専業主婦はideco(イデコ)の意味がない!?その真偽とは
2017年から、専業主婦も加入対象者となった個人型確定拠出年金「iDeCo(イデコ)」。しかし、その一方で、専業主婦がiDeCoを利用するメリットはない、と耳にすることも多いのでは?
意味がないのであれば、どうして専業主婦もiDeCoを利用することができるようになったのでしょうか。まずは、専業主婦はiDeCoの意味がない、メリットを受けられない、そう言われる理由について、ご紹介していきます。
そして、もし専業主婦がiDeCoを利用するメリットがあるのだとしたらどのような点がメリットになるのか、そちらについても合わせて解説していきましょう。
専業主婦はiDeCo(イデコ)で節税できない!?
専業主婦がiDeCoを利用する意味がないと言われるのは、iDeCoの最大のメリットである節税効果が得られない為です。
どうして専業主婦は節税効果を得られないのでしょうか。まず、iDeCoの基本的な仕組み・メリットについて見ていきましょう。
iDeCoには、次の3つのメリットがあります。
- 掛金が全額所得控除となる
- 運用益が非課税となる
- 受け取る時に控除が受けられる
この中で一番大きなメリットが掛金が全額所得控除となるという点です。
毎月の積立額 | 所得税・住民税の税率 | 年間節税効果 |
---|---|---|
2万円 | 10% | 48,000円 |
専業主婦の場合はそもそも収入がなく所得税や住民税を支払っていないために、この節税効果を得ることができないのです。
せっかくの節税効果が得られない、だからこそ、専業主婦にとってiDeCoは無意味であるという意見があるわけですね。
iDeCoを始めると諸費用がかかるのもデメリットに
専業主婦は、毎月23,000円を上限とした積立てが可能となっています。ただ、iDeCoのために必要となるのはこの掛金だけではありません。
iDeCoを始めると、他にも次のようなコストがかかってしまいます。
- 口座管理手数料
- 加入時初期費用
- 受取時手数料
- 信託報酬
コストについては各金融機関によって異なる場合もありますが、専業主婦は節税効果が得られないのにコストだけかかってしまうとなれば、やはりiDeCoを始める理由がないと感じてしまう人も出てきてしまうのです。
専業主婦がiDeCo(イデコ)を利用するメリットとは
専業主婦は節税効果が得られないという話はしましたが、専業主婦がiDeCoを利用するメリットが全くないという訳ではありません。
専業主婦にもiDeCoのメリットはあるのです。そのメリットが、次の2点です。
- 運用益が非課税
- 受取時に非課税で全額受け取ることができる可能性が高い
それぞれのメリットについてご紹介していきましょう。
運用益が非課税
iDeCoは、単に毎月一定額を積立てているというわけではなく、その資金を投資して運用するというものです。運用によっては運用益が得られることになり、これが積立てた金額に上乗せされる形となります。
専業主婦にとってiDeCoの節税効果は期待できませんが、運用益が非課税となるという点は押さえておきたいところです。
受取時に非課税で全額受け取ることができる可能性が高い
iDeCoで積み立てた金額と得られた運用益については、iDeCoの運用期間10年を超える場合は、60歳になれば受け取ることができます。iDeCoは元々受け取り時の退職所得控除や公的年金控除が受けられるメリットがありますが、退職金や公的年金が一定の金額を超えた場合は課税対象となってしまうのです。
しかし、専業主婦は退職金はありませんし、得られる公的年金の金額もそこまで大きな金額にはなりません。
ですから、専業主婦はiDeCoの積立金額や得られた運用益について満額非課税で受け取ることができる可能性が高いのです。
会社員から専業主婦になった場合iDeCoはどうなる?
再就職先に企業型確定拠出年金制度があれば、iDeCoの運用資産を移管することは可能ですし、確定給付企業年金がある場合でもiDeCoの積み立て資金を移管できるので安心です。
また、就職すれば掛金が全額所得控除になるというメリットが生きてくるため、節税効果も期待できます。
iDeCo(イデコ)と転職の関係を分かりやすく解説した記事もございます。是非ご覧ください。
転職したらiDeCo(イデコ)はどうなる?ケース別に手続きを解説
パート主婦はiDeCoの節税効果が期待できる場合も
専業主婦で収入がない場合は、iDeCoの節税効果が得られないという話をしました。では、収入があるパート主婦の場合はどうでしょうか。
収入があるパート主婦の場合は、iDeCoの節税効果が期待できる場合があります。
パート主婦の場合は、社会保険に加入しているかどうか、年収がいくらかによって変わってきます。
社会保険の加入条件は、以下の通りです。
- 厚生年金に入っている従業員が501人以上
- 週の労働時間が20時間以上
- 月給が8.8万円以上(年間106万円以上)
- 1年以上働く見込まれている
- 学生ではない
これらに該当している場合は、月額15,000円程度(年額で18万円)の社会保険料を支払うことになっています。
また、所得からは以下の金額が控除されることになります。
- ①給与所得控除…65万円
- ②基礎控除額…38万円
- ③社会保険料控除額…18万円
- ④iDeCoの所得控除額…12万円
ですから、社会保険料なしの場合は年収が①+②+④=115万円、社会保険料ありの場合は年収が①+②+③+④=133万を基準とすることにします。
- 所得税率…5%
- 住民税率…10%
- 毎月の掛金…1万円
- 年収…115万円(社会保険料なし)、133万円(社会保険料あり)
では、これらの条件で実際の節税効果がどのくらいになるのかをチェックしましょう。
社会保険料の有無 | 年収 | 節税効果 |
---|---|---|
なし | 115万円 | 1.8万円 |
あり | 133万円 | 1.8万円 |
iDeCoを利用するなら、パートとして働けるようになってからにしようかしら。
またパート収入の場合は、社会保険料の有無や年収額によって節税効果が得られるということを覚えておきましょう。
専業主婦はiDeCo(イデコ)で運用益非課税メリットが期待できる
しかし、専業主婦もiDeCoによって運用利益が非課税になる、受け取り時には控除を受けることができるといったメリットもあります。パート収入が一定額を超えていれば、節税効果を得ることもできます。
会社員から専業主婦になった場合でも、継続してiDeCoを運用することはできますし、逆に専業主婦から会社員になった場合でも継続することが可能です。
専業主婦がiDeCoを利用した際のメリットとデメリットをしっかりと把握し、検討してみるようにしたいですね。