住宅ローンの基礎知識
知らないと損するフラット35の「子育て支援型」

知らないと損するフラット35の「子育て支援型」

テレビでCM放送などをしているかいもあって、住宅ローンの「フラット35」も世間一般に浸透してきています。そのフラット35ですが、さらにお得な制度を導入してきています。それが「フラット35子育て支援型」です。

フラット35子育て支援型は、利用条件が厳しいというデメリットはありますが、条件をクリアできるならぜひとも利用したいオプションです。

このページでは、フラット35子育て支援型について詳しく解説していきます。

フラット35子育て支援型って何?

「フラット35子育て支援型」というのは、条件を満たせば利用できるフラット35の優遇プランです。

フラット35子育て支援型を利用すると、通常のフラット35より、当初5年間の金利が0.25%引き下げられます。

……0.25%を5年間だけって、なんかショボくないですか?
そうでもないと思いますよ?数値であげた方がわかりやすいかもしれませんね。たとえば4000万円で35年のローンを組むと、今なら(金利1.3%で計算)返済額が4981万円になります。これが子育て支援型なら、4930万円ですむんです。
4981引く4930だと……。え、51万円も安くなるんですか!
そうです。住宅ローンは借入額が大きいので、短期間でも金利が下がれば、その効果も大きくなるんですよ。

フラット35子育て支援型が作られた背景

フラット35を提供している住宅金融支援機構は、独立行政法人です。そのため、フラット35には政府の意向が反映されています。

子育てしている世帯にアンケートしたところ、6割程度の人は持家戸建てに住みたいと希望しています。さらに2割程度の人が持家マンションを希望しており、賃貸暮らしでも良いと考えているのは2割ほどにすぎません。

しかしじっさいには、希望通りに持家で暮らせている人は全体の5~7割程度で、残りの人は賃貸暮らしで我慢しています。特に子供が未就学児である、若年層の持家率が低くなっています。

マイホームを持てない1番の要因は、経済的な問題です。こうした現状を打破し、子育て世代がマイホームを持つ手助けをするために、フラット35子育て支援型が作られました。

フラット35子育て支援型の利用条件とは?

フラット35子育て支援型の利用条件は、少し特殊です。なぜならフラット35子育て支援型が、地方公共団体と連携した住宅ローンプランとなっているからです。

つまり、住んでいる地域の自治体が住宅金融支援機構と提携していない場合、フラット35子育て支援型を利用することはできません。

利用可能な地方公共団体については、住宅金融支援機構のサイトで確認してみてください。

また地方公共団体から、「支援対象」と認定された人のみが、フラット35子育て支援型を利用することができます。提携している地域に住んでいれば、自動的に利用できるというわけではありません。

子育て世帯なら、誰でも利用できるわけじゃないのね。残念だわ……。
それでも全国で350以上の市区町村が提携して、子育て世帯の支援をしていますよ。(2019年2月現在)
へえ、たくさんあるのね。それなら私達が家を買いたい地域でも、フラット35子育て支援型を使えるかもしれないわ。
ただ、残念なことに人気がある地域では提携していない事が多いんです……。たとえば東京23区では、台東区と墨田区しか提携していません。逆に東北地方や中国地方などでは、県をあげて協力していることも多いですよ。

フラット35子育て支援型の具体的な利用要件

フラット35子育て支援型を利用するには、地方公共団体の認定が必要です。しかしここで問題があります。

認定の基準が、自治体ごとに異なるのです。

たとえば、「八坂市」では申請者が45歳以下で、同居する18歳以下の子供がいることが利用要件になっています。

しかし「笠岡市」では、申請者が40歳以下で、同居する中学生以下の子供がいることが利用要件になっています。

基本的には、申請者が40歳以下で18歳以下の子供がいるという条件が一般的です。しかし年齢と子供の有無以外に、家の大きさやローンの借入額が一定以上必要とする自治体もあります。正確な条件については、必ず居住する地域の自治体で確認してみてください。

親世代との近居や三世代同居なら利用できる場合も

自治体によっては、親の近くに家を買った場合なら、申請者の年齢と関係なく子育て支援型が利用できる場合があります。

また、三世代同居をする場合も同じように補助を受けられる場合があります。

どちらの場合でも、子供がいるという事が条件になるのは変わりありません。

フラット35子育て支援型にはどんなメリットがある?

