学資保険
学資保険の祝い金とは?満期金との違いと受け取り時期の選び方

学資保険の祝い金とは?満期金との違いと受け取り時期の選び方

学資保険の検討をしていると「学資金」や「満期金」とともに「祝い金」という単語が出てくるけれど、どういう意味なんだろうと思ったことはありませんか?この3つはいずれも保険会社から支払われる「保険金」のことです。

「学資金」と「満期金」は同じ意味合いとなりますが、学資保険の「祝い金」については少々異なります。

祝い金は学資金(満期保険金)の一部を段階的に受け取ることができる仕組みのこと。一般的に中学校・高校など入学時に受け取るケースが多くなっています。

「もらえるものなら、早いタイミングで受け取った方が良いんじゃないか?」そう思う人もいるでしょう。

しかし実はこの祝い金、学資保険の「返戻率」に関わる重要なポイントなんです。

そこでこの記事では「そもそも祝い金とはなにか」といった疑問から、「祝い金を受け取ることによるメリット・デメリット」「返戻率との関係や税金」についてしっかりご説明します。

せっかく子どものために毎月コツコツと積み立てている学資保険です。自分に合ったより良いプランを一緒に考えていきましょう。

学資保険の祝い金を設定すれば、満期前に保険金が受け取れる

学資保険は保険の種類で分類すると、「養老保険」の一種になります。

一般的な保険の仕組みは、契約開始から満期までの間に被保険者に万が一の事があった場合、保険金が支払われるようになっています。

例えば1,000万円の保険の場合、被保険者が死亡すれば1,000万円の保険金が支払われます。ただし養老保険の場合は被保険者が無事に満期を迎えた時にも1,000万円が受け取れるのです。

この養老保険を子供の教育費向けに設計したものが学資保険です。

満期の時以外にも学資金を受け取りたいニーズに応える

「満期を子供の大学入学時(18歳)という、教育で一番お金がかかるタイミングに設定した養老保険」それが学資保険の正体です。しかしそのうち「大学入学時だけではなく、中学・高校入学時にも教育資金が受け取りたい」というニーズが生まれてきました。

そのニーズに応え満期前に教育資金として保険金を受取ることのできる仕組みが「祝い金」です。

学資保険の多くは、祝い金あり・祝金なしを選ぶことができる

学資保険では契約者の様々なニーズに応えるため、複数の学資金の受け取り方法を用意しています。代表的な受け取り方を紹介しましょう。

複数ある学資保険の受け取り方
  • 大学入学時など満期時に一括で学資金を受取るタイプ(祝い金がないタイプ)
  • 大学入学時以外に小中高入学時にも「祝い金」を受け取れるタイプ
  • 一番資金のかかる大学入学後、毎年学資年金を受け取れるタイプ

ここでは学資保険で実際にある商品、ニッセイの「学資保険」、フコク生命「みらいのつばさ」、ソニー生命の「学資保険」で受け取り方のイメージを見ていきましょう。

ニッセイ「学資保険」

ニッセイの「学資保険」は小中高の入学時と大学在学中の教育資金をしっかりサポートする「こども祝い金あり型」、そして大学在学中に重点をおいた学資年金タイプの「こども祝い金なし型」を用意しています。

こども祝い金あり型
学資金の受取時期と金額(基準保険金額100万円の場合・受取総額360万円)
年齢 こども祝金額
小学校入学 20万円
中学校入学 20万円
高校入学 20万円
こども祝い金なし型
学資金の受取時期と金額(基準保険金額100万円の場合・受取総額300万円)
年齢 学資年金額
18歳 100万円
19歳 50万円
20歳 50万円
21歳 50万円
22歳 50万円

フコク生命「みらいのつばさ」

フコク生命「みらいのつばさ」の特徴は、幼稚園入園から22歳の満期時まで長期に渡り教育資金をサポートする「ステップ型」と、大学在学時に重点を置いた「ジャンプ型」を用意している点です。

