ダブルワークとは?副業と違う定義と気をつけたい社会保険・確定申告
働き方改革の一環として兼業や副業を認めつつある企業も増えているようですが、同じ様な言葉としてダブルワーク(Wワーク)があります。
この記事では現在ダブルワークをしている方や、今からダブルワークを始めたい方に向けて、次のような兼業にまつわるさまざまな疑問を解決していきます。
- ダブルワークとは、そもそもどのような働き方なのか?
- 労働保険や社会保険はどうなるのか?
- 年末調整はしてもらえるのか?
- 確定申告はしなければならないのか?
- ダブルワークを始める前にどんなことに注意すればよいのか?
仕事を掛け持ちすることによって申請や対応しなければならない部分が出てくるので、ぜひ参考にしてくださいね。
ダブルワークは2つの仕事を掛け持ちした働き方
「副業」「複業」「兼業」とダブルワークが異なる点
副業
本業の他に、空いている時間で本業の収入を補うための働き方をいいます。ダブルワークと異なり、一般的には本業に比べて労働時間や収入は少なくなります。正社員のお小遣い稼ぎなどが一例です。
複業
複数の本業を掛け持ちしている状態をいいます。個人事業主が異なる事業を並行して行っている状態などが一例です。
兼業
複数の仕事を掛け持ちして、いずれも同程度の労力をかけている働き方をいいます。そのため、ダブルワークとほとんど同じ意味合いであるといえますが、時間や曜日ごとに職種を変える場合などに使われます。兼業農家が一例です。
ダブルワークしているときの労働保険の取り扱い
労働者が仕事中または通勤途上でケガや病気となった場合、必要な給付を受けることができる制度を労災保険といいます。また、労働者が失業などをした場合に必要な給付を受けることができる制度を雇用保険といいます。これらを総称して労働保険といいます。
それでは、ダブルワークをした時、労働保険の取り扱いはどうなるのでしょうか?
労災保険はダブルで加入できる
ただし、万一給付を受けることになった場合、基準となるのは1社のみの給与となり、合算はされませんので注意が必要です。
雇用保険はダブルで加入できない
万一、雇用保険に加入している会社を退職して失業保険を受け取る場合、基準となるのは雇用保険に加入している会社のみの給与となり、合算されませんので注意が必要です。
ダブルワークのときの社会保険の取り扱いは会社によって異なる
原則として社会保険の加入条件は、5人以上の従業員のいる会社(飲食店、接客業、理・美容業、旅館業などは適用対象外)。または株式会社などの法人である場合は、1週間の所定労働時間、および1ヶ月の所定労働日数が一般社員の4分の3以上である場合に加入する義務があります。
- 週の所定労働時間が20時間以上あること
- 雇用期間が1年以上見込まれること
- 賃金の月額が88,000円以上であること(賞与、残業代、 通勤手当等は含まない)
- 学生(夜間、通信、定時制の方は除く)でないこと
ダブルワークしたときの社会保険料を考えよう
月20万円の厚生年金保険料(本人負担分)は18,300円となりますので、A社の給与から9,150円、B社の給与から9,150円が天引きされることになります。なお、健康保険料も同様です。
ダブルワークにおける年末調整と確定申告の注意点
ダブルワークをする際、忘れてはならないのは税金の取り扱いについてです。ここではダブルワークにおける年末調整や確定申告について説明していきましょう。
ダブルワークでできる年末調整は1つの会社のみ
年末が近づくと、社員は会社に「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」「給与所得者の保険料控除申告書兼給与所得者の配偶者特別控除申告書」を提出して、会社が年末調整を行ってくれます。
年末調整とは、1月1日から12月31日までの所得と税額を計算し、実際に給与から天引きされた所得税の過不足を調整して清算することをいいます。
ただし、ダブルワーク先ごとに年末調整を行うと控除額が重複するなどにより適正な税金が計算できない状況になるため、年末調整を行うことができるのは1つの会社のみです。一般的には最も収入が多いダブルワーク先で年末調整を行ってもらうことになります。
ダブルワークの確定申告は収入20万円がポイント
確定申告が必要であるにも関わらず行っていなかったことを税務署から指摘された場合や、申告期限を過ぎている場合などは、追徴課税が求められます。
医療費控除の確定申告をすると副業が20万円以下でも確定申告は必要
ダブルワークの人が確定申告を行うメリットは還付の可能性があるから
具体的には年間総収入が103万円以下の場合は所得税を支払う必要はありませんので、税金を納めている場合は確定申告を行うとよいでしょう。
また、103万円を超えている場合も還付の可能性はありますので確認しておくとよいでしょう。
ダブルワークはバレる?就業規則に沿ったほうが良い理由
一つは「住民税」です。住民税は前年の所得に応じて決められており、給与から天引きされますので、同一給与にも関わらず、住民税の税額が不自然に多くなると給与担当者に「ダブルワークをしているのではないか」と疑われる可能性があります。
また、住民税の他、ダブルで社会保険に加入した場合は、年金事務所から両方の勤務先に按分した保険料の通知が届きますのでダブルワークがバレます。
社会保険の扶養の範囲でダブルワークをしている方であれば、両方の会社に伝えておかなければ、年収総額が扶養の範囲を超えて扶養から外れてしまう可能性も考えられます。
ダブルワークを始める前に正しい知識を身に付けよ!
多様な働き方が認められつつある昨今だからこそ、ダブルワークを会社に黙って行うことは絶対にやめておきましょう。正しい知識を身に付けていくことこそがあなたにとって最善のメリットといえます。