住宅ローンの返済
住宅ローンの年数に悩んでいる人必見!3つのポイントを徹底解説

住宅ローンの年数に悩んでいる人必見!3つのポイントを徹底解説

住宅ローンを利用する際、何年で組むべきか悩む人は多いのでは?短期で完済できればベストですが、だからと言って毎月の返済額が大きくなれば生活に不安が生じるのも事実です。

そこで今回は、住宅ローンの年数を決めるために押さえておきたい3つのポイントをご紹介していきます。自分が何年で住宅ローンを組むのがベストなのか、短期で組むこと、そして長期で組むことにはそれぞれどのようなメリットとデメリットがあるのか、しっかりチェックしておきましょう。

住宅ローンは最長35年!?基本的な情報をチェック

まずは、住宅ローンの基本的な情報をご紹介していきます。

住宅ローンは、最長35年というのが一般的な期間です。ただ、何歳でも35年のローンが組めるという訳ではありません。

住宅ローンの利用可能最長年数を知る為には、以下の2つの点を確認しておきましょう。

  • 完済の上限年齢ー現在の年齢
  • 利用を検討している住宅ローン商品の最長借入期間

住宅ローンでは、この2つを計算してみて短い方が申し込み者が利用できる上限年数ということになっています。

年齢制限が完済時75歳、最長35年まで可能、という条件の住宅ローンがあるとします。現在45歳の場合は、上限年齢ー現在の年齢=30となりますので、最長35年まで利用可能な住宅ローンも30年しか利用する事が出来ないのです。

ですから、長期で住宅ローンを組みたいと希望する場合は、できるだけ早く、若いうちに住宅ローンを申し込んだ方が良いわけですね。

40歳からの住宅ローン事情について気になる方には、こちらの記事がオススメです。

長期ローンを希望するなら、早く家を買わなければいけないということですね…。

40代、50代からの住宅購入は厳しいということでしょうか。

年齢を重ねても頭金などの自己資金を十分に利用できるのであれば、短期でローンを利用する事も可能となってきます。

自己資金次第では、長期ローンを利用しなくても十分完済できます。早く買った方が良い、とは一概に言えないのです。

住宅購入のタイミングについては、こちら家を購入するベストな年齢は?各年代で購入する際の注意点もご紹介で特集しています。

住宅ローンの最短返済期間は?

最長は35年とご紹介した住宅ローンですが、最短返済期間は何年から設定できるのでしょうか。

もちろん金融機関や商品によってその期間は異なるのですが、多くの銀行が1年以上という借入期間条件を設定しています。

一例を挙げてみましょう。

金融機関名 借入期間
みずほ銀行
住宅ローン
1年以上35年以内(1年単位)
固定金利選択方式…2年以上35年以内
全期間固定金利方式…11年以上35年以内
イオン銀行
住宅ローン
1年以上35年以内(1か月単位)
住信SBIネット銀行
ネット専用住宅ローン
1年以上35年以内(1か月単位)

ただ、期間固定金利を選択した場合は、その固定期間より短期間での借り入れ期間は設定できません。つまり、1年で完済予定なのに2年固定金利で契約すると言うことはできないのです。

固定金利を選択する際には、借り入れ最短期間が制限される可能性があるということを覚えておきましょう。

その他、住宅ローンについて詳しい情報はこちらの記事でご紹介しています。

住宅ローンの返済年数を決める3つのポイント

住宅ローンの返済年数を検討する上で是非押さえておきたいのが、次の3つのポイントです。

  • 支払い利息
  • 繰り上げ返済
  • 住宅ローン減税

それぞれのポイントについてご紹介していきましょう。

支払い利息

支払い利息は、ローン返済期間中かかってくるものです。1日単位で発生するものですから、1日でも早く完済すればその分だけ支払い利息の総額を抑えることが可能です。

ここで、2,000万円を1.5%の固定金利で返済するケースを考えてみます。

返済期間 総返済額
内支払い利息総額
毎月の返済額
20年 23,162,045円
3,162,045円
96,509円
25年 23,996,020円
3,996,020円
79,987円
35年 25,719,333円
5,719,333円
61,236円

返済期間が長くなれば、毎月の返済負担は軽くなります。20年で返済するときと、35年返済では、毎月の返済額が35,000円ほど違ってきます。

ただ、総返済額、つまり支払金利総額は250万円近くお得になります。

もしこれが借入金額が3,000万円だった場合は、20年と35年のローン返済期間で毎月の返済額が50,000円、返済総額なら400万円ほど違ってくる計算になります。

毎月の返済が少し高くなっても問題なく返済できるのであれば、返済期間は短期の方が確実にお得なのです。

繰り上げ返済

住宅ローンは、繰り上げ返済が可能です。繰り上げ返済には、2つの方法があります。

  • 返済期間を短縮する
  • 毎月の返済金額

繰り上げ返済は、余裕があるときに通常の返済額にプラスで返済をするというものです。時期や金額などは、自分のタイミングで決められることがほとんどです。

繰り上げ返済で返済した金額は、全額元金の返済に充てられますので、効率よく元金を減らすことができます。返済総額が減ることで、毎月の返済額をそのままに返済期間を短縮、もしくは返済期間をそのまま毎月の返済額を減らすことに繋がるわけですね。

