50歳で家を買うときに押さえておくべき4つのポイント
50歳になってから、家を買おうかと考えることは遅いのでしょうか。確かに、マイホーム購入の世代としては30代や40代が最も多くなっています。
ただ、だからと言って50歳からの家やマンション購入が遅い、難しいという訳ではありません。特に、50歳という年齢になったからこそ住み替えを考える人も多いはずです。
そこで今回は、50歳から家を購入するときに注意しておきたい5つのポイントをご紹介していきます。ぜひ、チェックしてくださいね。
50代で家を買うときにチェックしたい4つのポイント
50代が家を買うことを検討したときに押さえておきたい4つのポイントが、こちらです。
- ①賃貸か購入か
- ②ローン審査は通るのか
- ③新築か中古か
- ④住み替え
それぞれのポイントについては、この後くわしくご紹介していきますが、まずは50代という年代の特徴について見ていきましょう。
50代は、子育てがひと段落する、夫婦2人だけになるといったライフスタイルの変化を迎える年代でもあります。
子育てに関する費用がかからなくなるということは、資金的にも余裕が出てくる時期とも言えます。また、長く勤務していますので20代や30代と比べて貯蓄がある、収入も多いという特徴もありますね。
5つのポイントについてしっかりチェックしておきましょう。
子育てなど教育資金がかかる40代の住宅購入については、こちらの記事でご紹介しています。
50歳の家購入ポイント①賃貸か購入か
まず選択肢として、賃貸か購入かという点が挙げられます。家賃を払うぐらいなら同じ金額でローンを支払って持ち家に、と考える人も少なくありませんが、実は賃貸か持ち家かの選択についてはどちらが良いとはっきり断言することはできません。
賃貸か購入か、それは自分の状況や考えによって決めて良いものなのです。では、賃貸と持ち家の特徴を比較してきましょう。
項目 | 賃貸 | 持ち家 |
---|---|---|
建物管理・修繕 | ・基本的にオーナーが行ってくれる ・費用も負担してもらえるケースが多い |
・自分で手配する必要がある ・費用も自己負担 |
家賃・ローン | ・住み続ける限り払い続ける | ・完済すれば大きく負担を減らせる ・管理費や修繕費は必要 |
リフォーム | ・勝手にすることはできない ・希望する場合は条件に合う物件に 引っ越しが必要 |
・自分で好きなようにリフォーム可能 ・バリアフリーなどにも対応できる |
居住可能年数 | ・建て替えやオーナーの都合で 退出しなければいけない場合がある ・引っ越しが容易 |
・自分の資産となるので ずっと住み続けられる ・引っ越したくても売る、貸すとなれば 手間がかかる ・希望価格で手離せない恐れがある |
建物は老朽化が進めば、それに対する修繕が必要となります。持ち家なら自分でその手配をしなければいけませんし、修繕費用なども全額自己負担です。
賃貸の場合は、住み続ける限りずっと家賃が発生しますので、人生100年と言われている今の時代は、相当長く家賃の支払いが必要となってきます。
また、比較的動きやすいのが賃貸物件の魅力ではありますが、高齢になってからの引っ越しは居住条件に引っかかる可能性もあります。
どのようなメリットがあるか、デメリットがあるか、しっかりチェックして自分に合った方を選択すると良いでしょう。
賃貸にもメリットはあるのですね。
50代から引っ越すなら購入した方が得、と決めつけない方が良いでしょう。
50代の家購入ポイント②ローン審査は通るのか
50代で家を購入する際、全額自己資金で購入できれば良いのですが、やはり住宅ローンを利用したいという人がほとんどです。
しかし、50代でローン審査は通るのか不安を感じてはいませんか?実は、50代でも審査に通らないという訳ではありません。ただ、年齢が高くなっている分、ある程度の制限は出てきてしまいます。
住宅ローン審査をする際、重要視するポイントとしては以下の点が挙げられます。
- 完済時の年齢
- 借入時の年齢
- 返済負担率
- 勤続年数
- 年収
この中で、完済時と借入時の年齢が50代では引っかかってきます。
しかし、言い換えれば審査に通るために注意すべきことが見えてきます。
住宅ローンの返済期間を短期にすること、それが50代で住宅ローンを申し込む重要なポイントとなります。
ただ、短期間にしても毎月の返済期間が高額になれば、毎月の生活に支障が生じる可能性があります。医療費や冠婚葬祭など急な出費が生じた際に返済が苦しくならないよう、注意しておきましょう。
住宅ローン審査について不安な方はコチラをご覧ください。
