不動産売却の流れ

インスペクションとは?瑕疵保険の加入とセットで行うメリット

この前新しい洗濯機を設置したとき、業者から「蛇口の部分がサビかけてる」って言われたんっすよ。

もし、このことが買主に見つかったらヤバイっすよね?

ええ。もし売却後に物件の不具合が見つかったら、買主から損害賠償を請求されてしまうかもしれませんよ。

自宅を引き渡して数週間あるいは数カ月後に、買主から雨漏りのクレームが来たという話はよくあること。

「自分の家は大丈夫」だと思っていても、屋根裏や水道管などの見えない部分に重大な不具合が隠れているかもしれません。

売却後の瑕疵(かし)トラブルを防ぐためには、売り出す前に建物検査をおこない、物件の安全性を証明することが大切です。

売買物件に不具合がないかどうか、専門業者が調査することを「インスペクション」といいます。

当記事では不動産売却における、インスペクションの実施や瑕疵保険への加入について詳しく解説。

売主が負わなければならない責任をきちんと理解して、トラブルのない不動産売却を心がけましょう。

インスペクションとは?売買物件の建物検査をおこなう理由

インスペクションとは売買物件の不具合を把握するために、専門知識を持った建築士が第三者の立場から住宅診断をおこなうこと。

構造耐力上の安全性や状態、雨漏りの有無など、国土交通省のガイドラインに定められた項目に沿って実施されます。

不具合が見つかることなくインスペクションに合格できれば、自宅の安全性を証明することが可能です。

中古住宅の購入者は購入後に見つかる、物件の不具合に大きな不安を抱えています。

売主は買主の不安を解消することで、不動産売却を有利に進めることができるでしょう。

インスペクションを利用したいときは、どうすればいいですか?
インスペクションをおこなう専門業者にお願いしましょう。

媒介契約した不動産会社から、提携先の業者をあっせんしてもらえます。

インスペクションの流れ

インスペクションのメリットを売主と買主の目線で理解しよう

インスペクションのメリットを売主と買主、それぞれの立場からみていきましょう。

イスペクションをおこなうメリット
売主 ・納得して購入してもらえる
・セールスポイントにつながる
・適合判定なら瑕疵保険に加入できる
・引き渡し後のトラブルを防げる
買主 ・中古物件のリスクを避けられる
・物件の構造や設備を把握できる
・メンテナンスの見通しをたてられる
・引き渡し後のトラブルを防げる
瑕疵保険について「瑕疵保険とは?売主が知らないと損する不動産の瑕疵担保責任」の章で詳しく説明します。
うちは築浅だから、インスペクションやる必要ないですよね。
不具合の見つかる心配がなさそうな築浅物件でも、インスペクションをおこなうメリットは十分にあります。

インスペクションを利用するほとんどの人は、中古一戸建てやマンションの購入を検討する買主です。

買主は「欠陥住宅ではないか」「購入後どのくらいでいくら補修費がかかるのか」など、物件の安全面や信頼性に大きな不安を抱えています。

インスペクションで物件状態の良さが証明できれば、買主がすぐ見つかったり、希望価格で売却できたりするかもしれません。

買主の見えない部分に対する不安を取り除いて、物件購入に迷う要素をできる限り減らしましょう。

平成21年10月1日より、宅建業者または建設業者が販売する新築住宅について「10年間の瑕疵担保責任」を、負うことが義務付けられています。

平成21年以降に購入した新築住宅の場合、すでに業者が自宅の瑕疵保険に加入している可能性があります。

この場合は売却後に所有者が変更されても、保証が継続されるかどうかを確認しておきましょう。

瑕疵保険で分からないことがあれば、媒介契約を結ぶ不動産会社の担当者に聞いてみるのがおすすめです。

インスペクションの調査内容や所要時間、負担費用を理解しよう

インスペクションは国土交通省の定めるガイドラインに従い、専門家の目視や触診によっておこなわれます。

具体的な調査内容は次のとおり。

インスペクションのおもな調査内容
項目 詳細
屋根 ・ヒビ割れやズレ
・梁の構造や状態
・換気状況
・断熱材の状態
外壁 ・ヒビ割れ
・壁の浮きや剥がれ
・塗装の状態
基礎 ・建物の傾き
・扉の開閉具合
・柱の状態
・耐震調査
床下 ・シロアリ被害
・構造の状態
建物内部 ・結露跡
・雨漏り跡
・変形の状況
・天井や床の欠損
設備管理 ・給排水管の状態
・換気ダクトの状態

