住宅ローンの審査
住宅ローンで調べられる10項目の審査基準とは?

住宅ローンで調べられる10項目の審査基準とは?

住宅ローンの融資を受けるためには、金融機関と保証会社による審査を通過しなければいけません。

住宅ローン審査では、借り主であるあなたの「人物」と、ローン対象となる「購入物件」の2つが調べられます。

このページでは、住宅ローン審査でおこなわれる、「人物評価」と「購入物件評価」について詳しく解説していきます。

ローン審査に落ちても銀行は理由を説明してくれない!

住宅ローンに申し込むと、融資対象として適当かどうか審査されます。その審査でそのまま契約できるか、断られるか決まるわけです。

無事に審査通過できる場合は問題ありませんが、審査落ちする場合、注意しなければいけない点があります。

銀行は住宅ローン契約ができないと言ってくるだけで、審査に落ちた理由については教えてくれないのです。

審査落ちの理由がわからないため、問題点を改善して次につなげる事ができません。適当に申し込んで落とされると、ただ審査落ちした履歴が残ってしまうだけで、完全にマイナスです。

なんで落としたのかくらい、教えてくれればいいのに。銀行はケチだなあ。
ローンの審査項目と審査基準は、どの銀行も非公開ですからね。だからこそ、審査で調べられる項目を知って、事前に準備するのが大事なんです。

じつは金融機関ごとに、審査で調べる項目と基準は微妙に違います。そのため、これなら絶対に大丈夫、という条件を明示することは不可能です。

しかしどの金融機関でも、ある程度は共通した基準で審査をしています。そうした一般的な審査基準を知って準備すれば、審査落ちの可能性を大きく減らせるはずです。

住宅ローン審査の人物評価で調べられる7つの項目

・住宅ローンの審査の人物評価では、以下のような7つの条件が主に調べられます。

  • 年齢。
  • 借入額。
  • 勤めている会社。
  • 勤続年数。
  • 健康状態。
  • 信用状況。
  • 頭金の額。
いろいろ調べられるのね。こんなの、絶対に落ちるに違いないわ……!
住宅ローンは、他のローンよりも審査が厳しいのは確かです。でも、銀行側は基本的に「お金を貸したい」のです。だから、そんなに心配しなくても大丈夫だと思いますよ。

年齢は重ねるほど不利

住宅ローン審査では、「加入時の年齢」と「完済時の年齢」という項目があります。この項目にあった年齢でないと、それだけで審査で落とされてしまいます。

「加入時の年齢」は、ローン申し込み時点の年齢です。下限は20歳で、上限は「65歳~70歳」としている銀行が一般的です。

しかしたとえ加入時年齢を70歳と設定している銀行でも、70歳でローンを申し込むとあまり良い顔はされません。安定した高収入を得ている、資産をたくさん持っているなどの条件がないと審査クリアは難しいでしょう。

どちらにせよ、高齢になるに従ってローンを組みにくくなるというのが実情です。ですから、あまり逡巡しすぎずに早めにローン申し込みの決断をするのがおすすめです。

「完済時の年齢」は、ローンを払い終わる予定の年齢です。「80歳」を上限としている銀行が大多数です。

上限いっぱいの、完済時80歳の設定でローンを申し込むのは好ましくありません。審査通過率が下がりますし、ローンの支払いも苦しくなります。

完済時の年齢は、「65歳以下」を目安にしておくのが無難です。

借入額の設定が重要

借入金額をいくらに設定するかも、審査で重要なポイントになります。銀行の設定では、返済比率30~35%が上限となっているのが普通です。

「返済比率」とは、収入に占めるローン返済額の割合です。たとえば年収が「100万円」で、1年ごとに返すお金が「30万円」なら、返済比率は「30%」になります。

年収がかなり高い人なら、35%くらいの強気の設定でも良いかもしれません。しかし基本的には、返済比率を20~25%くらいに抑えたほうが良いでしょう。

返済比率で計算されるのは、「住宅ローンだけでない」という点には注意してください。自動車ローンなど他の借金があれば、その分を減らして計算しなければいけません。

どこで働いているかで審査通過率は変わる

どんな会社に勤めているかによっても、審査通過率は変わります。

具体的に言うと、「公務員」>「正社員」>「自営業」「派遣社員」というような順番に不利になっていきます。

また同じ正社員でも、中小企業と一部上場企業では、一部上場企業に勤めている方が有利なのは言うまでもないでしょう。

会社の経営状態も調べられますので、業績が振るわず倒産する恐れがある会社に勤めていると、審査落ちする危険性が高まります。

3年以上の勤続年数が好ましい

銀行が契約者に求めているのは、「安定した収入」です。そのため、転職を繰り返している人はあまり歓迎されません。

最低限、勤続年数が「3年」を超えてからローン審査に申し込んだほうが良いでしょう。

自営業の場合は、創業から3年以上経っていることに加えて、過去3年で安定して黒字を出していることも求められます。

※転職と住宅ローン審査の関係を知りたい方はコチラ

健康状態も調べられる

健康状態も審査項目の一つです。糖尿病やうつ病など持病があると審査通過が難しくなります。

持病と住宅ローン審査の関係については、特集ページで詳しく説明していますので、そちらもご確認ください。

過去の行動で信用状況は傷ついていないか?

