副業の始め方
副業で農業を始めるには?収入を得るための農業への取り組み方

副業で農業を始めるには?収入を得るための農業への取り組み方

副業には様々な種類がありますが、週末に農業を行う副業農業も人気です。しかし、農業は副業として取り扱われるのか、疑問に感じる所でしょう。

またサラリーマンとして働きながら農業を始めるにあたって、どのような準備が必要か分からず迷いを感じている人も多いのではないでしょうか?

そこでこの記事ではサラリーマンが農業を始めた場合に、副業にあたるかどうか、また週末農業の準備や仕組みについても説明します。

サラリーマンが週末や空いた時間に農業を始めると副業といえる

サラリーマンが副業で農業を始めるにあたって、気になる点といえば副業として取り扱われるのかどうかでしょう。株式投資など投資は副業ではありませんが、アルバイトなどは副業に分類されます。

では農業の取り扱いについてですが、農林水産省が様々な状況に対して副業や専業などに定義しています。

例えば農林水産省の定義によれば副業的農家(副業農業)とは、年間60日以上農業を行っている65歳未満の世帯員としています。また農家とは経営耕地面積が10アール以上で、年間収入が15万円以上ですと当てはまります。

世帯員とは
世帯主と生活・生計を一緒にしている方を指します。また、世帯主は誰でも自由に決めることができます。

このように専業や兼業・副業的農家などの区分は、厳密に言えば農林水産省の定義に基づくんですね。

少々ややこしい定義ですが、まとめますと農業を60日以上行い、収入が発生した時点で副業といえるでしょう。

公務員は法律で副業禁止にされているが農業は問題ない

サラリーマンは法律で副業は禁止されていませんが、就業規則によって社内における処分の有無は変わります。また、就業規則で副業が認められていれば、公序良俗や利益相反に違反しない限り自由に始められます。

しかし公務員の場合は、法律で禁止されています。具体的には、主に以下3点の法律に触れる場合に関して許可されていません。

  • 職務専念の義務
  • 信用失墜行為の禁止
  • 守秘義務

では公務員が農業を行うと問題になるのでしょうか。

公務員が週末や空いた時間に農業を行った場合、例外として認められるケースもあります。副業・兼業農業は、公務員の信用を落とす要因はありませんし、守秘義務に触れる項目もありません。

ですから公務員が副業として農業を始めても、認可をとれば問題ないとされています。

しかし職務専念の義務と、営利を目的とした農業経営に関しては注意です。

農業に集中し過ぎて、公務員の仕事がおろそかになる状況や、営利目的として大規模な農業経営を始める場合は、罰則を受ける可能性があります。

従って公務員の仕事を優先し、無理のない範囲で農業を始めることが大切です。

副業として農業を始めるにあたって知っておくべき準備と知識

ここからはサラリーマンや公務員が、副業として兼業農業を始める場合に、知っておくべき知識と準備についてご紹介していきます。

農業の始め方を覚える際、農機具や作物に関して注目しがちですが、その前に作業時間や働き方、税金や補助金制度などについて覚えておきましょう。

副業として農家になる場合、農業の始め方を知る必要があります。その1つが、週末農業と半農半Xです。

週末農業は聞いたことのある人もいるかと思いますが、半農半Xについては知らない方も多いのではないのでしょうか。それでは、それぞれの概要と特徴について説明します。

週末や休日に農業を行う「週末農業」

週末農業は、平日に働いている方が週末や休日に、副業として農業を行う働き方です。最近では、若い世代が自給自足や自然に興味や関心を持ち、趣味や好奇心から週末農業を始めるケースもあります。

主に、趣味や生きがい、楽しさから始めるのが週末農業の醍醐味です。また、人によっては週末農業を本業として展開することや、自給自足に近い状態まで農業を行うことがあります。

