学資保険の契約者は妻名義でもOK!メリット・デメリット両方を解説
学資保険に加入するとき、契約者は「夫」でなければならないと思っている人は多いでしょう。一般的には「夫」が契約者になることが多いと思いますが、「妻」が契約者になることも可能です。
実は学資保険の契約者(名義人)を誰にするかで、保険料が高くなったり安くなったりするんです。
場合によっては「妻」が契約者になった方がいいケースも。この記事では「専業主婦でも学資保険の契約者になれる理由」や「契約者を妻にするメリット・デメリット」など、契約者をどうするかで悩んだときに必要となる情報について詳しく解説しています。
学資保険の商品によっては途中で契約者を変更できないケースも。契約者を夫にするか妻にするかは両方のメリット・デメリットをしっかりと踏まえた上で決めてくださいね。
専業主婦の妻でも学資保険の契約者(名義人)になれる!
専業主婦の方でも配偶者に一定以上の収入があれば、学資保険の契約者になることができます。
保険商品を販売する保険会社としては、保険料さえきちんと継続して支払ってもらえれば問題ありません。そのため例え月々の収入がない場合でも契約者になることができるんですね。
ただし契約者を妻にした場合、もしも夫と離婚または死別した場合でも同じ額の保険料を継続的に支払っていけるかという問題がありますので、その点は慎重に考える必要があります。
契約者を「夫」名義にするメリットとデメリット
「夫」名義のメリット
夫が学資保険の契約者となるメリットは、払込免除特約の効果を最大限に発揮できる点にあります。
学資保険の契約者が「保険料の払い込みが免除される状態」になった場合、以後の保険料の払い込みを免除するというものです。
- 契約者が死亡した場合
- 契約者が保険会社所定の高度障害状態になった場合
- 契約者が不慮の事故により、事故日から180日以内に保険会社所定の身体障害状態になった場合
契約する学資保険に払込免除特約がついていれば、学資保険の契約者が「保険料の払い込みが免除される状態」になっても学資金の支払い時期や満期が来れば、通常の場合と同じ満額の学資金を受け取ることができます。
日本では夫が一家の大黒柱である場合が多く、経済的な意味に限定すれば夫の死が家庭に与えるダメージのほうが大きくなります。その大きなダメージをカバーできるのがメリットです。
「夫」名義のデメリット
保険会社はリスクにに応じて保険料を決めています。保険金を支払わなければならないリスクが高ければ保険料を高く、支払いリスクが低ければ保険料も安くしているのです。
学資保険は「払込免除特約」が付いているケースが多くを締めます。
保険料には「年齢」も関係していますので、夫婦に年齢差があり妻のほうが年齢が高い場合は保険料があまり変わらないという可能性もあります。
契約者を「妻」名義にするメリットとデメリット
「妻」名義のメリット
夫と妻の年齢が近ければ、女性である妻が学資保険の契約者になるほうが保険料が安くなります。
実際にどれくらい変わるのか、シミュレーションで確認してみましょう。
被保険者:男性0歳
学資金受取総額:300万円
支払期間:18年(月払い)
男性30歳 | 女性30歳 | |
---|---|---|
月額保険料 | 13,350円 | 13,290円 |
支払保険料総額 | 2,883,600円 | 2,870,640円 |
受取総額 | 3,000,000円 | 3,000,000円 |
返戻率 | 104.04% | 104.51% |
保険料の支払総額で約13,000円、返戻率で0.5%程の差が出ました。
「妻」名義のデメリット
払込免除特約は、「契約者」に万が一の事があった場合、以後の保険料の払込を免除する特約です。
したがって妻が契約者の場合、夫が亡くなってもこの特約は適用されません。
もし夫が一家の収入を支えていて妻は専業主婦だった場合、収入は激減しますが保険料の支払いは続けなくてはなりません。
このような場合は中途解約を選ぶ人が多いのですが、学資保険を中途解約すると支払った保険料よりもらえる金額が少なくなる「元本割れ」をするケースがほとんどです。もちろん解約しているので、学資金(満期保険金)も支払われません。
学資保険を妻名義にした方がいい3つのケース
では学資保険の契約者を積極的に「妻」名義にした方が良いのはどのような場合でしょうか。3つのケースをそれぞれ詳しく説明しましょう。
(1)妻のほうが所得が多い場合
学資保険に「払込免除特約」を付けることを考えると、契約者は一番所得の多い人にするべきです。
そのため夫が専業主夫の場合や妻のほうが所得が多い場合は、その所得がなくなった場合のリスクをカバーするため、妻名義にしておくことが得策です。
(2)夫の健康状態に不安がある場合
学資保険の被保険者は子供ですが、払込免除特約を付けるなら契約者の健康状態も契約時にチェックされるポイントとなります。
契約時には「告知書」において、現在の健康状態を正直に告知する必要があるのです。
そのため最近夫が通院中など今後の健康状態に不安がある場合、保険会社から保険契約を断られてしまうことも。このような場合は妻を契約者にすることでスムーズに契約することができます。
(3)妻の年齢が大幅に若い場合
男性より死亡リスクの低い女性の方が保険料が安いというお話をしましたが、「年齢が若い」ということも保険料が安くなる要素となります。
歳を取れば取るほど残りの寿命は減っていき、病気にもかかりやすくなるため、高齢になるほど死亡リスクが高いと判断されるためです。
もし共働きで妻の年齢が夫より大幅に若い場合は、夫の死亡時に払込免除特約が適用されないというデメリットを考慮しながら、妻を契約者にすることを検討しても良いでしょう。
妻が学資保険の契約者でも、夫の所得から生命保険料が控除できる条件
学資保険は生命保険会社が販売する生命保険の一種ですから、年末調整や確定申告時の「生命保険料控除」の対象となります。
では夫の扶養に入っている専業主婦が契約者の場合、「夫」の生命保険料控除の対象になるのでしょうか?
