所得や介護度で違う特別養護老人ホームの費用を徹底解説!
24時間介護を受けられる特別養護老人ホームは、介護が必要な家族を抱える人にとって大きな魅力があります。ただ、その一方で毎月の負担額がどのくらいになるのか不安な方も少なくないのでは?
特別養護老人ホームの費用は、個室か大部屋かといった居室タイプだけでなく、実は所得や介護度に応じて費用が異なる場合があるのです。この場合はいくらかかるの?そんな疑問にお答えするべく、特別養護老人ホームの費用を徹底解説していきましょう。
特別養護老人ホームで必要となる料金はどんなもの?
まず、特別養護老人ホームではどのような費用がかかるかを見ていきましょう。
特別養護老人ホームでかかる費用は、大きく分けて3つあります。
- 介護サービス料
- 居住費
- 食費
居住費は家賃のようなもの、食費は1日3食分の費用ですね。特別養護老人ホームは必要な備品は備え付けられていますので、初期費用を抑えることができます。
では、介護サービス料とはどのような費用でしょうか。特別養護老人ホームは、24時間体制で介護を行う施設です。介護サービス料が重要になるのは言うまでもありません。
ちなみに、特別養護老人ホームがどのようなところかについて興味がある方には、こちらの記事がオススメです。
では、介護サービス料について詳しく見ていきましょう。
介護サービス料には、基本サービスの他に利用者の状態に応じた様々なサービス提供による加算や、施設の体制による加算が生じます。
一部を例として挙げてみましょう。
加算サービス名 | 内容 |
---|---|
日常生活継続支援加算 | ・要介護者4・5の者および 認知症自立度Ⅲ以上の者の占める割合が 一定以上である施設で 介護福祉士の数が入所者6に対し 1以上配置されている |
看護体制加算 | ・手厚い看護職員の配置 ・24時間連絡できる体制確保 |
夜勤職員配置加算 | ・夜勤を行う介護職員 または看護職員の数が 最低基準を1以上上回る |
個別機能訓練加算 | ・常勤の理学療法士などを 1名以上配置 ・入所者ごとに作成した 個別機能訓計画に基づき 計画的に機能訓練を実施 |
栄養マネジメント加算 | ・常勤管理栄養士を1名以上配置 ・接触・嚥下機能などに配慮した 栄養ケア計画を作成 |
サービス提供体制強化加算 | ・介護福祉士や常勤職員等を 一定割合以上配置 |
このように、介護サービスには様々な費用がかかってくるのです。
所得によって違う!?特別養護老人ホームの料金表をチェック
特別養護老人ホームでは、具体的に毎月の費用としていくらぐらいかかるのでしょうか。
介護サービス料は、要介護度に応じて変わります。まずは、介護サービス料について見ていきましょう。
介護サービス料は介護度で違う
介護サービス料は、介護サービスを受けるために必要となる費用ですから、介護度が高くなると費用も高くなります。
では、介護度による費用概算を見ていきましょう。今回は、1単位あたり10円で計算し、多床室で計算しています。
費用 | 要介護度1 | 要介護度2 | 要介護度3 | 要介護度4 | 要介護度5 |
---|---|---|---|---|---|
日額 | 547単位 =5,470円 |
614単位 =6,140円 |
682単位 =6,820円 |
749単位 =7,490円 |
814単位 =8,140円 |
月額 | 164,100円 *1割負担…16,410円 |
184,200円 *1割負担…18,420円 |
204,600円 *1割負担…20,460円 |
224,700円円 *1割負担…22,470円 |
244,200円円 *1割負担…24,420円 |
特別養護老人ホームは、基本的に要介護3以上が原則ですが、ここでは分かりやすくするために要介護1からの料金比較を行っています。
1割負担の場合は、毎月およそ2万円前後が介護サービス費として発生することになるわけですが、2割負担の場合は介護サービス費が倍になるので注意しておきましょう。
ユニット型の場合は多少費用が上がり、およそ2万円~2万円後半となります。また、介護サービス費にはこれだけでなく、加算としてさきほど紹介した看護体制加算などがプラスされます。
1単位当たりの費用については、自治体で異なる場合がありますので確認しておきたいですね。
選ぶ居室で費用が変わるだけでなく所得によっても費用が違う!?
