不動産売却の流れ
不動産売却の査定方法を紹介!売主が知っておきたい3つのポイント

不動産売却の査定方法を紹介!売主が知っておきたい3つのポイント

自宅や土地の売却で、誰もが1番気になる「査定価格」。

「不動産が大体いくらで売れるか」は土地相場や敷地形状、周辺環境などあらゆる角度から、算出して決められます。

あらかじめ不動産の査定方法を知っておくと、「いざ売却しよう」となったときスムーズに不動産会社へ依頼し、家や土地の査定に対応することが可能です。

わからないことだらけの不動産売却は、すべてのことをつい業者に頼ってしまいがち。

売主が何も知らないままでは、適正に査定できなかったり、売却後に損害賠償責任が生じてしまったりするなどの、トラブルが起こることもあります。

当記事では不動産売却における2つの査定方法や、売主が査定時に知っておきたいポイントを紹介。

トラブルなくスムーズに売却を進めるためにも、基本的な査定方法やその注意点などを事前におさえておきましょう。

不動産売却における「査定価格」を理解しよう!

不動産売却をするときは「大体どのくらいの価格で売れるのか」を知るため、不動産会社に自宅や土地の査定を依頼します。

不動産会社は地域の土地相場や物件の状態、周辺環境など、さまざまな要因を踏まえて、売主に不動産の「査定価格」を提示。

この査定価格を参考に、売主と不動産会社の担当者で話し合って、実際に売りに出す金額(売出価格)を決めていきます。

「査定価格」は不動産を売りに出したときに、おおむね3カ月以内で売れるであろう価格です。

実際の成約価格は、査定価格より上がることもあれば、下がる場合もあります。

必ずしも不動産が査定価格で売れるわけではないことを、理解しておきましょう。

不動産会社による「机上査定」「訪問査定」それぞれの特徴

不動産会社がおこなう査定方法は、次の2種類です。

不動産売却における2つの査定方法
査定方法 詳細
机上査定
(簡易査定)
周辺相場や取引事例、顧客アンケートなどの情報をもとに、おおよその査定額を算出する方法。
訪問査定
(詳細査定)
机上査定に加えて、周辺環境や管理状況などの現地調査をしたうえで、査定額を算出する方法。

不動産売却における机上査定と訪問査定

では「机上査定」「訪問査定」それぞれの査定方法を、詳しく見ていきましょう。

不動産会社がおこなう「机上査定」の方法や依頼の流れをチェック

「机上査定」は「不動産売却を検討中の人」「とりあえず不動産の大まかな価格を知りたい人」に、おすすめの査定方法です。

インターネットから不動産会社に査定依頼をして、メールで結果を受け取ることが可能。

査定結果は、比較的早く知ることができます。

ただし現地調査をせずに査定した価格なので、訪問査定よりも精度が低いというデメリットも。

不動産会社に机上査定を依頼するときは、次の不動産情報が必要です。

不動産の査定依頼に必要な情報
物件種別/所在地/建物・土地の面積/築年数/間取り/状態(居住中または空き家)/所有者/査定理由/利用者情報など

不動産会社のホームページや一括査定サイトで、売却したい不動産情報を入力し、申込みフォームを送信すれば、数日後にメールで査定結果が届きます。

不動産会社がおこなう「訪問査定」の方法や依頼の流れをチェック

訪問査定は「今すぐに不動産売却を進めたい人」「実際に現地を調べて査定価格を出してほしい人」に、おすすめの査定方法。

実際に担当者が現地の状態や周辺環境を確認しにくる訪問査定では、机上査定に比べて、査定内容や価格の正確性が高いです。

しかし査定日の調整が必要だったり、査定の結果が出るまで時間がかかったりするなどの、デメリットがあります。

不動産会社に訪問査定を依頼する手順は、基本的に机上査定を依頼するときと同じです。

訪問査定の場合、申込みフォーム送信後に担当者より査定日の日程についてのメールが届きます。

不動産会社の「訪問査定」でチェックされる内容をおさえよう

「訪問査定」の査定日当日は、どのような調査をするんですか?
不動産の状態や周辺環境、隣接する道路の広さなど、査定価格に影響するさまざまな項目を目視でチェックしたり、メジャーで計測したりします。

