
グループホームとは認知症高齢者が安心して暮らせる住処
日本の平均寿命は世界第一位で、84.2歳となっています(2016年)。これは日本の安全性と、医療水準の高さを示す喜ばしい数値です。
しかし平均寿命が伸びたことにより問題も生じてきました。その一つが認知症高齢者の増加です。そうした認知症高齢者の問題を解決するために、「グループホーム」という施設が作られています。
このページでは、グループホームについて、その費用やメリット・デメリットなどを解説していきます。
クループホームとは
グループホームは正式名称を、「認知症対応型老人共同生活援助施設」と言います。その名の通り、認知症になった高齢者が共同生活をするための施設として作られました。
認知症の人は、変化に順応するのが難しいという特徴があります。そのため認知症高齢者にとって、大勢の人が入れ替わり立ち替わりあらわれるような環境は好ましくありません。
そのため、グループホームでは5人~9人の少人数を一単位とした共同生活をおこないます。少人数で顔なじみの関係を作ることによって、認知症高齢者を戸惑わせずに、安定した生活を送らせることが期待できます。
クループホームの入居条件
グループホームに入居する場合、以下の条件を満たす必要があります。
- 65歳以上である。
- 要支援2、または要介護1以上と認定されている。
- 医師によって、認知症と診断されている。
- 集団生活が可能である。
- グループホームがある地域の「住民票」を持っている。
グループホームを利用できるのは、認知症と診断され、要支援2以上の認定を受けている高齢者だけです。ただし重度の要介護者の場合は、逆に入居できない場合があります。
グループホームにかかる費用
グループホームには、初期費用として「入居一時金」がかかります。入居一時金の金額は、数万円~20万円程度になります。ただし初期費用が無料のグループホームや、100万円程度の入居一時金が必要なグループホームもあります。
また月額費用として、「日常生活費」と「介護サービス費」がかかります。日常生活費には、食費や光熱費、家賃や管理費が含まれます。
日常生活費は、合計で10万円~20万円程度が相場となります。介護サービス費は2万円~3万円程度かかります。
グループホームの費用については、以下のページで詳しく解説してあります。
グループホームの選び方
グループホームを選ぶ場合、「費用」「介護体制」「医療体制」「施設の雰囲気」などが選ぶ基準になるでしょう。
ただし前述の通り、グループホームの利用は、原則その地域に住んでいる人に限られるため、好きなように選ぶということは難しくなります。
注意したいのが医療の問題です。グループホームには看護師の配置義務がないため、医療体制が整っていない施設が多くあります。健康の心配があるなら、医療体制が整っているグループホームを選んだほうが良いでしょう。
グループホームと利用可能期間
グループホームは基本的には、痴呆症状があっても、体はちゃんと動くという人を入居対象にしています。
そのため、入居後に介護度が高くなってしまうと、退去を求められることがあります。
また、グループホームで生涯を終えるつもりでいるなら、「看取り介護」ができるグループホームを選ぶ必要があります。
幸いなことに、行政の後押しもあり、最近では看取り介護ができるグループホームが増えてきています。
グループホームと生活保護
生活保護を受けている場合、普通のグループホームではなく、「生活保護法の指定」を受けているグループホームを選ばなくてはいけません。
もしも住んでいる地域のグループホームが生活保護に対応していない場合は、いったん生活保護に対応している施設がある地域に住民票を移し、その自治体で生活保護の申請をする必要があります。
また、生活保護に対応しているグループホームでも、全室対応ではなく、一部の部屋だけ対応しているというケースもありますので、よく確認したほうが良いでしょう。
グループホームの入居手順
グループホームに入居する場合は、以下のような手順で進めます。
- インターネットなどで情報収集する。
- 資料請求し、施設の詳細を確認する。
- 実地見学して施設の様子を確認する。
- 体験入居が可能なら、じっさいに入居してみる。
- 契約して入居する。
グループホームのメリットとデメリット
グループホームには、以下のようなメリットがあります。
- 認知症専門の施設のため、認知症への対応に優れている。
- グループホームを運営するには、介護保険法の事業者指定を受けなければいけないため、安心感がある。
- 初期費用が安い。
- 少人数での集団生活のため、入居者同士の関係が深まりやすい。
またグループホームには、以下のようなデメリットもあります。
- 住民票や要支援認定が必要など、入居条件が厳しい。
- 医療体制は整っていない場合が多い。
- 少人数で暮らすため、人間関係で問題が起こると大変。
- 定員が少ないわりに人気があるため、入居したくてもできないことがある。
認知症対応がグループホームの1番のメリット
まずグループホームには、認知症に詳しい専門の職員が常駐しています。そのため痴呆症状への対応への安心感があります。
また、グループホームでは入居者も体を動かして家事などの作業をします。こうした作業自体も認知症の改善に効果があると言われています。
入りたくても入れないというデメリットがある
グループホームは、入居条件が厳しく、さらに募集定員も少なめです。そのため、希望しても入居できないというケースが多くなっています。
グループホームを選ぶ場合は、入居待ちが発生するかもしれないと覚悟しておいたほうが良いでしょう。
人間関係がこじれると致命的になりやすいというデメリットも
グループホームは少人数で、家族のように暮らすというのがコンセプトになっています。
これは居住者同士や職員との仲が深まりやすいというメリットもありますが、いったん関係がこじれるとどうしようもなくなってしまう危険性も秘めています。
じっさいに、グループホームに入居した人の不満で一番多かったのが人間関係だった、という調査データも出ています。
グループホームと有料老人ホームの違いとは?
グループホームは認知症の進行を遅らせることを目指しているため、その他の医療対応は十分でない事が多くなっています。対して有料老人ホームの場合は、医療体制が整っている施設が多くなっています。
また、グループホームの方が有料老人ホームよりも、費用が安くすむ場合が多くなっています。
※有料老人ホームの特集記事はコチラ
無理な自宅療養よりグループホームの方が良い場合も
そのため、認知症の対応に長けたグループホームを利用するというのは良い方法だと言えるでしょう。専門知識を持つ職員が対応してくれるので、自宅療養より認知症の進行防止に効果があることも多くなっています。