リート(REIT)とは?意味や売買の仕組み、特徴について解説
投資を始めたばかりの方や、投資に興味・関心がある方の中には、「リート(reit)って何?」、「Jリートという金融商品があるけどよく分からない」といった疑問を感じたことがありませんか?
せっかく興味を持ったのであれば、リートの仕組みや売買方法についても知りたくなりますよね。
リート(reit)・Jリートは、不動産投資信託のことで、独自の仕組みや意味・売買方法の特徴など、覚えておくべきことがたくさんあります。
リートやJリートの意味や違い、リートの投資の流れと仕組みや売買方法など、1つ1つ分かりやすく解説していきます。
また、リートに投資をする上で欠かすことのできない「配当利益」の仕組みや、リスクを抑えるための注意点についても合わせて解説します。
リートは不動産投資信託!通常の投資信託との違いと仕組み
まずは、リートの意味や基本的な仕組みについて解説します。
不動産投資信託の1つですが、「投資信託と同じではないの?」と思っていませんか。共通点もありますが、投資対象が株式から不動産へ変わっているだけでなく、仕組みに関しても違いがあるのです。
リート・Jリートに投資するのであれば、しっかりと基本を押さえた上で始めたいですよね。
リートの意味やJリートとの違いと仕組みについて見てみましょう。
リートは1960年に生まれた金融商品
リート(reit)は、Real Estate Investment Trustの略称で、日本語では「不動産投資信託」と呼ばれています。
1960年アメリカで生まれた金融商品のことで、不動産投資信託の法人が投資家から資金を集め、その資金で投資法人が不動産投資を行い、発生した利益を投資家に分配します。
利益については主に、この2つを投資家に分配します。
- 不動産売買による利益
- 賃料収入
基本的な仕組みは投資信託と同様に、投資家は資金を投入し運用は投資法人に任せるので、少額から始めたい人や投資にかける時間が少ない人と相性がよいです。
アメリカ発祥ということもあり、リートに関しては現在もアメリカの投資業界で活発な市場として挙げられる金融商品の1つです。また、後述でも詳しく仕組みとJリートについて紹介しますが、最近では日本でもリートが注目され始めています。
Jリートは日本の不動産投資信託
リートについて大まかなイメージはできたでしょうか。続いてはJリートを例に、さらに仕組みを解説していきます。
リートには、Jリートと呼ばれる金融商品がありますが、こちらは単純にjapan=日本で上場した不動産投資信託のことを指します。また、日本では以前から投資信託はありましたが、法律の関係上リートのサービス展開はできませんでした。
しかし、2000年の法改正により、日本版リート=Jリートが証券取引所へ上場することが可能となり、国内でもリートへの投資ができるようになっています。
Jリートをの仕組みを解説
まず不動産投資信託の事業を運営する、法人(投資法人)が存在します。その投資法人が株式のような「投資証券」を発行、投資家に販売したり不動産の売買、他にも運用会社へ資産運用の委託をしたりといった事業を行っています。
また、投資法人のみが運用や資産管理を行うのではなく、他の会社へ委託することが法律で定められています。
- 資産保管会社
- 運用会社
- 事務受託会社
資産保管会社とは信託銀行などが請け負う事業で、投資法人が保有する不動産の管理を行います。
続いて運用会社は、投資法人から委託されて不動産の運用や、具体的な投資戦略・資金調達など、投資家の利益に関わる特に重要な役割を担っています。
事務受託会社は、投資法人の税務・事務関連の手続きや事業を請け負う会社のことです。
リート・Jリートを知る上で、欠かすことのできない仕組みがもう1つあり、それは株式総会のように「投資主総会」があることです。こちらは、投資証券を保有する投資家が、投資法人に対して意見・意思を表明することができます。
ですので、リートに投資を行う投資家は、投資法人の事業や適切な運用についてチェックの意味も込めて、参加することがおすすめです。
Jリートの代表的なファンドの紹介や、銘柄の探し方など更に深掘った内容については次の記事で解説しています。
リートの仕組みを知るためには各商品を理解しておくこと
リート・Jリートは、投資信託のように投資家は資金を投入し、運用結果を待つのみとなります。従って、実際に売買する場合に、負担が少なく始めやすい利点があります。
しかしそれだけでは、リートの仕組みを理解できたとはいえないでしょう。なぜなら、様々な種類や運用方針が存在するからです。
そこで続いては、リートの仕組みを知る上え欠かすことができない、「用途」や「インデックス、アクティブ」を中心に解説していきます。
Jリートは用途によって種類が分けられている
Jリートは、東京証券取引所に上場していますが、その中でも「不動産の用途」によっても区分できます。
- 単一用途特化型Jリート
- 複数用途特化型Jリート
単一用途特化型Jリートとは?