具体的にどのような項目をチェックするのか、不動産の種別ごとに見ていきましょう。

不動産の種別で異なる訪問調査の内容

では、それぞれのおもな調査方法を詳しく紹介します。

戸建てや土地を訪問査定するときに不動産会社が調べること

不動産会社がおこなう、戸建てや土地における訪問調査の内容は次のとおり。

戸建てや土地のおもな訪問調査
調査内容 詳細
敷地部分 ・敷地の形や広さ
・隣地との境界、接道状況
・石、ブロック壁の有無や状態など
敷地内の状況 ・登記が必要な物置や車庫などの有無
・庭の樹木や池、古井戸などの有無
ライフライン ・電気、ガス、水道、通信などの整備状況
建物状況
(外部)
・外観や門、塀の状況
・屋根や外壁の使用部材とその状態
・基礎や躯体のメンテナンス状態など
建物状況
(内部)
・増改築の有無
・綺麗さや整理整頓
・内部や設備の使用部材とその状態
・リフォーム歴の有無など
周辺環境 ・日当たり、眺望、景観
・騒音、揺れ、臭いなどの有無
・交通アクセス
戸建てや土地の訪問調査では建物だけではなく、敷地に関わるさまざまな調査がおこなわれます。

不動産売却における戸建て・土地の訪問査定

マンションを訪問査定するときに不動産会社が調べること

マンションの訪問調査では、建物の専有部分と共有部分それぞれの状況を調査します。

どのような調査をおこなうのか、次の表を見ていきましょう。

マンションのおもな訪問調査
専有部分 眺望景観、前面道路の広さ、日当たり、綺麗さ、設備状況、修繕状況、騒音、揺れ、臭いなど
共有部分 管理状況、共用施設の使用状況、駐車場や駐輪場の有無、駐車場の形式、住民の付き合いなど

不動産売却におけるマンションの訪問査定

マンションの訪問査定では「ペットを歩かせていいか」「喫煙OKか」など、共有部分のルールを聞かれる場合があります。

査定日までに各ルールをまとめておくと、担当者へのスムーズな案内が可能です。

不動産の訪問査定で知っておきたい3つのポイント

不動産会社がおこなう訪問査定で、家主が知っておきたいことは次のとおり。

不動産の査定時に知っておきたいこと

それぞれのポイントを、見ていきましょう。

不動産の査定価格に見た目の綺麗さはあまり関係しない

家のなかが綺麗に掃除されているかどうかは、不動産の査定価格にあまり影響しません。

不動産を査定する段階では、家の中の綺麗さよりも面積の広さや日当たり、眺望などの客観的な視点を重視するからです。

ただ売り出し始めると、すぐに内覧申し込みが入る可能性は十分に考えられます。

査定依頼の時点からいらないものを捨てたり、掃除の頻度を増やしたりして、日頃から家を綺麗に保つよう意識しましょう。

査定の際には、広告用の写真を撮影することも多いです。

ハウスクリーニングにお願いしてまで綺麗にする必要はありませんが、ある程度の掃除や整理はしておきましょう。

不動産の査定日はすべての部屋を担当者の目で見て確かめてもらう

不動産の査定当日は、担当者にすべての部屋を案内できるよう準備しておくことが大切。

各部屋の広さや日当たり、風通しなども、査定のチェック項目に含まれるからです。

「一部屋だけ事情があって中へ入れない」という状況にならないように、査定の日程は家族の間でよく話し合って決めましょう。

建物内部だけでなく、庭など敷地内の状況もすべて見て回れるよう、邪魔になりそうなものはどけておくなどの配慮も忘れずに。

不動産売却における不利な情報は隠さず担当者へ正直に伝えよう

「自殺や事故があった」「平日は近隣施設から異臭がする」など、住んでいないとわからない情報も、査定時にきちんと伝えることが大切です。

不動産を売却する際、売主は欠陥などの情報を不動産会社や購入希望者に、伝える義務があります。

売主に不利な情報を隠したままにすると、売却後に損害賠償責任などのトラブルが生じるケースも。

不動産売却に重要な信頼関係を壊さないためにも、ネガティブな情報は査定時の段階ではっきりと伝えましょう。

そもそも不動産の一括査定とは?業者に査定を頼む2つ方法

いざ不動産会社へ査定を依頼するとなったとき、どのような方法で頼めばいいのか、わからないという人も多いはず。

最近「不動産一括査定サイト」の広告をよく見かけます。どのようなサービスなんですか?
不動産一括査定サイトとは、家を売りたい人と不動産売却の仲介をおこなう業者のマッチングサービスです。

売却したい不動産の査定を、複数社にまとめて依頼できるメリットがあります。

不動産の一括査定サイトなら、複数の不動産会社に査定を依頼できる

ひと昔前までは不動産売却をする場合、知り合いに業者を紹介してもらうか、近所の業者に電話や訪問をして査定依頼する方法ぐらいしかありませんでした。

最近は自宅のパソコンやスマホから不動産一括査定サイトを活用して、効率よく不動産会社の情報を集める人が増えています。

ただし一括査定サイトを利用すれば、必ずしも不動産売却がうまくいくとは限りません。

人によっては、一括査定サイトを使わずに直接不動産会社に査定を依頼するほうがよいケースも。

では「不動産会社に直接査定を依頼」「不動産一括査定サイトから依頼」それぞれのメリット・デメリットを見ていきましょう。

不動産会社に直接査定を依頼する
メリット ・個人情報を提供せずに業者を探せる
・他社からの営業を受けにくい
デメリット ・業者選びに時間がかかる
・各社への問い合わせが必要