農業と好きなことを両立して働く「半農半X」

続いて半農半Xとは、家族や自分が必要な食料を農業で自給自足しながら、農業とは別に好きなことで働く生き方を指します。

ですから、半農半Xの場合は、副業や兼業農家とは違った働き方になります。

大きな特徴は、農業で自給自足をしながら好きなことを行う、自由なライフスタイルという点です。

副業農家や週末農業の場合は、サラリーマンとしての仕事があり、自分の好きなことを突き詰める程のライフスタイルは難しいです。

しかし半農半Xの場合は、農業しながら好きな仕事や、やりたいことを行うことができます。

副業で農業を始める前に作業内容や時間を把握しておくこと

副業農家になる前に、作業時間や内容、収入について知っておきましょう。

副業として農業を始める場合、多くの方は休日に作業を行います。専業農家ですと、毎日畑や田んぼの確認や作業を行いますが、副業農家は自分のペースで進めることができます。

しかしいきなり独学で始めたところで、知識や経験が不足していては作物をうまく育てるのは難しいでしょう。

そのためまずは農業体験ができる教室やイベントに参加して、育て方を覚えるのがおすすめです。

育てる手間が少ないとされる代表的な作物

続いて、作物を育てる手間が少ないものを以下に挙げます。

  • ニンニク
  • タラの芽
  • みょうが
  • ビーツ
  • アスパラガス

これらの作物は育てやすく収穫しやすいため、初心者にもおすすめとされています。

副業として農業を始めたら支援や補助金制度を活用しよう

会社員の方が副業として農業を始める場合、補助金制度の活用を検討してみましょう。

副業・兼業農家に関する補助金制度
  • スーパーL資金
  • 農業次世代人材投資資金(準備型)

スーパーL資金

これから農業を始める人が融資を行う際に利用できる制度です。利用には条件があり、農業経営改善計画と呼ばれる書類を提出し、認定農業者となれば日本政策金融金庫から借りることができます。

農業次世代人材投資資金

給付金150万円を受け取る制度です。農業を始める前の2年間に農業法人等で研修を受ける場合、所得を保証するための補助金になります。

副業で農業を始めたら確定申告が必要

続いて確定申告について説明します。

副業で農業を始めた場合、年間20万円以上の収入が発生すると確定申告が必要となります。

雇用される働き方ですと会社が代わって年末調整をしてくれますが、副業の場合は確定申告を自分で行います。

基本は次の計算で算出された所得から、所得税率を掛けて納税額を求めます。

収入-(経費+仕入れ)=所得

また、所得区分については、農協やスーパーなどに販売を行っている場合、事業所得に区分されます。事業所得は損益通算ができますから、赤字を黒字と相殺可能になります。

補助金制度も用意されているとは驚きです。他に補助金制度はあるのでしょうか?
こちらは専業的に就農することを目標とする45歳未満の方が対象ですが、「農業次世代人材投資資金(経営開始型)」という制度があります。交付要件を満たせば農業開始後最長5年間に毎年150万円を受け取ることができるんです。

農業を始めるにあたって土地や農機具などを事前に覚えておくこと

サラリーマンや公務員が、趣味や小遣い稼ぎとして農業を始めるにあたって、必要な準備を紹介していきます。

副業農家といっても、人によって目標とする規模は違いますが、少なくとも家庭菜園と同じにしてはいけません。土地や農機具など様々な費用と準備が必要となります。

それでは、以下に主な準備を並べていきます。

副業として農家を始めるにあたって必要な準備

  • 農地を借りる
  • 農具の購入
  • 農機具の購入
  • 作物の種や肥料など資材の用意
  • 柵や作物を支える柱などの資材を用意
  • 資材や農具などの物置・倉庫

農業を始める場合は、上記に並べた農地・農機具、資材などを購入するための初期費用と、毎年の維持管理費用も準備する必要があります。

副業農業の場合は、専業と違い規模を小さくしても生活に支障はありませんが、それでも一定の費用は掛かります。

例えば専業農家の平均初期費用は、875万円ほどです。

専業農家で800万円以上の費用がかかりますから、副業農家として始める場合もある程度の資金を用意しておくといいでしょう。また自己資金では難しい場合、融資も検討してみます。

農業を体験できるレンタル農園

最近ではレンタル農園という農地と農具などが用意され、利用料が月5000円台とリーズナブルなサービスがあります。

資金準備する前にレンタル農園を体験してから、自己資金を使って始めるか検討するのがおすすめです。

トラクターなど農機具は、200万円以上掛かりますから軌道に乗ってから用意しましょう。

また農業の維持費用は消費資材や作物の収穫までに掛かる費用、農機具の点検費用などがあります。特に作物は、収穫できるまでに数年必要なため、利益を得るまでに時間も掛かります。

