女性が住宅ローンを組む場合にどんな問題がある?妊娠中はOK?
女は結婚して家を守るもの、という価値観は古くなり、今では独身のまま働き続ける女性も増えてきました。働く女性が増えるにつれ、管理職として高収入を得る女性も増加しています。
こうした情勢ですので、女性が家を買い、住宅ローンを組むというケースも珍しくなくなっています。
このページでは、女性が住宅ローンを組む時に注意したい事について、独身女性の場合と既婚女性の場合に分けて説明しています。
妊娠中でも住宅ローンは組めるの?
家を買おうと思う「きっかけ」はさまざまですが、妊娠も有力なきっかけになります。子供が増えるから、もっと広い家に引っ越したいと思うのは自然なことです。
しかし、妊娠中の女性の名義で住宅ローンを組むのは困難です。審査に申し込んでも、落とされてしまう可能性が高いでしょう。
また妊娠中だけでなく、産休中や育休中も住宅ローン審査で不利になります。たとえローンは組めても、借入額が減るというケースが多いでしょう。
女性向け住宅ローンも増えてきている
まだまだ住宅ローンが女性に厳しいのは事実ですが、女性向けの住宅ローンプランを提供する銀行も増えてきています。
女性向けや女性専用の住宅ローンでは、金利の優遇や手数料割引などのメリットがあります。
優遇される条件はさまざまで、出産後なら優遇される住宅ローンや、未成年の子供がいると優遇される住宅ローンなどがあります。
独身女性の住宅ローンの4つの注意点
独身女性が住宅ローンを組む場合、以下のような4つのポイントに注意したいところです。
- 結婚して家に住まなくなると問題が発生する。
- 結婚を考えているなら、賃貸暮らしを続けたほうが良い事も。
- フラット35なら家の賃貸収入でローンの返済も可能。
- 将来の変化に備え売りやすい物件を選ぶ。
結婚して家に住まなくなると問題が発生する
家を買った後、結婚した場合は、その家をどうするかという問題が発生します。夫もその家で暮らすようになるなら問題ありませんが、そうできないと、家の処分に困ってしまうかもしれません。
住宅ローンは、その家に住むことが前提となるローンですので、住まなくなるとローンの一括返済を求められるということもありえます。
また、住宅ローン控除は、申請した家に住んでいないと受けられませんので、減税されるはずだった分も損してしまいます。
結婚を考えているなら賃貸暮らしを続けたほうが良い事も
近い将来に結婚を考えているなら、無理に家を買わないほうが良いかもしれません。
家を買うメリットは、家賃を払わなくても良いということですが、それはローンを完済できる場合の話です。
結婚して家を売りに出す場合、物件の売却益よりもローン残債の方が多いことが普通です。そうなると、何百万円かの借金を背負い込むことになりかねません。
どうせ毎月お金を払うなら、借金が残らない賃貸住宅の方がリスクを抑えられます。
フラット35なら家の賃貸収入でローンの返済も可能
通常は、居住用の家しか住宅ローンの適用を認められません。つまり勝手に賃貸として利用することは、できないということです。
しかしフラット35の場合は、「家賃返済特約」が用意されています。
フラット35でローンを組む時に、家賃返済特約の契約をしておけば、なんらかの事情で返済が難しくなった場合に、家を賃貸にすることができます。
独身女性が家を買うなら、もしもの時に安心できる家賃返済特約も検討してみましょう。
将来の変化に備え売りやすい物件を選びたい
これは女性に限ったことではありませんが、単身者が家を買う場合は、将来の変化に備えられる物件を選ぶべきだと思います。
結婚はもちろん、転職や転勤など、家を買った後に状況が変わるというのは十分に考えられる事態です。すぐに売れて、「資産価値が下がりにくい物件」を選び、万が一の状況にも対応できるようにしましょう。
資産価値が下がりにくい物件、というのを簡単に説明するのは困難ですが、以下のような条件を満たした物件を選べば、大きな値下がりは防げるでしょう。
- 交通アクセスが良い。駅から近いほど有利。
- 人口が増えているなど、人気が高い街。
- スーパーや病院、郵便局など必要な施設が徒歩圏内にある。
- マンションなら、角部屋、上層階。
- 土地付き戸建てなら、最低限土地代は残る。
- 騒音や災害が少ない。
既婚女性の住宅ローンの3つの注意点
既婚女性の住宅ローンでは、以下のような3つのポイントに注意しましょう。
- 既婚女性の単独住宅ローンは疑われる。
- 夫の信用状況に難があると審査が厳しくなる。
- 夫の協力が期待できないなら親などに協力要請を。
既婚女性の単独住宅ローンは疑われる
既婚女性が単独でローンを組もうとすると、なぜ夫の名義でローンを組まないのかと疑いの目でみられます。
今でも、共働き夫婦の場合ですら、夫単独でローンを組むというケースが6割を超えている状況です。夫と共同でもなく、妻単独で住宅ローンを組むのは非常に稀なケースです。
どんな事情があって妻名義で住宅ローンを組むのか、しっかりと説明ができないと、住宅ローン審査に通る可能性が非常に低くなってしまうでしょう。
夫の信用状況に難があると審査が厳しくなる
公務員であるなど、女性でも十分に住宅ローンの条件を満たしている人はいます。
しかし妻単体で見た場合にローン条件を満たしていても、夫が無職だったり、ブラックリストに載っていたりすると、審査で落ちる可能性が高まります。
夫が無駄遣いをする人だ、などと金融機関に認識されると、途中で返済が滞るかもしれないと疑われてしまうのです。
あくまで夫の問題ですので、無職なら就職活動をしてもらう、ブラックリストに入っているなら、新しい借入をせずにリストから消えるのを持つ、などの対応が必要になるでしょう。
※住宅ローンの審査が不安な方はコチラへ
夫の協力が期待できないなら親などに協力要請を
夫が連帯債務者になれず、連帯保証人にもなれないような状況なら、住宅ローンを組むのは難しいでしょう。
そうした状況でも、どうしても住宅ローンを組みたいなら、親や子供に協力を要請したほうが良いかもしれません。
親や子供に収入合算してもらえれば、住宅ローン審査に通る可能性が高まります。
ただし、収入合算した相手が、新しく住宅ローンを組むのは難しくなるということは知っておくべきでしょう。
女性も住宅ローンは組めるが十分な検討は必要
ただし独身女性の場合、家の購入が本当に得になるかはわかりません。売りやすく資産価値が下がりにくい物件を選んだり、フラット35の家賃返済特約をつけたり、リスクを減らす作戦を考えた方が無難です。
女性が住宅ローンを借りる場合の障害は以前ほど多くないといわれています。
金融機関が審査の際に「性別」を審査項目に入れている割合は2割以下というデータもあり、既婚か未婚かもあまり影響はないようです。本文にもあるような将来的に売却する可能性については、どのようなケースでも考えなければならないことです。
中古住宅・中古アパートの媒介業務・調査業務に従事し、現在は札幌市内の宅建業者にて専任の取引士を務めている。
2006年より、住宅に関する無料の相談サイトを開設し、住宅リフォームや中古住宅購入の相談に応じている。