ステップ型
学資金の受取時期と金額(満期保険金額100万円の場合・受取総額210万円)
幼稚園入園祝金 50,000円
小学校入学祝金 50,000円
中学校入学祝金 100,000円
高校入学祝金 100,000円
大学入学祝金 700,000円
成人祝金 100,000円
満期保険金(22歳) 1,000,000円
ジャンプ型
学資金の受取時期と金額(満期保険金額100万円の場合・受取総額200万円)
大学入学祝金 1,000,000円
満期保険金(22歳) 1,000,000円

ソニー生命「学資保険」

ソニー生命の「学資保険」は3タイプ。さまざまな要望を叶えるプランを用意しています。

  • Ⅰ型:大学進学時に加え、中学・高校入学時の教育資金にも備えたプラン
  • Ⅱ型:大学進学時に一括で教育資金を受取るプラン
  • Ⅲ型:大学在学時の教育資金をカバーする学資年金プラン
Ⅰ型
学資金の受取時期と金額(満期保険金額100万円の場合、中学・高校入学時にその30%の学資金を受け取る)
年齢 学資金額
12歳 30万円
15歳 30万円
17歳または18歳 100万円
Ⅱ型
学資金の受取時期と金額(満期保険金額100万円の場合)
年齢 17歳または18歳
学資金額 100万円
Ⅲ型
学資金の受取時期と金額(満期保険金額40万円の場合、同額を毎年学資年金として受け取る)
年齢 学資金額
18歳 40万円
19歳 40万円
20歳 40万円
21歳 40万円
22歳 40万円

祝金ありなしではどっちがお得?メリット・デメリットを比較

続いて祝い金があるとないのでは契約ないようや保険金はどのように変わるのでしょうか?

まずは祝い金がない場合のメリット・デメリットを見ていきましょう。

祝い金なしのメリット

こども祝い金がある場合、保険会社としては資金運用中に度々お金が出ていってしまうことになり、まとまった資金で運用できません。そのため「祝い金」がない方が返戻率が高くなります。

実際に先ほど紹介したニッセイ「学資保険」でシミュレーションしてみましょう。

契約者(親):男性30歳/被保険者(子供)0歳 
基準保険金額:100万円(受取総額:こども祝金なし型300万円、こども祝金あり型360万円)
支払期間:18歳まで
こども祝金なし型 こども祝金あり型
月払保険料 13,350円 16,300円
支払保険料総額 2,883,600円 3,520,800円
受取金総額 3,000,000円 3,600,000円
返戻率 104.03% 102.24%

返戻率にして2%程の差が出てきます。

祝い金なしのデメリット

祝い金なしの場合、最初に学資金を受取るのは大学入学時となります。そのため中学校や高校の時に教育資金が必要となった場合、別途資金を用意しなくてはなりません。

保険商品はいずれも中途解約をすると元本割れをする可能性が高くなります。

つまり預貯金のように途中で他の用途にお金を使うことが難しくなるということ。こども祝い金があればそのお金を他の事にも使えるので、ある程度お金の流動性を確保することができます。

祝い金ありのメリット

祝い金ありのタイプ最大のメリットは「祝い金をその時に受け取らず、据え置くことが可能」という点です。

ほとんどの学資保険では祝い金の受け取り手続きを行わなければ、引き続き保険会社によって運用され続けます。運用されている祝い金には一般的な預貯金より高い利息がついていき、「いつでも引き出し可能」な資金となるのです。

親の予想どおりに子供が進路を選ぶとは限りません。私立の附属中学校に進学したいと言うかもしれませんし、日本の高校へは行かず海外に留学したいと言うかもしれません。

そんな場合、数年ごとに祝い金を受取ることのできたり、また据え置きによっていつでも使える教育資金を用意できるプランは、様々に変化する子供の進路にフレキシブルに対応することができます。