実は一定の条件に当てはまれば、扶養に入っている妻が契約者の場合でも「夫」の生命保険料控除の対象となります。ただし控除されるためには次の条件が必要です。
- 戸籍上の配偶者であること
- 生計を一つにしていること
- 妻の年収が103万円以下であること(扶養に入っているための条件)
この3つの条件に当てはまっていれば、妻が契約者でも夫の所得から生命保険料支払い分が控除されます。
契約の途中で契約者の変更は可能?保険会社や商品によって異なる
契約者変更ができるのは契約者が原則
契約に関する権利はすべて契約者にあるため、現在の契約者が同意して手続きをしない限り、契約者変更をすることはできません。
例えば離婚が決まり、夫から親権を持つ妻へ契約者を変更するケース。この場合、離婚する前に夫自身が契約者を妻へと変更するのがいちばん簡単な変更手続きです。
健康状態や年齢、払込免除特約の関係上できない場合も
健康状態に問題がある場合、学資保険の契約者になることはできません。
また各保険会社とも、払込免除特約の関係上、契約者の年齢に制限を掛けています。非常に高齢な人が契約者になってしまうと死亡するリスクが高く、したがって払込免除になる可能性が高くなるからです。
このような場合は契約者の変更を受け付けてもらえないので注意しておきましょう。
保険料の差額を支払う可能性がある
契約者を変更した場合、保険料が変わるケースがほとんどです。保険料が変わるとなると、契約当初までさかのぼって保険料の差額を支払わなければいけない可能性もでてきます。
もし契約者を変更した場合に保険料はどうなるかを事前に保険会社に確認しておくと安心ですね。
離婚した場合、学資保険の名義はどうする?
離婚した場合、学資保険の契約者を変更しておかないと学資金を受け取れなくなる可能性があります。
例えば契約者、受取人共に夫だったケース。たとえ離婚後子供の親権を妻が持っていても、学資保険の祝い金や学資金は夫に支払われます。
お金に余裕があったとしても、再婚して新しい家庭で子供が生まれることで学資保険の支払いを止めてしまうケースもあるのです。
そのため離婚前に契約者と受取人を妻にしておくことが理想的です。
妻が契約者となることで保険料の支払いが負担となるケースもあるため、保険会社に今後の保険料や解約返戻金について問い合わせてみると良いでしょう。
ちなみに契約者が元夫のままでスムーズに学資金を受け取れたとしても、受取人が妻である場合、受取時に贈与税がかかります。
学資金や祝い金に関する贈与税については、次の章で詳しく説明していきます。
学資保険の契約者変更の手続きの手順
契約者変更をする場合は保険会社に連絡を入れて手続きの流れを教えてもらいましょう。一般的には契約者変更申請書に記入をし、必要書類とともに送付すれば手続きが完了するケースが多いです。
公的書類とは運転免許証、パスポート、健康保険証、住民票の写し、戸籍謄本などがあります。
契約者を変更するときは税金に注意!所得税と贈与税の違いを解説
学資保険の祝い金や学資金を受け取った場合は税金がかかります。契約者と受取人によって課税の種類が異なるので注意しましょう。
契約者と受取人によって課税の種類が異なる
学資金(満期保険金)や祝い金にかかる税金は契約者と受取人の関係によって変わります。
契約者 | 受取人 | 税金の種類 |
---|---|---|
夫 | 夫 | 所得税(一時所得) |
妻 | 夫 | 贈与税 |
契約者=受取人の場合は所得税(一時所得)
契約者=夫、受取人=夫、といったように契約者と受取人が同一の場合は、所得税(一時所得)がかかります。
一時所得の税額計算は以下のようになります。
ポイントは「特別控除額が50万円ある」という点です。
つまりお金が50万円以上増えて戻ってこない限り、税金はかからないということ。
学資保険では50万円増えるというのはなかなか考えられません。例えば「返戻率110%の学資保険に500万円の保険料を払った場合」で、やっと受取金額550万円となるため、返戻率の高い学資保険でなおかつ高額契約をしない限り税金はかからないのです。
契約者≠受取人の場合は贈与税
契約者、受取人ともに夫だった場合から、契約者を「妻」に変更すると、「契約者=妻 受取人=夫」という状態になります。
この場合、契約者から受取人に学資金を「贈与した」とみなされるため、贈与税の対象となります。
贈与税の税額計算は次の通りです。
一時所得の時と違うのは、「増えた額」ではなく、「受け取った額」が対象となることです。
そのため学資金が110万円以上の場合は税金がかかってしまいます。
このように契約者変更をする場合は、必ず受取人の変更もセットで考えたほうがよいでしょう。
学資保険の契約者を誰にするかは慎重に考えよう
リスクを均等に回避するために、必要な教育資金額を半分に割り、夫と妻双方で学資保険を契約するという方法もあります。
払込免除特約をつけるか否かも含め、ベストな学資保険の選択はそれぞれの家庭によって異なるもの。
あなたの家庭に一番適した学資保険の契約ができるよう、契約者と受取人を誰にするかはしっかり考えてみてくださいね。