介
元勤務先の同僚や友人など、知り合い伝手に仕事を紹介してもらう方法です。気心知れた仲であれば、具体的な就業条件なども事前に確認することができます。
自身のキャリアについても、初対面の人より伝えやすいというメリットも。しかし知人だからこそ小さな揉め事で関係性の悪化を引きおこしやすく、仕事中もとしての関係構築には慎重になる必要があります。
しかしさまざまなサービスを活用することで、多くのシニアが自分に合った仕事を見つけているんですよ。
ハローワーク(公共職業安定所)で探す
いわゆる「公共職業安定所」の求人情報を活用する方法です。随時更新されるさまざまな企業の求人情報に応募し、書類選考や面接を受けて企業に採用されます。
雇用形態はさまざまで、募集さえあれば契約社員からパートアルバイトまで応募することが可能です。
自治体によってはシニアコーナーを設けている施設もあり、窓口でスタッフに直接相談することもできます。
シルバー人材センターの活用
地域ごとに1施設ずつ設置されている「シルバー人材センター」を活用して仕事を見つける方法です。仕事の紹介には、年会費が約2000円~3000円が必要となります。
シルバー人材センターでは、基本的に「収入」より、「生きがい」や「地域貢献」を軸にした仕事の紹介をしています。
長期的な仕事よりも、単発で空き時間を利用した仕事を探すことに向いています。
インターネット求人情報サイトの活用
インターネット環境があれば、場所や時間にとらわれず「求人情報サイト」で気軽に仕事探しができます。これまでは若年層向けのサイトが主流でしたが、最近ではシニア向け専用求人サイトも数多く登場しているんですよ。
職種や勤務地、給与などの条件を指定することで、効率的に仕事が探せるほか、複数の企業にアプローチができるため応募のハードルも下がります。
「働く意思」があるからこそ、もらえる手当と給付金のしくみを知ろう
定年退職後でも「失業保険」はもらえる!
国の雇用保険では、働く意思のある人に対して失業中の生活の心配をしなくて済むように、一定条件のもと失業手当を支給しています。
64歳までは「基本手当」(いわゆる失業給付)が支給され、65歳以上の失業者には「高年齢求職者給付金」が支給されます。
どちらの場合も、離職前に6カ月以上の雇用保険に加入していることが必須条件です。
「基本手当」と「高年齢求職者給付金」では支給額が違う
支給される給付金は、退職理由や勤務日数によって異なります。基本手当の場合は、基本手当日額(失業給付の1日当たりの金額)の90~330日分が分割して支給されます。
一方、高年齢求職者給付金の場合は、50日分または30日分が一括で支給されます。金額換算をすれば、「基本手当」の方が多く給付を受けられることになります。
給付金が支給されるタイミングに注意
また、支給額だけでなく給付が受けられるタイミングが異なることにも注意が必要です。64歳までに定年退職をすると、企業によっては「自己都合退職」として扱われ、基本手当が支給されるまでに約3カ月の「給付制限」が設けられます。
そのため、基本手当の場合は失業給付がすぐにもらえないというデメリットが生じてしまいます。それに対して高年齢求職者給付金は、給付制限に関係なく約1カ月で給付を受けることができます。
退職年齢によって受けられる給付の種類やタイミングは異なりますが、定年後であっても雇用保険が受けられることを覚えておきましょう!
なお、この雇用保険と年金を同時に受給することはできませんので注意が必要です。
60歳以上を対象とした「高年齢雇用継続給付金」
年金の受給開始が65歳に引き上げられたことによって、60歳以降も働き続けるシニア世代が増えています。しかし60歳を超えて再就職や再雇用をする場合、賃金が60歳以前の30~70%に低下するケースがほとんどとなっています。
そこで、国の雇用保険では、60歳以降における賃金の減額幅が大きい場合に賃金の一部を補う「高年齢雇用継続給付金」を設けています。
具体的には60歳以降で働いた賃金が60歳以前の賃金の75%未満となる場合、2年間最大で毎月賃金の15%が支給されます。主な支給条件は次の5つりです。
- 60歳以上65歳未満であること
- 雇用保険の一般被保険者であること
- 雇用保険の被保険者期間が5年以上あること
- 基本手当を受給していないこと
- 60歳以降の賃金が60歳時点の75%未満であること
支給期間や支給要件にはさまざまな項目がありますが、ご自身が再就職をした場合、賃金が減っても国の制度で低下分を補える可能性があることは覚えておいて損はありませんよ。
どんな老後生活を送りたい?自分らしいシニアワークを見つけよう
「シニアだから」と年齢で歯止めをかけるのではなく、「シニアだからこそできること」に目を向け、これからのまだまだ長く続く人生を充実させてみてはいかがでしょうか?
国や自治体の制度も利用して多くの選択肢からあなたにあった働き方を探してみてくださいね。
新しい働き方をみつけ、第2の人生をスタートさせる上でも、「定年後に働く」という選択肢を多様な視点から検討してみましょう。