返済期間の短縮か、返済金額を減らすのか、どちらを選択するかは自分で決めることが可能です。ただ、返済期間を短縮した方が返済時にかかる利息の負担を減らすことができます。

毎月の返済が少し厳しい、もう少し余裕を持ちたいということであれば、返済金額を減らすことを選んでも良いでしょう。

返済期間を決める際には、繰り上げ返済をすることも可能であるということを覚えておきたいですね。

繰り上げ返済に関する特集記事はコチラです。

繰り上げ返済をするって思って長期ローンを組んだ方が気持ち的には安心ってことか。

毎月の負担が大きくなると返済できなくなったとき困るし、繰り上げ返済すれば結果的に期間は短くなるんだし。

短期ローンにすれば毎月の負担が大きくはなりますが、結果的に返済総額はかなり抑えられます。

長期ローンにして繰り上げ返済をすれば良いか、と考えていても、教育資金などで支出が増えて結局繰り上げ返済できないというパターンもあります。その点は注意しておきましょう。

住宅ローンの期間を検討する際には、この繰り上げ返済をどう使うかについても考えておきたいところです。

住宅ローン減税

住宅ローンを組む上でしっかり押さえておきたいのが、住宅ローン減税です。

住宅ローン減税とは

年末時点での住宅ローン残高に対し、その1%分の税金が安くなる制度。最長10年間利用可能。

つまり、より多くの金額を減税してほしいなら、より多くの返済残高があった方が良いということですね。

繰り上げ返済で残高が減れば、適用となる減税額も少なくなってしまいます。

だからこそ、住宅ローン減税と繰り上げ返済の関係について悩む人が多いのです。

ここで繰り上げ返済の利息軽減効果と住宅ローン減税の減税額を比較してみましょう。

前提として、先ほどと同様に借入金額2,000万円、金利1.5%、返済期間35年で考えていきます。

繰上げ返済の有無 (A)
繰上げ返済による
利息軽減効果
(B)
住宅ローン控除合計額
(10年間)
(A+B)
得をした金額
繰上げ返済なし
住宅ローン控除のみ
0円 約175万円 約175万円
毎年100万円を
10年間繰上げ返済
約371万円 約116万円 約487万円
10年後に1,000万円
繰上げ返済
約273万円 約175万円 約448万円

住宅ローン減税は住宅ローン残高が大きい方がお得にはなりますが、繰り上げ返済による利息軽減額も大きいので毎年繰り上げ返済をしていた方がお得になる、という結果となりました。

繰り上げ返済が有利なのは、借入額が大きく金利が高い場合、繰り上げ返済せずに住宅ローン減税が有利になるのは借入額が少なく返済期間が短期になる場合という傾向があります。

ただ、結局計算してみなければどちらがお得か分からないのです。金利や繰り上げ返済の額にもよりますので、どちらがお得か知りたい方は一度シミュレーションしてみると良いでしょう。

住宅ローンの借入平均期間とは

住宅ローン返済期間検討のポイントをご紹介しましたが、実際住宅ローン利用者はどのくらいの期間で借り入れをしているのでしょうか。

住宅ローンの借り入れ平均期間は、およそ25年です。

しかも、30年~35年以下でローンを組んでいる人は、実は1割程度しかいないという事実があります。ほとんどの人が25~30年という期間で住宅ローンを利用しているのです。

また、その住宅ローンも多くの人が繰り上げ返済を利用し、全体の7割もの人が15年以下で完済しているというデータがあります。

やはり利息負担を考え、より早く完済しようという傾向があるようです。年齢とともに収入も上がるでしょうから、計画的に繰り上げ返済をして早期の完済を目指したいところです。

住宅ローンをそんな短期で返している人が多いとは、正直驚きました。

無理のない返済期間を設定して、出来る範囲で繰り上げ返済を心がけてみたいですね。

住宅ローンを何年で完済すべきかはその人の状況次第!

住宅ローンは、その人の状況(年収や家族構成・支出)に応じて短期にするか、長期にするかを検討すべきです。

ただ、やはり支払い利息の軽減や、返済能力を考えると定年前に完済できるよう、できるだけ短期でローンを組むのが望ましいと言えます。

しかし、無理をして毎月の返済が苦しくなっては意味がありません。支払い利息、住宅ローン減税、繰り上げ返済の可否、毎月の支出、そして収入などを総合的に見た上でローン年数を決めたいですね。

監修者メッセージ

金利タイプを検討する場合、毎回の返済額や総返済額による比較をしますが、もうひとつ注目すべきが「元金返済分」です。

金利が低いほうが返済額が少なくなるのは当然ですが、元金分の返済額は金利の安いほうが元金分を多く返すことができます。

つまり金利の安いほうが元金が多く減るので繰上げ返済には有利になるのです。

プロフィール
不動産売却カテゴリー記事監修(弘中純一)
弘中 純一
宅地建物取引士、一級建築士の資格を保有。
中古住宅・中古アパートの媒介業務・調査業務に従事し、現在は札幌市内の宅建業者にて専任の取引士を務めている。
2006年より、住宅に関する無料の相談サイトを開設し、住宅リフォームや中古住宅購入の相談に応じている。