ですから、維持費用も事前に用意するか、補助金制度を利用しましょう。

資金などの準備について把握できたら、販売方法についても覚えます。

農作物を販売する方法

週末農業や兼業農家の収入は作物が売れてはじめて発生するものです。収穫した野菜や果物を販売する方法を以下に紹介します。

  1. 友人や知人に販売
  2. 地元の直売所
  3. ネットショップを立ち上げる
  4. 農協(JA)に出荷
  5. 卸業者に出荷
  6. 飲食店に仕入れてもらう(提携)

一般的に農協へ出荷する方法を思い浮かべますが、実際は様々な販売方法があります。

また、副業として初めて農業を行う時は、収穫量も少ないため直売所や知人など、コストを抑えた販売がおすすめです。

JAや卸業者の場合は、出資金など条件があるため簡単ではないためです。

農機具は分かりますが、農具というのはなんでしょうか?
農具はスコップやショベル、桑や一輪車などで機械以外の道具を指します。どれもホームセンターで購入できますよ。

サラリーマンが副業で農業を始めるメリットとデメリット

サラリーマンや公務員が、副業として農業を始める前にメリットやデメリットも押さえておきましょう。

仕事で疲れた心を癒す趣味としても楽しめますが、費用など現実的に考えなくてはいけない部分もあります。

サラリーマンが副業で農業を始めるメリット

それでは、メリットからご紹介していきます。

  • 自給自足に近い生活も可能
  • 仕事などのストレス発散ができる
  • 作物を販売して利益を得ることができる
  • レンタル農園などリーズナブルな価格で始められる

サラリーマンや公務員など、働いている人が農業を始める理由の1つとして、上記に挙げたストレス発散や趣味があります。

自然に囲まれながら作業を行うことは、疲れが取れますし仕事への活力に繋がります。

また、副業として農業を始めると、作物を育てることだけでなく販売戦略についても考える必要が出てきます。人によっては苦手と感じるかもしれませんが、戦略を考えることは仕事に役立つ知識です。

サラリーマンが副業で農業を始めるデメリット

続いて、デメリットをご紹介していきます。

  • 農地や農機具など初期費用が高い
  • 安定して収穫ができるまで赤字
  • 売れ残りや不作による売り上げの変動リスク

レンタル農園など費用を抑えて農業体験を行い、家庭菜園規模で小遣い稼ぎとして始めることもできます。しかし、副業として一定の収入を確保するためには、融資を受ける必要もあります。

トラクターやコンバインなど1台数100万円以上掛かり、自己資金では厳しい側面もあります。

また、売り上げに関しても天候不順による変動や、他の生産者が育てた野菜と競争して売れ残る可能性もあります。専業ではないため廃業となっても生活できますが、初期投資は損失したままになってしまいます。

そうか・・。ただ野菜を育てるだけじゃないんだよね。費用は掛かるし、販売戦略を常に考えないといけないんだ。楽しそうだけど大変だな~。
確かに副業で農業を始めるとしても、農地の確保から農具の準備、そして売り上げ確保が必要です。不安な時は農業体験サービスから始めて、自分に合っているか肌で感じるといいですよ。

副業で農業を始める場合は農業体験で現場を知ること

農業と聞いても、野菜や果物を育てるなどのイメージが一般的でしょう。しかし、実際は農地や農具の確保、維持費用の捻出や販路開拓など、やることがたくさんあります。

また副業として週末農業や兼業農家を始める場合も、同様に販売戦略など経営者目線で運営することが大切です。

ですから勢いで始めるのではなく、レンタル農園や農業体験を通じて農業とはどのような作業で、何が必要なのか実際に経験してみるのがおすすめです。体験してみることで、漠然とイメージしていた農業を、具体的に考えられるようになります。

お小遣い稼ぎとして副業で農業を始めるのであれば、一旦考え直した方がいいでしょう。単純に収入のためだけでは挫折しやすいため、自然や野菜に興味がある方が続けやすいです。

野菜を育てることや、農業の発展について興味がある方は副業として検討してみるのもいいのではないでしょうか。