祝い金ありのデメリット

さきほどのシミュレーションの表で見たとおり、祝い金なしの場合に比べ返戻率は下がります。

ただ一番大切なのは必要な時に教育資金を受け取れること。子供の進路に合わせてプランを選ぶことが重要です。

祝い金なし型の場合、契約者に万が一の事があって「払込免除特約」が適用されても、子供が17・18歳になるまでは資金を運用できるため、何とかカバーすることができます。

しかし祝い金あり型の場合、数年ごとに祝い金を支給しなければならないため、資金を運用して増やすことができません。そのため子供祝い金あり型では、払込免除特約への対応が難しく、払込免除特約が適用される可能性の高い人つまり年齢の高い人は加入できないようになっているのです。

払込免除特約とはなんでしょうか?
払込免除特約というのは、契約者に万が一の事があった場合、以降の保険料の払込が免除される仕組みです。学資保険にはほとんどこの特約がついていますよ。

例としてニッセイ「学資保険」で加入可能な契約者年齢を見てみましょう。

子供祝い金なし型
保険料払込期間 被保険者(子供)年齢 契約者年齢
学資年金開始年齢まで (17年又は18年) 0~2歳 男性18~45歳
女性16~45歳
3~6歳 男性18~4 0歳
女性16~40歳
10年 0~2歳 男性18~45歳
女性16~45歳
3~6歳 男性18~44歳
女性16~44歳
5年 0~2歳 男性18~67歳
女性16~67歳
3~6歳 男性18~60歳
女性16~60歳
子供祝い金あり型
保険料払込期間 被保険者(子供)年齢 契約者年齢
学資年金開始年齢まで (17年又は18年) 0~2歳 男性18~39歳
女性16~39歳

祝い金を受け取った時の税金はどうなる?

祝い金・満期金には受け取り時に税金がかかります。

契約者と受取人が同じ場合は一時所得(所得税)がかかる

契約者と受取人が同じ場合は、受け取った祝い金や満期金は一時所得に分類され、所得税の対象となります。

一時所得の所得額の求め方は次のとおりです。

(受取額-既払込保険料-特別控除50万円)×1/2

契約者と受取人が違う場合は贈与税がかかる

贈与税額は次の計算式で求められます。

(受取額-控除額110万円)×税率

契約者=受取人なら、かなりの高額でなければ税金はかからない

上の計算式で分かる通り、学資保険で増えた金額からは一時所得の場合「特別控除」として50万円が控除されます。

そのため保険料として支払ったお金が50万円以上増えなければ、税金はかかりません。

例えば返戻率が110%と非常に高い学資保険に500万円の保険料を支払ったとします。

将来受取る学資金は550万円となり、増えたお金は50万円ですが、これでも税金はかかりません。

一方贈与税の場合は自分では保険料を払っていないため、税金がかかりやすくなっています。受取人を誰にするかは意外と重要なポイントなんですね。

祝い金を据え置いた時の税金

祝い金自体の税金は、据え置いた場合でもその年に一時所得として処理されます。

据え置いた祝い金は保険会社で運用されるので利息が付きます。その利息は契約者にとって「雑所得」として扱われます。

利息の場合は必要経費はないので、利息の金額がそのまま課税対象となります。ただ通常の給与所得者であれば雑所得等の合計が20万円以下であれば確定申告が不要なので、この利息で税金を払わなければならないケースはほとんどありません。

祝い金のありなしを含め、どんな学資保険に加入するか悩んだら、次の記事も参考にしてみてくださいね。

祝い金のあるなしは、子供の進路と家計の状況に合わせて考える

据え置きをすることによってフレキシブルな教育資金の利用ができる「祝い金」のシステムは魅力的です。一方で返戻率が下がってしまうというデメリットもあります。

学資保険において祝い金のある・なしを決めるには今後のライフプランと教育費用をどのタイミングでどのように捻出するかを考えていくこと。

子供の進路のための学資保険ですが、家計に無理のない範囲で高い返戻率を求めていくことが重要です。

祝い金のメリット・デメリットを踏まえ、ご自身の家庭にあった学資保険のプランを選んでいきましょう。