インスペクションの調査内容

インスペクションは、目視や動作確認などの非破壊検査が中心。2~3時間あればほとんどの項目を調査できます。

インスペクションの費用はどのくらいですか?
依頼する業者によって価格は異なりますが、だいたい5~10万円かかります。

インスペクションは売主と買主どちら側も、実施できるサービスです。

費用負担はインスペクションを希望し、実施した側が負います。

売主が希望しなくても、買主側から自宅のインスペクションをお願いされるケースは十分に考えられます。

「もし瑕疵が見つかって、売却できなかったらどうしよう」と考えて、インスペクションを断ろうとする売主も多いはず。

しかし売却後に瑕疵が見つかってトラブルが起きると、もっと面倒な手続きが必要になるかもしれません。

インスペクションに対する不安が大きい場合、売却仲介の担当者ともよく話合って、やるべきかどうかを判断しましょう。

売却の仲介を担う不動産会社が、サービスの一貫としてインスペクションを実施し、瑕疵保険に加入するケースもあります。

瑕疵保険について、次の章を参考にしてください。

瑕疵保険とは?売主が知らないと損する不動産の瑕疵担保責任

インスペクションの適合判定を受けると、引き渡し後に見つかった不具合の補修費用が保証される「瑕疵保険」に加入できます。

瑕疵(かし)保険とは

売却後に物件の不具合が見つかった場合、その補修費用を保険会社が負担してくれるもの。

売主が瑕疵保険に加入することで、売却後の買主とのトラブルを回避できます。

もし不適合判定を受けても、不適合となった部分の補修後に再検査を受けて合格させることが可能です。

中古物件の売買契約では、「もし売却後に問題があったとき誰がどう対応するか」といった内容を、売主と買主で確認する必要があります。

契約後に見つかった瑕疵に対して、売主が負う責任のことを「瑕疵担保(かしたんぽ)責任」といいます。

売主が知らなかった場合も「瑕疵担保責任」を、負わなければならないのでしょうか?
ええ。買主は瑕疵のないことを想定したうえで、多額の売買代金を支払います。

売主は買主との利益のバランスを取るため、認識の有無に関わらず「瑕疵担保責任」を負わなければなりません。

瑕疵担保責任とは

個人間の不動産売買では、物件の引き渡しより2~3カ月間「瑕疵担保責任」を設定するケースが一般的。

「売主は瑕疵担保責任を一切負わない」と取り決めることもできますが、責任を負わない代わりに売買価格の値引きするといった、対応が必要です。

「瑕疵担保責任」の期間や範囲をきちんと定めておかないと引き渡しから10年経過するまで責任を追求されるリスクを背負ってしまいます。

インスペクションと瑕疵保険の加入をセットでおこなうメリット

インスペクションで自宅の不具合が見つからなかったら、わざわざ瑕疵保険に入る必要はなくないっすか?
インスペクションで適合判定を受けたからといって、売却後に必ずしも自宅の瑕疵が見つからないとは限りません。

瑕疵保険に加入することで、売主は万が一の事態に備えられるメリットがあります。

瑕疵保険への加入で売主が得られるメリットは、次のとおり。

インスペクションのあと瑕疵保険に加入するメリット

それぞれについて、詳しく解説します。

【瑕疵保険のメリットその1】物件引き渡し後の安心感が得られる

人間ドックの精密検査で異常がなかった人でも、数年後に大きなが病気が見つかるケースはよくある話。

同様にインスペクションを実施した住宅であっても、何かのきっかけで瑕疵が発見される可能性は十分に考えられます。

瑕疵保険の保証があれば、不動産売買における瑕疵のリスクを最小限に抑えることが可能です。

瑕疵保険のおもな保証内容は、次のとおり。

瑕疵保険の内容
保険期間 引き渡しから最長5年
保険金額 上限1,000万円
対象の瑕疵 ・構造耐力上主要な部分
・雨水の侵入を防止する部分
保険料金 住宅の構造や床面積、保険業者などによって異なる
※個人間の既存住宅タイプ
リフォーム工事部分の瑕疵が見つかった場合、補修費用に対して保険金が支払われる「リフォーム工事タイプ」の瑕疵保険もあります。

【瑕疵保険のメリットその2】不動産の付加価値を上げられる

引き渡し後に発見される物件の不具合は、買主にとって最大の不安要素。

瑕疵保険に加入して物件の安全性を保証できれば、買主にも大きな安心感を与えられます。

またインスペクションを受けていない、近隣のライバル物件と大きな差をつけることが可能です。

不動産の付加価値もぐんとアップするため「相場よりも高く売れる」「買手がつきやすくなる」といった、メリットが得られます。

【瑕疵保険のメリットその3】住宅ローン減税が受けられる

住宅ローン減税は築年数や延べ面積などの要件が厳しく、中古住宅ではなかなか受けられないケースがほとんど。

瑕疵保険に加入する物件であれば、そのほかの要件を問わずに住宅ローン減税の優遇を受けることが可能です。

買主の税金負担を減らせるため、物件の大きなアピールポイントにつながります。

インスペクションと瑕疵保険を理解して不動産売却に活かそう

「インスペクション」「瑕疵保険」は売主と買主双方の不安を取り除ける、不動産売却にメリットの大きい制度。

インスペクションをおこなうことで、売却する物件の安全性を証明することが可能です。

さらに瑕疵保険への加入で、売却後に発見される瑕疵に対して安心保証が付きます。

物件の安全性や安心感を追求することで、自宅の評価が高まり、売却を有利に進められるかもしれません。

瑕疵保険の加入によって「住宅ローン減税」の優遇を受けられるのは、買主にとっても大きなメリットです。

万が一売却後に瑕疵が発見されると、買主から売買契約の解除を求められも考えられます。

売却後に起こりうるリスクに備えておけば、自信を持って物件をおすすめできますよ。

※記載の情報は2019年3月現在のものです。