フラット35子育て支援型の1番のメリットは、金利が安くなることです。普通のフラット35と比べてデメリットは一切ありません。利用できるなら、必ず利用したい制度となっています。

また、フラット35子育て支援型には、地方公共団体の支援を受けられるというメリットもあります。

利用条件に、自治体と住宅金融支援機構の提携があることからわかるように、フラット35子育て支援型が利用できるなら、その自治体は子育て世帯の支援に積極的だということです。

そのため、フラット35自体の金利引き下げに加えて、その自治体独自の補助制度を利用できる場合が多くなっています。

フラット35と同時に受けられる助成の例

住宅金融支援機構と提携している自治体がやっている、子育て世帯への補助制度について2つほど実例を挙げておきます。

「室蘭市」では、転入してきた子育て世帯が住宅を購入したさいに80万円が助成されます。購入した新居を作ったのが室蘭市の業者なら、さらに20万円が助成され、計「100万円」の助成金を受けられます。

「喜茂別町」では、子育て世帯が転入して、新築住宅を購入した場合、最大で200万円の補助金を受け取れます。さらに喜茂別町の業者が建てた家なら、50万円の補助金が追加され合計「250万円」もの補助を受けとれます。

数字を見てわかるように、かなり高額の補助制度を導入している自治体もあります。フラット35子育て支援型に加えて、これらの助成金も受け取れるため、経済的な負担が大きく減少するでしょう。

フラット35子育て支援型の利用の流れ

フラット35子育て支援型を利用する場合、以下のような流れになります。

  1. フラット35を取り扱っている銀行に、事前審査を申し込む。
  2. 物件がある地域の役場に、フラット35子育て支援型の「利用対象証明書」発行を申請する。
  3. フラット35本審査を申し込む。
  4. 発行された利用対象証明書を提出する。
普通のフラット35と違うのは、自治体の許可がいるという事だけかのう。
そうですね。自治体から、補助制度を受ける資格があるという認定証をもらって、提出するというステップが追加されます。

フラット35子育て支援型で借り換えはNG

フラット35子育て支援型は、借り換えには利用できません。新築か中古の物件を新たに購入したさいにのみ利用できます。

子育て支援型とその他のプランの併用

フラット35には、子育て支援型以外に、「フラット35地域活性化型」「フラット35s」「フラット35リノベ」といったプランがあります。

フラット35子育て支援型とフラット35地域活性化は、併用できません。

しかし子育て支援型と、フラット35s、フラット35リノベは併用が可能です。子育て支援型単体よりも、さらに金利を引き下げてもらうことが可能です。

子育て支援型はいつまでもあるとは限らない

フラット35子育て支援型の優遇金利は、国や自治体などの協力で成り立っています。そのため使える予算に上限があります。

つまり、予算の上限まで申し込みが来てしまうと、後から子育て支援型を利用したくても、制度が終了している可能性があるということです。

フラット35子育て支援型の利用を考えているなら、早めに決断したほうが良いでしょう。

使えるならラッキー!子育て支援型で出費軽減

フラット35はもともと低金利の住宅ローンですが、さらに金利が下がるプランがあります。その1つが「フラット35子育て支援型」で、子供を持つ家庭が優遇される制度となっています。

子育て支援型の利用には、住んでいる地域の自治体の許可が必要です。しかし確実に得になるプランですので、利用できるなら使っていきましょう。

監修者メッセージ

地方自治体との連携による優遇制度は民間融資ではできない取組です。

公共性の高い住宅融資支援機構だから実現できる魅力的な商品です。

解説しているように、国内すべての自治体で適用できるものではありません。お住いの自治体が「子育て支援型」あるいは「地域活性化型」の提携をおこなっていないか確認してみましょう。

プロフィール
不動産売却カテゴリー記事監修(弘中純一)
弘中 純一
宅地建物取引士、一級建築士の資格を保有。
中古住宅・中古アパートの媒介業務・調査業務に従事し、現在は札幌市内の宅建業者にて専任の取引士を務めている。
2006年より、住宅に関する無料の相談サイトを開設し、住宅リフォームや中古住宅購入の相談に応じている。