物流施設・ホテル・住居・商用施設など、ある分野に特化した不動産に絞って投資している銘柄を「単一用途特化型Jリート」と言います。
例えば住居特化型Jリートは、人が住むための不動産へ投資するので、基本的に長期的な入居の傾向があることや、景気への影響が他の商品より少ないため安定した分配金を得られる傾向です。
商業施設に特化したJリートは、商用施設に投資するので景気に左右されやすく、分配金の変動が大きくなる傾向にあります。
それぞれの投資対象の特徴を理解して、投資することが一般的ですので、経験者におすすめでしょう。
複数用途特化型Jリートとは?
一方で複数用途特化型Jリートは、住居や商業施設など用途が別の不動産に投資を行う、「分散型」となっています。
従って、こちらに投資をした時点で、分散投資をしていることになり、リスク回避も同時に行うことができます。
また複数用途型Jリートには、「複合型リート」「統合型リート」に区分されており、前者は2つの用途に限定した方法、後者は3つの用途やそれ以上の種類に投資を行うリートを表しています。
ちなみにですが、単一用途型Jリートと複数用途型Jリートどちらも、地域性によってさらに区分されるので、用途とどの地域の不動産に投資しているのか確認することも大切です。
リートはインデックスとアクティブの運用方針が存在する
続いて紹介するリートの仕組みは、インデックスとアクティブという運用方針についてです。
こちらは投資信託の仕組みと共通しているので、投資信託に投資をしたことがある方は、既に理解できているでしょう。
リートのベンチマークとは、上場している全投資法人の時価総額を平均化・指標としたものを指します。そして、Jリートの場合は、東京証券取引所に上場している全銘柄をベンチマークとしています。
つまり、インデックス型Jリートは、東証REIT指数(国内の投資法人の指標)に含まれた投資銘柄を組み入れることで、市場の平均価格と連動した価格推移を目指します。
リート市場が上向けばインデックスも同様の動きとなり、ミドルリスク・ミドルリターンとなるでしょう。
リートのアクティブは、先程解説した「ベンチマーク」を上回る成績を出すことを、運用方針とした商品を指します。より分かりやすく言い直すと、リート市場の平均値を超える目標設定にしているファンドです。
特徴はインデックスファンドよりも、運用成績が良い結果になる可能性もありますが、長期的にはインデックスファンドよりも下回る傾向にある点です。
ただし、アクティブ型の場合は、運用を担当するプロの投資家の技量によって結果が大きく異なり、リートの中でもハイリスク・ハイリターンといえます。
リートの配当(分配金)の仕組み
続いては、リートの収益源である配当(分配金)について分かりやすく解説していきます。
リートは不動産投資信託ですので、不動産に投資を行う投資法人に対して、投資家が資金を投入します。従って、投資家の利益は、投資法人が運用している不動産の賃料収入と物件の売却益によって支えられています。
ただ、不動産収益の柱となる賃料収入は、対象の物件に空室が発生すると収益低下に繋がります。
従って、投資法人は複数の不動産物件へ投資を行い、リスク分散を図っています。さらに、分散投資によるリスク回避を行うことで、長期的に投資家へ分配金を支払うことができるのです。
Jリートの配当利回りは他の金融商品よりも高め
多くのJリートでは、投資信託や株式投資と比較して利回りが高く設定されています。その代表的な理由が、税制面における優遇措置があるためです。
具体的には、投資法人が運用による収益(税引き前)を、分配金90%超えの割合で投資家に支払うことで、法人税が免除されるという内容があるためです。
Jリートにおける配当利回りは、株式投資や国債などよりも高めに設定されているので、投資家の利益率も中・長期的に安定且つ利回り3~4%と高めになるということです。