では、所得に応じて異なる居室タイプごとの費用を見ていきましょう。
まずは、基準費用額を見ていきましょう。この価格(日額)が目安となるのです。
居室タイプ | 利用者負担 第1~第3段階 |
---|---|
ユニット型個室 | 1,970円 |
ユニット型準個室 | 1,640円 |
従来型個室 | 1,150円 |
多床室 | 840円 |
日額で840円~1,970円ですから、月額の場合は30日をかけておそよ25,200円から59,100円程度が居住費用としてかかる計算となります。
次に、負担限度額です。負担限度額は、利用者負担の段階に応じて決められています。
段階 | 条件 |
---|---|
第1段階 | 老齢福祉年金受給者または生活保護受給者 |
第2段階 | 課税年金収入額と合計所得が80万円以下 |
第3段階 | 課税年金収入額と合計所得額が80万円超 *年金収入のみの場合は80万円超~266万円以下 |
軽減措置がある第1~第3段階の負担限度額が、こちらです。
居室タイプ | 利用者負担 第1段階 |
利用者負担 第2段階 |
利用者負担 第3段階 |
---|---|---|---|
ユニット型個室 | 820円 | 820円 | 1,310円円 |
ユニット型準個室 | 490円 | 490円 | 1,310円 |
従来型個室 | 320円 | 420円 | 820円 |
多床室 | 0円 | 370円 | 370円 |
つまり、第3段階の人は月額で11,100円~39,300円となり、基準費用よりも1~2万円ほど安くなるのです。
また、食費も軽減措置があり、結果的に以下の費用で特別養護老人ホームを利用することが可能となっています。
居室タイプ | 第1段階 | 第2段階 | 第3段階 | 第4段階 *市町村民税世帯課税 |
---|---|---|---|---|
ユニット型個室 | 49,000円 | 52,000円 | 84,000円 | 128,000円 |
多床室 | 24,000円 | 38,000円 | 55,000円 | 92,000円 |
ここから所得に応じて減額され、一番多く優遇される人であれば1か月2万円前後からの利用も可能ですね。
特別養護老人ホームは、所得や居室タイプで費用が変わってくるということを覚えておきましょう。
年金や生活保護だけでも特別養護老人ホームは利用可能
所得による減額措置がありので、収入の少ない年金受給者や生活保護受給者でも、費用面では特別養護老人ホームに入居することが可能です。
年金受給者は、毎月の年金受給額で賄える範囲内の特別養護老人ホームを探したいですね。特に、居室タイプで費用が変わってきますから、そこをチェックしておきましょう。
生活保護受給者が特別養護老人ホームに入居する際には、介護サービス費は自治体から特別養護老人ホームに直接入金されることになるため、利用者本人から支払う必要はなくなります。
また、生活保護受給者の場合は自治体から生活費や家賃(居住費)の支給されますから、その上限に収まるよう考えれば特別養護老人ホームの問題なく生活することは可能でしょう。
ただし、生活保護受給者でも入居できるか、受け入れてくれるかどうかは、確認してみる必要があります。まずはケースワーカーに相談してみると良いでしょう。
特別養護老人ホームの入所条件については、ぜひこちら特別養護老人ホームの入所条件と申し込み方法を詳しくご紹介!の記事をチェックしてくださいね。
特別養護老人ホームの施設サービス費は医療費控除の対象!
特別養護老人ホームは、医療費控除を受けることができます。
ただ、医療費控除が使える項目は、施設サービスの対価のみと決まっています。また、その控除対象も支払った額2分の1に相当する金額と決められています。
施設サービスの対価とは具体的に以下のものです。
- 介護費
- 食費
- 居住費
日常生活で必要となる日用品の購入などについては、対象外です。
他にも利用できる控除申請とは
医療費控除以外にも、利用できるものがあります。それが、扶養控除と障害者控除です。
扶養控除 | 障害者控除 |
---|---|
・老人(70歳以上)扶養親族 同居…58万円 別居…48万円 ・一般控除対象扶養親族 一律38万円 |
・配偶者や扶養家族が障害者の場合 税法上障害者…27万円 特別障碍者…40万円 |
このように、医療費控除の他にも利用できる控除制度はあるのです。
しかし、これはどちらか1つを選ばなければいけないのでしょうか。両方利用できると大きいのですが…。
どのような控除が利用できるのか、ぜひチェックしておきたいところですね。
特別養護老人ホームの費用は所得と介護度で変わる!
一般的には1か月あたり10万円~13万円が目安とはなっていますが、生活保護世帯であれば、月々2万円台から特別養護老人ホームを利用することも可能です。
また、特別養護老人ホームの費用は医療費控除の対象となっています。他にも、条件を満たせば扶養控除や障害者控除が使えますので、しっかり確認しておきましょう。
それに応じて費用がかかってくるっていうのは、納得だわ。