不動産一括査定サイトは名前や住所、電話番号といった個人情報を登録しないと、利用できない場合がほとんど。

あまり多くの業者に個人情報を提供したくない人は、自分で不動産会社を探して直接査定を依頼するのがおすすめです。

ただ不動産業界では「レインズ」という、業者同士で物件情報を共有できるシステムが構築されています。

一括査定サイトを利用しなくても、聞き覚えのない会社から突然営業の連絡が来る可能性は十分に考えられると、心得ておきましょう。

不動産会社の情報はSUMMO(スーモ)やアットホームなどの、ポータルサイトで調べられます。

次の記事を参考に、信頼できる不動産会社の選びかたをマスターしましょう。

次に不動産の一括査定サイトから、査定を依頼するメリット・デメリットを紹介します。

不動産一括査定サイトから依頼する
メリット ・すぐに業者を決められる
・複数の業者に一括で依頼できる
デメリット ・個人情報を提供しないと業者を探せない
・多くの営業連絡への対応が必要
たくさんの営業連絡が来るなんて、なんだか怖いです。
不動産一括査定サイトの運営目的は家を売りたい人と、不動産会社を結びつけること。

利用前に「提携先からの営業連絡はやむを得ない」と、理解しておくことが大切です。

「利用者の同意があれば提携先の不動産会社に個人情報を提供する」旨は、各サイトの「個人情報保護方針」に明記されています。

営業の対応が苦手な人でも安心して利用できる、不動産会社の紹介サービスはありますか?
不動産一括査定サイトのなかには「営業のお断り代行サービス」や「匿名査定」をおこなっているところもありますよ。

まずは不動産一括査定サイトのサービスを理解して、不安な気持ちを少しでも取り払いましょう。

不動産一括査定サイトを使うメリットや活用術は、次の記事で詳しく紹介しています。

不動産の査定額が高額な業者に注意!価格だけでの判断はNG

不動産の査定価格は査定を依頼する会社によって、金額に大きな差が出ることがあります。

「一番高い査定価格を付けたから」という理由で、不動産会社を決めることはおすすめできません。

なかには媒介契約を取りたいがために、あえて高額な査定価格を提示する会社もあります。

契約を勝ち取るため、相場を大幅に上回る査定額を提示する不動産会社に注意

他社よりも、飛び抜けて高い査定価格を付けた会社には「なぜ高額な価格を付けたのか」、理由や根拠を必ず確認しましょう。

悪質な不動産会社かどうかを見分けるためにも、査定を依頼する前にまずは自分で不動産の相場を調べることが大切です。

不動産の相場を調べる方法は、次の記事で詳しく解説しています。

不動産の査定方法や注意点をおさえてスムーズに売却を進めよう

不動産売却をする際は、不動産会社による自宅や土地の査定が必要不可欠です。

不動産会社による査定方法は「机上査定」「訪問査定」の2種類。

「売却を迷っている人」は簡易的な机上査定を、「今すぐ売却を進めたい人」は現地調査を踏まえた訪問査定を選ぶのがよいでしょう。

訪問査定では隣地との境界や敷地内の状況といった、家主のあまり気づかない専門的な部分まで、詳しく調査されます。

また査定時には売却に不利な情報も、担当者にきちんと伝えることが大切です。

どの不動産会社に査定を依頼しようか迷う場合は、一括査定サイトで自分に合った会社を紹介してもらうのがおすすめ。

不動産一括査定サイトの運営目的やメリット・デメリットを十分に理解し、納得したうえでサービスを活用してください。

面倒なトラブルを起こさないためにも、不動産の査定方法や査定時の注意点を事前におさえておきましょう。

※記載の情報は2019年7月現在のものです。

監修者メッセージ

媒介業務を依頼する不動産会社を選ぶには「査定価格」はあくまで参考です。

査定価格で売れる保証はどこにもありません。

売出価格は媒介契約の時に売主さんがを決めるものです。複数の会社に査定を依頼するメリットとしてもうひとつあります。それは万が一3ヶ月間で売却できない場合、媒介業者の選択肢が増えることです。

プロフィール
不動産売却カテゴリー記事監修(弘中純一)
弘中 純一
宅地建物取引士、一級建築士の資格を保有。
中古住宅・中古アパートの媒介業務・調査業務に従事し、現在は札幌市内の宅建業者にて専任の取引士を務めている。
2006年より、住宅に関する無料の相談サイトを開設し、住宅リフォームや中古住宅購入の相談に応じている。