リートの売買方法や注意点について
リート・Jリートの基本的な仕組みについて理解できたでしょうか。次は、リートの売買方法と、注意点について分かりやすく解説していきます。
リートの購入は、手続きも簡単なので資産運用の経験が少ない方も、比較的投資しやすいでしょう。
リートの売買方法は株式投資と同じなので分かりやすい
まず、リートの売買方法について結論から説明すると、株式投資と同じ注文・取引方法で手続きを進める事ができます。
- 指値注文
- 成行注文
注文方法はこの2つとなっており、2013年の法改正後では信用取引もできるようになったので、空売り注文も可能です。また、最低購入単価に関しては、株式投資と違い「1口」から購入できるので、初心者でも投資しやすい利点があります。
テクニカル分析については、株式投資のツールを用いて計算できます。従って、株式投資の経験がある方は、分析しやすい環境といえます。ファンダメンタル分析については、東京証券取引所のルールに則った、適時開示情報を参考にして投資できるでしょう。
適時開示情報は、投資法人の業績や運用資産の状況、PBR・PERといった株式投資と同様の1口辺りの利益計算など様々な情報を指します。
リートに投資する前に様々なリスクを知っておくこと
リートの売買を行う前に、もう1つ知っておくべきことがあります。それは、リート・Jリートのリスク要因です。
これまでの説明を見た初心者の中には、比較的安定している金融商品に注目して、元本保証があるのかと勘違いするかもしれませんが、元本保証及び分配金の利回り保証はありません。
従って、確実な収益を保証する金融商品ではないことを、事前に理解しておく必要があります。
また、元本や利回りの保証が無い理由ですが、次の理由が考えられます。
- 景気変動などによって不動産評価額が変化
- 空室リスクによる賃料収入の変動
- 投資対象の物件地での自然災害等の突発的な事象
- リートが融資を受けていた場合、景気変動による金利負担の上昇
- 投資法人の上場廃止や法改正による分配金ストップ
1.景気変動による不動産評価額の変化
不動産評価額とは物件の売買時に取引される価格のことです。例えば、景気変動などで評価額が下がるという事は、売却時の利益も下がることとなり、結果的に分配金が少なくなります。
2.空室リスク
主に賃料収入に影響する問題で、空室が増加すると賃料収入が低下するので、こちらも分配金が少なくなる原因です。
3.突発的な事象
賃料・売却益どちらにも影響する問題で、自然災害などによる物件への損傷など突発的な事象も、価値低下=分配金低下の原因となります。
4.景気変動
リートが融資を組んでいて、景気変動による金利上昇の影響を受けると、返済額が増加し、分配金の割合を変更せざるを得ない場合があります。
5.分配金ストップの可能性
さらに、リートの上場廃止や、法改正によって条件を満たせず分配金がストップする可能性もあります。
このように、リートの潜在的リスクは、多数あることが分かります。ですから、リスクを理解した上で投資を行い、常にリスク回避に向けた環境作りも大切だということです。
リートは時間が無い方や不動産投資に興味がある方におすすめ
また、平均利回りも株式投資と比較して、高めに設定されているので中・長期的な運用の場合には、大きなメリットとして考える事ができます。さらに、運用はプロに任せるので、時間の無い方や仕事で忙しい方なども、手軽に始める事ができます。
これから、リート(reit)を始めたい方という方は、分散投資によるリスク回避を考えながら、銘柄を選ぶことが大切です。また、ただ分散投資をするだけでは、リスク回避の効果が発揮されにくいです。
なるべく、不動産用途・運用方針・地域性などが重ならないように、投資することがポイントです。
また、Jリートだけでなく、アメリカのリートもあるので、様々な戦略を立てて投資を始めてみましょう。