あくまでも目安ですが、参考にしてください。
購入する家の値段を算出する式をチェック
50代で家を購入する際の、物件価格目安を算出する計算式があります。それが、以下の式です。
この式を使って、自己資金額がいくら用意できるかによって購入可能な物件価格を算出してみましょう。
ここでは、年齢は50歳、退職までの年数を15年、税込み年収を600万円として計算します。
自己資金額 | 計算式 | 物件価格目安 |
---|---|---|
0円 | 600万円×0.17×15+0 =1,530万円 |
1,530万円 |
100万円 | 600万円×0.17×15+100万円 =1,630万円 |
1,630万円 |
500万円 | 600万円×0.17×15+500万円 =2,030万円 |
2,030万円 |
1,000万円 | 600万円×0.17×15+1,000万円 =2,530万円 |
2,530万円 |
定年までの短期間でローンを完済するとなれば、やはり頭金(自己資金)がいくら用意できるかによって購入可能な物件価格が大きく異なってきます。
50歳から家を買う際には、自己資金が大きく影響するということを押さえておきたいですね。
自己資金が少ない20代の住宅購入情報については、こちらで特集しています。
50代の家購入ポイント③新築か中古か
50代で家を購入する際には、新築物件か中古物件か、という選択肢も出てきます。
50代で家を買う、つまり定年までにローンを完済するとなれば、先ほど紹介した通り予算が限られてきますよね。ですから、50代で家を購入する際に中古物件を選ぶ方も多くなっているのです。
中古物件のメリットは、何よりも物件価格の低さにあります。新築物件と同じ間取り、立地条件でも、中古物件ならお得に購入できる魅力があるのです。
一方で、中古物件は購入後にリフォーム費用などがかかる場合があり、その費用はしっかり考えておかなければいけません。
新築物件の場合は、すでにバリアフリー化されている場合も多くあります。戸建ての場合は、2階建て、3階建てになると階段の上り下りに不安が出てきますが、戸建て用のエレベーターが付けられるようになっているなど老後の生活を考えた設計が可能です。
新築の場合はその物件の価格が割高だが設備面が充実、中古物件の場合は物件価格は抑えられてもリフォーム費用や修繕費がかかるという特徴があることを認識しておきたいですね。
住宅購入時にチェックしたい住宅設備
新築物件にしろ中古物件にしろ、50代で購入する際には老後のことを考えて選択する必要があります。
住宅設備のどの部分についてチェックすれば良いのか、気を付けてほしいポイントを簡単にご紹介しましょう。
ポイント | 内容 |
---|---|
設備 | ・2・3階建ての場合はエレベーター設置スペースがあるか ・操作が大変な設備は無いか |
ドア | ・重たくないか ・雨戸やシャッターの開け閉めが楽にできるか ・ドアノブは操作しやすいか(レバー式等) |
廊下・床 | ・滑りやすくないか ・車いすが通るだけの広さがあるか ・段差がないか ・手すりの設置スペースはあるか |
水回り | ・寝室とトイレの距離はどうか ・浴槽の高さや浴室のスペースは十分か ・浴室の床が滑りやすくないか |
50代から家を買う場合、新たな買い替え、住み替えは行わないことが前提です。だからこそ、基本的には老後のことを考えて選ぶことが必要となります。
ただキレイで交通の便が良い、というだけでなく、これらのポイントもしっかりチェックした上で検討するようにしたいですね。
50代の家購入ポイント④住み替え
50代で家を購入することを決めたとき、今の家をどうするかも考えなければいけません。
ずっと賃貸で暮らしていて、初めての購入ということであれば特に問題はありません。しかし、今住んでいるのが購入した家ということになれば話は別です。
50代で考える家の購入は、1回目の購入とは限りません。事実、中古戸建て住宅の二次取得者で最も多いのは50代となっており、20・30代の頃に購入した家からの住み替えによって家を購入した、ということになるのです。
住み替えをする際、もし今の家のローンがまだ残っている状態であれば、そのローン返済をどうするのか考える必要があります。
今の家を売る、貸すなどしてローンを完済することができれば良いのですが、希望価格で売れなかった、貸せなかった場合は新たに購入する物件価格に上乗せした資金が必要となります。
でも、高値で売れる可能性もゼロではありませんし、ローンを完済していればそれこそ手出し無しで新しい家を購入できる可能性もあるのでは?