住宅ローン審査では、信用情報も重視されます。

過去にクレジットカードの支払いを滞納している人などは、審査で落とされます。クレジットカードと住宅ローン審査については、「知らないと危険!住宅ローン審査に落ちるクレジットカードの使い方」でも説明しています。

税金を滞納している場合も、間違いなく審査で落とされます。税金滞納と住宅ローン審査の関係性は「住宅ローン審査で「税金滞納」は赤信号!」で確認してみてください。

またこれら以外に、「公共料金の滞納」や「携帯料金の滞納」なども危険です。

とにかく銀行は、支払うべきものを支払っていない人を嫌います。審査前に、払い忘れているものがないか、キッチリ確認しておきましょう。

一定額以上の頭金は用意したい

住宅ローンを組む時の頭金は、自分で好きな額に設定できます。頭金0円で組む、フルローンスタイルも多くなってきています。

しかし審査通過率という観点から考えると、頭金は用意したほうが無難です。頭金が0だと、まともに貯金もできない人だと思われ、評価が下がります。

なるべく購入物件価格の「10%以上」、可能なら「20%」程度の頭金を用意したいところです。

※頭金の特集記事もご覧ください。

住宅ローン審査の購入物件評価で調べられる3つの内容

住宅ローン審査では、契約者だけでなく、購入物件に対しても調査がおこなわれます。購入物件評価では、以下の3点について審査されます。

  • 担保評価額。
  • 物件の権利者。
  • 法令に適合しているか。

担保評価額で借入可能額が決まる

購入予定の物件の資産価値は、審査に大きく関わってきます。基本的に、不動産の担保評価額以上の額の住宅ローンを申し込んでも、断られると考えておいてください。

新築物件なら、「購入価格」がそのまま借り入れ上限となるのが普通です。

しかし中古物件の場合は、土地の価格分しか担保評価額として計算されない事もあります。

結果として、購入価格との差額は自分で用意しなければならなくなりますので、中古物件を購入する際は注意してください。

物件の権利が契約者にないと難しい場合も

原則として、購入予定の物件の権利が、住宅ローン契約者になければいけません。物件の権利を家族で共有している場合などは、話が難しくなります。

物件の権利を共有している場合は、権利を持っている人全員に抵当権の設定を認めさせなければ、住宅ローン審査に通りません。

また、「借地権付住宅」や土地区画整理法による「保留地」に設定されている物件の場合、それだけで住宅ローン契約を断られる事があります。

法律に準拠した物件かどうか?

購入予定の物件が、法令に則したものであることも求められます。

たとえば、「建築基準法」に違反している物件だと、万が一の時に銀行が物件処分をしにくいため、住宅ローン審査で落とされやすくなります。

「市街化調整区域」では、一般住宅の建築が制限されています。こうした区域にある物件を購入する場合も、住宅ローンを組むのが難しくなります。

審査内容を熟知して住宅ローン審査をクリアしよう!

住宅ローンでは、契約者に対する審査と、購入物件に対する審査がおこなわれます。

人物評価なら、「年齢」「借入額」「健康状態」、物件評価なら「担保評価額」「権利状態」など、調べられるポイントはだいたい決まっています。

調査ポイントそれぞれについて、一般的な基準をクリアしているかどうか、住宅ローンに申し込む前に確認しておくと良いでしょう。

監修者メッセージ

新築住宅の場合、物件評価はよほどのことがない限り希望額の申込で問題ありませんが、中古住宅ではさまざまなケースがあります。

記事本文に記載された「市街化調整区域」の物件は、注意が必要なことはもちろんですが、市街化区域の物件でも増改築を繰り返した結果、違法状態になっているケースもあります。

注意して下さい。

プロフィール
不動産売却カテゴリー記事監修(弘中純一)
弘中 純一
宅地建物取引士、一級建築士の資格を保有。
中古住宅・中古アパートの媒介業務・調査業務に従事し、現在は札幌市内の宅建業者にて専任の取引士を務めている。
2006年より、住宅に関する無料の相談サイトを開設し、住宅リフォームや中古住宅購入の相談に応じている。