やはりある程度の資金は必要となるでしょう。
今の家のローン支払い状況、そして物件価値を正しく認識してから住み替えを検討するようにしましょう。
住みかえる際の3つの選択肢
住みかえるときの選択肢としては、次の3つが挙げられます。
- 売る
- 譲る
- 貸す
いずれの方法を選択するとしても、まずは現在の家の価値を把握することが大切です。
売りたいと思っても希望価格で売れないこともありますし、貸すことを考えても思うように貸し手が見つからないケースもあります。
特に、現在の居住地が郊外である場合、駅からの距離など立地条件で不利になり値が低くなりがちです。便利な都心のマンションや戸建てを希望しても、売却費用が購入費用に及ばず手出しが大きくなる可能性があります。
貸す場合も同様ですね。貸し手がついたとしても、得られる家賃が少額となれば新規のローン返済の足しにならない可能性があります。
一方、子どもなどに譲る、という選択もあります。ただ、子どもに譲渡する場合は当然贈与税がかかります。通常の贈与の場合は、年間で110万円しか基礎控除がありません。相続時の基礎控除よりも高くなってしまうのです。
しかし、子どもが20歳以上、親が60歳以上という条件を満たせば相続時精算課税制度が利用可能となり、2,500万円までは非課税となります。
50代ではまだ利用できない制度ではありますが、こちらもチェックしておきたいですね。
50歳で家を買うメリット・デメリット
結局、50歳で家を買うべきなのでしょうか。最後に、50歳で家を買うメリットとデメリットを押さえておきましょう。
まず、50代になると子どもが独立するなどして居住人数が減ることもありますよね。つまり、今よりも小さな家に住むことで、掃除などの家事軽減や光熱費を抑えるというメリットが生まれます。
また、今の賃貸の家や若い時に購入した家は、年齢を重ねるにつれて合わなくなってくることもあります。階段のない平屋や、マンションを購入することで、バリアフリーに対応することが可能です。
定年までにローンを完済できるのであれば、定年後の居住費を大きく抑えられるメリットもあります。
一方、デメリットとしては資金面での負担が挙げられます。万が一定年までにローンが完済できなければ、大きく収入が減る定年後にローンを抱えることになりますし、老後資金として確保しておきたい退職金に手を付けなければいけない恐れもあります。
50歳で家を買う時は老後や資金のことも考えた選択を
無理をしてローンを組めば、生活が厳しくなる恐れがあります。無理のない程度で資金計画を立てることが重要です。
また、新たに家を買う場合はずっと住むことを考えてバリアフリーなどに配慮された家かどうかをチェックしておきましょう。
50代に住宅を購入するケースにもいろいろなケースがあります。転勤の多いサラリーマンのかたが50代になって移り住んだ街を気に入り注文住宅を建てたとか、戸建住宅を売却して老後が安心なマンションを購入したなど。
住宅ローンの利用も、退職後の返済計画が明確であれば、審査がとおりやすい傾向もあります。
中古住宅・中古アパートの媒介業務・調査業務に従事し、現在は札幌市内の宅建業者にて専任の取引士を務めている。
2006年より、住宅に関する無料の相談サイトを開設し、住宅リフォームや中古住宅購入の相談に応じている。
そのタイミングで家を買うのって、思ってたより大丈夫な気がしてきた。